戎谷徹也: 2010年3月アーカイブ

2010年3月28日

Deli 開店

 

本日、東京駅改札内・サウスコート(旧メディアコート) 内に、

「エキュート」 開業。 同時に 「大地を守るDeli」 も、無事オープンしました。 

 

心配で、気になって、埼玉は飯能の奥地から様子を見に来てみました。

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スタッフも、ここまでの疲れを見せず、張り切ってくれてます。

先日誰かが叫んだ 「火の車!」 ではありませんので、ご心配なく。

日本語、勉強しろ!っつうの。 なんて、あんまり人のこと言えないか。

 

ま、こんな様子です。

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丸の内側の中央口と南口の間、中央線のエスカレーターを降りると

すぐに目につく、なかなか好位置にある。 

 


人が多いのは初日ということもあるでしょうが、とはいえここは東京駅。

朝、昼、夕、夜と人の波は絶えません。

朝8時開店に始まって、閉店は22時 (日曜・祝日は21時まで) 。

こんな日が1年365日、続きます。 

大丈夫か、大地を守る会・・・ 頑張らなくっちゃね。

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「エキュート東京」 のキーワードは、

" 東京人におくる ニッポン Re-STANDARD " 。

日本のイイモノを現代のライフスタイル向けに編集し、

日本のモノで暮らす日本の生活シーンを提案する。

このテーマで、31ショップが食や文化で競うことになる。 

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「 大地を守るDeli 」 自慢の定番品は、

「10種類の季節野菜サラダ」 に 「季節の香味野菜たっぷりから揚げ」、

「山形村短角牛のコロッケ」、「ヘルシービューティー弁当」 。

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フードマイレージ - POCO の表示もあります。

 

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こんなふうに、サラダ、揚げ物、弁当、そして野菜に果物などが、

常時30品目並びます。

 

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一人暮らしの娘と息子用に、サラダとキーマカレーと短角牛コロッケを買いました。

レジに時間がかかりすぎる感があります。 早く慣れるようにね。

 

帰りは広尾の 山藤 で、久しぶりに家族で食事。

Deli の自慢をして、お土産を渡して、調子に乗って、飲む。

本日は、種蒔人でなく、「長四郎」 を一本、空ける。

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原料米は、新潟の神田長四郎・長平親子による作品。

神田さん、美味しかったですよ。

ご馳走様でした。

 



2010年3月26日

だいち 那須農場

 

エエッ❢ 大地を守る会に農場が??

・・・・と一瞬思われた方には、スミマセン、まぎらわしいタイトルで。 

でもれっきとした、だいち 農場についてのお話です。

 

3月24日(水)。 

ジェイラップを訪問した二日後に、再び同じ東北新幹線・新白河駅に降り立って、

今度は北上せず、栃木方面へとUターンする。

県境を流れる黒川を渡れば、そこは栃木県那須町。

その山林の一角に、開墾されたばかりの1町歩(≒1ha) ほどの農地が出現している。

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山林といっても、元は酪農の牧場があったところで、

牧場が閉鎖した後、スギなどの植林をした場所のようである。

こちら、実はNTTデータ・グループという大きな企業グループが

障害者雇用のために設立した特例子会社というのがあって、

そこが新たに開いた農場なのである。

その会社の名前がなんと、「 (株)NTTデータだいち 」 という。

 

で、なんでワタクシがこの開墾したばかりの農場にやって来ているかというと、

こちらの農場の栽培管理の仕組みづくりをお手伝いすることになったってワケ。

 


いま一定規模以上の会社は、

その規模に応じて障害者を雇用しなければならないという法律がある。

社員数1万を越えるNTTデータ・グループさんが

何人の障害者を雇用しなければならないのかは知らないけれど、

法定雇用率を満たすために特例子会社がつくられ、

仕事が生み出されようとしているということなのである。

 

それで障害者を雇用しての農場運営だって?

農業をバカにするな! という声も聞こえてきそうな気がする。

安易な発想という見方をすれば、そのように見えるかもしれない。

しかし、「農」 の持っている潜在能力と包容力は、もっと豊かである、

と僕は信じるものである。

 

やる以上は有機のレベルで、

しかもちゃんと世間が求める  " 安全・安心 "  システムくらいは用意したい、

と 「NTTデータだいち」 (以下、「だいち」で。紛らわしいけど) さんも考えて、

何をどう調査したのか知らないけれど、我々にオファーが入ってきた。

ここは素直に受けて立とう。 

受けなければ大地を守る会じゃないよね、と思ったのだった。

 

有機農業でやりたい。 

ついてはちゃんと外部監査に対応できるだけの体制をつくりたい、と 「だいち」 さんは言う。

生産された作物は、当面はNTTデータ・グループの社員で引き受けるとのことで、

それなら何も第三者の監査など不要ではないかと思うところだが、

ただのアリバイ事業でなく、将来的に事業の発展を目指したいのなら、

最初からシステムをつくっておくのが正解である。

僕は、その意思を感じたのである。

 

したがってこちらからの提案は、単純な管理システム作りや監査の受託ではすまない。

障害を持つ人たちと、「農」 を通じて新しい社会事業のモデルを作る。

その構想と実践を提案したいし、手伝わせて欲しい。

「障害」 と言われるものが、いつかその人の 「個性」 だと言える、そんな社会づくりに

有機農業は貢献できることを、このフィールドでトライしてみませんか。

そのための仕組みづくりを応援させて欲しい。

 

プレゼンと言えるような提案もしていないのだが、名前から予定調和的に採用され、

「NTTデータだいち」 を守る会? みたいな仕事が始まろうとしている。

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しかし、とはいえ、この状態からのスタートである。 

同行した農産チーム・市川泰仙が偉そうに 「これじゃあ・・・」 などと批評している。

いちおうはオーガニック検査員の資格を有する職員ではあるが・・。

前途多難であることは間違いないようだ。。。

 

我々のネットワークを駆使して、

生産者のお知恵もお借りしなければならないかなあ、とか思うのだった。

オイラの威勢って結局、生産者がいてくれるから、なんだな。

 



2010年3月25日

乾燥、その奥深い可能性を「見える化」する

 

昨年10月3日に開催した、大地を守る会の 「備蓄米」 収穫祭 のレポートを

ご記憶の方は・・・もういないか。 

お時間の許す方は、上の文字をクリックしていただくとして、

その時の交流会に登場して大好評を博した乾燥野菜が、

足掛け3年に及ぶ試作期間を経て、いよいよ本格的な製品化に向けて動き出した。

 

大地を守る会のスタッフでプロジェクト・チームが結成され、

3月22日、現地(福島県須賀川市)・ジェイラップの事務所で

合同のキックオフ会議が開かれた。

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社内のプロジェクト・チームは、農産グループ・商品グループ・広報グループそして

大地を守る会の農産加工部門である (株)フルーツバスケットも参画して結成された。

プロジェクトの名称は、「畑まるごと 皮から種までなんでも乾燥プロジェクト」。

略して 「はたまるプロジェクト」。

 

ジェイラップ専務の関根政一さん(上の写真右奥の方) が、

2年の歳月をかけて試作した野菜や果物の数は60種類を超える。

形状はスライスやチップ状に刻んだものからパウダー(粉) まで。

試作品のパウダーの数々。

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野菜・果物を乾燥させ保存する。 

このノウハウを獲得することで、畑で発生する余剰品や規格外品が活かせるようになる。

" 捨てる "  から  " 拾う・使い切る "  へ。

しかも貯蔵性が高まり、様々な加工食品の幅が広がる。

いや、それだけじゃない。

関根さんや代表の伊藤俊彦さん(写真、関根さんの手前の方) たちと

何度となく語り合ううちに、

これはとてつもなく奥の深い、新しい可能性の扉を開くものになる、

という確信を、僕らは持つにいたったのである。

 


たとえば、有機・無農薬栽培の規格外品の活用ができれば、

それだけでも安全な農産物生産の拡大・普及をバックアップする力になるだろう。

 

あるいは、食べたり加工する際に捨てられる皮やヘタ、茎や種も使うことができる。

しかも皮やヘタや茎だって、普段食べている可食部と言われる部位よりも

栄養価が高いものがある。 粉にすれば食感上は何ら問題なく、

逆に風味が増したりする場合だってあることを、色んな試食によって

粉たちは証明して見せてくれたのだ。

 

ゴミが資源に変わる? いやいや、もともとゴミなんかではなかったのだのが、

畑の  " 資源力 " 、そのポテンシャルを最大限に引き出す革命的なノウハウを、

僕らは今ようやっと手に入れようとしているのだと言えないだろうか。

だからこその、「はたまるプロジェクト」なのである。

 

その扉を開く会議は、予定時間を越えて続いた。

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離乳食から介護用、防災用の非常食、はてはペットフードまで、

互いのイメージは、どんどん膨らんでいく。

赤ちゃんからお年寄りまで、畑が支える健康生活って感じですかね。

 

これなんかは、これだけで充分、家庭での常備品になるのでは。

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この日の試食は、5種類のうどん。

何を加えたかは、ヒ・ミ・ツ。

それぞれの香りや食感が絶妙に活かされていて、美味い、という前に、

これは面白い! などと口走ってしまうのだった。

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ここで、カレーライスを試食した、と聞いたら、どういうものを想像されるだろうか。

一同、「これ、いけるねぇ」 とうなずきながら食べている。

有名シェフがこしらえた驚きのカレー、といったのとは違う。

思うに、「●●●ちゃんちの野菜カレーは、ひと味違う」 と言わせる、そんな感じなのだ。

もちろんその場合は、お米もこだわって欲しいところである。

 

乾燥室を覗くと、長野のリンゴ農家になった元大地職員、広瀬祥寿くんから送られてきた

リンゴの乾燥が行なわれていた。 

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この作品については、広瀬くんがリンゴのチップとして自力で売るらしく

(大地への提案は来年だとか)、少ししっとり感を残して仕上げている。 

彼のリンゴはもともと味では定評を得ているが、

旨味が上品に濃縮されて、文句なく美味しい。

 

フリーズドライでなく、熱風乾燥でもない、低温でゆっくりと風を送って乾燥させる

「低温除湿」方式。 これによって、しっかりと風味を残す。

 

食味、栄養価、環境への配慮、あらゆるステージで野菜を摂取できる食の提案。

野菜の粉末化やドライフーズは今では珍しくないが、

僕らが進めるプロジェクトは、

畑の受け皿の新しい鉱脈を育てる= 「畑の資源力」 の見える化、という仕事であり、

それによって人々の健康への貢献の底力を、畑から見せる化することである。

で、具体的には?

 -え~と、あの、これ以上は、まだ企業秘密ということで。

 

「こんなこと考えてるんですけどね」 と聞かされてから、3年。

ここまで完成度を上げてきた関根さん+スタッフの執念には脱帽するしかない。

最近は電話しても、

「ああ、スミマセン。 セキネは今、例の場所に引きこもっておりまして・・・」

なんて言われたりする。 

あの強面(コワモテ) で引きこもりか・・・その姿を想像するのはやめて、

じゃあ、何としても花開かせなければ、と思うのである。

 

ジェイラップでは今、本格的な設備の工事に入っている。

完成後、速やかに稼動できるかどうかは、こちらのプロジェクトのスピードにかかっている。

製品がお目見えするのは、夏か、秋口か。

一肌脱ごう!という加工食品メーカーがおられたなら、挙手願いたい。

 

忘れないで付記しておくと、ジェイラップの本業は、米である。

生産者集団 「稲田稲作研究会」 の信頼ブランドでもある 「大地を守る会の備蓄米」 の、

今年の美味い米づくりは、もう始まっている。

この日は種籾の温湯消毒 (薬での消毒はしない) が、

若者たちの手で行なわれていた。 うまく仕上げるコツは、氷だそうである。

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2010年3月23日

東京駅に 「 大地を守る Deli 」 !

 

一ヶ月前には、大宮駅エキュートで2週間限定の販売をやったと思ったら、

今度は、東京駅構内に出店!という話。

しかもこれは催事ではなく、常設店舗なのであります。

 

東京駅改札内・サウスコート (丸の内側) の商業スペース

エキュート東京」 (今はまだ工事中のところ) に、

3月28日の日曜日、「大地を守る Deli 」 がオープンします。

 

デリってなに?世代ですので、名前に関する質問はお断りします。

四半世紀前の時代に、「頑固な八百屋」 と幌に描いたトラックを転がしていた若者としては、

ここは 「大地を守る惣菜屋」 だろうが! とか言いたいところですが、

ハイハイ (≒ うるさいかも ) 、てなもんで。

 

古い奴ほど新しいものを欲しがるものでございます(鶴田浩二)・・・

とか言ったところで、たそがれのダンディズムを受け止めてくれる若者は

21世紀には存在しないようで。

あの説教臭いオヤジに突っかかっていた若僧(水谷豊) も今や、

相棒を従えたデカになっちゃってるし。

 

ま、見当違いのぼやきはそこまでとして、要するに、

大地を守る会の食材を使ったオリジナル惣菜が毎日約30品目!(ホントか?)、

東京駅構内のお店に並ぶわけです!! (うう~、こんな時代が来るとは・・・)

 

ただ今、こんな感じで準備が進んでいます。

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エキュート東京では、新装開店に向けて、

インターネットでも、「ecute 東京物語 公開中。

「大地を守る Deli 」 のプレゼンもやってくれています。

「おいしい野菜は大地を救う!」 だって。

というわけで、野菜も少しは置かせてもらいます。

 

28日オープンに向け、スタッフは必死の形相になっていて、

今日、「火の車です!」 と報告したスタッフがいました。 もうかよ。。。。

 

季節の野菜サラダ、短角牛のコロッケなどなど、オリジナル惣菜を用意して、

皆様をお待ちします。

しかも東京駅内で初めて、フードマイレージを表示したお店が登場するのです。

東京駅経由とかで降りた際には、まじ必見、だけじゃなく、

ご利用いただけると嬉しいです。

 


 



2010年3月20日

梅の花が下向きに咲けばね・・・

 

・・・なんなの?

いや、だからさ。 梅の花が下向きに咲いたら、その年の稲は不作だと、

昔の人はよく言ってたって話さ。

ふ~ん。 で、今年はどうだったの?

う~ん・・・ 見てねぇ。

なんで?

いや、だからさ。 見たくねぇからだっぺよう。 下向きに咲いてんの見てみぃ?

ヤだろが。

ふ~ん、なるほど・・・・・・

 

いつの年の春だったか、

さんぶの 「ゴローちゃん」 (田中邦衛さんが演じたTVドラマ 「北の国から」 の主人公) こと

千葉・山武の稲作体験で20年お世話になっている佐藤秀雄さんと交わした

なんとも微笑ましい会話である。

 

意外にも、この話がずっと記憶の片隅から消えないでいた。

なぜ長く言い伝えられたのか。 そこには何がしかの真理があるのではないか。

しかも今だに、現代人の心にわずかながらも影響力を残して語り継がれている。

今の僕らに、このような発見はあるだろうか。

自然や生命に対する観察眼の決定的な違い。 それは、現代人の衰え、と言えないか。

 

本気で検証しようと思ったのは、ご想像の通り、

宇根豊の 「風景論」 からの刺激 + 「田んぼスケープ」 の実現、に他ならない。

ゴローちゃんに、写真を撮って、とお願いするのも気がひけたので、

千葉・幕張周辺で撮ってみることにした。

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                                          (撮影日:3月11日)

ここの梅はダメだな。 みんな横か下向きで、参考にならない。

3ヵ所くらい回ったが、幕張周辺は環境がよくないんじゃないか・・・

見たくなかったぞ。

 

でもきっと昔の人は、そんなふうにただ一喜一憂するのでなく、

冷静に、今年の対処法に思いを巡らせたのだろう。

 


ま、ヤな気分は気分として、これも一つのデータにしておこうと、

 「田んぼスケープ」 に送ることにしたのだが、

しかしこれが、どうもまだアップできないでいる。

サイトの制作者・アラカワ氏もかなり苦心している様子である。 

画面から、少しずつ改善されていっているのが伝わってくるのだが、

技術的問題についてはお手上げなので、お任せするしかない。

 

他にもアップを待っている方もいるかもしれないですね。

すみません、もうちょっと待ってください。 お願いします。

現時点では、ケータイからの投稿は正常にアップされるのだけど、

パソコンからの投稿では、ソフトによって反応できてないものがあるようです。

でもいちおう、そこまでは来ています。

 

ここをクリアできれば、もう一歩前に進める。

みんなにとっての  "  梅の花  "  (のような話) を集めたいと思うのです。

 

また例えば、会津・喜多方の人が飯豊山を眺めながら語っていた、

「あそこの雪の形が、種を蒔く翁の姿になると、米づくりの準備に入る」

 - そんな自然と暮らしのつながりも、集めてみたい。

 

遊びか? と言われれば、遊びかもしれない。

でもこれは、車のブレーキペダルに備えられているのと同じ、

" 社会の安全 " のために必須の機能を取り戻す作業でもあると、僕は思っている。

梅の花を愛で、その年を占う余裕くらいはあったほうがゼッタイにいいし、

食べものへの 「まなざし」 も、少しはゆとりのあるものに変わるかもしれない。

なによりも、「この国は美しい!守りたい!」 という共感をつくり出したいじゃないすか。

自給率論より激しく心を揺さぶる力は、そこ (現場) にあるはずなのだ。

 

竹村真一さんからも、メールが入ってくる。

京都で開かれたケータイ国際会議(?) で、

ケータイの新たなソーシャルウェア(社会的活用法)の事例として

 「田んぼスケープ」 を紹介したら、大きな反響があったよ!

だから ヨ・ロ・シ・ク! みたいな感じでハッパをかけている。

この感じ・・ ウチのF社長にも似た血を感じさせる。

頑張ろうね、アラカワさん。 幕張の梅の花も、ヨロシク。 

落ち着いたら 「種蒔人」 持って慰問に行くから。 慰め合おうか。

 

そのうち、積極的に投稿してくれている生産者たちと、

セッションする場を持ってもいいかもしれない。

・・・などと、設計者の苦労を横目に、イメージを広がせている。

 

予告した東京集会から遅れ、まだ若干の不具合を残しているところは、

ただ頭を下げるしかないけど、

この画期的な道具をつくり上げようとしてくれている仲間には、

どうか励ましの気持ちを持って、エール (投稿) を送って欲しい。

 



2010年3月18日

訂正とお詫び

 

前回の日記-「農と自然の研究所」 解散総会の話の中で、

リーファースの水野葉子さんが 「宇根さんは男尊女卑の九州男児」 と語った、

と書いてしまったことに、水野さんから強い抗議のメールを頂戴しました。

 

それは12年前、水野さんが最初に宇根さんに会った時に、

労働組合関係の女性がそんなふうに言っていた、というのが事実で、

水野さんも最初は 「ちょっと怖そうな人」 という印象を持ったけど、

今はまったくそんなことはない、とのこと。

「 宇根さんは、子どもやご老人への接し方を見ても、とても優しい方です。

 奥様への愛情もそばにいてとてもわかります。

 とにかく私は宇根さんが大好きなのよ!」

 

大変失礼いたしました。

軽口のジョークのつもりで書いてしまいました。

あわてて削除したものの、すでに読まれた方もおられるかと思い、

ここで改めて訂正するとともに、深くお詫び申し上げます。

 

おそらく件の女性も、今は宇根さんのことは大好きだろうと思います。

宇根さんは、違うと思ったことに対しては手厳しくやることもあるので、

何か過激な発言をされたのかもしれませんね。

 

すみませんでした。反省。

 



2010年3月14日

農はいつもそこに・・・「農と自然の研究所」 解散

 

昨日は朝から春嵐の一日。

御茶ノ水から本郷に向かう聖橋の上で、

僕は思わず、懐かしいアリスの歌の一節を口ずさんだのだった。

 

  春の嵐が吹く前に 暖かい風が吹く前に

  重いコートを脱ぎ捨てなければ 歩けないような そんな気がして

 

なんて曲だったっけ・・・・・

 

出かけたのは、先日も報告した宇根豊さんが代表理事を務める

「農と自然の研究所」 の解散総会に出席するためだった。 

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「農と自然の研究所」 という団体があった・・・・

こんなにすぐに過去形で言われると・・ つらくなる。

 

会場は、本郷・東京ガーデンパレス。 最後の総会とあって、ちょっと気張ったか。 

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宇根豊さんについては、もういろいろと書いてきたので、いいよね。

僕にとっては、常に道しるべのように前を歩いてくれた人だ。

 

最後の総会の記念講演は、この人。

農民作家、山下惣一。 

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この人に最初に会ったのは、20年くらい前の (もう正確に思い出せない)、

九州・長崎での 「百姓一揆の会」 だったか。

言うことはやはり常人と違うところがあったが、飲めばただのオッサンだった。

 

今も変わらず、毒舌は衰えてない。

宇根さんと歩んできた時間を面白おかしく振り返りながら、

「宇根豊をこの時代に輩出したことのシアワセ」 は、山下さんも感じていることだった。

 


    農薬を撒けという指導は机の上でも出来るが、農薬を撒くなという指導は

    田んぼを見なければ出来ない。

    宇根豊が出てくるまで、こんなことを言う普及員はいなかった。

 

    息子が農薬を撒かんのですよ。 聞いたら 「虫がおらんから」 という。

    そんなこたあないだろう、と虫見版で確かめたら、ホンマにおらんとですよ。

  いかに上からの指導がおかしかったか・・・

   

  生産から消費までの間には様々な行程があって、昔はそれらがみんな

  農業の中にあった。種を採ることから肥料も農薬に相当する作業も、食品加工も・・・

  それがそれぞれ産業になって、いつの間にか生産だけが取り残された。

 

  百姓仕事の復権に、宇根はたしかな仕事をしてくれた。

  時代は少し、彼によって動いたように思う。

 

虫身板に続くヒット作となった、「田んぼと生きもの」 下敷き。

そのポスターを前に語る宇根豊。

こんなクソ忙しい、食も何もかもグローバル化した時代に、

「おたまじゃくし ● 匹と一緒に育つ稲株 ● 株=ごはん ● 杯」 

という計算をした人がいたのだ。

 

今日の宇根さんは作務衣ではなくて、ブレザーだった。

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こんなに生きもの(=自然という世界) と百姓仕事のつながりに執着して

思索した人はいない。

僕らが、今で言う 「生物多様性を育む農業」 の世界を、もっと豊かに語りたい

という情熱を持てたのも、彼の存在があったからだ。

 

総会後の懇親会で、一枚頂く。

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僕の前に座っているのは、大地を守る会の産地監査でお世話になっている

(有)リーファース代表の水野葉子さん。

宇根さんの右隣の方は、静岡でお米を作っているという方。 

 

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「農」 はいつも、そこに、あたり前にあった。 今もあるのだ。

しかし・・・ 「近代化」 とは何だったのだろう。

「まなざし」 を失った環境論は、おかしい。

「食べもの」 とは紛れもなく自然の恵みなのに・・・・・

 

百姓は 「儲かる農業」 を目指してしまったがゆえに、産業に敗北してきたように思う。

「カネにならない百姓仕事」 が風景を育ててきたことに、少しは光を当てられたように思う。

 

20数年の思いを伝えたくて、手を挙げてしまう。 

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                       (写真提供:山崎農業研究所・田口均さんより)

虫見版

 - それは百姓に向かって 「自分で見て、考えろ」 と発している

   メッセージのように思えて、僕はただ物真似をしました。

ただの虫

 - この概念をもらったことで、今まで見えなかった虫の姿が見えてきた。

   本当に見えてきたのですよ、こんな僕にも。 

   「まなざし」 という言葉の意味を、少しは捉えたように思ったことがあります。

ただの虫を無視しない農業

 - 生物多様性という視点よりも何よりも、僕はここでようやく、

   有機農業と平和の思想をつなげることが出来たのです。

そして、風景論へ。 まだまだ付き合わせていただきたい。

 

20代後半から秘かに学ばせていただき、手前勝手に 「情念」 を共有させていただき、

ようやく僕は、「田んぼスケープ」 まで到達した。

これが今の、僕なりの風景論への挑戦である。

 

宇根豊が終わるとも、枯れるとも思ってないので、

いったん野に放たれる宇根さんに、感謝とともに乾杯を。

 「10年で終える」 を貫徹した、見事な仕事っぷりだと思う。

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新しい春を告げる風を受けながら、

僕は僕の10年を貫徹したい、と思う。

 



2010年3月12日

丸の内地球環境倶楽部

 

いま、東京のど真ん中で、食と環境の議論が繰り広げられている。

しかも、かなり魅力的な人たちが集まって、

本気でこの街を変えていこうと、いろんな試行が始まっている。

エリアは大手町・丸の内・有楽町で、総称して大丸有 (だいまるゆう) という。

そのエリア内の地権者や店舗経営者、シェフたちが集まって、

「安全・安心を基本にした食の提供」 「環境と調和した食スタイルの提案」

「持続可能な街づくり」 「自給率の向上への貢献」 などのテーマに対して、

具体的にどう切り込んでいくかの議論が進んでいるのである。

 

そのネットワークと場づくりを提供しているのが、「丸の内地球環境倶楽部」 。

前にも紹介したエコッツェリアを拠点に展開されている。

 

「地球環境倶楽部」 自体は、食に関する活動だけでなく、

広く都市社会をどう持続可能なものにするか、

人々の感性を豊かに育てられる街のあり方はどうあるべきかという視点で、

いろんなイベントやセミナーを開催してきている。

食についても、すでに 「食育丸の内」 とか 「丸の内丸シェフズクラブ」 と銘打って、

レストランのシェフたちが連携して、生産者とつながって国産食材の大切さを訴えるなど

の活動を行なってきているのだが、

いよいよもって、これを本格的な都市の取り組みとして進めるための

ワーキング・グループがつくられ、

今日はその2回目のトークセッションが開かれた、という経過である。

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実は1回目のトークセッションが開かれたのが2月12日で、

僕はパネリストとして、有機農業と環境や生物多様性との関係について

話をさせていただく機会をもらった。 

また昨年の暮れには、この展開の基本コンセプトづくりの打ち合わせにも呼ばれていて、

そんな手前、このワーキング・グループにはきちんとお付き合いせねばならない、

と思い定めている。

 


1回目のテーマは、「都市が食と農に果たすべき役割ってナニ?」。

パネリストは、農林水産省大臣官房政策課長・末松広行さん、

東京農大准教授・上岡美保さん、そして私。

大丸有で、生産地や自給率向上に貢献できる仕組みができないか、

またこのエリアとして持つべき食の理念をどう築いていくかが、話された。

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(上記3枚の写真は1回目の様子。 ソニー・ミュージックコミュニケーションズの

 榎本洋子さんからご提供いただきました。)

 

そして今回の2回目のテーマは、「食と農の現場で、都市は何ができますか?」。

生産者とつながりながら 「サステナブルな食」 を築くには、

どんなアクションが必要なんだろう-。

パネリストは、新丸ビル内で生産者の顔が見える食材でレストランを運営する

「MUSMUS」オーナー・佐藤としひろさん、

千葉の農事組合法人「和郷園」代表・木内博一さん、

東京農大教授・長嶋孝行さん。

 

トークセッションでの論議は、まだイメージの域を出ないところもあるが、

これからだんだんと本論に入っていくことになるだろう。

パネリストの方々のお話も詳しく紹介したいが、書き出すと終われなくなるので、

今日のところは、東京駅周辺で、こんな動きが起きているという

" さわり " 程度の話で、お許し願いたい。 

 

何といっても、昼間の人口が24万人というビジネスセンター、

巨大な胃袋密集地が相手である。

どこからどんなふうに手をつけていくか、悩みつつも、

けっこうゾクゾクしていたりして。

 

ちなみに、「食育丸の内」 では現在、丸の内シェフズクラブのシェフ4名が

プロデュースした 「スペシャルシェフのまかないカレーライス」 というのが開催されている。

エスニック・イタリアン・フレンチ・中華のシェフが、

地元・東京野菜を使って考案したオリジナル・カレーの競演。 

場所は「丸の内カフェ ease 」。 3月26日まで。 

詳細はホームページにてご確認を。

 



2010年3月 7日

未来は有機農業にあり!

 

3月5日(金)、千葉県成田市内の某ホテルにて、

「農事組合法人 さんぶ野菜ネットワーク」 の第5回通常総会が開かれた。

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一年間の事業活動を総括し、決算報告をし、監査報告を受け、

次期の事業計画や予算案について、組合員からの承認を受けるという、

組織の最高決定機関である。

 

当然のことながら、貸借対照表も損益計算書も売上目標も提示されるわけだが、

ここにすべての取引先を招待して開催するところに、彼らの骨太さを感じる。

しかも利益の扱いやら事業計画について、なかなか活発な議論が行なわれ、

時には執行部が熱くなる場面などもあって、実に好ましく思えるのだ。

(何という上から目線のセリフでしょう。 失礼ですね。)

 

役員や執行部の苦労はどこの組織にもつきものだし、

それが会員や組合員に充分に見えなかったりする場合の軋轢も、よくあることだ。

後ろで取引先が腕組んで眺めるなかで、そんな現実を生々しくやり取りされた皆様に、

敬意を表したい。

 

旧JA山武(現:JA山武郡市) 睦岡支所内に有機部会が設立されて21年。 

農事組合法人として独立して5年。

メンバーは50人を超え、取引先も指折って数えきれないくらいに成長した。

部会設立と同時にお付き合いを始めた大地を守る会としては、

彼らの20年にわたる努力を、素直に讃えたいと思う。

しかもこうやって総会をオープンにしながら運営してきた。 立派である。 

 

この日には特別ゲストも招かれていた。

民主党参議院議員、有機農業推進議員連盟事務局長、

ツルネン・マルティ さん。

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有機農業推進法成立の功労者である。

 


日本憲政史上初の、日本国籍を持つ外国人の国会議員が、

日本の美しさを語り、有機農業の推進を訴えている。

 

フィンランドに生まれ、宣教師として来日して、

日本古典文学の翻訳や英会話塾などやりながら、神奈川県湯河原町の町議になり、

国政選挙に挑戦するも四度の次点経験を経て、

大橋巨泉の辞職による繰り上げで、神がかり的に国会議員になった。

そして次の2007年の参院選では、民主党6位で堂々の再選を果たした。

色々と物議をかもす国会議員が多い中で、

数少ないクリーンで苦労人の政治家の一人ではないか。

 

その人が、有機農業の推進に政治生命をかけるとまで言ってくれている。

演題のタイトルは 「未来は有機農業にあり! 」。

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母国フィンランドでは、昨年の閣議決定で、公共施設(大学、学校、老人ホームなど)

のレストランや食堂で 「ルオム自然食」 と 「ローカル食」 を取り入れるという方針が

採択されたんだと言う。

「ルオム」 とは、フィンランド語での 「自然に従う生き方と農法」 という意味らしい。

有機農業と地産地消を足したようなイメージか。

公共施設では、毎月何日かの 「ルオムの日」 が設定され、

その日は地場食材一色の食事になるんだそうだ。

議員としての残りの時間をこういう食育推進運動にかけたいと、ツルネンさんは熱く語る。

 

たかが30分の、間違いなく安いであろう謝礼での講演に来て、

ちゃんと懇親会まで出てくれて、「有機農業が世界を救う、と私は信じています」 と、

真摯に有機農業の推進を自分の政策として語れる政治家は、

僕の知るところ、この人しかいない。

しかも、みたしなみからして、僕らよりずっと日本伝統にのっとっている。

国会ではどう思われているんだろう・・・。

 

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懇親会では、野菜栽培で優秀な成績を収めた生産者8人の表彰式というのが

初めて行なわれた。

オリンピックの入賞にちなんだらしいが、8人なら毎年入れ替われるくらいに

みんなのモチベーション・アップにもつながるのでは、という配慮らしい。 

こうやって、内発的に切磋琢磨されてゆくなら、表彰もあっていいのかもしれない。

 

総会では、新しく3名の組合員の加入が承認された。

加えて、山武市有機農業推進協議会の尽力で、現在3名の若者が研修中である。

警備会社とか青森の郵便局に勤めていたという経歴の人たちが、

「将来は子どもと一緒に有機農業をやりたい」 と語っている。

昨年の研修生からは、1名の方が土地を見つけるところまできたようだ。

まさに 「未来は有機農業にあり!」 の実践である。

 

「自分たちだって苦しいのに、メンバーを増やしてやっていけるのか」

という声も聞かれたが、組織や地域の活性化に、新しい血は必須である。

食の安全や環境を守る戦力を育てられる力がどこにあるのかを、

後ろに陣取っていたお歴々の前で、あなたたちは表現していたのです。

前に進んでよし、ですよ。

 

大地を守る会の稲作体験も今年で21年目となる。

皆さんと一緒に歩んできたという自負も多少はあるもので、

5回目の総会無事終了をともに祝いたい。 お疲れさまでやんした。

 



2010年3月 4日

オーガニック応援隊

 

今年の 「2010だいちのわ ~大地を守る東京集会~」 では、

共通テーマとは別に、もう一つの目玉として、

生産者・メーカーさんたちによる就農相談・求人コーナーが設けられた。

その数14ブース。

チラッとしか覗けなかったのだけど、反応はどうだったのだろうか。

 

奈良・王隠堂農園御浜天地農場さん。

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千葉・さんぶ野菜ネットワークさん。

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山形・おきたま興農舎さん。 

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熊本・肥後あゆみの会さん。 

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・・・などなど。

 

結局販売ばっかりだったというボヤキも一部で聞かれたりしたが、 

就活中の学生も来たようで、全体的にはそこそこの相談があったとのこと。

さて具体的な成果のほどとなると、相談された方自身の

次のアクション次第ということになるのだろう。

 

大地を守る会としては初めての試みだったのだが、

これはけっして一度っきりのイベント的な試みではない。

産地での就農者募集と若者たちの就農希望をつなぐパイプづくりを、

これから積極的に進めてゆこうという、我々の意思表示でもあったのだ。

 

その本気度を表すものとして、

今回の東京集会の開催に合わせて、新しいサイトをひとつオープンさせた。

名づけて ~大地を守る求人情報~ オーガニック応援隊  』

 


現在のところはまだ、東京集会に合わせてのプレ・オープンとして、

出展していただいた団体の情報しか掲載できてないけど、

これから本格的に産地・メーカーの就農・就職 (就漁も就林業も) から

研修生・アルバイト募集などの情報を充実させていく計画である。

 

高齢化や耕作放棄地の増大といったニュースが流れる一方で、

本屋さんには 「農業は儲かる!」 みたいな本が並ぶ奇妙なご時世だけど、

要するに、一次産業が滅ぶことは、実はないのだ。

未来は、環境と調和した農林水産業の担い手たちの手にかかっている。

それは間違いない。

 

昨日は、前にも報告した 「NPO法人有機農業技術会議」 による

就農支援ガイドブック制作のための、最後の編集会議が開かれた。

ガイドブックのタイトルは 「有機農業をはじめよう!」。

有機農業の解説からはじまって、就農までのステップ、

先輩たちの具体的事例やアドバイス、有機に関するQ&A、

情報収集のためのINDEXなど、コンパクトにまとまったように思う。

ガイドブックは今月中にも完成する予定である。

 

風を吹かし、場や情報を提供し、橋をつけ、

山から海までをネットワークしながら、仕事を創り直していきたい。

そうやって時代を変えてゆければいいと思う。

 

近いうちに、本格的に求人情報の受け付けを始めます。

乞うご期待!

 



2010年3月 3日

進化する我らの伝統-「大地を守る東京集会」(続)

 

さて、「たんぼスケープ」 のプレゼンを終えたあとは、

専門委員会 「米プロジェクト21」 のブースに張りつく。

1年間の活動を紹介するとともに、生物多様性農業支援センターが制作した

DVD「田んぼ」 の上映、バケツ田んぼセットのプレゼント、などを準備する。

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昨年の秋、「稲作体験」の最後に子どもたちでこしらえたコラージュが可愛い。

 

「お米クイズ」では、田んぼの畦に生える草と蝶の関係を、さりげなく伝える。

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シロツメグサ(クローバー) にはモンキチョウ、というような関係が自然界にはあるのだけれど、

雑食動物であるヒトは、そんなナイーヴな生命のつながり(鎖)を無頓着に壊している。

 

稲作体験で子どもたちの尊敬を一身に集める陶(すえ)ハカセが、

例年展示していたビオトープのジオラマを改良して、

今年はプチ・ビオトープを用意してくれた。

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しかもキットは一個一個、陶さんの手づくりである。

 

稲作体験に参加してくれた子どもたちが、すえセンセーを見つけ、

ブースに飛び込んできた。

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すっかりはめられて、プチ・ビオトープ作りにチャレンジ。 恐るべし、陶ワールド。

 

向かいのブースでは、お米の生産者たちが合同で、

賑やかにマス売りを展開。

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他の生産者やメーカーさんたちのブースは全然回れず、

紹介できなくてすみません。 とにかくどこも賑わったようで、よかったです。

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どこも回れないなかで、人の入りが気になったのは、こちら。

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「未来の食卓」上映会。

東京集会で上映して、各地での上映会を呼びかけてはどうか、と提案した手前、

ご覧になった方々の感想など聞いてみたいと思う。

「疲れた生産者がやってきて寝る場所にならないか」

と心配した職員がいたようだが、これを見て寝る生産者がいたなら、

そんな方には 「大地」 からお引取り願ったほうがいい。

 

餅つきコーナーは、他の米プロ・スタッフ+職員の応援隊できっちりやり切ってくれたようで、

餅つき指導を担ってくれた佐原自然農法研究会からは、

「来年も我々にやらせてもらいたい」との、ご機嫌な決意表明が届いた。 良かった、良かった。

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本大会終了後の交流会には何と600人の参加、とのこと。

芋洗い状態だ。

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みんな余韻を引きずっていて、もっともっと交流を楽しみたい、話をしたいって感じで、

二次会、三次会・・・帰れなくなった奴らでカラオケ、と蒲田の夜は続くのだった。

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前回お伝えした宮城の高橋伸くん(写真右)。

つなぎのまま電車に乗って、二次会に突入してきた。

「新幹線で周りから引かれちゃいましたよ。」 

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こういうノリは、嫌いじゃない。 本音を言えば、大好きだ。

 

蒲田でそのままビジネスホテルに一泊。

3時半という時間にもかかわらず、入れてくれたホテルに感謝。

 

二日目は港区会場に直行。

テーマがまた恐ろしい。 「大地を守る会のお酒について知ろう!」。 

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僕は、大地を守る会の日本酒開発の歴史やコンセプトを話す役割を

仰せつかっていたものの、頭はボケて、なおかつ激しいだみ声。

かなりヤバイ昔話を披露したり、種蒔人では大事な基金の話を抜かしたりと、散々な出来。

しかしそこは天鷹酒造さんや林農園さんなどプロの方がしっかりフォローしてくれて、

酒客たちには知識欲までくすぐられながらの、楽しい酒席になったのではないだろうか。

 

そしてなぜか、終了後・・・・・

事務局もあずかり知らない連絡網がはたらいたようで、

他の会場から続々と  "  懲りない人たち  "  が集まってくる。 

夕方から、またしても大宴会。

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もう勘弁してくれ!!! 

時計を見たら深夜1時を過ぎていた、という記憶がかすかに残っているが、

誰と何を話したのか、思い出せない。

 

カメラには、こんな写真が残っている。

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阿蘇の大和秀輔さんではないか。

日本酒をラッパ飲みしているのではなく、マイク代わりにして唄っているの図。

「エビちゃんも、全然出ない声でなんか唄ってたよ」 と聞かされた。

 

藤田会長も生産者・消費者と一緒になって、

まるで歌声喫茶ふうに合唱している写真もあったが、個人情報に触れそうなので、

アップはやめておきたい。

 

最後に、若いスタッフ諸君へ。

みんなそれぞれ自分の持ち場でしっかり働いてくれたようで、嬉しい。 

もちろん至らない点も多々あったことだろうが、反省は次に生かして、

この伝統を 「守る」 のではなく、 「進化」 させていってもらえることを願っています。

 



2010年3月 2日

進化する我らの伝統-「大地を守る東京集会」

 

2月27日(土)-「2010だいちのわ ~大地を守る東京集会~」 。

 蒲田にある 「大田区産業プラザ Pio」 にて開催。 参加者 約2,500名との報告。

2月28日(日)-「だいち交流会」 。 

 首都圏13ヶ所に分かれての生産者と消費者の交流会。

 延べ人数は集計中のようで、まだ発表されず。

 

二日間にわたる僕らの 「東京集会」 が終了した。

土曜日の夜から喉がつぶれ、日曜日の夜には声が出なくなり、

月曜日から風邪の症状が本格的に出てきて、ちょっとやばい状況にいたる。

今日は一日、中間管理者のための訓練(研修) を受ける予定だったのだが、

パスして最低限の仕事だけやっつけて上がらせていただく。

過去28回の東京集会経験でも、ここまできつい年はなかったような気がするな。

(病院のベッドに伏していて欠品となった12年前は別として。)

 

「東京集会」 二日間の全体の概要については、昨年開設された公式ブログ

「大地を守る会の活動レポート ~ブログ大地を守る 」 に譲ればいいよね。

(大地を守る会の活動を幅広くレポートするブログ。 楽しい食のイベントはだいたいこっち。)

僕は僕なりの、二日間の総括をしなければならない。

 

一日目のミッションは、ふたつ。

専門委員会 「米プロジェクト21」 に与えられた出展ブース&餅つき大会、

そして偉そうに予告した 「たんぼスケープ」 の成功である。

正直、ブースと餅つきはスタッフが動いてくれていたので、

個人的には、この日は後者に賭けていた、といっても過言ではない。

 

2月27日午後2時 「たんぼスケープ」 サイト・オープン!

を告知してから、生産者の反応が他と違う、という印象を持った。

 "  大地に言われたから投稿してみるか  " とかではなくて、

何か特別な期待を持って面白がってくれている、という感じだったのだ。

それだけに、内心かなりの緊張感も持ちながらの  "  ぶっつけ本番  " 突入だった。

 

午後2時、予定通り、特設ステージでトークセッションの開始。

トップバッターが、このサイトを制作してくれたELP代表、竹村真一さんである。

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左が竹村さん。 右がナビゲーター役を指示された私。

竹村さんに 「たんぼスケープ」 のコンセプトを語っていただく。

 


竹村さんとのお付き合いは、もうかれこれ24年になるか。

最初のつかみが、心にくい。

「僕の息子はいま19歳ですが、彼の体は隅々まで大地の食べ物でつくられています。

 この場を借りて生産者の方々に御礼申し上げたい。」

 

竹村さんと仕事でもご一緒するようになったのは、

2005年に始まった 「100万人のキャンドルナイト」 から。

その運動を広げる原動力となった、素ん晴らしいウェブ・サイトをつくってくれたのが、

僕らが竹村チームと呼ぶ 「ELP (Earth Literacy Program)」 のスタッフたちである。

今や世界中に広がったキャンドルナイト・ムーヴメントをつなぐ 「窓」 として、

環境関係のホームページ部門で賞も獲得した傑作である。

 

竹村さんはキャンドルナイトのウェブ・サイトや、自ら開発した 「触れる地球」 を映しながら、

私たちは今、世界がつながっていることをみんなで共有できる、

新しいコンテンツを獲得しつつあることを力説した。

「たんぼスケープ」 はまさにその文脈の中で編み出されたものである。

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たとえば田植えが、石垣島から始まり北海道へと北上してゆく様が、

日本列島の美しい水田風景とともにアップされてゆく。

ウチの田んぼではこんなに生きものたちが賑わっていると、虫たちの姿が登場する。

あの峰にこんな雲がかかったよ、明日は雨か?

そんな楽しい絵が日々日本地図上に映し出され、一人一人の生きている姿が

共感をつないでゆけたら、どんなに楽しいことでしょう。

 

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                                                                         (撮影:カイザーOnozuka )

マスコミは暗い話題ばかりを追い掛けていて、

まるで未来はないかのような錯覚に陥るけれど、そんなことはない。

明るい話題もいっぱいあるんだということを、私たちは伝え合う必要があります。

ああ、ここで、こんな人たちが、こんな思いで米を育てている。

この国はまだ捨てたもんじゃない! 

と思えるようなつながりを作り出したいのです。

 

今年は生物多様性の年ですが、このサイトに集まってくる画像やコメントが

この国の生物多様性を語るものになれば、

僕はこれを名古屋の国際会議(COP10) に持ち込みたい。

 

みんなの手で織りなす生物多様性の国、か・・・・いいなあ。

 

しかし、残念ながら、このトークの場で

 「さあ、サイトがいま、オープンします!」 - と同時に投稿がポッポッと点灯して~

という演出は叶わなかった。

さすがにぶっつけ本番というのは無茶な要求だったようだ。

キャンドルナイトの美しい仕掛けを作った制作担当・アラカワ氏の力をもってしても。

バグというのは発見されてからつぶしていくもので、

試運転の時間があまりになさすぎた。

 

投稿してから駆けつけてくれたり、ケータイに写真を撮ってきてくれた生産者の皆さん。

ごめんなさい。 私が演出優先で強引過ぎたようです。

特に!

「これから行くぜ!」のメッセージを入れて、そのつなぎ姿のまま新幹線に飛び乗って

やってきた宮城・中田町の高橋伸くん。 申し訳ない、ホント。

 

いま画面はだんだんと安定化に向かっています。

正常にサーバーに残された投稿についてはアップできると思いますが、

最初に投稿されたもののいくつかは消えたかもしれません。

 

どうかこれに懲りず、みんなで新しい世界をつくりあげる

「僕らのサイト」 として進化させていきたいと願っています。

バンバン投稿してほしい!

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すみません。 体調思わしくなく、続きは明日に・・・・・。

 

最後に、竹村さんのトークに対する心に残った感想をひとつ。

キムチでお馴染み、韓国食品のミンさんから。

 

  「韓国にはね、言葉は種である、という言葉があるの。

   竹村さんのトークは、まさに " 種 " だと思った。」

 



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