戎谷徹也: 2011年1月アーカイブ

2011年1月 9日

食のネットワークを強化しよう -埼玉新年会

 

東京有機クラブに続いて翌7日(金)、

新年会第2弾 - 「埼玉大地」 の巻。

埼玉県は本庄市に埼玉県下の生産者23名が集う。

 

「埼玉大地」(瀬山明会長)。 法人ではない。

大地を守る会に出荷する埼玉県下の生産者で横のつながりを持って、

親睦を深めながら、技術を高めあい、大地を守る会を支えていこう。

そんな主旨で結成して25年になる。

メンバーで会費を出し合って、生産者会議の開催に役立てたり、

遠方の会議への参加に対して補助するなど、緩やかながら地道に活動を継続してきている。

昨年は沖縄で開催された 後継者会議

本庄市の瀬山公一さん(瀬山明さんの後継者) が参加する際に補助している。

 

新年会に先立って 「埼玉大地」 の総会が開かれ、

活動報告や計画が簡単に確認されたあと、有機資材の勉強会を行なう。

総会では特段の問題がない限り、我々(大地を守る会事務局) は口をはさまない。

 

前々会長・吉沢重造さん(左、川越市) と、

前会長・榎本文夫さん(右、さいたま市) が並ぶ。

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「このところ少し活動が鈍ってるな。 夏のちょっとした合い間にでも集まってよ、

 暑気払いも兼ねて勉強会でも開いたらよかんべ」 と吉沢さん。

後ろは日高市・福井忠雄さんの後継者、一洋さん。 「埼玉大地」 会計担当。

こんなふうにだんだんと若手に役割が移行している。

 

福井さんと瀬山さんは昨年、

大地を守る会職員の農作業研修を受け入れてくれた。

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ピンボケでスミマセン。

今年もよろしくお願いしますね。

他の埼玉大地の方々もぜひ、畑で職員を鍛えてやってください。 

 

さて、埼玉大地25周年となった今年の新年会は、

初めて県下の加工品メーカーにも声をかけさせていただいた。

参加してくれたのは、本庄中心に県北のメーカーさん8社。

これがまた、古くからつながりがある人たちなのである。

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見てくださ~い!

「これが私たちが共同で開発した、本庄がんもバーガー! で~す。」

味輝さん(上里町) の天然酵母パンに、もぎ豆腐店さんのがんも、

調味料で高橋ソースさん、松田マヨネーズさん、ヤマキさんがコラボして開発した。

野菜ももちろん地元産。

昨年5月の本庄総合公園春まつりにお目見えして人気を博した。

 

1次産業と2次産業と3次産業がつながって6次産業化が言われる昨今。

せっかくこれだけの仲間がいて、パワーもあるんだから、もっともっとつながって

埼玉を盛り上げましょう。 オーッ!

 


気をよくして、僕も挨拶で気勢を上げる。

 TPPで日本農業が崩壊すると農業団体は叫んでいるけれど、

 何があっても国産を、地域の食材を支持する、食文化を守る、

 そんな消費者を一人でも多く増やしていきたい。

 健全な一次産業や食の産業があることによって、生産と消費がつながることによって、

 健康や環境も守られることを、

 いろんな取り組みを通じて伝えていきましょう。 

 

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藤田会長の周りには、

昨年出版した著書にサインを求める生産者が集まっている。

昨年末に紹介した 『有機農業で世界を変える』(工作舎刊) に 

『畑と田んぼと母の漬物』(Bkc刊)。

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同時に2冊も刊行したところに、

35周年にかけた会長の意気込みが感じられる。

 

僕は久しぶりに、(株)ヤマキの木谷富雄社長(下の写真中央) と歓談。

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僕が入社して、初めて見学会を企画して会員さんをお連れした先が、

ヤマキさんの御用蔵だった。 もう27年になる。

今や農業生産法人も抱える ヤマキ御用蔵グループ に発展した。

木谷さんとは新しい取り組みの作戦会議を約束した。

 

写真手前は、(株)大地を守る会の長谷川満取締役。

「こいつは昔から顔(ツラ) がでかかった」 と木谷さんにからかわれている。

後ろは農業生産法人豆太郎の代表、須賀利治さん。

お父さんの一男さんは、有名な自然農法の生産者だ。

 

最後に一枚。

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元大地を守る会の社員、藤森利雄(左) と石井誠一(右)。

藤森くんは鴻巣で有機農業を (一人前というにはまだ少し・・・)、

石井くんは本庄で人気の天然酵母パンと洋菓子の店 「マリーレン」 の店長として、

ともに頑張っている。 

こういうかたちでOBと酒を酌み交わせるのは、最高に楽しい。

 

食のネットワークを強化しよう。

TPPは反対だけど、それ以上に豊かな自立を語り合いたい。

 



2011年1月 8日

産地新年会シリーズ、東京から。

 

年が明ければ産地の新年会が始まる。

今年は2月上旬まで9ヵ所での新年会が組まれていて、

僕はそのうち6ヵ所に参加する予定である。

以前この行脚を  " 死のロード "  などと書いてしまって、

あちこちの生産者から皮肉られてしまった。

戯れ言といえども、控えないとね。

可能な限り産地を回って新年の挨拶をし、互いの健在を喜び、一年の抱負を語り合うのだ。

なんたって社長自ら 「全部出る!」 と宣言しているくらいなんだから、 

我々が弱音を吐くわけにはいかない。

 

スタートは例によって東京からである。

1月6日(木)、「東京有機クラブ」 新年会。

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場所は府中のお蕎麦屋さん。

在所の農家とは古いお付き合いの由緒あるお店のようだ。

奥の間みたいな部屋に席を用意してくれた。

 

代表である小金井の 阪本吉五郎さん とのお付き合いはもう30余年になる。

誰も正確に覚えてない。

メンバーは他に、吉五郎さんの高校の同級生である府中の藤村和正さん、

そして吉五郎さんとは義理の兄弟にあたる小平の川里弘さん。

 

吉五郎さんは数年前に大病を患ったが見事に復活した。

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御年80歳。 口も減らず(失礼!)、意気軒昂である。

でも畑はだいたい息子の啓一さんに任せている。

「ハウスに何が植わってるか、もう見に行きもしねぇな。

 見ると小言言いたくなっちゃうし。」

 

川里弘さん(下の写真・左) もそんな感じ。

今は昨年生まれた孫 (穂高くん) が可愛くてしょうがない、と。

「大地はもう息子に任せた。

 オレはせいぜい 山藤 用の野菜づくりで楽しませてもらうから。」

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阪本啓一・川里賢太郎両名には、

丸の内での東京野菜展開への協力を頼む。

去年夏の ミクニマルノウチ、秋の パスタ饗宴、と付き合ってもらって、

これからのハードルの高さはお二人も感じておられるようだ。

「ま、出来ることはします。 出来ないことはできません、ってことで-」

  - ハイ、分かっております。

 

ここ(東京) に農業がある、その意味や大切さを、

一人でも多くの人に伝えたい。 その仕組みをどうつくるか。

お二人に仁義を切って、今年一年の作業の開始である。

 



2011年1月 4日

子どもたちの未来のために

 

千葉・幕張より

 - 皆さま、明けましておめでとうございます。

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本日より仕事を再開いたしました。 

ということで、ここは職務がら、生産者の方々向けに年頭のご挨拶を述べる形で

2011年の 「エビ・ブロ」 を開始したいと思います。 

 

生産者の皆様

新年明けましておめでとうございます。

昨年は例年にも増して天候不順に悩まされた一年となり、皆様には大変なご苦労の中、

当会への計画出荷にご尽力いただきましたこと、改めて感謝申し上げます。

 

気候変動は地球規模で進み、温暖化対策もままならず、

一方で農業政策は明るい展望が示されないまま、この国は

グローバリズムの渦にさらに深く呑み込まれようとしています。

今年が平穏な年になる保証はできませんが、

皆さまと農作物にとって良い一年になるよう願わずにはいられません。

 

大地を守る会としても、基本理念として掲げた

「一次産業を守り育てる」 「人々の生命と健康を守る」 「持続可能な社会を創造する」

という社会的使命をまっとうするために、精一杯邁進していく所存ですので、

本年もご支援のほど、切にお願い申し上げます。

 


昨年は大地を守る会にとって、これまでの運動と事業展開から、

さらに一歩大きな社会的挑戦へとウィングを広げた年となりました。

東京駅や三越銀座店への出店、WEBストアの強化など、

多層な消費者層への提案の場づくりに向け、積極的に販売チャンネルの開拓を進めました。

販売形態の多様化は、皆様にも新たなお願いを伴うことでもありますが、

目的はひとつ、

ライフスタイルの核を求める消費者に、暮らしを安定させる土台は

" 信頼できる食 " であることを訴えることに尽きます。

宅配カタログだけでなく、百貨店の店頭やインターネット等を通じて、

安全な食こそ生活の基盤であることを訴えていきます。

時には皆さんの  " 生きざま "  もヴィヴィッドに伝えたいと思っていますので、

どうかご協力ください。

 

また地球環境問題への関心はますます、否が応にも高まっていきます。

低炭素化社会に向けて、生物多様性の保全など、

これらはすべて健全な一次産業が存立してこそ可能であり、かつ安定します。

" 農の力 "  を社会に見せつけられるような一年にしたいものです。

 

いや、農の力って実は、食に対する総合的な民意度というか理解度というか、

いわば  " 国の食力 "  のような気もしていて、

そんな視点でも仕事を進めてみたいと、あれこれ悩んでいます。

 

有機農産物の市場も大きくなり、社会的影響力もずいぶんと増してきました。

これは一方で競争の激化ということでもあり、

それに伴って農産物の品質も問われることになります。

もちろん、わがままな品質要求はけっして良い関係にはつながりませんが、

かといっておろそかにすれば淘汰されるという情け容赦ない時代でもあります。

現実を無視した原理主義にはまることなく、またトレンドに流されて舵を誤ることなく、

皆さんの頑張りが消費者の信頼につながるよう、

より一層相互のコミュニケーションを豊かにし、また生産者会議なども

より有効な技術研鑽の場になるよう、工夫を重ねていきたいですね。

 

競争が奪い合いや他者への批判に陥ることなく、

社会のより良い形への変化と消費者の共感につながるような、

健全な競争に育てていくこと、これも大地を守る会のミッションだと自覚するところです。

課題は増える一方ですが、ひるむことなく前に進み、

この大転換の時代を切り開いてゆきたいと思います。

 

  もっと強く願っていいのだ

  わたしたちは朝日の射すあかるい台所が

  ほしいと

      (茨木のり子 「もっと強く」 - 詩集 『対話』 所収 - から)

 

子どもたちが、若者たちが、おおらかに希望を持てる社会にしたい。

そのためにできることを、ひとつずつ、成していきたい。

その決意を持って、新年のご挨拶とさせていただきます。

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                                 (埼玉県飯能市、武陽山 能仁寺にて) 

 

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 



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