戎谷徹也: 2014年2月アーカイブ

2014年2月28日

六本木で 「コメ展」 の開幕

 

  たうたう稲は起きた

  まったくのいきもの

  まったくの精巧な機械

 

  ・・・

 

  あゝ われわれは曠野のなかに

  芦とも見えるまで逞ましくさやぐ稲田のなかに

  素朴なむかしの神々のやうに

  べんぶしてもべんぶしても足りない

    (宮沢賢治『春と修羅』第三集-「和風は河谷いっぱいに吹く」)

 

コメ(稲作) がこの列島に伝播して 3千年。

いや4千年とも、もっと前との説まである。

常に胎動している地球という星の一角に、

自然変動の影響を激しく受けながら

浮いたり沈んだり割れたりしている島々があって、

そこで人々が暮らしの土台に水田稲作を据えたのには、必然的道理があった。

地形・地殻・気候条件とモンスーンによる雨(水) が織り成す風土の上に、

コメとともに文化を形成してきた倭の国。

 

時代は21世紀まで進み、社会はグローバル化(均一化) して、

日本人のコメの消費量はピーク時の半分まで減ってしまった。

とはいえ、このイネ科湿性植物との関わりから我々のアイデンティティを振り返ることは、

決して意味のないことではない。

進むべき未来を考える上でも。

 

東京・六本木の防衛庁跡地(その昔は毛利家屋敷)が再開発され、

7年前に登場した 「東京ミッドタウン」。

その庭園の一角に設えられた展示会場 「21_21 DESIGN SIGHT」 

(トゥワン・トゥワン・デザインサイト) で、

今日から企画展コメ展がスタートした。

 

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企画者は、長年お付き合いさせていただいている文化人類学者・竹村真一さんと、

デザイナーの佐藤卓さん。

開催に先立って、昨夜、内覧会のご招待を頂いたので、

覗いてきた。

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今なぜ 『コメ展』 なのか?

という声も聞こえてきそうだが、その問いに対しては、

今やっとかないとダメなんじゃない? と返しておきたい。

ディレクター・竹村さんは、パンフレットでこう記している。


  毎年千倍に増える魔法。 ~

  この豊かな稔りは、人と自然の共同作業の成果でもあります。 ~

  そして、田んぼはコメを作るだけではない。 ~

  いま日本のコメは揺れています。 ~

  コメの持つ本当の力は、こんなもんじゃないはずだ。

  一見自明のコメ、私たちが慣れ親しんできた  " 知っているつもり "  のコメを

  新たな視点で見直してみたい。

  

  この星の、とてつもない生命器官としてのコメの未来を探る旅に、

  おつきあい下さい。


未来を探る旅・・・ としての 『コメ展』。

一緒に巡ってみる。

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私は、おコメ。 

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「コメの惑星」、「コメと稲作の地球史」 を、

見つめてみよう。 


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「 " コメの国 "  がつくり出した風景。」

「それは先人たちの偉大な芸術作品でもある。」

そして、「日本は、稲作のお陰で水の豊かな国になった」 ことを。



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「過去に学ぶのは、未来をデザインするためなのだ。」

 

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「カエル目線」 という覗き窓がある。

田んぼも含めた生態系を再現した富山・魚津水族館から、

田んぼの中で蠢く生き物たちの様子が、中継されている。

それをカエルの目線で眺めてみる。 


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 コメの言葉。

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「コメびとたちの  " 経験資源 "  こそが、コメの国・日本の最大の資産かもしれない。」


日本列島、コメだらけだね。

ほんとうは、こんなモンじゃない(なかった) のだが。

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「すべての大切な風景は、あなたの中にある。」

その風景を、全国各地から届けてほしい。

投稿がリアルタイムで画像にアップされる仕掛け。


そう、ここであの、3年前にトライした、あの 「田んぼスケープ」 が、

バージョン・アップして再登場! となった。 

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日本列島の地図が描かれた 3 × 5m のパネルに、6つの窓が開かれ、

今はまだ、以前の投稿がそのまま映されている。

眺めていたら、こんなのが突如現れた。 

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佐渡市長江といえば、柿の矢田徹夫さんだね。

再開しましたので、また投稿してね。 お願い!


日本の田んぼに生きる仲間をつなげる窓、「田んぼスケープ」。

現在、参加(投稿) いただける方々を募集中。

竹村さんからの呼びかけ。


  一粒一粒のコメに、コメをつくる人の思いが込められている。

  それぞれのコメの背後に、コメを育む多様な風景がある。

  それに水田はコメをつくるだけではない。

  田んぼは生きものを育むシェルターであり、

  日本の大切な水道(みずみち) でもある。

  コメ展は、そうした人や風景を見える化する 「コメびと」 展でもありたい。

  TPP や減反廃止、後継者問題など農業も激動の時代だけど、

  新聞や TV からは見えてこない多様な現実があるはずだ。

  そこで実際にコメづくりを営む全国の方々から、

  田んぼの風景や生きものの写真、コメづくりに賭ける思いなどを

  ケータイから投稿いただき(今回はパソコンからでもOK)、

  それを会場およびウェブ上にリアルタイムに可視化することにした。

  題して 「田んぼスケープ」。

  コメをつくる全国の皆様、どんどん投稿してください!


生産者でなくても OK です。

田んぼの大好きなあなた、是非!

投稿してみようか、と思われた方には、

まずは最初の手続きについてご案内しますので、

こちらにアクセスしてください。

 ⇒ http://kometen.tanbo-scape.jp


僕もこれからボチボチと


なお、コメ展の開催は6月15日まで。

この国の土台を、改めて見つめ直す機会に。

ぜひ一度、お立ち寄りください。


竹村さんから、「5月に呼ぶから、体空けといて」 と言われた。

ううむ・・・ いやな予感がする。




2014年2月25日

大地を守る会の オーガニックフェスタ!

 

2月23日(日)、「大地を守る東京集会」 2日目。

「オーガニックフェスタ」 の開幕。

 

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メイン会場となる1階大展示ホールは 「オーガニックマルシェ」。

今年もたくさんの生産者・メーカーさんが出店してくれた。

この場を借りて、御礼申し上げます。

 

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長崎からは、長崎有機農業研究会(長有研)。

御大・松藤行雄さん自ら売り子に立って。

感謝です。 有り難うございます。

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すっかり定番となった、米の生産者軍団の勢ぞろい。

北海道から熊本まで、今日はみんな一体となって、

大地を守る会の米を PR 。

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野菜販売コーナーでも、

生産者が積極的に売り子に立ってくれた。

嬉しいね。

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京都からは、富士酢の飯尾醸造さん。

棚田を守り、

原料の米から無農薬でつくり続けてきた。

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秋山さんは、専門委員会「米プロジェクト21」 の

メンバーでもある。

 

駆け足で農産系のブースに挨拶回りして、

準備中の復興屋台に後ろ髪を引かれつつ、

3階の特別会議室に走る。

 

昨年6月に実施した 「放射能連続講座Ⅱ-第4回」 に続いて、

東京集会でも、麻布医院院長・高橋弘先生の講演が用意された。

野菜の持つ力-ファイトケミカルで、元気に生きる! お話。

 

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高橋先生が、ガンの患者さんたちのために開発した野菜スープの素

「ファイトケミカル・プラス」。

人参・玉ねぎ・カボチャ・キャベツの4種の野菜に人参の葉をプラスしたもの。

これらをすべて大地を守る会の野菜でやろう。

昨年の秋に入った頃から高橋先生とそんな話が進み、

「霜にやられる前に、人参の葉っぱを集めてくれないか」 と、

さんぶ野菜ネットワーク(千葉) にお願いしたのが、11月下旬だった。

かなりヒヤヒヤものだったけど、間に合った。

これまで畑で捨てられていた人参の葉。

実は根っこより栄養価は高い。

これを形にできたことが、今回の僕の隠れた自慢である。

 

階下ではお祭りが始まっているのだが、

80 名ほどの方が 3 階まで聞きに来てくれた。

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講演内容も、昨年6月よりさらに分かりやすく、

バージョン・アップされていた。

手抜きを許さない方なのだ。

 

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高橋先生との共同の仕事は、実はスープの素にとどまらず、

ファイトケミカルをテーマにした加工食品のラインアップが、

これから続々と登場してくる予定である。

来週には記者発表も予定されている。

今日のところは、乞うご期待! としておきたい。

 

さて、講演終了とともに高橋さんに御礼を言って、

今度は6階に上がる。

13時から、「お米の生産者と語ろう」 コーナーを始める。

 

お話いただいたのは、以下の7名の方々。

・あそ有機農園(熊本) 山本誠也さん。

・森の里工房(島根) 佐藤大輔さんと山崎大輝さん。

・蕪栗米生産組合(宮城) 千葉孝志さん。

・やまろく米出荷協議会(福島) 岩井清さん。

・みずほ有機生産者グループ(山形) 菅原専一さん。

・ライスロッヂ大潟(秋田) 黒瀬友基さん。

・おきたま興農舎(山形) 小林温(ゆたか)さん。

 

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それぞれに今の思いを語っていただいた。

「農業は一つの産業である前に、社会的保険のようなものではないか。

 農業が営まれることによって暮らしが成り立つ。

 息子は、むしろ将来性がある仕事だと言って継いでくれた。」(山本誠也さん)

「弥栄村が好きになって、実家も農家なのに、ここに住み着いた。

 山間地で農業をすることは、地域を守ることだと思う。」(山崎大輝さん)

「安全な米づくりに必死で取り組んできて、検査でも安全性は確認された。

 それでも風評被害は今も続いている。 正確な報道がほしい。

 補償はもらっても、一方で買い叩かれているのが福島の現状。

 有機の継続も厳しくなっていて、地域の力とは何か問い直している。」(岩井清さん)

 

進む高齢化、農地をどこまで守れるか、除草対策、

続く異常気象、TPP ・・・ 

みんな静かに、いつもの調子で語ってくれた、時に笑い合いながら。

しかし語られた視点は多岐にわたり、思いや悩みは深く、

まとめようがない。

下は祭りがピークを迎える時間帯。

準備不足もあり、部屋のセッティングも入りづらくしてしまったかとの反省もあり、

生産者には少々申し訳ない格好になったけど、

話し合える場を一つでも多く、

という意図を汲んでくれて、話をしていただいた生産者に感謝したい。

 

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結局、メイン会場は歩けず、見えずじまい。

去年もそうだったけど、ま、そういう役回りなんだろう。

しょうがないね。

そのぶん夜は、トコトン交流派と一緒に発散する。

例によって、僕の東京集会は、

翌朝、「ここはどこだ?」 をもって終了する。

 



2014年2月24日

「2014 大地を守る東京集会」開催。 裏会議もやったりして・・・

 

二日間にわたる 「大地を守る東京集会」 、無事終了。

とことん交流派の生産者とはとことん付き合って、ふた晩にわたり外泊。

寄る年波を感じさせる今日。

気がつけばソチ・オリンピックも終わったのね、って感じ。

 

羽生クンにもしびれたけど、浅田真央選手のドラマはまれにみる感動だった。

高橋大輔クンやレジェンド・葛西の苦闘の軌跡も落涙に値する。

皇帝エフゲニー・ヴィクトロヴィッチ・プルシェンコの言葉は、

歴史に刻まれることだろう。

「神は怪我でしか私を止められなかった。 『エフゲニー、もう充分だ』 と~ 」

キザな台詞を決められる選ばれた英雄。

世界中の椎間板ヘルニアスト(私の造語) にとって、

君は我々を導く、天空に輝く星だ。

そして、 「ビリになっちゃったけど」 と泣いた彼女。

4年後、「あの日があったから」 と、今度は君がドラマを作る番だ。

オリンピック開催にはドロドロした世界もあるけど、

アスリートたちのたたかいは、やっぱ感動を与えてくれる。

そんななかで、サイテー! の登場人物も現れた。

「またひっくり返った」 とか 「負けるのが分かっていながら・・・」

とかのたまわった政治家、森某氏。

貴方にはスポーツを語る資格はない。

こんなお方が五輪組織委員長とは、選手たちが可哀想過ぎる。

国民の一人として恥ずかしいので、できれば退場してもらいたい。


とか何とか、ワンワン吠えてないで、

東京集会のレポートを急げっつうの。 すみません。


2月22日(土)13:00、「2014 大地を守る東京集会」 の開幕。

場所はいつもの、大田区産業プラザ PIO。

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まずは、藤田和芳代表の挨拶から始まる。

例によって時間制限を無視したスピーチ。

しかし、、、今年はいつもより  " 主張 "  に気合が入っていたように思う。

特に、脱原発の思いには熱がこもってたね。

原発と食の安全は共存できない! きっちり訴えてくれた。


ただちょっと気になったのは、反 TPP のくだり。

" TPP が合意されても負けない一次産業づくり "  

はもちろん我々が進めなければならないテーマなのだが、

あまりそこを力説してしまうと、場合によっては曲解される可能性がある。

諦めてんじゃないの、とか、結局認めてんじゃないの、とか。

あるいは敵に利用されるかもしれない。

やはりここは断固反対! でやり切ってもらいたいと思った次第である。


続いて、東京集会では初披露、

「配送員マイスター」 表彰式。

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生産者・メーカーさんが丹精込めてつくられた品々を、

会員宅にお届けする最終ランナー。

正確かつ丁寧、誠実なコミュニケーションを心がけながら、

雨の日も風の日も、猛暑の日も酷寒の日も、走り続ける彼ら配送員たち。

その中でも特に優秀と認められた者に贈られる称号が 「配送員マイスター」。

今年は、このハレの舞台で表彰して皆さんに見てほしい、となった


表彰するのは、CSR運営委員の消費者会員、見澤 海さん。

「私たちは普段、配送員の方たちを通して大地を守る会を感じています。

 いつも本当に有り難う。」

今年の表彰は 3 名。

「入社して 〇 年。 マイスターとして認められることが目標でした。」

「これからは後輩の指導にも頑張らねばと、気を引き締めています。」

頼もしいね。 これからも頑張ってください。

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次は、

「顔の見える自然エネルギープラン・コンペ」 の報告。

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生産者の自然エネルギーへの取り組みを支援しようと、

昨年 5 月に行なわれたコンペ の報告。

その支援が、形になって登場した第 1 弾が、これ。

会津・喜多方「大和川酒造店」 が蔵に設置した太陽光発電の

エネルギーによってつくられた、お米シャンパン(発泡性日本酒)。

名づけて 「おひさまスパークリング」 の誕生。

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宅配では、メニュー112(3/3~配布、3/17~配送) で登場。

美味い! はず。

飲むことで、エネルギーの地域自給を支える輪が広がる。

大地を守る会らしい、ひとつの形が生まれた。 いいね。


続いて、「もっと知りたい大地を守る会」 と題して、

生産者やメーカーさんたちのリレー・トークが展開されるのだが、

僕はここで 6 階の会議室に移動して、

直前になって設定された外部の会議に参加することになってしまった。

仮称 「ご当地エネルギー協会」 第 0 回準備会。


実は ISEP(環境エネルギー政策研究所) 所長の飯田哲也さんから、

会議室が空いていたら使わせてほしい、という連絡が入ったのが18日。

大和川酒造店代表で会津電力の仕掛け人でもある佐藤弥右衛門さん

この日はここにいるということで

蒲田で会議をやろうということになったのだ。


急きょ準備された会議に、遠くは兵庫県宝塚市から、

13人のメンバーが集まった。

いよいよ、各地で進む自然エネルギーのネットワーク組織が結成される。

しかもただの情報交換レベルではない。

21世紀の新しい電事連(電気事業連合会) 、" 僕らの電事連 "  をつくらないか!  

というノリである。


設立発表は 3.11 に、と決まった。 

あれから 3 年。 各地で広がりつつあるエネルギーの地産地消、

誰が名づけたのか 「ご当地エネルギー」 の、全国組織が誕生する。

結成式では、ぜひ 「おひさまスパークリング」 で乾杯してほしい!

とお願いするのを忘れた。。。


会議終了後、交流パーティへとなだれ込む。

鏡開きは当然、いつもの 「種蒔人」。

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今回は、大雪被害に遭われた生産地の、

一日も早い復旧を応援するための緊急募金も呼びかけられた。


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雪の影響で、残念ながら欠席になった生産者も多い。

こういう時に力を発揮できる大地を守る会でありたい。

 

会議室をタダで提供した替わりに、

飯田さんにもスピーチをお願いした。 

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会津電力へのエール、そして

全国各地で立ち上がってきた自然エネルギーの輪によって

次の時代を創造していくことを、ここで皆さんと確認しようではないか。

オーッ! てなもんで。 

 

あとは、飲み、語り合い、、、

東京集会一日目の夜は、ざわざわと更けてゆくのでありました。 

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2014年2月21日

ジェイラップ3年間の思いをぶつける、新春講座

 

昨日は朝日新聞の雑誌 『アエラ』 から、

今日は朝日新聞千葉総局から、取材を受けた。

当会が実施してきた放射能対策について、また現在の状況や

今後の展望などについてお聞きしたいと。

久しぶりの放射能系での取材、しかも続けざまにやってきた。

さらには今日の取材の直後、福島大学の先生から、

朝日の記者を紹介したいのだが、とのメールが飛び込んできた。 

どうやら別な記者さんも同様の取材をして回っているようだ。 

戸惑いつつ、 「さっき1時間半、お話ししたところですが」 とメールを返した次第。


おそらくは、「3.11から 3年~」 の特集でも組まれるのだろうかと察する。

メディアのパターンとして、だいたい  " あの日(その日) "  近くなると 

「あれから〇〇年、忘れまじ」 といった特集が組まれたりする。

それ自体を悪く言うつもりは毛頭ないけれど、

直前になって集まって来られると、やっぱちょっとね。

もっと普段に歩かないと掘り下げられないんじゃないの、とは言ってみたくなる。

「記念日扱い」 で済ますと、アリバイづくりにも見えてくるし。

(『アエラ』 の記者さんはかなり粘り強く福島を歩いている方ではあった。)


当事者にとってそれは、切り離されたおとといの話ではない。

今も日々続くたたかいの核にところに、

" 私の3.11 " (あるいは原発事故と放射能汚染) は脈打っている。

たとえば、この人たちの取り組みをずっとフォーカスし続けてみれば、

希望はどこにあるのかが垣間見えてくるはずだ。


 - と、ジャーナリズムへの苦言を前置きにして、

   アップできてなかったレポートの続きにつなげたい。


1 月 25日(土)、米プロジェクト21主催 『新春講座』 の報告を、遅まきながら。

テーマは、「ジェイラップ2013年の取り組みから学ぶ」。

講師は、ジェイラップ代表・伊藤俊彦さん。

場所は、大地を守る会六本木会議室。

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僕らがずっと大事にしてきたアイテム、「大地を守る会の備蓄米」。

作ってくれている生産者団体である 「稲田稲作研究会」 と、

彼らの米づくりを全面的に支え、集荷から貯蔵-精米-販売まで一手に引き受ける

(株)ジェイラップが一体となって進めてきた除染対策は、

この 3 年間ではたしてどこまで到達したか。


昨年(2013年) 産の備蓄米は、我々の通常の測定で

検出限界値(3Bq) 未満まで下がってきているのだが、

ジェイラップではさらに精密な長時間測定を検査機関に依頼し、

炊いたご飯にして 0.2 Bq未満というレベルまで確認している。

これは被ばくの基準とされる年間 1mSv の 10 万分の 1 に相当する。

さすがにここまでくれば、「西の方が安全」 とは言わせないぞ、

という思いが伊藤さんにはある。


福島、いや日本の農産物では、今はもう

食べて内部被ばくを心配するレベルではないだろう、と伊藤さんは考えている。

ただし、継続して測ることが重要である。

また、どういった知識や理解をもって(出荷等の) 判断をしているのか

を見ておくこと(=見える相手であること) が大切である、

も付け加えた。

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さらに、ちゃんと繊維質を摂ることが大事だと、食べ方を語ることも忘れない。

チェルノブィリ後のウクライナでも、黒いパン(全粒粉のパン) を食べよ、

という食事指導がされた。

玄麦のほうが濃度が高くても、排出力と免疫力強化において勝る、

という判断からである。

消化しないものの中にデトックス効果がある。

心配し過ぎて食事のバランスが乱れることのほうが危ない、は正しい。

伊藤さんは、こういった対策の基礎知識を、

小児科医の 菅谷昭さん(現松本市長) や、チェルノブイリ救援・中部の河田昌東さんなど

多くの識者にぶつかりながら吸収してきた。


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さらに伊藤さんやジェイラップ、稲作研究会の人たちのすごいところは、

得た知見や仮説をすぐに実験や実践に結びつけていったことだろう。

とにかく家族を守るために、やれるだけのことをやる。 あとで後悔しないためにも。

一生懸命やって無駄なことはない、と信じて仲間とやってきた。

・・・伊藤節が炸裂し始める。


ジェイラップは、2011年秋の収穫が終わってから、

田んぼの反転耕(天地返し) に取り組み始めた。

有効土層(表土) 15センチと下層土 15センチをひっくり返す作業である。

周りからは、そんなことをしたらコメが作れなくなるとか機械が入らなくなる

といった批判もあったようだが、伊藤さんたちはひるまなかった。

それまでの様々な実験や調査によって、科学的根拠を獲得していたのだ。


水田土壌は畑と違い、耕起作業で放射性セシウムが平均的に分散されない。

セシウムは比重の軽い粒子に付着しやすく、代かきをした際には、

表層の懸濁水のほうが高い濃度になる。

何度やったとしても、水に浮く軽い土壌粒子とともに上に移動する。

そのセシウムはやがて沈降し表土に堆積する。

したがって田んぼでは、表層10センチに9割のセシウムが集積することになる。

この事実を、彼らは自分たちの実験で立証していたのである。


天地返しすることによって、確実に線量は下がる。

そのあと、ゆるくなった田んぼは踏み固めればよい。

その確信のもと、

2011年秋から冬にかけて、まずは仲間の水田 30ha で実施した。

線量の低下を証明し、さらに翌年にちゃんと美味い米が獲れたことで、

地元の農家たちを唸らせた。

2012年秋は 120ha までに拡大した。

そして、「伊藤たちの言っているほうがまともじゃないか」 「ジェイラップにやってほしい」

という住民の声の高まりとともに、行政も認めざるを得なくなった。

2013年の秋には、行政が窓口になり、反転耕の申し込みを受け付け、

ジェイラップに作業を委託するという形にまで発展した。

今では、須賀川市や福島県の除染マニュアルに反映されるまでに至っている。


彼らをここまで動かせたのは、自分たちの農地は自分たちの手で守る、

という矜持のようなものだ。

「 よそから来たゼネコン任せでは、こんなことはやれないですよ。

 彼らは証明されてないことはできませんから。

 でも私たちが示したのは、表土を剥いで仮置き場を作って、なんていう対策は

 不要だということです。」


反転耕によって、空間線量が 40% 減少した。

これは、米の安全性を守るだけでなく、住民の健康を守る(=吸入による被ばくを防ぐ)

ことにもつながっている。

「 空間線量が高くなるのは、春一番が吹く頃と風の通り道。

 通学する子どもたちの被ばくを防ぐためにも、やってよかったと思いますね。」

そういえば、伊藤さんは前に語っていた。

「 いつか孫やその孫に、よくやったと褒めてもらえるだけのことを、やっておきたい。

 なんであの時やらなかったんだ、なんて言われたら、

 オレは死んでも死にきれない。」

彼にはおそらく、先祖から子孫につながる鎖が見えているのだろう。

 " 今はたすべき責任 "  とは、命のつながりを守ることなのだ。


反転耕は地下水の汚染を招く、と批判する学者がおられた。

それに対しても、伊藤さんの反論は説得力がある。

土壌粒子に付着した放射性セシウムは、1年に 1センチずつ、

壊変(崩壊、30年に半減-60年に4分の1~) しながら沈降していく。

300年で100分の1 になった時点で、3メートル沈んだ計算である。

そんな浅い井戸は、そうない。

むしろ 1000分の1 の濃度に下がるまで、がっちりと土の力で封じ込める。

この方法が最も確実でコストもかからないやり方ではないか。

これはまた、土を守り続ける農業をちゃんと持続させることが大切だ、

ということでもある。


行政の後押しを得て、伊藤さんは、あと2年で

 1,100ha の反転耕を達成させる計画である。

点々とやるのでなく、「片っぱしから、面的な展開」 で進めると。

そうすることで上流からの移染もなくなる。

放射性物質を運ぶのは、風と水である。

対策は地域全体で、面的に取り組むことで有効度が飛躍的に高まる。


反転耕を進めるために、ジェイラップでは欧米の大型トラクターを購入した。

タイヤの直径が 1m80cm もあるデカいやつだ。

チェルノブイリ後の除染にも使われたタイプで、キャビンのドアを閉めると

空気圧が高まって外からの埃が入ってこないように作られている。

オペレーターの健康にも配慮した仕様である。

日本には残念ながらそういうものがない。

1台 1200万円、これを 6台 購入した。

誰もが無謀な投資だと指摘した、あるいは笑った。

しかし、伊藤さんの計算はこうである。

日本のトラクターは軽量化が進んでいるため、

だいたい 2,500時間でエンジンの交換が必要になる。

だけどこいつは、25,000時間持つ。

また北海道の畜産農家だと、このクラスの機械を使う。

北海道の牧場に人気のある機種にして、

3年後に半額で売却する買い手を見つけておけば、何とかなる。。。

そして実際に、そうしたのである。

この話には、会場からも感嘆の声と拍手が沸いた。


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問題は、やる覚悟があるか、である。

界で初めて、水田が放射性物質に汚染されるという事態に遭った。

しかしその対策では、世界に貢献できるものをつくったという自負はある。

(活かされる、という事態はあってはならないけれども-)

・・・こう言えるだけの研究者が、日本にいるだろうか。


ジェイラップは、この一連の取り組みが高く評価され、

昨年、全国農業コンクールで名誉賞に輝いた。

福島に伊藤俊彦という人物がいたことは、日本にとって幸いであった。

僕は腹の底から、そう思っている。


「こんなに元気になった私を見てほしい、そう思ってやってきました。」

「私が大地を守る会が好きなのは、ただのモノの関係だけでなく、

 しっかりした学び合いがあって、つながっていることです。」

そして最後に、こんなふうに結ばれた。


いま巷では、TPP やら減反政策見直しやらで騒がしいが、

農家もさすがに赤字になってまで米を作り続ける人はいない。

しかしその後は、モノが足りなくなって値上がりしていくことになる。

一次産業をダメにして、最後にしっぺ返しを食うのは消費者ということになる。

食べ物は、ある日突然なくなる。 だんだんに、ということではない。

しかし 「備蓄米」 は、買っていただける分は必ず作り続けます。

作る責任と買う責任が一体になったら、モノづくりはなくならない。

約束を守り合う 1 対 1 の関係があれば、そのつながりは生き残る。

仕組みより、生き方のように思う。

つながってよかったと思える、そう信じ合える関係の中で脈々と生き続ければ、

それはきっと次の時代のマニュアルになる。

そういうところに身を置き続けたいと思う。

「備蓄米」(の申し込み数)は事故によって減ってしまったけれど、

稲田のイノベーションは進んでいます。

もっとイイ産地に、ゼッタイにしてみせます。

これからのたたかいっぷりを、どうか見ていてほしい。


いまジェイラップの倉庫の屋根には、太陽光パネルが貼られている。

さらにもっと多様な自然エネルギーの活用を、伊藤さんは模索している。


この国の未来をどう築き直すのか。

この問いに対して、諦める、という言葉はあり得ない。

明日に希望を渡すためにも、「備蓄米」 は人をつなぎ続けたい。

今年の秋には、去年台風でできなかったぶんも含めて、

盛大に収穫を祝い合いたいと思う。




2014年2月20日

有機農業の明日を語る

 

さてと、レポートを急がなければ。

とりあえず書き出したものだけは、仕上げたい。

鮮度は落ちるけど、それぞれに大事な私の歩みなので。


1月24日(金)、

群馬県新年会の帰り、栗田さんご家族から頂いたトマトを抱いて、

霞ヶ関の参議院議員会館に向かった。

地下鉄丸の内線・国会議事堂前駅からの道路は、

秘密保護法案反対を叫ぶ人々でごった返していた。

差し出されるビラやチラシを受け取りながら歩く。

運動のリーダーか著名人だろうか、TVカメラが迫ってインタビューしている。

「他人事じゃないんですよ!」

と言わんばかりの目線の連なりにちょっと詫びを入れながら、

午後1時半、議員会館に入る。

 

「NPO法人 全国有機農業推進協議会」 主催

『有機農業の明日を語るつどい』。 集まったのは約 150人くらいか。


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「明日を語る」・・・

振り返れば2006 年、議員立法の形で 「有機農業推進法」 が成立し、

全国各地に有機農業推進協議会が設立されていった。

国が有機農業の拡大を後押しする時代に入ったわけだが、

しかしその協議会も、例の 「事業仕分け」 によってしぼんでしまった。

この間、マーケットは拡大したか。 

したとも言えるし、していないとも言えるような、伸び悩み感は否めない。

有機農業を目指して新規就農した人たちも、販路の確保に苦しんでいる、

というのが実情だろう。

そこには、栽培技術の不安定さや認証制度の仕組み・コストの問題などなど

あるのだろうが、問題の根本は生産環境を育てるための

構造的な推進体系が築かれてないことにある、と僕は思っている。

心身がアンバランスなまま大人への道を歩んでいるような・・・

そして我々流通サイドもまた、模索の中にある。


つかみ切れないジレンマを抱えながら、

国は 「有機農業推進基本方針」 の見直しをはじめ、

2014(平成26)年度には、有機JAS 認定農産物の生産量を 50%増加させる、

という政策目標を掲げた。

しかしそれがリアリティのある数値だとは、どうも感じ取れない。


さて、これからどう進むべきか。

ここで自由に意見を出し合おう、という場が用意されたワケなのだが、

いろいろと意見は出ても、散発な印象は拭えない。

「明日を語る」・・・ か。

僕らはずっと有機農業の未来を描きながら、

しかし未だ、そのロードマップを定められずにいる、ということを

このタイトルは物語っているように思えてくるのだった。


呼びかけ人の一人、埼玉県小川町の金子美登(よしのり) さんが、

小川町での有機農業の社会的広がりを、事例として提示された。


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それは素晴らしい成功事例なのだが、

続く事例が現れてこないのは何故なのだろう。

もっと掘り下げたい。


福島県二本松市から参加した菅野正寿さんも発言。

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有機農業運動を長く 「産消提携」(生産者と消費者の直接的結びつき)

の形でやってきたが、原発事故によって多くの消費者が離れてしまった。

いま私たちは、有機農業運動の質そのものを、もう一度見つめ直さなければならない。

そして、有機農業と原発は絶対に相容れないものであることを、

しっかりと宣言してもらいたい。 拍手


実は、主催者からの報告や呼びかけ人の基調発言のあと、

会場からの発言を~ となった際に、いきなりこんな質問が飛び出したのだった。

「 昨年、大地を守る会とローソンが事業提携した。

 これをどう理解すればいいのか、説明してほしい。」


司会を務めたのが、大地を守る会の来島(きたじま) 職員。

  - え~と、それについてはですねぇ、私は司会なのでちょっと、ハハ・・・

    ここに生産部長の戎谷が来てますので、戎谷から答えさせましょう、ハイ。

しょうがないので、立つしかない。

僕なりの背景分析から、率直に語らせていただいた。

根本的な要因は、人口減(&少子高齢化) が進んでいることではないか。

そして、消費者の健康を応援する、は社会の必須項目になってきていること。

一方で有機マーケットの閉塞感を突破したい、という意識が我々サイドに働いたこと、など。

これからどう進むかはまだ予断を許さないけれど、

有機農業を支え、推進するための大きな仕組み作りを目指したいと思っている。。。


マイクを握ったついでに提案を一本、させていただいた。

有機農業の価値というものを、ここで改めて棚卸ししてみる必要がある。

そして政策的につなぎ直してみてはどうか。

政策交渉の相手は、農水だけではなくなるだろう。 

環境省からも文科省からも経産省からも予算を引っ張り出させるような、

横断的な国づくりの方向が示せるのではないだろうか。


理解いただけたかどうか、どうも心許ない感じがしたので、

「これはお願いしているのではなく、私自身の宿題として自覚している」

つもりである、と納めさせていただいた。

だからローソンとの提携なんだ、とはさすがに言えなかったけれど、

いずれやることになるであろう実験のひとつなんだ、という思いはある。

明日に向かって、語るだけではない。 

無謀に走ったり、先陣切って仕掛けたり、そういう役割もまた

大地を守る会には課せられていると、僕は思っている。




2014年2月19日

オーガニックフェスタで、お米の生産者と語り合う場を

 

焦って焦ってしているうちに、

大地を守る東京集会 2014」 が、今週末に迫ってきた。

ここで一つの案内をお許し願いたい。


東京集会はいつも、前年の夏には実行委員会が結成され、

準備がスタートする。

年末にはほぼすべての企画が出揃ってきて、

予告チラシなどの制作も動く段階になっている。

そんなスケジュール感は先刻承知のベテランなわけだけど、

実は年末ギリギリになって新たな提案を出してしまったのだった。

きっかけは、米のメニューのひとつとして販売していた

「日本の原風景・里山の棚田米」 シリーズが、農林水産省主催の

フードアクションニッポン・アワードで、商品部門の 「最優秀賞」 を受賞 したことだ


我が専門委員会 「米プロジェクト21」 では、

事務局スタッフがすべて本業のほうの企画に回っていて、

とても独自に出展する余裕もなかったのだけど、

「みんなが集まる東京集会だから、やっぱささやかでも紹介の場は用意したい」

となった。 

言ってしまったのは自分である。 言わせたのは酒である。

吾輩は懲りない猿である・・・ てな感じで、引くわけにいかなくなった。

実行委員会に掛け合ってみたら何と! 6階の会議室がひとつ空いているよ、と。

ハマっちゃったよ。 本当に、やるしかなくなった。。。

1月の中旬頃にもなると、今度は逆に実行委員会から、

「ホントにやるんだよね」 「もうパンフレットには載せられないよ」 の波状攻撃。

「やるっつってんだろ!」 と強気で開き直りながら、

裏では農産・米担当をおだてたり頭下げたりしながら、

何とかギリギリ段取りつけた次第。


ということで、、、

2月23日(日)の 「オーガニックフェスタ 2014」 にて、

以下の特別セッションを行ないます。 どうぞ奮ってご参集ください!! 


お米の生産者と語ろう

 ~ 田んぼと台所が守る未来を ~


◆ 会場 : 6 階 「特別会議室 E」

◆ 時間 : 13:00~16:00

◆ 内容 : 

  ① お米 4 種類の食べ比べ 

  ② 生産者トーク

     Ⅰ) 森の里工房(島根) 佐藤大輔さんが語る 『 棚田の力 』

         - 「日本の原風景・里山の棚田米」 最優秀賞受賞を記念して

     Ⅱ) 蕪栗米生産組合(宮城) 千葉孝志さんが語る

        『渡り鳥と共生する田んぼの世界』

        - 水生生物にとっての貴重な湿地として、世界で初めて

          田んぼがラムサール条約に登録された場所からの報告

     Ⅲ) リレー・トーク  『オレにもしゃべらせろ!』

       ≪発言予定者≫

        ・ やまろく米出荷協議会(福島) 岩井清さん

        ・ みずほ有機生産者グループ(山形) 菅原専一さん

        ・ ライスロッヂ大潟(秋田) 黒瀬友基さん

        ・ あそ有機農園(熊本) 山本誠也さん  


フェスタも最高潮に盛り上がってくるであろう時間帯なので、

6 階まで上がって来てくれるだろうか。 しかも

正式プログラムにもおそらく一行程度しか書かれてないだろうし・・・

ということで、せめてこの場で PR させていただきました。


生産者の方々には、飛び入り大歓迎です。

小さな部屋なので、じっくりと語り合いましょう。

お題は自由です。 TPP でも、減反問題でも、自給率でも、栽培技術でも。

ただし人の悪口と喧嘩はご法度。

行儀の悪い人には 「退場」 を命じる場合があります。

以上




2014年2月18日

大雪被害-緊急支援のお願い!

 

1月下旬からあれもこれもと動きまくり、

土日も出ずっぱりで、まったく書けない日々が続いた。

かくして、未完成のまま残っている日記が 7 本。

書くパワーが落ちた要因がもう一つあって、

2月3日、神奈川・黒崎有機栽培研究会の石渡剛さんが亡くなられた。

1月15日の神奈川新年会で楽しく飲んだばかり。

まだ 46 歳という、いよいよ脂が乗ってきた後継者である。

あまりに突然のことで、ご家族の驚きと悲しみはいかばかりか。。。

言葉も浮かばず、ただ絶句するのみ。

それでもお父さんの稔さんからは、

恒例の 「春の三浦・大根収穫祭」(3月22日) は予定通りやろう、

と言ってくれている。

この場を借りて、謹んでご冥福を祈りたい。

 

・・・・・と、その間にも記録的な豪雪が 2 度も襲ってきて、

とんでもない事態が起きている。

山梨など数か所で、交通が遮断されて配送が不能になってしまった。

お届けできなかった会員の方々には本当に申し訳ありません。

一方生産地では、福島から長野まで、

軒並み・・・ パイプハウス倒壊の連絡である。

集められた情報一覧は、こんな文字で埋め尽くされている。

 ・積雪 1m。 葉物ハウス、育苗ハウス、ともに潰れた。 ヤマト便来ず、出荷できない。(群馬)

 ・積雪 1m。 育苗ハウス潰れた。5月出荷の苗を搬出中。(群馬)

 ・積雪 1m。 ホームセンターの雪かきスコップも売り切れ、板の棒をつけて売ってた。(長野)

 ・積雪 1m。 家の周りの雪かきで精一杯。 桃のハウスが潰れた。 

   ブドウのハウスも2棟やられた。  樹は大丈夫だと思うが、畑まで行けない。(山梨)

 ・積雪 70 cm。 トンネル潰れて雪に埋まっている。 今後の成育? 分からない。(埼玉)

 ・積雪1m。 工場は大丈夫だが、物流が動かない。(長野)

 ・春から出荷予定の人参・かぶ・大根のトンネルがすべて潰れた。 

  畑に入れず、来週まで出荷見込み立たず。(埼玉)

 ・ホウレン草を出していたメンバー全員のハウスが倒壊、出荷断念。 

  自衛隊の作業者が集結してきている。(長野)

 ・昨年張り替えたばかりのハウス倒壊。 歳だし、もう直せない。(長野)

 ・全棟倒壊、今年の出荷はなくなる。(埼玉、卵)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

読むだけで、ドキドキしてくる。


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写真は、群馬県倉渕村(現高崎市) に就農した元社員・鈴木康弘さんから

スタッフに送られてきたもの。

夜8時に雪下ろしをして、夜中にもう一度行こうとしたが、積雪でハウスに辿り着けず。

停電にもなり、ハウスに謝りながら家に戻った、と書いている。

倉渕だけでもかなりのハウスが潰れていて、

目を疑うような光景が広がっているという。


3.11 は別として、僕が大地を守る会に入社して以来 31年になるが、

おそらく最大規模の損害になるだろう。

保険だけでは再起できない人も出てくるかもしれない。

「もうダメだ。 農業は終わりにしようと思う」 との声も、

福島から聞こえてきている。。。


いま社内では、義援金募集の準備に入っています。

社員を募って復旧作業ボランティア隊を結成しようという声も上がってきています。

週末(22~23日) に開催する

大地を守る会のオーガニックフェスタ(東京集会)」 でも、

緊急カンパ箱を設置する予定です。

たくさんの方々のご支援をお願いしたいところです。




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