産地情報: 2010年1月アーカイブ

2010年1月26日

産地新年会ロード

 

今年も関東を中心に福島・宮城と続く産地での新年会が行なわれている。

2月上旬まで8ヶ所で開催。 僕は今年は5ヶ所に参加することにしている。

今は、その真っ只中。

物言わぬ臓器に向かって、" 耐える "  ではなく " 鍛える "  だ、

とか嘘ぶきながら、出かけている。

 

生産者グループごとに新年の集まりはあるのだろうけど、

それらすべてに顔を出すことは不可能なので、できるだけ県単位で一堂に会して、

研修会も兼ねてやりましょう、という流れにだんだんとなってきた。

埼玉は以前から 「埼玉大地」 という形でまとまっていて、

茨城はさらに前、大地を守る会の草創期に県内の生産者の横のつながりが作られた

歴史がある。 古いぶん、内部でもめたりした苦難も経験しているけど。

 

昨年から、千葉・群馬・宮城でも、まとまっての開催となった。

それぞれに、講師を招いての講演会や勉強会を設定するなど、

「新年会」 もただ事ではなくなってきた感がある。

去年はつい、" 死のロード " などと書いてしまって、

生産者から随分と皮肉られてしまった。

酒を注ぎながら、ふ~ん、つらいんだ、ヤなんだ、来るのが・・・・・ 

すみませんねえ。 

阪神タイガース・ファンには馴染みの言葉なんですよ。 許してチョーダイ。

(筆者注 : 「死のロード」......夏の甲子園を高校球児に明け渡して長期遠征に出ること。

       だいたいこの期間に勝率がガタ落ちする。)

 

宴会風景はあんまり絵にならないので撮らないけど、ま、こんな感じ。 

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これは昨日(25日) 行なわれた 「千葉連合新年会」 風景。

7団体+1名(個人での契約生産者)、大地職員も合わせて計53名が集合。

今年の幹事は 「三里塚酵素の会」(代表:堀越一仁さん)。 

会場は成田山新勝寺参道にある老舗の茶屋で、 

堀越さんたちの野菜も使ってもらっての一席である。 

もちろん、ただ飲むだけじゃなくて、

その前に土壌微生物に関する勉強会も実施されたのだが、

僕は仕事の事情で宴会から合流となってしまったので、写真がないだけ。

なんだ、やっぱり飲みに来ているだけだって?

いやいや、皆さんと今年の抱負や栽培に関する話などなど、

しっかり語り合ってんですよ、こう見えても。

 


皆さん、順番に自己紹介と今年の抱負などを披露していただく。

では、今回の幹事、三里塚酵素の会から。

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堀越のアニキが、増えてきた若者メンバーたちを紹介しているのに、

聞いてない職員が約一名 (右端手前)。

 

おなじみ、さんぶ野菜ネットワークの面々。

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今年も 「大地を守る会の稲作体験」 でお世話になります。

おっとその前に、来月の大地を守る東京集会(「2010だいちのわ」) では、

新規就農希望者の相談を受けるブースを出してくれることになっている。

農業に関心ある若者よ、来たれ!

 

三里塚農法の会は3名で参加。 左が代表の龍崎春雄さん。

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龍崎さんも研修生をお二人連れてきて、紹介してくれた。

千葉には、新規就農者を積極的に受け入れるグループが多い。

龍崎さんには、昨年11月、仲間の三ノ宮廣さんの杉林を見せてもらったお礼を伝える。

「おう、山の管理もちゃんとやってんだぞ」 と嬉しそうに返してくれた。

 

千葉で唯一お米を出していただいている、佐原自然農法研究会。

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代表の篠塚守さん(左端) には、昨年、学生たちの米づくり体験でお世話してもらった。

「まだ米が残ってるよ」 だって。 学生諸君、早く何とかしろ。

来月はまた、東京集会での餅つきが待ってますので、よろしく、です。

 

個人で契約している生産者が一人。 酒井久和さん。

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昨年は栽培管理の監査をやって、細かいチェックをしちゃったけど、

自身の栽培内容全体をきちんと証明できるってことは大切なことなので、

引き続き記録・管理の体制をお願いしますね。 

 

まあこんな感じで、各地の新年会が行なわれている。 

毎回写真をアップして報告したいのだけど、ちょっとこのところキツくて、

生産者には申し訳ないけど、ご勘弁ください。

 

でもこれは紹介しておかなければならないか。

1月14日に行なわれた 「埼玉大地」 の総会(&新年会) では、

新会長に瀬山明さん(下の写真・右端) が就任されました。

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「これからもっともっと、いい野菜を届けられるように、

 年に2~3回は勉強会を実施しますから」 と、やる気満々の宣言でした。

 

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川越の吉沢グループでは、 昨年9月に結婚した深田友章くん(左端) から、

何と1月1日に長女が誕生しました! の報告。

お見事! パチパチパチパチ・・・・・ 

 

埼玉でも新年会前に天敵の活用技術についての勉強会が開かれたのだが、

こちらも悔しいかな、出られず。 仕事で、ですよ、仕事で。  (-_-;)

 

生産者と楽しく飲みながらも、

ある人からは硬派の運動を迫られ、ある人からは販売の拡大をお願いされ、

いずれにしても 「大地に出していることがオレたちの誇りなんだから」 と言ってくれる。

しんどいけど、こうやって新年の洗礼を浴びることで、

一年の覚悟が定まっていくような気もしたりする。

参加できなかった産地の方々には、ごめんなさい。

福島わかば会の皆さん、急な乾杯の指名はやめてください。

動転しちゃって、写真を撮るのをすっかり忘れてしまったじゃないですか。

 

日記もちょっと書けないでいたけど、

とりあえず、今年もみんな元気で、意欲的に切磋琢磨しています、

ということは伝えておきたい。 

 



2010年1月13日

富良野に行った君 から

 

昨年12月4日に書いた 「有機農業を始めよう」 新規就農支援ガイドブックの

編集委員会事務局から、原稿が送られてきた。

" 富良野に行った君 "  からの原稿である。

けっこう早いじゃん。

しかも編集委員会で用意した質問形式の原稿に対して、しっかりと書き込まれている。

いやいや。 「どうせ嫁さんに書かせるんだろうが・・・」 なんて言っちゃって、

大変失礼いたしました。 コメントにも返事しなくて、ゴメンね。

 

職場結婚した徳弘英郎 & 藤田京子夫妻が大地を守る会を辞めて、

有機農業修行を経て、北海道富良野に就農したのは2001年。 

今では家も建て、子どもも3人。 地元でも頼られる存在になりつつある。

大地ライブラリーから-

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                                          (撮影:市川泰仙)

原稿には、

生産者団体 「どらごんふらい」 の方々の尽力によって地域に受け入れてもらったこと、

これまでの苦労や反省は数え切れないくらいあったことが、実直に語られている。

「知ってしまえば10分で行ける道のりを、知らないがために1時間かけて行くような・・」

  


成功の秘訣は?

-成功したとは思ってない。

  失敗をきちんと分析して 「いかに次に生かせるか」 にかかっていると思っている。

 

将来の夢は?

-この地域で農業をやりたいという人、農業ではないけれど何かをやりたい人を

  バックアップし、元々の地域の方々と新しい人たちとでよりよい地域づくりをしたい。

 

これから有機農業を始める人へのアドバイスは?

-頭でっかちにならないこと。

  理想や目標を掲げつつ、上手に妥協する姿勢も必要。

  理想と現実の折り合いをつけるということは、農業に関わらず、

  まさに生きていくことそのもの。 その中から新しい展開が生まれてくる・・・

 

大地で得た教訓も反映されているような、いい感じだ。

 

送られてきた写真からも、彼の足跡と、" 思い " のようなものが感じられる。

農楽舎(のらや) の看板、いいね。

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拓郎くんも、開拓者の子っぽいぞ。

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これ以上ここで紹介すると編集委員会に叱られそうかな。

ま、ガイドブックの予告宣伝だと思って許してください。 

 

徳弘くんへ。

たぶん全文掲載は無理だろうし、写真も絞られるけど、許してね。

編集委員会の期待には充分応えられたと思います。 グッジョブ! ミッションは成功した。

あとは頑張ります。

 

そういえば、このブログの一発目が徳弘夫妻だったなぁ。

今でも、あの記事が記憶に残っている、と言ってくれる人がいる。

今度富良野に行った時には、またいい顔を見せてほしい。

 



2010年1月12日

柳川掘割物語

 

成清忠蔵さんの墓参りもかねて......

などと書いて、今週の会員向けカタログ 『ツチオーネ』 を手にとってみれば、

タイミングの良いことに、表紙は成清海苔店さんである。

海苔の入札で真剣にチェックする代表の忠さんのアップが巻頭を飾っている。

「自分がおいしいと思う海苔しか仕入れません」

-なんか、親父よりずっとカッコいいね。

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成清海苔店は、福岡市柳川にある。

筑後川の下流、有明海に面した水郷の町。

柳川市内にはり巡らされた掘割 (水路網) の秘密については、

アニメ界のゴールデン・コンビ、高畑勲と宮崎駿が作ったドキュメンタリー映画

『柳川掘割物語』 に詳しい。

 

 日本がまだ貧しかった頃、どの村にも小川が流れ・・・

 日本がまだ貧しかった頃、どの町にも掘割があった・・・

 日本がまだ貧しかった頃、手の届くところに水辺があった。

 

加賀美幸子さんのナレーションで始まる美しい作品。

もう20年以上も前の作品だが、

いったんはドブ川と化した柳川掘を再生させた人の歴史や、

筑後川が運ぶ土砂と有明海の干満の差によってつくられた干潟が

海苔も含めたくさんの生物を育んできた仕組みなど、

この国に育まれた水の文化と深い知恵の結晶が見事に描かれている。

この映像、いや掘割が語る 「水とのつながり」 は、

年月を経てますます深く、失いつつあるものの意味を問いかけてきているように思う。

 

映画 『柳川掘割物語』 はDVDになって、スタジオ・ジブリ から購入できます。

ぜひ見ていただきたい作品のひとつ。

 

ちなみに、三鷹・ジブリの森美術館内にあるカフェ 「麦わらぼうし」 には、

大地を守る会の法人 「フルーツバスケット」 のジュースなども入ってますので、

美術館にもぜひ一度足をお運びください。 要予約ですが。

 

問題は、今週の注文。

山藤・梅田料理長おすすめの最高ランク 「新のり・有明海海苔優等」 にするか、

見た目より味重視の方に! 「皿垣漁協産焼のり(きずのり)」 にするか・・・・・

気の小さい私はまだ決めかねている。

ここは年に一回の贅沢といくか。 

いや、こういうのが年に何回もあるからきついんだよね。

でも、これによって人とつながって、幸せを頂いているんだ、とも思うのである。

さて・・・・・

 



2010年1月11日

黒沢賢ちゃん

 

9日からの連休はかねてより、

福岡の成清海苔店さんを訪ねて、厳冬の有明海で海苔摘み体験をする

ツアーに参加する予定を組んでいたのだが、悲報が届いてキャンセルした。

7日の朝、埼玉県深谷市の黒沢賢一さんが亡くなられた、という知らせ。

 

黒沢賢一さん、享年69歳。

一見には、ちょっととっつき悪そうな印象を与えたりする方なのだが、

みんなからいつも 「黒沢賢ちゃん」 と、姓+ちゃんづけで呼ばれていた。

グループの名前も 「黒沢グループ」 ではなく、「黒沢賢一グループ」 である。

人望が厚く、地元の自治会長も務められていた。

有機農業暦は35年に及び、ともすれば地域との軋轢も起きそうなものだが、

人に一目置かせる矍鑠 (かくしゃく) とした貫禄のようなものがあった。

 

昨年の夏に入る頃から闘病生活が続いていた。 

頑張ってほしい、と願っていたのだが・・・。

大地ライブラリーから一枚拝借して-

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黒沢さんの干し大根。 和江さんと一緒に。

 

僕にとってほろ苦い記憶は、一昨年の5月にTV東京で放送された 「カンブリア宮殿」 。

周囲を気遣って駐車場と道路に撒いた除草剤の使用を調べた場面が

意味ありげに編集され、黒沢さんにとってはさぞや面白くないことだったろう、

と気にやんでいたのだが、

黒沢さんは 「こういう現実もあることを知ってもらえばいい」 と泰然とされていた。

 

9日の告別式は、会場に入りきれないほどの弔問客が訪れていた。

皆さんと一緒に、合掌させていただく。

賢ちゃん (と僕は生前には呼べなかった) には、

今年の大地を守る会設立35周年を見届けてほしかったけど、

こればっかりはしょうがないね。

天上で、先に逝った方々と酒宴でも開いてくれると嬉しい。

 

逝く人の蓄積は、言い訳がきかなくなる分、決意も腹の底に溜まってくる。

成清さんのツアーでは、以前大病した時に随分とお世話になった先代の忠蔵さんの

墓参りも予定していたのだが、すみません。

今度ちゃんと行くからね。

 



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