産地情報: 2012年12月アーカイブ

2012年12月27日

NHK 「サラメシ」 に成清(なりきよ)海苔店 登場!

 

≪来年の予告編Ⅱ≫

NHKテレビで毎週月曜日の夜(22:55~) に放映されている

サラメシ」 という番組があります。

 

ランチをのぞけば、人生が見えてくる

働くオトナの昼ごはん それが「サラメシ」

 

が番組のキャッチフレーズ。

" サラリーマンの昼めし "  だからサラメシ。

中井貴一がやけに明るい声でナレーションをつとめていて、

いろんな職場を訪ねては、楽しいお昼ごはんの風景を紹介しています。 

堂々と弁当も覗いては、家族の愛を確かめたりして。

けっこう人気の番組だそうです。

 

その 「サラメシ」 に、何と!

「有明一番摘み」 でお馴染の 成清海苔店 さん(福岡県柳川市) が登場します。

放送は1月7日か14日とのこと。

 

取材のきっかけは、番組でおにぎり特集を組むことになって、

大地を守る会が食材提供や生産地紹介でお手伝いした

『おにぎり』(グラフィック社刊) という本を番組の方がご覧になって

問い合わせて来られ、成清さんを紹介させていただいた、といういきさつ。

 

↓ こちらが、その 『おにぎり』。

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47都道府県のおにぎりと米文化の話が散りばめられた、

懐かしさとともにやけにおにぎりを食べたくなってしまう本。

 

おにぎりといえば海苔。

そこで極上の有明海苔の生産現場を訪ねる。

酸処理をしない、環境に配慮した海苔。

見た目より味と風味にこだわった有明一番摘み海苔が紹介され、

忠さんのコメントで決められている。

「海苔は、米の恋人です。」

どっかで聞いたようなフレーズだけど、いいね。

 

『おにぎり』 では、成清さんの海苔だけでなく、

王隠堂農園(奈良) さんの梅干しや、

島根県弥栄町 「森の里工房生産組合」 のきれいな棚田と

竹田英雄さんの有機米も登場。

弥栄町のおにぎり名人、岩田千恵子おばあちゃんの

「朴葉(ほおば) の混ぜご飯おにぎり」 は、

自然の四季とともにある食の豊かさを伝えてくれます。

 

さてさて、「サラメシ」 では

成清海苔店のどんなお昼風景が映し出されることでしょう。

忠さん千賀さん夫妻のアツアツぶりも見せつけられるのでしょうか。

ウ~ン、ドキドキしますね。 お楽しみに。

 

< P.S. >

成清さんを紹介した日記はもうずいぶん前になっちゃったみたい。

『柳川掘割(やながわほりわり) 物語』 と一緒に書いたのが最後か。

 ⇒ http://www.daichi-m.co.jp/blog/ebichan/2010/01/12/

参考まで。

 



2012年12月 7日

「会津電力」 で 独立運動!

 

「 脱原発ができるできないと、国は右往左往しているが、

 福島にはそんな暇はない」

こんな書き出しの新聞記事が目に飛び込んできた。

『 自然エネで  " 独立運動 "  』 と、過激な見出しが躍っている。

 

12月3日付・東京新聞、「こちら特報部」。

コメントの主は、大地を守る会オリジナル日本酒 「種蒔人」(たねまきびと) の蔵元、

「大和川酒造店」 9代目・佐藤弥右衛門(やえもん) さんである。

2面にわたって掲載されている。

 

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弥右衛門さんは近隣の仲間とともに研究会を結成し、

11月、エネルギーの地産地消を目指す 「会津電力」 構想をぶち上げた。

「独立運動さながらの熱意で全会津の結集を呼び掛ける」 と、

記者までがアドレナリンを噴出させているかのような書きっぷりだ。

 


弥右衛門さんは、すでに7月18日、

全国新酒鑑評会での金賞受賞を祝って池袋で開催された

郷酒(さとざけ) を楽しむ会」 の席でも、

「福島はエネルギー自給を達成してみせる!」 と気炎を上げていた。

その構想がいよいよ動き出したわけだ。

 

「 小水力でも太陽光でも、できるところから始めたい。

 いずれ東京電力が持っている猪苗代湖などの水利権も買い戻す」

と鼻息が荒い。

この決意の裏には、つねに東京に収奪されてきた歴史への反骨がある。

原発事故は、その会津DNAにさらに火を付けた。

「 福島の土地を汚した東電は責任を取ってもらなきゃならないが、

 われわれも会津の歴史や自然を次代に伝える責任がある。

 どんなに困難であっても自然エネルギーに転換するしかない。」

「 自分たちの電力は自分たちでつくってこそ、地方は自立できる。」

 

県も 「2040年には県内需要の100%を自然エネルギーで賄う」

という目標を掲げている。

洋上風力発電、温泉熱を利用した地熱発電、間伐材を使ってのバイオマス発電

などのプロジェクトも県内各地でスタートしている。

会津は何と言っても  " 森と水 "  であろう。

震災直後から一升瓶に水を詰めて飯館村や相馬に走った弥右衛門さんの、

これは人生を賭したたたかいになるのだろうか。

 

福島・中通りの須賀川では、ジェイラップ・伊藤俊彦が具体化に向けて動いている。

県内各地で狼煙(のろし) が上がっている。

具体的なアドバイスで奔走してくれているのは、

環境エネルギー政策研究所(飯田哲也代表) の研究員、浦井彰さんである。

 

血が騒ぐ。

「種蒔人」 を注ぐ手にも、つい力が入る。。。

 

さてそこで、

日頃より 「種蒔人」 をご愛飲いただいております会員の皆様。

来年の 「大和川酒造交流会」 は、例年にも増して熱い夜になることでしょう。

日程は2月9日(土)、宿はいつもの通り熱塩温泉(10日朝解散)。

この日に搾りを合わせて、これから醸造に入ります。

原料米生産者(稲田稲作研究会) ともども新酒完成を祝い、

未来を語り合いたく思います。

どうぞ奮ってご参集くださいますよう、お願い申し上げます。

( 会員の方には、年明け配布の 「NEWS大地を守る」1月号で募集します。

 非会員の方は、本ブログのコメントをご利用ください。

 その場合、アドレスをお忘れなく。 このコメントはアップされません。)

 

みんなで飲んで、飲んで、

飲むたびにチビチビと貯めてきた 「種蒔人基金」 も

今こそ活用の時が来たのかもしれない。

しかし・・・ もっと飲んでおけばよかった。。。

 



2012年12月 4日

「備蓄米」 生産者からの手紙

 

大地を守る会 「備蓄米(大地恵穂)」 ご予約の皆様へ

 

・・・と題した手紙を、備蓄米生産者を代表して

ジェイラップ代表の伊藤俊彦さんがしたためてくれた。

しかしここに書かれた内容は、 「備蓄米」 申込者だけでなく、

福島で格闘してきた生産者の取り組みや思いとして、広く、

多くの方に伝えたいと思う。

ここに掲載させていただくことを、ご了承願います。 

 

 

"復興" から "自立" へ、感謝の心とともに歩んできました。

 

あの日(3.11)から2回目の稲刈りを終えて間もなく、

10月27日に開催しました "風土 in FOOD 自立祭" には

多数の会員の皆様に駆けつけていただき、

本当にありがとうございました。

 

おかげさまで、家族と連れだって参加した生産者たちも

心からの笑みに包まれ、心和むひと時を過ごさせていただきました。

心から感謝、感謝です。

 

昨年は、大震災と原子力災害からの "復興" を誓い合い、

今年は、本当の復興は "自立するところにある" ことを

確認し合いました。

 

稲田稲作研究会は、少しずつ自信を取り戻し、

少しずつ元気になっています。

 

 

家族・仲間を守るために、子ども目線で判定することを学びました。

 

家族や仲間を原子力災害の被害者にしないための学びと行動は、

私たちの農業にも活かされ、

家族や仲間を内部被曝から守り切る農産物を作ること、

測定によって子ども視点で安全性をジャッジすること、

などの対応策を定着させました。

 

家族や仲間のために行なってきたこの当たり前の姿勢を、

出荷する農産物にも適応させることで、

"子ども目線でジャッジした農産物の出荷" を貫き通すことができた

と確信しています。

 

逆境の中から得られた数々の知見や結果の集積は、

私たちが家族や仲間を想うところから生まれたものです。

その思いは学びと測定という科学的根拠に裏打ちされ、

皆さんにお届けする農産物も、

私たちの家族に向けた必死の思いや学びが

共有されたものであることを、何よりもお伝えしたく思います。

 

 

たゆまぬ "実践" から "希望" をつかみ、さらに前へと進みます。

 

昨年の稲作は、

学ぶこと、考えること、決断すること、行動すること、

全てが手探りの中から始まりました。

 

"対策" を思い立っても、思うだけでは何も得られない。

対策を施しても、収穫して見なければ結果は解らない。

長期戦を予感させる不安の中で、

一枚一枚の田んぼから土や稲のサンプルを採取し、

汚染の実態を見極めることから始まり、

得られた知見や仮説を片っ端から実践しました。

 

無我夢中の時を経て、得られた結果は

年間60kg食べても、安全基準(年間1mSv) の1,000分の1程度

というものでした。

弛まぬ自助努力は、今期の稲作に向けて希望の種を残しました。

 

希望の種は "やる気" に変わり、

さらに昨年を下回る結果が得られてきています。

そしていま稲作研究会では、もっと前へ!とばかりに、

来季に向け、収穫を終えたばかりの約150haの水田で、

さらなる減線作業の真っ最中です。

 

 

「今年も頑張りました」

と胸を張ってお届けできる喜びをかみしめながら、

「子どもたちの未来のために」

生産者としての責任を全うします。

 

今期も備蓄米をご予約いただきました皆様、

本当にありがとうございます。

 

皆様からの "予約" という力強いメッセージが、

私たちへの大きな励みとなり、

加えて "未来ある子どもたちの人生がかかっている" と、

生産者としての責任を強く自覚させてくれています。

 

昨年産の「大地恵穂」は、一度たりとも、

2ベクレルを超える玄米・白米はお届けしていないと認識しています。

精米を行う際に常に気を配ってきた

「品質の不公平を作らない」 という姿勢と技術が、

それを実現させる仕組みにもつながったものです

 

安全基準の1,000分の1以下という数値をどう判断されるかは

皆様に一任するしかありません。

私たちにできることは、ご購入いただいた皆様に対し、

安全で美味しいお米を "可能な限り品質の不公平を作ることなく"

粛々とお届けさせていただくのみであります。

 

皆様に励まされながら、稲作研究会は学び続け、

生産活動を止めずに自立を目指せるまでになりました。

今年収穫された「大地恵穂」は、

昨年よりもさらに高い安全性が確保されています。

猛暑の影響によって若干の白濁が見られますが、

たんぱく値からして食味は申し分ない筈です。

 

ある意味、極めてあきらめの悪い農家が作ったお米です。

それはまた、私たちが一緒に暮らす子どもたちに、

それだけ手を抜くことなく頑張ってきたんだという誇りをもって、

普通に食べさせているお米でもあります。

そんなお米を皆様にお届けできる喜びを、今かみしめています。

 

来年の秋までの一年、

「備蓄米・大地恵穂(だいちけいすい)」が

皆様の食卓の安心や幸せな笑顔を支えられることを

心より願いながら、

万全の体制で保管させていただくことを、ここにお約束いたします。

 

収穫の秋を終え、深い深い感謝の念とともに-

 

2012年11月

稲田稲作研究会会長 渡辺良勝

(株)ジェイラップ代表 伊藤俊彦

 

以上です。

読んでいただき、有り難うございました。

 



2012年12月 2日

水とともに 「未来を拓く農業」

 

会津・喜多方市山都町 「堰(せき) と里山を守る会」 から

しばらく前に届いていたお米 - 「上堰米」(じょうせきまい) を食べる。

今年5月の堰さらいボランティア に参加したお礼として送られてきたものだ。

コシヒカリとヒトメボレが一袋ずつ。

堰さらいの写真が貼られている。

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下手な写真が腹立たしいのだけれど、

ピカピカと輝いていて、本当に美味しい米だった。

10月に行なわれた須賀川での 「備蓄米収穫祭」 でお土産にもらった新米も

美味しかった。 福島の米はやっぱ、ウマいと思う、掛け値なしで。

 

同封されていた 「上堰だより」 によれば、

越冬のために家に入ってくるカメムシの数はいつもより少なく、

カマキリの卵の位置は低めで、ソバの背丈も低かったそうで、

「今年の冬は積雪量が少ないかもしれません」 とある。

 

また、10月にインド・ハイデラバードで開かれた

国連生物多様性条約第11回締約国会議(COP11) の

サイド・イベントに参加された浅見彰宏さんの報告も記されている。

サイド・イベントとは、政府間で議論する本会議に対して、

NGOが企画する対抗イベントのこと。

「農業は土や水を通して生態系の保全と関係が深く、農業と原発は両立できない」

と英語で訴えてきたそうだ。

そして 「堰と里山を守る会」 の活動を、美しい風景とともに伝えることができたと。

すごいなあ。 浅見彰宏は国際人だ。

 


ここで、浅見さんが11月に出されたばかりの本を

紹介したい。 

ぼくが百姓になった理由.jpg

 

コモンズから、「有機農業選書」 のシリーズとして出版された。 1900円+税。

「 会津の山村へ移住して16年。

 有機農業で自立し、江戸時代から続く水路を守り、

 地域社会の担い手として活躍する、社会派農民の書き下ろし」 とある。

 

「ひぐらし農園」 と名づけた山村農園での四季の暮らしが綴られ、

有機農業の世界に飛び込んだ経緯やⅠターンゆえの苦労、

そして地域の人々との関わりや堰を守る活動から獲得してきた

農への思い、農の哲学が、実に読みやすいタッチで語られている。

放射能汚染とたたかってきた苦悩も、苦悩で終わらない、

有機農業の力と明日を信じる浅見さんの願いが伝わってくる。

 

最後のほうで思いがけず、大地を守る会とのつながりと

「会津の若者たちの野菜セット」 企画が実現したくだりも紹介されていて、

嬉しくなってしまった。

 

最後に掲げられた浅見彰宏の信条。

「 ひぐらし農園のめざす農業は 『未来を拓く農業』 でありたい。

 そのためには、社会性があり、永続的であり、科学的であり、誠実であること。

 そして、排他的であってはならない。」

 

イイね。

浅見さんが農から発信するなら、僕はこの地平から応えたい。

そしてつなげてゆきましょう、人と人を、価値と価値を。

未来開拓者は、いま、あらゆる分野から生まれ出なければならないのだ。

 

食べものと環境とのつながりを見つめ直し、

暮らしをどう設計するか、し直すか、

一人一人が立ち止まって考える時代にあって、

16年前に、農の世界に、しかも雪深い山村に飛び込んだフロンティア、

「社会派」 農民が描く未来のかたち。

ぜひたくさんの人たちに読んでほしいと思う。

 



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