産地情報: 2013年7月アーカイブ

2013年7月20日

ジェイラップ、「全国農業コンクール」 名誉賞受賞

 

7月18日、

日本における農業の先駆的活動を顕彰する

「全国農業コンクール」 の第62回全国大会が、福島県郡山市で開催された。

毎日新聞社とその年の開催自治体の共催で実施されてきたもので、

歴史と規模(全都道府県の予選から進められる) からいっても、

国内最大の農業コンクールと言われる。

 

その今年の全国大会で、

「大地を守る会の備蓄米」 で深いお付き合いのある

ジェイラップ(代表:伊藤俊彦氏) が、

見事、名誉賞(農林水産大臣賞・毎日新聞社賞) ならびに

福島民報社賞(共催新聞社の最高賞) を受賞した。

惜しくもグランプリ(毎日農業大賞) は逃したが、

銀メダルに相当する栄誉である。

毎日新聞の発表記事はこちらから。

 ⇒ http://no-kon.com/contents/topics34 

 

地元紙 「福島民報」 1面トップでは、最終候補 20団体の発表(プレゼン) に触れ、

ジェイラップはこう紹介された。

「 稲田アグリサービスとジェイラップは原発事故後、

 放射性物質の特性などを学び、放射性物質の検査機器導入や、

 農地の反転耕対策の事例を取り上げた。

 コメやキュウリなどを栽培しており、

 放射性物質に対するきめ細かな情報発信で農業を継続した実績などをアピールした。

 伊藤俊彦社長(55) は 「今後も地域の農地除染などを通して

 原発事故の不安解消のために努めたい」 と喜びを語った。」

 


同じく社会面では、 『福島の「農」 底力発信』 の見出しが踊っている。

こちらからも一部、抜粋させていただきたい。

「 地震で農地に被害が出た上、風評被害で居酒屋チェーンなどの取引先や

 個人客が離れ、年商は大幅にダウンした。

 除染の効果が本当に出るのか、心配で眠れない夜もあった。

 それでも逃げ出さなかった。

 マニュアルのない道を歩くのは慣れていた。

  「学ばなければ進化はない」 と、ひたすら打開策につながる情報を集め、

 それを実践することで逆境を乗り越えていった。

 県内最高賞を手にし、責任の重さを感じている。

 これまでに得たノウハウを地域の農地除染に生かす活動を計画する。

 その一方で新たな挑戦として野菜の乾燥加工事業を拡大する考えだ。

  「今後も諦めの悪い人生を送っていきたい」 と自分を鼓舞した。」

 

「諦めない」 と言わず、「諦めの悪い人生を送りたい」 と言うあたりが、

伊藤俊彦のワルなところだ。

 あの田園地帯で、いったいどんな青少年期を過ごしたのか。

生産者の誰に聞いても、「あれは突然変異」 としか答えてくれない。

まあ生態系では、常にわずかな確率で突然変異体が生まれ、

それが多様性や進化を促してきたものではあるけど。。。

 

なお、この農業コンクールでは過去、

お付き合いのある以下の生産団体・個人が

受賞していることも付け加えておきたい。

昨年の61回大会では、やさか共同農場(島根) が名誉賞+ グランプリ

の栄冠に輝いている。

59回では、イチゴの戸村弘一さん(栃木) が名誉賞。

57回では、群馬のグリーンリーフが名誉賞と天皇杯をゲット。

55回では、無茶々園(愛媛) が優秀賞。

50回では、月山パイロットファーム(山形) が名誉賞。

この10年で確実に風が変わってきている、ということではないだろうか。

時代は我らに舵を求めてきている。

 

しかし、みんなシャイというか、別に宣伝することでもないしィ、という態度で、

だいたいしばらくしてから知らされる。

 (僕らも、権威あるコンクールにはアンテナ張ってないし。)

今回はたまたま、2週間くらい前に 「18日に寄ってもいいかな」 と連絡したところ、

「その日だけはちょっと・・・」 と口ごもるので、事態を知った次第である。

 

最終選考となる18日のプレゼンに、

伊藤さんは原稿も用意せず出かけたようで、

「これが失敗したかな」 と、ちょっとグランプリを逃した悔しさも滲ませる。

まあたしかに、この機会は1回だけだからね。

ここ(最終選考) まできちゃうと、逆に惜しいことをしたという思いも残るだろう。

「でもまあ準優勝のほうが、人生の目標がまだ先にあるってことで。。。」

おお、甲子園球児の心境だね。

 

ま、僕も嬉しい。

販売者として誇りすら感じる。

伊藤さん、ジェイラップの皆さん、生産団体である稲田稲作研究会の皆さん、

おめでとうございます!

眠れない夜を重ねながら走り続けて、

ほら、拓いた道を沢山の人が歩いてくるよ。

本当に皆さん、頑張ったと思う。

 

秋の収穫祭での話題がまたひとつ、増えた。

こうやって歴史が作られ、未来が切り開かれてゆく。

 

※ 今年の 「備蓄米収穫祭」 は10月26日(土) です。

   昨年同様、東京駅からバスを仕立てて向かいます。

   たくさんの参加で祝いたいと思います。

 



2013年7月 3日

今年も元気 で "たべらんしょ"

 

時候は梅雨の真っ只中にあっても、

夏野菜の畑仕事はいよいよ忙しくなってくる。

そんな折に、いよいよ夏近しか、

と僕らにスイッチを入れてくれるのが、会津からの便りだ。

「あいづ耕人会たべらんしょ」 の浅見彰宏さんから、

「会津の若者たちの野菜セット」 の予告に入れるメッセージが届いた。

ひと足早く、全文一挙掲載といきたい。

 

  震災から3度目の夏を迎えようとしています。

  畑では、3月11日に希望を込めて播いた野菜たちがすくすくと育ち、

  収穫の時を待っています。

  夜になると、田んぼの周りではすべての音がかき消されるほどの

  カエルの大合唱に包まれ、ホタルが盛んに飛び交っています。

  以前なら当たり前に感じていた農村の風景が、

  震災後はとても有難いものに感じられるようになりました。

 


  しかしこの2年余り続いている福島の農家の苦悩は、

  相変わらず解決の糸口がつかめていません。

  幸いなことに、放射能の農作物への移行は、

  一部のものを除きほとんどないことが判ってきました。

  これは予想を超えた土の放射能を固定する能力のおかげであると同時に、

  農家が汚染を真摯に受け止め、

  作物への移行を防ぐための栽培技術を、

  研究者と連携しながら追求してきた結果でもあります。

 

  しかし残念ながら今でも福島県産の農産物を敬遠する消費者は多く、

  市場価格も低迷しています。

  努力が報われない。

  思いが伝わらない。

  これこそが福島の農業、農家を苦しめ、

  そして農村を崩壊へと向かわせるもっとも危険な因子です。

 

  どうしたらこの状況から抜け出せるのか。

  それは福島のことをより多くの方に知ってもらうこと、

  福島をもっと身近に感じてもらうことしかないと、

  私たちは思っています。

  新しいつながりを創る。

  福島から新しい農業のあり方を発信する。

  それが私たち 「あいづ耕人会たべらんしょ」 の新たなる目標です。

  

  今年もまた大地を守る会のご協力を得て、

  セット野菜を皆さんにお届けできることとなりました。

  ただ、私たちは単に美味しさや安心だけを届けるつもりではありません。

  この野菜たちを通して、多くの方に福島を想い、

  未来のあり方を一緒に考えるきっかけになってもらえたらと願っています。

  福島の豊かな農村が、これからも当たり前であり続けるために、

  皆さんとつながっていきたいと強く思っています。

  今年もどうぞよろしくお願いします。

 

写真も一緒に届いた。

遠く後方に万年雪を頂く飯豊山が見える。 

たべらんしょ2013.JPG

 

写真の手前一番左が浅見彰宏さん。 右から二人目がお連れ合いの晴美さん。

後ろ右から二人目、犬を抱いているのが

チャルジョウ農場 2代目の小川未明(みはる) さん。

その右端が浅見さんと同じく冬は大和川酒造の蔵人となる板橋大くん。

そして研修生たち。

おや、手前一番右は東南アジアからのお客さん?

かと思ったら、福島県農業総合センターの研究員だった長谷川浩さんではないか。

震災後は福島県有機農業ネットワークの事務局長も務めていて、

ついに意を決して、ここ山都に就農された。

あのう・・・ 「若者たちの~ 」 なんですけど。。。

とまあカタい事言うのはやめときましょうか。

メンバーが増えることはイイことです。 受け入れましょう。

編笠、似合ってますよ。

 

この山間地で有機農業に挑む若者たちと出会って 6 年。

つなげてくれたのは、銘酒 「種蒔人」(たねまきびと)。

浅見さんやチャルジョウ農場主・小川光さんと出会い、

光さんから 「若者たちの販路がない。彼らにも販売の喜びと厳しさを経験させたい」

と託されて、できたのがこの野菜セットである。

今年もお届けできる喜びを、彼らと一緒にかみしめたい。

 

里山の環境を守り、未来にいのちをつなぐランナーたちへ。

今年も、あのオリジナル・ミニトマト 「紅涙」(こうるい) の感動を、

たくさんの人に届けてやってくれ。

 



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