エビ版「おコメ大百科」: 2013年6月アーカイブ

2013年6月 2日

生き物たちに囲まれて、田の草取り

 

講座レポートの途中だけど、本日の報告を。

 

今日は都内・芝公園で

『つながろうフクシマ! さようなら原発集会』 があるのだが、

心の中で連帯しつつ、千葉県は山武の田んぼに向かう。

先月植えた田の、大事な草取り作業が設定された日でもあるので。 

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伸び盛りのイネがドロオイムシに吸われている。 

ここが我慢、耐える時期。

頑張れ、頑張れ、と声をかけながら、草を取るのである。 

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心配していた雨はなく (本音は欲しいところなのだが)、

ちょうどいい天気になった。

いつものことながら、田植えより若干減るも、

集まってくれた参加者たち。 

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さあ、やるぞ、って感じ。

 


「 無農薬での米づくりは、この時期の草取りが大事なポイント。

 頑張って取ってください。」

 -地主、佐藤秀雄さんから挨拶と簡単な説明。

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昔からある除草機、田車(たぐるま) での実演をするのは

綿貫直樹さん。

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イネは害虫(という虫はいないのだけど) だけでなく、

雑草(という草はないけど) ともたたかっている。

 

虫たちもまた、命がけの繁殖期を迎えている。

卵を背負ったコオイムシ・・・卵が開いているように見えるのは、

もしかして孵化したあと? 

あとでハカセに聞いてみよう、と思いながら忘れた。

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コオイムシは、準絶滅危惧種にリストアップされている。

そしてこちらは絶滅危惧種、千葉県では最重要保護生物に指定されている

イチョウウキゴケ。 

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コケ類のなかで、唯一水の中で浮遊して生活する種。 

こういった絶滅が危惧されている生物が、

この田んぼでこれまで 7 種類発見されている。

生き物たちは食い合いながら共生関係を結んでいて、

その種の豊富さ(生物多様性) とバランスによって

環境の安定が支えられている。

 

無農薬・有機農業はその生命(=資源) 循環を大事にしながら、

持続的に命の糧を生産していく21世紀の技術である。  

「有機農産物」 にはJAS制度による認証が義務づけられているが、

生き物の豊富さこそが証明だと言う人がいる。

その視点には、僕も共感する者である。

 

有機農業での雑草対策もこの20年くらいでずいぶんと進化して、

今やいろんな技術があるのだが、

この体験田では、紙マルチを使う以外は、

基本である手取り除草でやってもらう。

そのほうが、田んぼがより近いものになる。

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仲良く、ね。 

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最初は泥を怖がる子もいるが、

慣れると、みんな 「気持ちイイ」 と言ってくれる。 

 

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草を取っているようで、

虫が目当ての子たちもいる。 

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イネを踏まれては困るんだけど、

まあ貴重な田んぼ体験、楽しんでくれていい。

そこは大らかに、大らかに・・・

   

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無事、作業終了。 

イネも喜んでくれているような姿に見えてくるから、

不思議だ。

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昼食後は、人気の陶(すえ) ハカセによる 「田んぼの生きもの講座」。

いろんな種のいろんな生態が語られ、子どもたちは食いつき、ついには-

ボクらはみんな生きている~ ♪ 

 

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お絵かきコーナー。

稲刈り後にどんな絵が完成するか、今はまだ誰も分からない。 

 

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緑の中で、虫との触れ合いに熱中する。

そういう時間が、子どもたちにはゼッタイに必要だと思う。

 

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ハカセがヘビをつかまえて、田んぼで泳ぐところを見せてあげると、

子どもたちを引率する。 

ヘビはダメだ。 子どもの頃からダメだった。 

田舎の実家では、夏の夜になると、光に集まってくる蛾をヤモリが食べ、

そのヤモリにヘビが喰らいつく場面などを窓の内側から見ることがあった。

ヤモリは家の中にもいて (まるで東南アジアだ) 平気だったけど、

しかしヘビとは間近で遭遇すると必ず鳥肌が立った。

ワタクシには、とても真似できない。

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最後に、みんなで手をつないで田んぼを囲む。

今年は輪にはならなかったけど、いい風景です。 

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一斉に手を伸ばして、虫たちも一緒に、今年も叫ぼう。 

僕らの田んぼは、美しい!

 

今年は梅雨入りが早いと言われた。

麦の刈り入れ時が気になる、麦秋の季節。

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山武は人参の産地だが、

「良い人参を作るには、輪作体系に麦を組み入れる」

とベテラン有機農家から教えられたことがある。

農作物を目の前のお金だけで計るような経済原理だけで考えていくと、

こういった知恵や技術は捨てられかねない。

土を痩せさせることは、生態系を細らせることでもあって、

それは恐ろしく不経済で不健康な世界につながっていくのだが。。。

 

農を守ることは、消費者の安全保障に欠かせない事柄だったはずなのに、

この国では 「農民」 は孤立し、絶滅に向かっているとさえ言われる。

 

頑張ろう! 有機農業。

 



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