エビ版「おコメ大百科」: 2014年2月アーカイブ

2014年2月28日

六本木で 「コメ展」 の開幕

 

  たうたう稲は起きた

  まったくのいきもの

  まったくの精巧な機械

 

  ・・・

 

  あゝ われわれは曠野のなかに

  芦とも見えるまで逞ましくさやぐ稲田のなかに

  素朴なむかしの神々のやうに

  べんぶしてもべんぶしても足りない

    (宮沢賢治『春と修羅』第三集-「和風は河谷いっぱいに吹く」)

 

コメ(稲作) がこの列島に伝播して 3千年。

いや4千年とも、もっと前との説まである。

常に胎動している地球という星の一角に、

自然変動の影響を激しく受けながら

浮いたり沈んだり割れたりしている島々があって、

そこで人々が暮らしの土台に水田稲作を据えたのには、必然的道理があった。

地形・地殻・気候条件とモンスーンによる雨(水) が織り成す風土の上に、

コメとともに文化を形成してきた倭の国。

 

時代は21世紀まで進み、社会はグローバル化(均一化) して、

日本人のコメの消費量はピーク時の半分まで減ってしまった。

とはいえ、このイネ科湿性植物との関わりから我々のアイデンティティを振り返ることは、

決して意味のないことではない。

進むべき未来を考える上でも。

 

東京・六本木の防衛庁跡地(その昔は毛利家屋敷)が再開発され、

7年前に登場した 「東京ミッドタウン」。

その庭園の一角に設えられた展示会場 「21_21 DESIGN SIGHT」 

(トゥワン・トゥワン・デザインサイト) で、

今日から企画展コメ展がスタートした。

 

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企画者は、長年お付き合いさせていただいている文化人類学者・竹村真一さんと、

デザイナーの佐藤卓さん。

開催に先立って、昨夜、内覧会のご招待を頂いたので、

覗いてきた。

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今なぜ 『コメ展』 なのか?

という声も聞こえてきそうだが、その問いに対しては、

今やっとかないとダメなんじゃない? と返しておきたい。

ディレクター・竹村さんは、パンフレットでこう記している。


  毎年千倍に増える魔法。 ~

  この豊かな稔りは、人と自然の共同作業の成果でもあります。 ~

  そして、田んぼはコメを作るだけではない。 ~

  いま日本のコメは揺れています。 ~

  コメの持つ本当の力は、こんなもんじゃないはずだ。

  一見自明のコメ、私たちが慣れ親しんできた  " 知っているつもり "  のコメを

  新たな視点で見直してみたい。

  

  この星の、とてつもない生命器官としてのコメの未来を探る旅に、

  おつきあい下さい。


未来を探る旅・・・ としての 『コメ展』。

一緒に巡ってみる。

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私は、おコメ。 

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「コメの惑星」、「コメと稲作の地球史」 を、

見つめてみよう。 


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「 " コメの国 "  がつくり出した風景。」

「それは先人たちの偉大な芸術作品でもある。」

そして、「日本は、稲作のお陰で水の豊かな国になった」 ことを。



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「過去に学ぶのは、未来をデザインするためなのだ。」

 

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「カエル目線」 という覗き窓がある。

田んぼも含めた生態系を再現した富山・魚津水族館から、

田んぼの中で蠢く生き物たちの様子が、中継されている。

それをカエルの目線で眺めてみる。 


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 コメの言葉。

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「コメびとたちの  " 経験資源 "  こそが、コメの国・日本の最大の資産かもしれない。」


日本列島、コメだらけだね。

ほんとうは、こんなモンじゃない(なかった) のだが。

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「すべての大切な風景は、あなたの中にある。」

その風景を、全国各地から届けてほしい。

投稿がリアルタイムで画像にアップされる仕掛け。


そう、ここであの、3年前にトライした、あの 「田んぼスケープ」 が、

バージョン・アップして再登場! となった。 

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日本列島の地図が描かれた 3 × 5m のパネルに、6つの窓が開かれ、

今はまだ、以前の投稿がそのまま映されている。

眺めていたら、こんなのが突如現れた。 

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佐渡市長江といえば、柿の矢田徹夫さんだね。

再開しましたので、また投稿してね。 お願い!


日本の田んぼに生きる仲間をつなげる窓、「田んぼスケープ」。

現在、参加(投稿) いただける方々を募集中。

竹村さんからの呼びかけ。


  一粒一粒のコメに、コメをつくる人の思いが込められている。

  それぞれのコメの背後に、コメを育む多様な風景がある。

  それに水田はコメをつくるだけではない。

  田んぼは生きものを育むシェルターであり、

  日本の大切な水道(みずみち) でもある。

  コメ展は、そうした人や風景を見える化する 「コメびと」 展でもありたい。

  TPP や減反廃止、後継者問題など農業も激動の時代だけど、

  新聞や TV からは見えてこない多様な現実があるはずだ。

  そこで実際にコメづくりを営む全国の方々から、

  田んぼの風景や生きものの写真、コメづくりに賭ける思いなどを

  ケータイから投稿いただき(今回はパソコンからでもOK)、

  それを会場およびウェブ上にリアルタイムに可視化することにした。

  題して 「田んぼスケープ」。

  コメをつくる全国の皆様、どんどん投稿してください!


生産者でなくても OK です。

田んぼの大好きなあなた、是非!

投稿してみようか、と思われた方には、

まずは最初の手続きについてご案内しますので、

こちらにアクセスしてください。

 ⇒ http://kometen.tanbo-scape.jp


僕もこれからボチボチと


なお、コメ展の開催は6月15日まで。

この国の土台を、改めて見つめ直す機会に。

ぜひ一度、お立ち寄りください。


竹村さんから、「5月に呼ぶから、体空けといて」 と言われた。

ううむ・・・ いやな予感がする。




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