稲作体験: 2008年10月アーカイブ
2008年10月18日
稲作体験米を食べる会
-という集まりが開かれる。
大地を守る会六本木分室の会議室を解放して行なわれた。
今年の 『稲作体験』 の田んぼで獲れたお米を食べながら、体験作業を振り返り、
みんなで感想を語り合う。 稲作体験19年の歴史で初めての企画である。
これも実行委員会が充実してきたからこそ、できることだね。
体験田の地主である佐藤秀雄さんに、田植えから協力してくれた綿貫直樹さん、
『いきもの博士』 の称号がすっかりはまった感のある陶武利さんも参加してくれて、
アットホームな雰囲気で、楽しく行なわれた。
田植えから稲刈りまでを振り返るスライドショーで、思い出にひたるひと時。
映像を見て、田んぼに帰ったような気分になって、
みんなでカードに感想やメッセージを書いてもらう " 思い出コラージュ " タイム。
楽しかったよ !!
豊作おめでとう。
また行きたい。
カエルや虫の絵を描いてくれた子もいる。
綿貫さんが、さんぶ野菜ネットワークさんが作ってくれたアルバムを持参してくれた。
懐かしそうに見入る親子。
話し込む、生産者 (右:佐藤秀雄、中央:綿貫直樹) と消費者。
ご飯のお供に用意したのは、塩、梅干、海苔、佃煮、お漬物・・・・・
これはこれで大地を守る会で扱っている品々の味見や比較ができる格好に。
お味は、いかがでしょうか。
さすが新米とあって、通常の水分量では多かったか、
柔らかく炊き上がってしまった。
炊飯器がレンタルということもあって、ちょっといつもと加減が違ったとの弁も。
でも皆さん満足されたようで、主催者としてはひと安心。
実はね・・・内心、ドキドキしてたんですよ。
こんなラベルを貼ってお届けします。
新米ですので、お水は若干少なめがよろしいようです。
食べ終わったところで、ゲストのお三方を囲んで、
田んぼでの交流会では聞けなかった話や質問を出し合う。
米作りの話から、野菜へと、はては子どもの頃の風景へと、
どんどん話が広がっていく秀雄ワールド。
陶さんには、子どもたちから、「いつからハカセになったんですか?」の鋭い質問。
・・・・・え~と。 実は小学校2年の頃から虫ハカセとか言われてました。
休み時間には、いつも水路に行っては虫を眺めてました。
算数の時間に机の上を水浸しにして、カタツムリの動きをずっと観察してたことがあります。
あれを許してくれた先生がいなかったら、僕は今頃・・・・・(ホントだよ、良かったねぇ。)
いい (忍耐強い?) 先生に出会えるってことは、とてもシアワセなことだ。
しかし、君たちが真似して、どうなっても、オラ知らないからね。
逆に直樹さんから、消費者の方々に質問。
「体験田での、一番の思い出はなんですか?」
答えは - 裸足で田んぼに入った時の感触、あれが一番だった。
この回答は、とても嬉しいものだ。
実は、こんなことを言う専門家がいるのである。
-昨今、米作り体験とか称して、手で田植えをする体験教室が流行りだが、
時代錯誤もはなはだしい。 今の農業は田植え機で植え、コンバインで刈ってるんだから、
やるならそういう今の時代の農作業を教えるべきだ。
だたの牧歌的、懐古趣味的な体験では、間違った現実を伝えることになりかねない。
こういう人は、ただ机上で教育論を考えているだけで、
農業体験の意味や価値が、どうもお分かりでないように思う。
いや、本来当たり前にあるべきなのに忘れてしまったもの、
僕らが取り戻さなければならないもの、について考えてないのだ。
農業の土台とは、土であろう。 実際に土に触れることが大切なのだ。
そして虫や雑草とも、彼らの目線で眺めたり触れ合ったりすることで、
生態系 (生命のつながり) を体感し、
農業の持っている豊かさや魅力や大切さへの想像力が養われる。
田んぼが愛おしくなった、の感想以上に価値ある言葉があるだろうか。
そこから生産と消費が紡ぎ直されてゆく。 今の時代に喪われたものを・・・
僕は農家でもなく農学者でもない。
これは稲作体験19年の経験からくるものでしかないけど、
延べにして2千人を超える人たちを田んぼに案内して得た確信ではある。
この確信がなかったら、続かなかっただろう。
詳密な技術論やコンバインの操作は、本気になってからでいいんだよ。
たった一ヶ月ぶりの再会なのに、
とても懐かしくて、ちょっと気恥ずかしくもある同窓会のような 「食べる会」 だった。
来年もゼッタイ参加します、という感想は、
抽選になってしまっている昨今、事務局にはつら過ぎるものでもある。