稲作体験: 2009年7月アーカイブ

2009年7月26日

草取りの季節

 

昨日 (7月25日) は、『大地を守る会の稲作体験2009』 2回めの草取りが行なわれる。

例によって20年変わらぬ風景。

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ここに180人近い人々が田んぼの草取りに集まってくれた。

今年は2枚の田んぼを借りたので、作業は2班に分散して行なわれている。

 

年々草が増えてくる佐藤秀雄さん (通称 「ひで田ん」 ) の田んぼ。

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特にコナギの増殖が激しい。

こいつは強害草といわれるほど、イネとの競合植物である。

 

こちらは今年から借りた綿貫直樹さんの田んぼ ( 通称 「なお田ん」 )。

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こちらもコナギは生えているが、ひで田んほどではない。

株の姿もしっかりしている感じがする。

 

しかし驚くことに、ひで田んのイネは、すでにパラパラと穂が出始めているのだった。

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この現象には、地主の佐藤秀雄の表情も曇っている。

「今年は取れない (=収量が上がらない) かも知んねぇ。」

 

挨拶する秀雄さん。

「草もいっぱいあるけども、まあ20年皆さんが無農薬でやってきた結果ですので、

 頑張って取ってください。」

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作業開始。

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手を熊手にして、取っては埋め、取っては埋める。

頑張る会員さんたち。

「大地の会員さんは真面目な人が多い」 というのは、

イベントをやるたびに言われる生産者からの評価である。

加えて、子どもたちの性格がいい、というのも定説になっている。

20年この作業を続けてきて、ぼく自身もまったく異論がない。

事務局として、いつも気が引き締められる。

 

ぼくはひで田ん班に編成されたので、なお田ん班の作業は見れなかったのだけど、

あとで写真を見て、感心した。

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草をリレーで外に出している。

草が少なく、かつ人手があるからできることだろうが、

それにしてもいいね、こういう田んぼの中のチームプレー。

 

ちなみに次の写真は、田植えの時には紹介できなかった、

なお田ん班の田植え風景。

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直樹さんの苗は、写真左下にあるセル苗である ( 3月28日日記 参照) 。

二つの田んぼの生育の違いは、土質や水環境、日当たり具合の違いもあろうが、

苗作りによるところが大きいのではと思われる。

 

私たちはここで、実に甘い計算をしていたことに気づかされるのだった。

イネを抜いて比較してみる。

すでに穂が出てきた田んぼと、まだ茎の中ほどに穂を孕み始めた田んぼ。

これでは......稲刈りは同時にできない! ということだ。

さて、どうするか・・・・・・20年目の実行委員会は試練続きである。

 

作業終了後の昼食・交流会風景。

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公民館の駐車場に4張のテントを設営して、こちらは生産者の話を聞き、交流する。

 

「これからの田んぼの作業は、水管理、に尽きます。」

と説明する、綿貫直樹。

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公民館の中では、子どもたちのカリスマとなった生き物博士・陶武利さんの

「田んぼの生き物講座」。

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とにかく子どもは虫が好きだ。

生態系とか生物多様性とかの理屈なんか関係ねぇ。

とにかく虫というものに夢中になる。

そして陶さんの 「この虫は、実は・・・・」 の話に聞き入る。

ぼくももういっぺん幼少の頃に戻ってみたいと思ったりする。

 

日が没したところで、昨年に続いての夜の生物観察会。

お目当ては当然、ホタルである。

 

今年もカラスウリの花を見ることができた。

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この時期の夜にしか咲かない。

夜行性の蛾を引き寄せ、蜜を与えるかわりに受粉の手伝いをさせる。

だから夜でも光るがごとく、輝く白である。

宮沢賢治の未完童話 『銀河鉄道の夜』 にも、

銀河の祭りの夜にカラスウリのあかりを川に流す、というくだりが出てくる。

「今夜はみんなで烏瓜のあかりを川へながしに行くんだって。 きっと犬もついて行くよ。」

 

しかもこの花は花筒が長く、スズメガのような長い口吻を持つ蛾でないと花蜜が吸えない。

なぜカラスウリとスズメガが、このような関係を築いてきたのか・・・・・

生命のネットワークと共進化は、実に神秘だ。

 

かんじんのホタルは?

夕方まで風が強かったせいか、ちょっと少なかったけど、しっかり飛んでくれました。

闇の中に流れる光の幻想的な軌跡には、どんな人も心を動かされるに違いない。

そしてきっと、大切にしたいと思うだろう。

写真はまたも失敗。

 

田んぼの草取りという労働のあとで、自然や生命の奥深さを感じとる。

草取りⅡは、すっかりホタルに合わせた日程になってしまった。

来年もこの日程でやるなら、一層の知恵と工夫と労働が必要だ。

 



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