自然エネルギー: 2012年8月アーカイブ
2012年8月26日
稲田を自然エネルギーの郷に・・・
連続講座・第4回を整理している間にも、
世の中は動いている。
今年の暑い夏のピーク時でも、電力は余裕を持って供給されたことが判明した。
関西電力管内も、大飯原発の再稼動がなくても
電力会社間の融通で足りただろうという結果である。
政府が3択で問うた原発割合に対する国民の回答は、
討論型世論調査で47%、意見聴取会で68%、パブリックコメントでは90%が、
「原発0%」 を支持した。
もはや 「勝負あった」 と言わざるを得ない。
当初の読みが外れた方々は、
「意見を言う人は反対派に多い」 とか、「偏りがある」 とか、
恥ずかしい強弁を始めたようだが、
上記の3形式で国民の声を聞いてエネルギー政策を決める、
と言ったワケなんだから、その方針に沿って進めてもらわねばならない。
さて、僕らも前に進まなければならない。
8月23日(木)、福島県須賀川市・ジェイラップを訪問して行なった
小さなミーティングの報告をしておきたい。
同行していただいたのは、環境エネルギー政策研究所(ISEP) の研究員、
浦井彰さん。
ジェイラップ代表・伊藤俊彦さんとずっと話し合ってきたことを、
いよいよ実行に移そうという魂胆である。
「ここ稲田地区を、エネルギー自給率100%の郷にしよう。」
構想は、太陽熱・風力・水力・バイオマスのベストミックスであるが、
まずは、自分たちでできるところから始めよう。
ジェイラップの施設の概要を浦井さんに見てもらい、
太陽光パネルの設置について検討する。
屋根の方角から耐荷重の問題、電線の位置などチェックし、
「これなら相当できる」 という感触を確かにする。
しかもセンターの倉庫は、屋根にスプリンクラーが設置されていて、
井戸水を汲み揚げて水を散水する仕組みになっている。
夏に倉庫内の温度を一定に保たせるための工夫で、
たしかに倉庫内は涼しく快適なのだ。
「これでパネルを冷やせば発電効率はぐんと上がりますよ!」 と
浦井さんも嬉しそうに話す。
こんな感じ。
こちらは、例の食品の乾燥工場。
南向きの屋根も、なにやら主張していないか。。。
丘の上から全体を眺めながら、会話が弾む。
問題は、風力・水力・バイオマスとなると、
地元住民合意の上で、地域一体型で進める必要がある。
そのための具体的プランを描かなければならない。
ま、そこはダテに何度も酒を酌み交わしてきたわけではない。
イメージはできている。
今回同席いただいた上の写真左の背中の方は、
水道や浄化槽のメンテナンス業を営む 「(株)ひまわり」 という会社の、佐藤博社長。
須賀川で取り組まれている 「菜の花プロジェクト」 のリーダーであり、
今年4月に開催された 「第12回全国菜の花サミット in ふくしま」 (※) の
実行委員長も務められた方である。
(※) 過去のブログ参照 ⇒ http://www.daichi-m.co.jp/blog/ebichan/2012/04/29/
http://www.daichi-m.co.jp/blog/ebichan/2012/04/30/
休耕田や転作田を使って菜の花を栽培し、
ナタネ油を絞って学校給食や家庭で利用してもらい、
廃油を回収してディーゼル燃料 (BDF) に精製して、ゴミ収集車を走らせる。
昨年3.11の直後にガソリンがなくなったときも、
須賀川では3台の収集車がいつも通り回っていたという話である。
すでに基盤はあるのだ。
こういった地元の静脈産業や企業・自治体・住民を巻き込んで、
エネルギー自立の町を、フクシマに建設する。
バイオマスでは 森林除染に貢献できるものにしたい、というのが野望である。
環境再生とともに、食の安全もはかられる。
長い道程になるだろうが、誰かが始めなければ進まないし、
これは、稲田の米が当たり前に生産し続けられる(=食べてくれる) ことで、実現することなのである。
(株)ひまわりで、廃食油の精製プラントの説明をしてくれたのは、
総務部長の岩崎康夫さん。
なんと、大地を守る会の備蓄米の生産集団である 「稲田稲作研究会」 の元代表、
岩崎隆さんの弟さんである。
こういうつながりを発見するのは、本当に楽しい。