食・農・環境: 2009年10月アーカイブ

2009年10月20日

地球大学アドバンス -日本の 「食」 をどうするか?

 

東京駅前・新丸ビル10階、ECOZZERIA (エコッツェリア)

 

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大手町・丸の内・有楽町一帯を環境共生型のまちにしょうという

「大丸有環境共生型まちづくり推進協会」 の事務局が設置されていて、

環境に関する様々な情報を発信する基地として、またエコを創造していく 「広場」 として、

開設されている。

 

大地を守る会とは20年以上のお付き合いである文化人類学者・竹村真一さんは、

エコッツェリアのコンテンツ・プロデューサーとして参画している。

彼が開発した 「触れる地球」 も常設されている。 

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この実際の1,000万分の1サイズのデジタル地球儀は、

2005年にグッドデザイン賞を受賞したものだが、デザインという範疇を遥かに超えた、

新しい現代的な想像力を刺激する偉大な 「発明」 である。

地球の気象や環境変化の様子が、インターネット情報をもとに

リアルタイムで映し出されるという、壮大な可能性を秘めたものだ。

全国の学校にひとつ、あるといい。 

 

さて、ここで月に一回のペースで開催されている 「地球大学アドバンス」 。

毎回いろんな角度から地球的課題が取り上げられてきた。

23回目となった昨夜のテーマは、

『 日本の 「食」 をどうするか? - 「地球食」 のデザイン、日本食の可能性 』 。

 


 

ゲストは、スローフード・ムーブメントを日本にもたらした

ノンフィクション作家・島村奈津さんと私。

 

話は、竹村さんからの論点整理を導入部として、

戎谷が約40分 (30分と言われていたのだが) 話をさせていただき、

それらを受けて、竹村さんと島村さんがトークを展開して全体質疑へ、

という流れで進められた。

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( ポジションが悪く(?) て写真は取れず。

 上の写真は島村さんのご友人である中村哲さんから提供を受けたもの。)

 

自分が話した内容をつらつら語るのは恥ずかしいが、

今の 「食」 をめぐる社会状況や自給率の問題、その背景としての

農業・食料政策の変遷とグローバリゼーションの問題、

そしてそれらの結果としての農業の公益的機能や生物多様性の脆弱化は、

私たちの 「食」 = 生存条件をきわめて危ういものにしてきていること。

私たちは、何を食べるかによって何とつながるか、の重大な選択を迫られている、

というよな話を偉そうに早口でまくしたてたのだった。

 

かたや島村奈津さんはソフトでフランクな語り口が魅力的な方で、

各地のスローフードの先進事例を紹介しながら、

特にアジアの多様性と食文化の豊かさについて強調された。

 

質問はけっこう多岐にわたって、ここに集う人たちの幅の広さ

(研究者から企業の方、自治体の方、地域開発や環境教育のNPO、学生などなど) と、

バラエティに富んだ問題意識は、僕にとっても刺激的なものだった。

 

時間を相当に延長して、最後はスローな食事で懇親会。

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新丸ビル7階にある 「MUSMUS (ムスムス)」 という蒸し料理レストランからの提供。

今日は秋田の食材でまとめた、とのこと。

旨い酒も用意されて嬉しかったのだが、いろんな人につかまって、

話しているうちにお開きとなってしまった。

でもそれだけたくさんの方から質問やら意見をいただけたのだから、満足すべし。

 

2年ぶりの地球大学からのお声がかりで、

用意したパワーポイントはこれまでのつぎはぎのようなものだったけど、

ま、ちょこっとは進化した部分をお見せできたのではないかと思っている。

 



2009年10月18日

種まき大作戦 -『土と平和の祭典2009』

 

東京・日比谷公園は、良い天気に恵まれた。

『大地に感謝する収穫祭 -土と平和の祭典-』 の開催。

半農半歌手・Yae ちゃんが実行委員長を努める 「種まき大作戦」 のイベントである。

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謳う Yae 。 もう2児の母である。

 

  今、世の中には、将来に不安を抱え、仕事もできず、どうしたらいいのかわからない

  若者が増えている。 でもその反面、確かな目的を持って、元気いっぱいに突き進む

  若者たちが急増している。 本当の豊かさとは? 幸せとは何か? 

  自分にとって無駄なものをそぎ落としていったところに満たされるという価値が存在すること。

  「楽しくなければ人生じゃない」 と言った父の言葉は、今輝きを帯びて、

  私たちの心に語りかけてくる。

 

お父さん (藤本敏夫さん/大地を守る会前会長) の志を受け止め、

歌いながら鴨川自然王国で農を実践する、まったく強き女性になった。

 

こちら 「種まきファーマーズ・マーケット」 の風景。

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大地を守る会も祭典に参加。

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青森・新農業研究会のリンゴ、長崎有機農業研究会のミカン、

沖縄・畑人村の無農薬バナナ、関東各地からの無農薬野菜などをブースに並べ、

生の人参試食やリンゴジュースの試飲でPRする。 


 

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千葉・さんぶ野菜ネットワークもブースの一角に陣取って、

野菜ミックスジュースの販売で協力してくれた。

 

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埼玉から応援に来てくれたのは、本庄の瀬山公一くんとゆみさん夫妻。 

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「借金知らず」 とかいう品種の枝豆を茹でて持参してくれた。

「大地さんに食べてもらおうと思って・・・・・」  -クゥッ!...ありがとう、グスン。

美味しかったよ。

 

今回、大地を守る会ブースを華やかにしてくれたのが、

タレントやモデルさんたちで結成された 「メルマガ農業部」 の方々。 

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山武の畑で農業を実践するニューウェーブの芸能人たちだ。

手前の方が MEGUMI さん。 母になって食べものの安全性に目覚めたとか。

真ん中の麗しき娘さんが、モデルの KANA さん。

後ろにいる鈴木克法!(山武の生産者です)  鼻の下が伸びてないかぁ。

さんぶ野菜ネットワーク事務局の花見博州(写真左) も、

心持ち、いつもより気合いが入っているような・・・。

 

この少女もタレントさんだとか。

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たしかに、ジュース販売では一番の稼ぎ手だったような気がする。

「お願いしま~す」 なんて元気よく声出して。 僕も思わず買っちゃう!

 

こちらもタレントの愛川ゆず季さん。

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別世界の方々だと思っていたモデルさんやアイドルさんたちが、

畑仕事に精を出し、野菜を売る。 この現象は何なんだ?

農家のこせがれ諸君! 農業はカッコいい!んだって。 本気でつかむか、時代を。

 

彼女たちがデザインした麦わら帽子はすぐに売れちゃったようだ。

これは軍手。

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なんだか使うのがもったいないようなデザイン。

フィットしたので僕もひとつ、買ってしまう。

 

トークステージでは、「列島縦断農家トーク」 が行なわれていた。

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ゆっくりとは聞けなかったけど、

秋田・花咲農園の戸澤藤彦、山形・庄内協同ファームの富樫俊悦、

千葉・さんぶ野菜ネットワークの鈴木克法、愛媛・無茶々園の宇都宮俊文、

長崎有機農業研究会の溝田督史・・・いずれも有機農業の次代を担う面々。

それぞれに農業にかける思いや消費者へのメッセージを語っていた。

若者らしく、軽~い辛口批評も交えながら。

 

全国有機農業推進協議会が用意した就農相談コーナー。 

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けっこうな手ごたえだったようだ。

イベントの終盤、慰問に覗いた私に、" ちょうど良い客 "  が来てしまった。

「農家を継ぐだけじゃなくて、自分で会社を興して " 売り "  もやりたいんっすよね」

とかのたまう若者登場。

担当者 - 「そんな相談には乗れないわ。 この人に聞いて」 と俺に指を指す。

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若者相手に偉そうにブっているエビがいた。

 

今回は全体を見て回る時間が持てなかったが、かなりな人が入った模様である。

噴水広場のビッグ・ステージ前の芝生は、後ろの方まで全体に人が入っていて、

くつろぎながらステージの音楽を楽しんでいた。

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このあと、Yaeちゃんの母、加藤登紀子さんも登場したようだが、お会いできなかった。

昔、お登紀さんちに配達してたなんていっても、もう覚えてないだろうなぁ。

雪の日に飯を食わしてもらった 記憶 は、僕の原点のように刻まれているのだけど。

 

あれから20数年。 

ヒトは意外と滅びへの道をただ走ることなく、しぶとく  " 農  "  に回帰し始めているよ。

どうもそれは、知識や理屈というより、

DNAに導かれているようにも思えたりするのだった。

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藤本さんが残した言葉  - 楽しくなければ、人生じゃない。

究極の命題のような気がする。

 



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