食・農・環境: 2010年12月アーカイブ

2010年12月 8日

「都市の食」 ビジョン

 

時間は矢のように過ぎて、巷の空気はもう Merry Xmas だ。

30回目のジョン・レノンの命日がやってきて、街に HAPPY XMAS の曲が流れている。

老いた人も若い人も、肌の黒い人も白い人も、金持ちの人も貧しい人も ~

A very Merry Xmas , And a Happy New Year ~

War is over!

If you want it  

War is over! Now!

歴史的アルバム 『イマジン』 と同じ年(1971年) に発売された、

ジョンとヨーコの 「愛と平和」 のメッセージ。

「 あなたが望むなら  戦争は終わる! ハッピー・クリスマス  ジョン&ヨーコ 」

 

願いの込められた Merry Xmas を聞きながら、

昨日は午後から丸の内での会議に出向いていた。

新丸ビル10階 - いつもの 「エコッツェリア」。

ここで 「丸の内地球環境倶楽部 都市の食ワーキング・グループ」 という集まりがあって、

今年の春より 「都市の食」 のあるべき姿をビジョンとガイドラインにまとめる作業を進めてきた。

一方で丸の内シェフズクラブによる 「食育丸の内」 が展開されてきたことは、

この間お伝えしてきた通りである (直近では 10/18の日記 をご参照ください)。

 

「都市の食」 ガイドライン策定では、

『 " 食 "  を通じた 「都市」 と 「生産地」 による持続可能な環境共生型の地域づくり 』

を目的として、次のようにポイントが整理された。

◆消費者のために・・・ ①おいしい食 ②安全・安心な食 ③身体にいい食

◆つながりを取り戻す食・・・ ④自然とつながる食 ⑤人とつながる食 ⑥地域とつながる食

◆大丸有だからできる食・・・

  ⑦本物を知る食 ⑧創造力を育てる食 ⑨世の中を変える食 ⑩自分でつくる食

 

このガイドラインを形にしてゆくために、提供者・流通者がそれぞれに行動指針を持ち、

具体化に向けた検討の段階へと進む。

昨日はそのための、改めての検討会の立ち上げである。

第1回  『 「都市の食」 ビジョン具体化に向けたまちづくり検討会

            -大丸有 食の低炭素化と自立に向けて- 』

予定では2月の第3回までの間に骨格をつくり上げる計画だ。

いわば第2ラウンド、根幹となる物流の仕組みづくりとなり、

僕はステークホルダーとかいう立場で引き続き関わらせていただくことになった。

ビジョンに賛同する生産者とレストランを、それぞれの立場や都合をマッチングさせながら、

しかも効率や環境負荷にも考慮しながら、結ぶことができるか。

価値のネットワーカーでありたい、などと偉そうなことをほざいてきた者の

まさに真価が問われる場になってきた。 血が騒ぐ・・・

 


検討会の座長は金沢工業大学産学連携室コーディネーター・小松俊昭さん。 

ステークホルダーには、環境省や農水省、東京都も参画している。

第1回目の検討会はお互いのイメージや課題を出し合うような形となったが、

次からいよいよ本格的な議論になる。

 

会議終了後、ビジョンとガイドラインに沿った食材の試食会が持たれた。

東京都内の生産者の野菜、八丈島の海産物を、

フレンチのお店 「イグレット丸の内」(新丸ビル5F) の市川健二シェフが

素材の特徴にあわせて調理してみせてくれた。 

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そして大地を守る会は、テッテイして国産にこだわった食材の提供として、

東京駅エキュートのお弁当・お惣菜店 「大地を守る Deli 」 からのケータリングで協力。

 

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国産素材だけで色々なラインナップが可能です、という提案。 

ただ Deli はケータリングの体制を持ってなく、また初めての年末体制ということもあって

神経ピリピリ状態だったのだが、何とかイレギュラーなオペレーションをこなしてくれた。

容器等は一般品でご容赦願う。

 

産地・生産者グループが特定でき、フードマイレージも表示できる。

フードマイレージについては、広報室・大野由紀恵が説明する。

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畑とレストランそして消費者を結ぶ、しかもガイドラインで示された理念を体現する形で。

自給率の向上に、食文化の発展に、そして食べる人の健康や豊かさの実感にも貢献する

新しい仕組みづくり。

いろんな視点での  " 結び "  の作業が、これから始まる。 

 



2010年12月 4日

いのちの海を守りたい

 

先週は金曜日にもう一つ夜の集まりがあったので記しておきたい。

 

11月26日(金)、幕張の本社に祝島 (いわいしま) からお客さんがやってきた。

山戸孝さん。 山口県熊毛郡上関町祝島在住。

びわ農家であり、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」 のメンバー。

9月5日の日記 で紹介した元祝島漁協組合長・山戸貞夫さんの息子さんだ。

鎌仲ひとみさん監督の映画 『ミツバチの羽音と地球の回転』 にも登場している。

 

本来は翌日に開かれる 「上関どうするネット」 の集会に合わせて上京されたのだが、

到着したこの日の夜に時間をとって千葉・幕張まで訪ねてくれた。

そこで専門委員会 「大地・原発とめよう会」 のスタッフが中心になって、

「孝さんを囲んで話を聞く会」 が用意されたのだった。

 

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孝さんはほとんど寝てない状態だという。

埋め立て工事を強行しようとする中国電力の作業台船 (地盤改良船) が、

26日の午前1時に工事を断念して引き揚げるまで、抗議と監視を続けてから

こちらに駆けつけてくれたのだ。

 

28年も経って、ここにきて埋め立て工事を急ぐのも、

2012年9月までに埋め立てを完成させなければ免許が失効するからだとか。

まあそれもきっと延長申請されるのだろうが、

未だに2本のブイを立てたのみという実態と、この先つぎ込まれるであろうお金を鑑みれば、

やっぱりこの原発計画は白紙に戻すことこそが賢明な  " 歴史的英断 "  というものだろう。

 

この間の経過を現地感覚で感じ取りたい方は、

ぜひ 祝島島民の会のブログ をご参照願うとして、

この日の孝さんの話は、ただただ島の暮らしを守りたいという、

一徹でかつ素朴とも言える  " 生き方 "  の問題だった。

 

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島で千数百年にわたって継承されてきた祭り 『神舞(かんまい)』 を守りたくて、

10年前、孝さんは島に帰ってきた。

この島で生きるということは、この島で死ぬことなんだと、その覚悟を持ったことで、

原発の問題も語れるようになった。

 

生物多様性のホットスポット、「瀬戸内の楽園」 と謳われるこの地で、

海とともに生きたい。

朝日が昇る方角の目の前に原発を眺めながら日々を暮らし、

ひとたび事故が起これば、私たちはどこにも逃げられない。

「反対するしかないでしょう。」

 

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じいちゃん・ばあちゃんたちは病気になると本土の病院に搬送されるけど、

みんな 「島に帰りたい」 「島で死にたい」 と言って泣く。

みんなが安心して最後まで暮らせる島にしたい。

島民の緊急時の搬送体制の確立、高齢者福祉・介護の充実化、

島の歴史的・文化的遺産の見直しなどに取り組みながら、

孝さんは経済的自立と地域活性化に向けて、

島の特産品を販売する 祝島市場 を運営する。

そして将来はエネルギーも自給したいと夢を、じゃない、プランを語る。

「私たちは食べものを選べる時代に生きてますが、まだ電気は選べない。

 何によってつくられた電気なのか、それを選択して暮らせる社会にしたいです。」 

 

エネルギーと自然環境が調和したモデルケースにしたい。

山戸孝は反対者であるより、未来開拓者だ。 

 

「もっと話をしたい。」

散会の後、緑提灯の店に流れる。

孝さんの目がしょぼしょぼしてきている。 明日が本番だというのに。

それでも、語り合いたいという思いのほうが強くて、なかなか終われない。

 



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