食・農・環境: 2011年4月アーカイブ

2011年4月23日

ファイトレメディエーション

 

放射能による土壌汚染の程度によって、

米の作付を見合わせる (米を作るな) 、という指導がされ始めている。

この判断は、いいのか? 逆じゃないのだろうか?

 

 - と前回書いたが、思うところを書いてみたい。

 

昨日、原子力災害対策本部長・菅直人内閣総理大臣は、

福島県知事に対して指示を出した。

「貴県のうち、避難のための立ち退きを指示した区域 (半径20km圏内)

 並びに新たに設定した計画的避難区域及び緊急時避難準備区域においては、

 平成23年産の稲の作付けを控えるよう、関係自治体の長及び関係事業者に

 要請すること。」

 

そして農林水産省では、稲の作付けを禁じる基準として、

「土壌中の放射性セシウム濃度が土1kgあたり5,000ベクレルを超える水田」

と設定した。

これは過去のデータから、水田の土壌から玄米への放射線セシウムの移行は

10分の1と示されたことによる。

つまり、玄米中の放射性セシウム濃度が、食品衛生法上の暫定規制値(500ベクレル)

以下となるための土壌中放射性セシウム濃度の上限値は5000、というわけだ。

過去のデータとは、独立行政法人農業環境技術研究所が、

1959年から2001年まで、全国17カ所の水田の土壌および米の放射性セシウムを

分析した合計564の測定データで、それをもとにして算出された。

 

福島県内の水田113地点の土壌を検査した結果、

幸いにして (という言い方は不適切か)、20km圏内および避難区域外からは

基準を超える水田はなかったようだ。

避難区域はその意味からしても、営農そのものが持続困難なのだが、

それにしても、ただ 「作るな」 でいいのだろうか。

また仮に区域外で基準超過の水田が発生した場合においても、

「作るな」 より 「作らせる」 ほうがよい、と僕は考えるものである。

 


もちろんその米を人に食わせてよい、と言っているのではない。

稲が土壌の10分の1を吸い上げるのなら、何もしないより、

むしろ稲にセシウムを吸わせて土壌を浄化させる方がよい。

収穫された米は東京電力さんに買い取ってもらって、バイオ燃料にする。

燃料にしても移動したセシウムの問題はついて回るかもしれないが、

生命をつなぐ基盤である土壌からの除去・浄化は何より必須の課題である。

しかも、半減期30年というセシウムが相手なので、

基準値を超えた水田では 「来年はつくれる」 という保証もない。

何もしないで放置された水田はだんだんと再生が困難になってゆく。

「つくり続ける」、作り続けながら土壌の浄化を進める、のがよい。

 

土壌に蓄積された様々な汚染物質 (重金属類や農薬、PCB、ダイオキシン類等々) を

植物の持っている機能や力を利用して吸収させ、あるいは分解させることで

土壌を浄化する技術がある。

「ファイトレメディエーション」 という。

 

植物が大気や水を浄化する機能を持っていることは多くの人が知っていることかと思う。

逆に、植物によって特定の有害物質を吸収(蓄積)する特質があることも、

部分的ではあるが分かってきている。

こと放射性物質についていえば、

アカザ科の植物がセシウムに対する吸収特性が高いことが確かめられている。

アカザ科 -野菜でいえばホウレンソウ! だ。

福島原発事故はまさにそれを証明してくれた格好になったか。

しかしそれはまた、ホウレンソウが指標作物になる、ということでもある。

土壌からの除染だけを考えるなら、回転の速いホウレンソウを植えまくる、

という考え方も、ないわけではない。

現実には、そのホウレンソウをどうするか、だけど。

 

こういった植物を、汚染物質を吸収するからといって排除するのでなく、

むしろその力を借りて浄化に取り組もうというのがファイトレメディエーションである。

チェルノブイリ原発事故では、菜の花 (菜種) やヒマワリを栽培することで

土壌浄化に効果があったというのは有名な話で、

篠原孝・農林水産副大臣はこの手法を提唱している。

 

汚染土壌の修復に土の入れ替えといったことが言われているが、

20km圏内に加えて避難区域まで含めた広域にまたがる水田土壌を入れ替えるなんて、

不可能というより絵空事としか言いようがない。

とにかく物理的あるいは化学的な方法による修復は、べらぼうなコストがかかる。

ファイトレメディエーション技術は時間はかかるが、

エネルギー消費やCO2の排出といった環境負荷がなく、

汚染土壌の拡散を防止できるし、緑化にもつながる。

太陽エネルギーによって植物が生長する、ただそれだけで環境汚染物質を

土壌から吸い上げていくという、究極の環境調和型修復技術であり、

経済合理性に適った考え方として、

欧米ではすでにその応用、つまりいろんな形での産業化が進んでいるものである。

 

ファイトレメディエーションにはいろんな考え方・方法が研究されている。

生長中の植物の根から分泌される物質によって根の周りに微生物が増加する原理

を応用して、汚染物を分解・無害化する菌を繁殖させるという方法。

あるいは植物根や分泌物に汚染物質を吸着させることによって

固定させる (地下水への流出を防ぐ) といった方法、などなど。

 

読みにくいカタカナを駆使して書いているけど、ここまでくると要するに、

根圏微生物を増やす、つまりは土壌を肥沃にしていくことが、

有害物質の除染にも有効である、ということになる。

有機農業の力はここにある、というのがわたくしの結論である。

 

「化学肥料でも肥料効果は同じである。」

あるいは 「農薬は適正に使えば、農産物の安全性は同じである。」

こういう論がいまだに跋扈しているが、土から目線で言えば、

農薬は土壌に残留する有害物質のひとつであり、いずれ植物に吸収される。

化学肥料は植物を育てる食べ物にはなっても、土壌の肥沃性を増すものではない。

最終的に放射性物質も含めた汚染物質を除去あるいは固定・無害化する力は

菌であり、それを育てる土壌の力、ということになる。

土が豊かであるほど、私たちの健康は保たれる。

その関係にあることを忘れてはいけないだろう。

 

私たちが有機農業を目指す生産者たちを大事にしたいと思うのは、

環境修復の担い手でもあると思うからだ。 

それは長期的な時間でみれば経済合理性にも適っている。

 

いずれにしても、自然界の力と調和しながらきっちりと安定化させていく、

といのが最も効率がいい、ということになると思うが、いかがだろうか。

 

大切な食料基地でもある福島を、荒涼とした大地にしてしまうのでなく、

稲やヒマワリや菜の花を咲き誇らせながら修復へと向かおうよ。

その田園はきっと僕らに 「希望」 を語りかけてくれるはずだ。

 



2011年4月16日

原発はいらない! と タン君も叫んだ。

 

予告してしまった以上は実行しないとまずいか。 まずいね。

天下無敵の百姓どのにもしっかりコメントで発破かけられちゃったし。

 

4月16日(土)。 渋谷、宮下公園の先にある神宮通公園。

短角牛の短君を台車に乗せて(こいつは自力では歩けない)、午後1時過ぎに到着。

だんだんと人が集まってきて、2時には公園に収まりきれないほど膨れ上がった。

 

「野菜にも一言いわせて! さよなら原発デモ!!」

やるしかない!

 

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                                   (あ・あ・・・右手が落ちた・・・) 

胸のプラカードは夕べやっつけで作ったもの。

気温がどんどん上がる中、まるでサウナ状態 (-_-;) 。

 

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いや、泣き言はやめよう。

牛にも一言いわせろと、せっかく岩手から応援参加してくれたんだ。

東北の風土に根ざし、東北の大地に生きて、100%国産飼料で育てられた日本短角牛。

この仔には岩手の畜産農家たちの思いが託されているのだ。

腹をきめて、

行くぞ~! オオーッ! (写真左の人は弊社広報グループ・中井徹) 。

 

東北の方々の思いを背負って、なんてとてもできないけど、

都会の消費者に、少しでもメッセージを伝えたい。

" 美しい大地と きれいな海を とりもどそう "

そのためにできることを考えよう。 子どもたちの未来のために。

 

デモの前に集会が始まる。 

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被災地の原発被害の状況を、

グリーンピースジャパンの高田久代さんが報告する。

次に各地からの悲痛な叫び声が伝えられる。 

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真剣に聞き入る参加者たち。

涙する女性もいる。

 

茨城から、オーガニックファームつくばの風の松岡尚孝さんも参加。

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大きな希望を抱いて就農して3年。 

自分たちが受け入れた覚えもない放射能によって、ホウレンソウも、のらぼう菜も、

出荷できなくなった。

出荷できる野菜まで影響を受けているが、それでも自主的に検査をして

責任を持って届けたいと頑張っている。

今はとにかく、明日につながる道筋がほしい。

 

千葉県成田市三里塚に就農した若者が決意を語った。

「楽しく、いきいきと生きたい、そう思って成田に就農した。

 もしかしたら僕たちの農地も汚染されてしまうかもしれない。

 でも僕は、何があってもここに残って農業をやる、やり続けると決めました!」

 

福島の農家からのメッセージが読み上げられ、

続いて流通の立場から発言を求められる。 

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たんくんのままではきつかったので、頭は脱がせてもらう。

 

私たちは原発を 「トイレのないマンション」 と呼んで、ずっと反対してきました。

原発は温暖化防止に貢献できるエネルギーでもありません。

ひとたび事故が起きた時のリスクは測り知れないものになる。

・・・それがついに現実のものとなってしまいました。 実に辛いですね。

 

20km 圏内の仲間の生産者は、慈しんだ大地を離れて避難しています。 

一人は、もう帰れないと諦め新天地を探し始めました。

30km 圏内に畑を持っていた生産者は、

屋内退避勧告に応じず、敢然と畑に通ったのですが、

その努力は報われることなく、出荷を断念せざるを得なくなりました。

その圏外にも放射能は飛び、たくさんの生産者が被害を被っています。

いくつかの市町村がまるごと捨てられる、これが原発が持っているリスクです。

 

そんな中で私たちは、食べられるものは食べようと呼びかけ、

福島・北関東の農家を応援する野菜セットの販売を始めました。

食べることでつながりが確かめられ、

消費者は応援していると生産者に少しでも希望のメッセージになればと願っています。

そしてみんなの力で、

新しい 「いのちと暮らしの安全保障システム」 を築いていきたいと思う。

そのシステムには、原発というハイリスクで超コスト高な装置は入る余地はありません。

(廃炉まで10年という時間とコストとその間の汚染を想像してみてほしい)

 

希望はこの道にある。 そう信じて今日は皆さんと一緒に歩きたい。

 - とまあ、そんなふうにスピーチするはずだったのだけど・・・ 68点。

 

PARC理事で出版社・コモンズ代表の大江正章さんが、集会をまとめた。

 

原発事故は人災と言われているが、

復興構想会議の特別顧問となった哲学者・梅原猛さんの言葉を借りれば、

 「文明災」 である。 文明が裁かれているとは、まさにその通りだと思う。

原発がなくても、私たちの暮らしは何ら問題はない。

いま日本は電力の29%を原発に頼っているが、その数字を引いても

1985年当時の電力量より多い。

はたして85年はそんなに不便だったろうか。

かたや、内閣府で出している国民生活白書を見れば、

生活の満足度は84年をピークに、85年からずっと下がりっぱなしである。

原発はいらない! をみんなで確認して行進しましょう。

 

では、いざ、出陣! です。 

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短君、カッコイイね。 堂々としているぞ。

 

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神宮通公園からJRのガードをくぐり、東電の電力館前で

一斉にシュプレヒコールが上がる。

オールドスタイルの掛け声は、もうやめたほうがいいんじゃないかと、ふと思う。

それより、道行く人たちに向かって

「原発のない社会をつくりたいのです。 どうか一緒に歩いてください」

と真摯に語りかけた方のほうが好感が持てた。

 

あれ。

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エビが疲れた表情で歩いているけど、短君じゃないの?

いえ。 集会の1時間だけ着て、デモに移る時に若手の O 熊くんにバトンタッチしました。

こういう経験は若いうちにさせなければ、という美しい先輩心です。

水色のシャツはびしょ濡れです。

 

O 熊くんは頑張りました。

渋谷駅前では注目度ナンバー1 じゃなかったか。

国内外の報道系だけでなく、通行人からも車の運転席からもカメラを向けられ、

ちょっと得意にポーズをとったりして。

「渋谷の駅前はチョー気分よかったっすね。」

お疲れさまでした。

 

応援に来てくれた会員の皆様、スタッフの方、そのご家族の方。

急な集会でしたが、来ていただいて有り難うございました。

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プラカードを持って、お巡りさんにガードされながら、車道を、声出しながら歩く。

なかなかに照れくさいもので、通行人に呼び掛けているのだけど、

目を合わせるのは何となくはばかられる。

手を振ってくれる方もいれば、胡散臭そうに眺める方もいる。

 

ハーヴァード大学名誉教授の社会生物学者で、2度のピューリツアー賞を受賞した

知の巨人、エドワード・O・ウィルソンは書いている。

「 抗議活動団体は、自然経済の早期警戒システムであり、

 生きている世界の免疫反応である。」 (『生命の未来』 角川書店 )

 



2011年4月 9日

原発とめよう会の緊急講座から

 

「福島と北関東の農家がんばろうセット」 を企画した途端、

マスコミが殺到してきた。

風評被害から農家を守ろう、という取り組みはそれほど珍しい、ということなんだろうか。

たしかにここにきてスーパーマーケットでも

「福島応援フェア」 などが開かれたりしているが、

普通のコーナーに並べられることはない。

僕としては 「(流通OKなものは) 普通に食べようよ」 と言いたいだけなんだけど。

それよりもっと大きな方向にベクトルを向かわせたいと思うのに。

 

一昨日(4月7日) は、NHKさんから取材を受けた。

昨日の夕方の首都圏ニュースで3分ほど流れたようだけど、

自分は外での会議に出席していて見ることができなかった。

応援セットの主旨より放射能の自主検査について色々と聞かれてしまい、

これについてはわずかでも間違ったことをいうわけにはいかないので、

カメラの前で言葉を選んでいるうちに、自分でも緊張してくるのが分かった。

見た方からの感想は 「ちょっと元気がなかった感じ。 疲れてる?」 。

いえ、喉が渇いて、大きな声が出なくなっちゃったんですよね、トホホ。。。

でも視聴者から 「私も応援したい」 という連絡も入ったようなので、

その報告だけを記憶して、今日は寝ることとしよう。

 

いや、寝る前に、今日開かれた講座の報告をしておかなければならない。

大地を守る会の専門委員会 「原発とめよう会」 が開催した

緊急講座- 「福島原発とどう向き合うか」

場所は、新宿区早稲田にある 「戸山サンライズ」の大研修室。

講師は、原子力資料情報室共同代表の伴英幸さん。

 

仕事の都合でちょっと遅れて行ったところ、定員200名の席がほぼ埋まっていた。

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原発をテーマにして、これだけの人が集まったのは、チェルノブィリ以来だね。

心境は複雑である。

 


原発事故や放射能についての解説は、原発とめよう会ブロク他の媒体に譲るとして、

取り急ぎ、誰もが気になっていることだろうと思われる疑問について、

伴さんのコメントを紹介したい。

ただ紹介するだけでは無責任なので、→ のあとにエビの見解を示します。

 

1.政府が出した暫定基準値は甘い。

被曝は単純な比較で終わるものでなく、足し算で考えなければならない。

被曝の影響として語られる 「ただちに健康への影響はない」 とは、

将来に影響が出る可能性があるということである。

放射能にこれ以下なら安全という量はない。

→ その通りだと思う。 だからこそ 「ただちに」 止めなければならない。

  と同時に、今は危機管理体制の中にある、というのが僕の認識で、

  暫定基準値は、最低ここまでのラインで行動する、という統一基準として理解している。

  それをいたずらに危険だと煽ったり店頭から撤去するのは賢明な判断ではないと思う。

  「この基準を恒常的なものにしてはいけない」 は、まったく同感である。

 

  平時にあっては予防原則に則って安全性を確保する社会づくりに努める。

  しかし非常時にあっては、できるだけ多くの人を救うための共通する行動原理に従って

  一刻も早く事態を収束させる。 それが危機管理の鉄則じゃないだろうか。

  そして、すべての不安を、「ただちに」 次の行動に結集させたいと思うのである。

  僕が腹の底から願うのは 「いのちの安全保障」 ビジョンである。

 

2.乳幼児ではヨウ素の影響は大人に比べて10倍くらい高い。 子供は4倍くらい。

できるだけ情報を集めて、自分で判断しよう。

→ この数字の根拠までは語られなかったので、検証はできてないが、

  こういう数字を示してくれると、やっぱホッとするのは消費者心理ではある。

  一方で今の基準値は子供への影響も考慮したものである、という見解もあるが、

  とりあえず伴さんの説明に基づいて計算するなら、

  野菜類の乳幼児の暫定基準値は200ベクレルということになるか。 子供で500ベクレル?

  当会で放射能汚染食品測定室に依頼したホウレンソウの比較試験で得られた結果は、

  洗って約4分の1、茹でて半分。 なら葉物で400ベクレル、というのが指標になるか。

  乳幼児向けだと、葉物でひっかかる場合がある、というレベルである。

  真の大人なら、当たり前に食べてほしい。

  気になるなら、厚生省や官公庁で日々発表されているデータをHPでチェックして

  参考にしていただきたい。

  じゃが芋や玉ねぎ・人参・大根といった根菜類はまず問題ない。

  トマトやきゅうりなどの果菜類も大丈夫でしょう。

 

  ちなみに、ホウレンソウなどの葉物が高く出るのは、

  太陽に向かって葉っぱを広げて伸びようとしている、その生長段階のものを食べるから。

  落ちてくるものを受け止める面積が広いからです。

  単位重量に対して、表面積が大きいものは高く出ることになります。

  そういったことも頭に入れながらいろんな野菜を判断していただけたらと思います。

 

  ただ、この汚染が長引くと、問題は半減期の短いヨウ素ではなくセシウムになる。

  大地に降ったセシウムを植物がどう吸収するか、これからいろんな情報が出てくることだろう。

  私が考えるポイントは腐植や微生物の役割、つまり有機農業の力である。

  生態系の力で安定させていく事こそもっとも合理的で、これこそ地球の原理だから。

  これは専門化レベルの話になるが、いずれ挑戦したい。

 

3.子供を外で遊ばせてよいか?

雨が降ると放射性物質も一緒に落ちてくるから、当然濃度も高くなる。

濡れないように注意してあげる必要がある。

普通の日に外で遊ぶ場合は、砂場などで土や砂をいっぱい体に付着させるのは

なるべく避けたほうが良いと思うが、それ以外は神経質に考える必要はない。

部屋に閉じ込めてストレスを高めることのほうが問題だと思う。

→ 有り難うございます。 そのように伝えていきたいと思います。

 

他にもいくつかあるけど、取り急ぎこんなところで。

 

昨日キャッチした情報。

  全国漁業協同組合連合会 (全漁連) の服部郁弘会長は6日午前、

  都内の東京電力本社に勝俣恒久会長を訪ね、

  同社が福島第1原発で高濃度放射能汚染の貯蔵スペースを確保するため

  低濃度の汚染水を海に放出したことに対し、

  「何の相談もせずに強行した一方的な暴挙だ。

  われわれ漁業者の神経を逆なでするもので、許し難い」 と強く抗議した。

  服部会長は、「国と東京電力の責任は免れない」 と強調。

  政府と東電に、関係者への最大限の補償を速やかに行うよう求めた。

  これに対し、勝俣会長は

  「大変なご迷惑をお掛けしたことを、心から深くおわび申し上げます」 と陳謝。

  汚染水の流出防止や補償の問題に 「最大限の努力をする」 と述べ、

  同社として誠意を持って対応する姿勢を示した。

  服部会長は東電側との会談後、記者団に

  「これからはどんな説明を受けても信頼できない」 と強い不信感を表明。

  福島、茨城両県以外の漁業者にも不安を広げた東電や政府の対応に怒りを示し、

  今後全漁連として、全国で運転もしくは計画中の全ての原発の中止を訴えていく

  考えを示した。 (4月6日12:29、時事通信発)

 

今日改めて確認しようとしたが、どうやら最後のセンテンスはカットされてしまったようだ。

考えさせられるね。

ここは一発、断固支持のエールを送っておきたい。

がんばれ!全漁連・服部会長!

 



2011年4月 4日

答えのひとつは 畑にある

 

"  答えの一つは畑にある。

   土や小さい生き物の浄化力を信じて 明日もがんばろう!  "

 

阿部豊さん、コメント(3月28日付) 有り難うございます。

まったくその通りだね。

「土を損なう国は、国全体を損なう」

と言ったのはフランクリン・ルーズベルトだったっけ。

私たちの未来、人類の文明の行く末とまで言ってしまおうか、

その鍵を握るのは、土(土壌) の力と人の関わり方、になるように思う。

 

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                              (写真右が阿部豊さん。左は桑原広明さん) 

 

阿部さんの師匠、魚住道朗さんから頂いた

エアハルト・ヘニッヒ (ドイツの農業指導者、1906~1998年) の

『生きている土壌』(中村英司訳、農文協) を今読んでいるけど、

最初のほうにこんな一文がありました。

「 生命それ自体は共に終わりを迎えるのではない。

 崩壊の過程の中から、「廃墟からの新しい生命」、

 つまり、まさに肥沃な土壌が生まれてくるのだ! 」

 

有機農業は、進む危機の中にあって、いよいよ確かな道標としてある。

しかし火急的に求められている問題は、、、まさに今、であって、

これがつらい。

 

阿部さんからは、茨城大学の先生を呼んで測定した報告を頂いているので、

紹介したい。 詳細な説明は省略でごめんなさい。 ( ) 内はエビの注です。

 


 

  本日、茨城大の助教の先生に来てもらい、放射線測定をしてもらいました。

  結論から言うととてもいい知らせとなります。

 

  測定にはGMサーベイメーターを使い、出てくる値は CPM という単位で、

  放射線の通った跡をカウントしているもの。

  通常時は空気中、食品ともに80が基本となるものです。

 

  今回使った機種は原子力機関で一般的に使われている精密なものです。

  結果からわかるのは、

  べたがけやトンネルは影響を半分以下におさえる効果があるということ。

  次に、洗って茹でてみた。

  洗いは放射性物質の低減にとても有効。

  さらに茹でるとホウレンソウでも普段の2倍(2分の1)

  程度まで放射線を減らすことができ、まったく問題ないと思われる。

  ここは消費者にも安心して食べてもらえる結果となった。

  ちゃんと説明すれば支援先でも受け入れてくれるだろう。

  (阿部さんは八郷の有機農家たちと一緒に、福島に支援物資を送っている)

 

  今、土の上に薄~く放射性物質が降り積もってる。

  つくば産総研のデータから類推すると、90%以上はヨウ素で、半減期8日。

  ヨウ素は大量の降雨がない限り、植物も根から吸わないだろう。

  数%がセシウムで、半減期30年。

  セシウムはカリや炭を畑に入れれば60%以上植物が吸収するのを抑えられる。

  つまり、普段どおりバランスのいい堆肥やぼかしなどを入れて作付すれば問題ないのでは。

  気になる人は、カキガラやくん炭を多めに入れればいい。

 

 

当会がずっと測定サンプルを出している 「放射能汚染食品測定室」 に依頼した

ホウレンソウの比較試験でも、阿部さんと似たような結果が得られている。

ホウレンソウを洗うと、76%に減少(24%除去)、

洗った後に茹でて絞った状態で、53%に減少(47%除去)、となっている。

 

阿部さんからは、

放射性物質の暫定規制値についての、実に冷静な考察も寄せられている。

 

政府基準が適用されたとしても、

自分が納得して出荷できるかどうかが一番重要だし、

安心できると消費者に伝えることができるかも大切。

あの数字に納得しないまま振り回されるのも嫌なので、調べたのだと言う。

 

阿部さんはWHO(世界保健機構) やFAO(国際連合食糧農業機関)、

各国の輸入基準などをチェックした上で、こう考察された。

 

  政府の食品衛生法の暫定基準は、国際基準と大きく外れてはいませんでした。

  すべての基準のもとになるのが、国際放射線防護委員会(ICRP) の

  年摂取限度量(ALI) の数字。飲食等による内部被ばくの場合、

  たとえばヨウ素の場合、甲状腺への実効線量50ミリシーベルトが限度値。

  その他の核種の場合、それぞれ5ミリシーベルト。

  この元となる基準は、今までの放射線被ばくの実データやシュミレーションによって

  算出されており、現在最も信頼されている数字。

 

  日本の基準には独特の考え方が盛り込まれているので難解。

  ヨウ素2000ベクレルの野菜を1年食べて内部被ばくしても

  放射線限度の50ミリシーベルトには達しない。

  この数字は野菜だけを考えて決められているのではないから。

  計算にはいろんな統計資料が用いられており、

  核種、年齢によってまた違う計算式になっている。

  たとえばヨウ素の場合、成人が年間限度50ミリシーベルトに達するには、

    ヨウ素が2000ベクレル含まれた野菜を227gずつ365日食べる。

    ヨウ素が300ベクレル含まれた乳製品を105gずつ365日飲み続ける。

    ヨウ素が300ベクレル含まれた水分を1.65リットルずつ365日取り入れる。

  この3つの条件が合わさって、ようやく制限値の66%に達する。

  つまり、かなりの悪条件が一年続くと健康を害する可能性が高まるということだ。

 

  官邸、マスコミが 「ただちに健康は害しない」 というのは正しい。

 

  わかったことは、あの基準はそれなりの根拠があるということ。

  本当に 「ただちには健康を害しない」 ということだ。

  2000ベクレルのホウレンソウを100g食べただけでは0.003ミリシーベルトしか

  被ばくせず、しかも洗うと放射線は2分の1になる。

 

  消費者が理解してくれるといいね。

 

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                           (今年のだいち交流会・錦糸町会場で歌う阿部豊)

 

そう言いながらも、阿部さんが代表を務める 「頑固な野良の会」(茨城県石岡市) では、

県下一斉に出荷停止になったカキナだけでなく、

のらぼう菜、石岡高菜も自主判断で出荷を控えている。

「 あとから、消費者の皆さんが後悔することのないように、

 生産者にとっても難しい判断です。 」

 

茨城からは、「オーガニックファームつくばの風」 代表の松岡尚孝さんからも

同様な文書が届いた。

群馬 「くらぶち草の会」 からは、県の検査結果が日々送られてくる。

 

こうやって、食べる人への責任を全うしようと、

できる限りの対処をしてくれる生産者がいてくれることは、

とても有り難いことではないだろうか。

土壌の力を育てる技術も、彼らの中にある。

ここで彼らを切り捨てるわけにはいかないと、切に思う。

 

リスクはゼロであるに越したことはない。

しかし、ゼロはもはや現実にはなくなってしまった。

ここで  " 最低守るべきライン "  を共通尺度として設定した以上、

それ以下は、よく洗う、生では食べない、など念のための防御をしながら、

普通に食べていただくしかない。

多数の意思で受け入れた文明の結果でもあるし。

怒りは、新たな文明設計へと結集させたい。

 



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