食・農・環境: 2013年3月アーカイブ

2013年3月31日

「D & k」 日本酒セミナーの夕べ

 

昨夜は 「Daichi & keats」 1周年記念企画シリーズ最終回、

「日本酒セミナー」 が開かれた。

大和川酒造店から佐藤和典工場長がゲストに招かれ、

大和川さんの4種類のお酒を飲み比べながら、

君島料理長が考えた 「日本酒に合う料理」 を堪能していただいた。

 

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参加いただいた方は約40名。

大地を守る会の会員さんはむしろ少なく、

「D & k」 のファンとなったお客さんのほうが多かったかな。 

加えて、ツイッターやフェイスブックで見つけたという方々、

中には大和川さんから通販で取り寄せている、というおじさんもいた。

 


会津の気候風土や米づくりについて、

また一貫して地元の米を使い続けてきた大和川酒造のこだわりについて、

説明する工場長。

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いや、これからは 「杜氏」 と呼ばなければいけない。

いつも当たり前に 「工場長」 と呼び慣れてしまっているけど、

越後杜氏・阿部伊立(あべ・いたつ) 氏引退後は、

工場長が杜氏を引き継いだワケなんだから、

ここはやっぱ 「イヨッ、杜氏!」、だよね。

 

「種蒔人」の紹介のところでは、

開発のコンセプトや 「種蒔人基金」 にかけた思いなどについて

喋らせていただいた。

この酒が飲まれるたびに、森が守られ ~

思いが強いぶん、長くなってしまった。 ごめんね、町田店長。

 

本日の料理を説明する、君島繁夫料理長。

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本職はイタリアンなのだが、今日は特別に

日本酒に合うオリジナル料理を用意してくれた。

 

本日の大和川ラインナップ。 

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まずは 「活性にごり・純米酒 弥右衛門」。

原料米は五百万石。 まだビン内で酵母が活きていて、炭酸ガスが内包している。

甘さと炭酸ガスの酸味が調和した、スパーリング感覚のお酒。

食前酒から乾杯まで。

 

続いて本番、「純米吟醸 種蒔人 あらばしり」 を

料理とともに堪能していただく。

原料米は、稲田稲作研究会が育てた「美山錦」、無農薬栽培。

酵母は「うつくしま夢酵母」(F7-01)、精米歩合55%、日本酒度+5、酸度1.4。

芳醇な香りと程よい酸味、キレのある搾りたて。

5月頃までは、一切火入れをしていない生生(なま・なま) で、

その後は生貯蔵酒 (ビン詰め時に1回のみ火入れ) となる。

 

次は 「純米吟醸 雪蔵囲い」。

会津の豊富な雪を利用して雪中貯蔵されたお酒。 

酵母はこれも福島県で開発された「煌酵母」、華やかな吟醸香が特徴。

 

あとはお好きな酒をお代わりしていただきながら料理を楽しみ、

親睦を温めていただく。

気持ちよくなった僕は、テーブルを回りながら、

5月に行なわれる山都での堰さらいのPRなどをしたりして・・・

 

最後。 食後のデザートには桃のリキュール 「桃の涙」 を。

純米酒と桃の果汁をコラボさせ、爽やかな甘みが口に広がる新感覚のお酒。

この商品化の裏には哀しい物語がある。

常に高い評価を得てきた福島の桃だったのに、

ご多分にもれず一昨年から販売不振に陥ってしまった。

今年も美味しい桃ができたのに・・・・・その涙を受け止め、

新しいお酒として生まれ変わらせたのが、このお酒。

飲んでつながる復興支援。

大和川酒造からお取り寄せできます。 

⇒ http://yamatogawa.by.shopserve.jp/SHOP/470205.html

 

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皆さん、ご満足頂けたようで、私も満足。

正直、話とお酒の説明に夢中で、

料理の写真をまったく撮ってなかった事に気がついた。

というか、後半(メイン料理) はほとんど食べてないんじゃないかしら

 ・・・・エエーッ! 残念。

君島料理長、こんどまたお願いします。

 

終了後は工場長、もとい、杜氏を誘って、線路をまたいで日本橋まで。

そこでまた大和川の酒のある料理屋でお疲れさん会。

盛り上がったのは、会員を募って袋絞り酒をつくろう! と決めたこと。

できた酒は会員で全量引き取り。

 

こういう感じで吊らされて、自然にポタポタと落ちてゆく、

とてもナチュラルで、しかし少々贅沢なお酒。

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さて一本いくらになるか、何人集まれば実現できるか、

これから皮算用が始まる。

これは仕事なのか、遊びなのか・・・

いずれにしても、モットーは 「仕事は楽しく、遊びは真剣に」 だからね。

楽しく、かつ真剣にやりたい。

 



2013年3月27日

学校給食全国集会

 

今日は朝から夕方まで飯田橋。

JRの駅に隣接する飯田橋セントラルプラザ17階にある

東京都消費生活センターの教室にて、

「全国学校給食を考える会」主催による 『学校給食全国集会』 が開かれた。

ここで大地を守る会の放射能対策についての報告をしろ、

とのこと。

つけられたタイトルが、「ゼロリスクがありえない中で、どう食べるか」。

何度見ても重たいお題で、逃げ出したくなるが、そうもいかない。

作成したスライドにはあえて 「何を、どう食べるか」 と付け加えさせていただいた。

「何を-」 は、ここでも重要なポイントだと思うのである。

 

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会場には、学校給食の現場を預かる栄養士さんや調理員さん、

教員、児童・生徒の親御さん(学校関係者は 「保護者」 と呼ぶ)、 

そして一般の方が、全国から集まっていた。

その数、100~120人くらいだろうか。

日々子どもたちと接する教育現場の方々を前に、放射能の話。

誰がこんな世の中にしてしまったんだろう。 ため息が出るね。

 


集会では最初に、

学校給食を考える会が発行する 「給食ニュース」 の編集責任者である

牧下圭貴さんが、「まずは、おさらいから入りましょう」 と

放射能に関する基礎知識から学校給食の仕組みと課題までを整理された。

 

放射能の世界というのは、初めて聞く人には難解なものだが (特に文系には)、

牧下さんはそれを分かりやすく解説しようと苦心しながら話された。

これが意外と難しいんだよね。

中途半端な知識ではなかなかうまく話せない。

 

彼は現在、大地を守る会が長く事務局を担っていた 「提携米研究会

(前身は 「日本の水田を守ろう! 提携米アクションネットワーク」) 

の事務局長も務められていて、

実は自宅の一室を改造して測定室にしたツワモノである。

測定室は 「生産者と消費者をつなぐ測定ネットワーク」 と名づけられている。

バックグラウンド(環境中の放射線) の影響をできるだけ避けるために、

機器の4方(&床下まで) をペットボトルに入れた水をレンガのように積んで

囲うという念の入れ方だ。

(水は放射線を吸収する、防護壁の役割を果たす。 水はエライ!)

 

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学校給食の話では、

「教育としての学校給食」 が謳われながら、

一方で正規調理員の減少や栄養士の民間委託、大規模センター化など、

合理化によるコスト削減が進められていく現状が指摘された。

また設備対応が追いつかない中で衛生管理(食中毒対策) が強化されていること。

さらには学校給食に対する家庭からの期待が高まる一方で、

給食費未納(家計経済の悪化) という問題があって、

その狭間で予算(給食費) と質のジレンマが深まっているという。

・・・・・聞いてるだけで耐えられなくなる。

 

これが子どもたちの食を取り囲む現実の一端だとしたら、

この現実は、もっと社会で共有されなければならない。

栄養士さん、調理員さんは日々必死の格闘を余儀なくされているということだ。

彼ら彼女らを支えているモラルと使命感が薄れていかないことを願わずにいられない。

それには社会の支えが必要である。

 

加えて放射能問題、である。

僕がお話ししたこの2年間の取り組みや思いは、

一民間団体としてやってきたことで、

たとえ、仮に、それが立派な事例であったとしても、

上記のような現場で日々やりくりさせられている人にとって

どれだけ参考になったことだろうか。

最後に、子どもたちの未来&未来の子どもたちのために、

僕らはつながらなければならない、とエールを送って締めくくらせていただいた。

 

ここでは余計な話だったかもしれないけれど、

食や暮らしに侵入してきているリスクは実は放射能だけでないことも、

忘れたくない。

・ 人口爆発と耕作地の減少。

・ 近代農業(農薬・化学肥料依存型農業) による地力(=生産力) の低下。

・ 温暖化による自然災害の増大と食生産の不安定化。

・ 食システムの巨大化、寡占化。 それはリスクに対する脆弱化を進めていること。

  例えば、病原菌による脅威の増大(耐性の獲得など) がある。

  自由貿易の名のもとに進む食システムの寡占化は、

  パンデミック -感染症・伝染病の世界流行- に対して

  極めて脆弱になっていくことを意味している。

・ グローバリズムによる安全性管理の後退(事故や汚染の一触即発化)。

・ 生物多様性の崩壊現象。

・ 越えたとも言われるピーク・オイル

  ⇒ 近代農業の破綻(あるいは大転換) へと進まざるを得ない。

・ 使える水資源の汚染と枯渇、そして空気まで(例: pm2.5 など)。

  - これらすべてがクロスし、リンクし合いながらグローバルに進んでいること。

 

原発もTPPも、

「地球の健康」 「未来のための安全保障」 という視点から

捉え直さなければならない時代になっているはずなのだが、

どうにも目の前の経済という難敵の呪縛から逃れられないでいる。

(そういう意味でも、脱原発からイノベーションへと進みたい。)

 

食育基本法という法律までできた時代なのだけど、

現場からは息が詰まるような話ばかりである。

お茶碗一杯のごはん(ハンバーガーでもいい) から世界が見える、

そんな機会を子どもたちに提供できないものだろうか。

 

しかし、四面楚歌のような状況にあっても、現場で工夫し、

あるいは粘り強い交渉力や調整力で成果を勝ち取ってきた事例もある。

埼玉県越谷市では、調理員さんたち(自治体職員) の努力によって 

測定器が現場に導入され、しかもベテラン調理員たちが講習を受けて、

ローテーションで測定を行なうという体制まで敷かれた。

調理工程を熟知した人が関わることで、入荷した食材の測定と使用判断を、

作業を滞らせることなく進めることができる。

そのために雇用が(非正規ではあるが) 一人生まれた。

唸らせる報告だった。

 

世田谷区では一栄養士として積み上げてきた足跡が語られた。

保護者を巻き込むのにちょっとした工夫が加えられる。

これは公にすると手の内がバレたりするので、公表は控えておきたい。

 

全国各地で、子どもの健康を守るために頑張っている人たちがいる。

とにかく、孤立させないこと、つながることだ。

つながりながら、新しい社会と豊かな食を築き直していきたい。

 



2013年3月23日

〔地球大学〕 日本の食のサステナビリティ

 

一週間が矢のように過ぎてゆく。

このまんま " 気がつけばジ・エンド "  ってことはまさかないだろうけど、

どうもなんかに追われている感が拭えない。

何を焦っているのか。。。

 

今週の活動から振り返りをひとつ。

3月18日(月) の夜、丸の内・エコッツェリア協会で開かれた

「地球大学アドバンス 〔食の大学〕 シリーズ」 に参加した。

今年度の最終回ともなった第6回は、

『日本の食のサステナビリティ』 をテーマに、

3名のゲストからのプレゼンを中心に展開された。

 

写真右から、

グラフィックデザイナー・佐藤卓さん、予防医療コンサルタント・細川モモさん、

そして一番左が農林水産省大臣官房政策課課長・大澤誠さん。

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まずは佐藤卓さん。

佐藤さんとは地球大学で何度もご一緒しているが、本ブログで紹介したのは

5年前の 『 Water 〔水:mizu〕 展 』 だけだったか。

昨年の10月には、北海道の銘柄米 「ゆめぴりか」 の新米発表会で

一日限定の 「米の道」展 というのを手掛けている。

食や環境をデザインの視点から見つめ直し、いつも

私たちに新しい発見を与えてくれる、僕には宇宙人にしか見えない方。

 


すべてのモノには設計とデザインがある、デザインが関わらないものはない、

と佐藤さんは語る。

目の前にある当たり前のモノ、自明なものをデザインし直して見ることで、

そのモノの真実が捉えられることがある。

 

たとえば水田は、水との関係、水とたたかいコントロールしてきた関係を

デザインした究極のものだと佐藤さんは捉える。

地球大学のモデレーターである竹村真一さんと佐藤さんは今、

「米 展」 の来年開催に向けて準備を始めている。

「当然、手伝ってくれるよね」 と言われているのだが、この人たちに関わると

とんでもないリクエストが舞い込んできそうで、コワい。

 

続いて細川モモさん。

現代の日本人の食の現実は、恐ろしい未来を映し出している。

子どもたちの間で成人病(予備軍も含め) が急激に増えている。

妊娠前の女性では、必要エネルギーを満たしてない、

極めてアンバランスなパターンが目立ってきている。

摂取カロリーは何と、終戦直後より低くなっている。

最大の要因は、朝食の欠食である、と細川さんは指摘する。

その影響は、低体重児の増加となって現われてきているが、

一方で最新の学説として注目を集めているのが

「成人病胎児発生説」(胎児期での飢餓が将来の成人病の原因となる) である。

 

男はメタボ、女は難民状態。

見えてくる日本の未来は、世界一の不妊大国であり、

生活習慣病増加が最も懸念されるハイリスク国家である。

人間としてのサステナビリティ(持続可能性) が壊れつつある、

それが今の日本の姿である。

 

3番目は、農水省・大澤誠さん。

食を文化としてとらえる社会を目指したいと語る。

農水省では3年前に 「食に関する将来ビジョン」 を策定し、

健康と食と医の連携という新分野への展開を模索している。

そして今月、「和食」(日本食文化) をユネスコ無形文化遺産に登録させるべく

申請を出したばかりである。

 

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外国人観光客が日本に来て期待する第1位は、日本食体験である。

和食の神髄は自然の美しさの表現にあり、

新鮮な食材は多様性に富み、素材の味を楽しむ特徴を持つ。

その土地の年中行事などともつながっていたりする。

これは文化そのものである。

またかつての米国・マクガバン報告を持ち出すまでもなく、

日本食はバランスのとれた健康的食生活のモデルとして

長く世界から評価されてきたものだ。

 

これからももっと日本食の大切さを普及する活動を展開していきたいと

抱負をけっこう熱く語る大澤さんは、実は

僕も参加させていただいた 「地域食文化活用マニュアル検討会」 の

仕掛け人でもある。

 

食は将来の子どもたちの、ひいてはこの国の生命に関わる重大事である。

ただ絶望している場合ではない。

何を、どう食べるのか。 日本食という OS を、どうデザインし直すか。

屋台骨が崩れ始めた日本人を、どう鍛え直すか。

いろんな立場の人を総動員して、

あの手この手で 「食の再生」 に向かう必要がある。

 

ということで、次はワールドカフェ方式によるセッション。 

各テーブルごとで感想や知恵を出し合い、最後に

「これからの日本の食」 についてのキャッチフレーズを考えてください、

というお題に挑戦する。

 

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ここで、普段から何気なく思っていたことを口にしてみた。 

「味噌汁が、けっこう決め手になるような気がしてるんですけど。」

朝、忙しくても 「味噌汁一杯」 なら実行できないか。 

晩ごはんの際に翌朝分も一緒につくっておいて、朝はさっと温めるだけでいい。

具は日によって変えてみる。 とうふにワカメ、しじみ、ネギ、大根・・・

味噌という醗酵食は体にもいい。 出汁も隠れた栄養である。

味噌汁はそして、必然的に和食を求める。

 

予想外にウケて、味噌から大豆の話、醗酵食、菌の話、

はては味噌汁全国大会の開催・・・ と展開された。

辿りついたキャッチフレーズは、これ。

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みそ汁で世界を救う! 

- 言った以上、実行しなくちゃね。 いえ、してますよ、これでも。

 

竹村さんが最後に締める。

「食」 は人を育てる根幹である。

いろんな食材をどうインターフェイスさせていくか。

持ち方・運び方・噛み方、そして誰と食べるか、

食べ方のデザインを考え直したい。

そして次世代の舌を育てるための 「食の大学」 を、この街に出現させたい。

 

いま、フランスで 「OBENTO」 という言葉が流行り始めているそうだ。

栄養バランスと彩りに配慮され、調和的に配置された一食分のパッケージ。

地球食の新たなデザインを発信する力が、まだ日本にはある。

いや、あるうちに、自分たち自身が、食の力をちゃんと理解し直すための

運動が必要なように思う。

 



2013年3月 5日

「食」 からの CSV

 

ダラダラと東京集会レポートを続けている間にもいろんなことがあって、

日々何がしか動いている。

お月さんのようにただ満ち欠けを繰り返しているだけでないことを願いながら。

トピックをいくつか残しておきたい。

 

2月25日(月)。

二日酔いで東京集会の服装のまま、

編集プロダクションからの取材を受ける。

福島県から委託を受け、6次産業化を推進するためのパンフレットを作成中とのこと。

しかし一次産業者が自ら農林水産物を加工・商品化して売り出すにも、

いかんせん今の福島では放射能に対する風当たりが強く、

新たな販路を獲得できる状況ではなくなってしまっている。

ただの手引書では生産者を後押しするものにはならないのではないか

と考えた結果、福島の生産者を支援している団体もあることを紹介し、

メッセージを掲載したい、ということである。

 

約2時間お話ししたのだが、

放射性物質の基準値の考え方、生産者と取ってきた対策の成果など、

かなりの時間が放射能対策の話となってしまった。

でも、こういう話が聞けてかえって心強く思ったとの感想をいただき、

こちらも安心した。

6次化では、まずは地域に貢献するものを、と強調させていただいた。

地域の潜在力やニーズとつながっていて、

ステークホルダー (その製品に関わる人々) が広がっていくようなもの。

まずは地元で消費され、自慢になるようなもの。

たとえば、帰省した息子がお土産に持ち帰りたくなるようなもの。

そういうものこそ持続し、発展する可能性も生まれるような気がする。

大消費地にいきなり目を向けても、そこは厳しい淘汰の世界である。

しっかりした価値 (土台) が設定されてないと、

一瞬の消費財として使い捨てられる  " モノ "  になりかねない。

何のための6次化なのか、目標を定めて取り組んでほしい。

 

このパンフレットがどういう範囲で配布されるのか、聞きそびれたけど、

撮られた写真が酒臭くないことを祈る。

 

続いて2月26日(火)。

夜、丸の内での 「地球大学」 の会合に出席。

座長の竹村真一氏が招聘したコア・メンバーと称する関係者での集まりで、

2012年度の活動を総括し、来年度からの展開について語り合った。

竹村さんらしい大きな構想が語られたのだが、

一年前に立ち上げたものの低空飛行を続ける 「つながる食プロジェクト」 の

課題も抱えている身として、偉そうなことは言えず、

ただ沸々と闘志を燃やすまで。

 


ひとつここで語られた内容を紹介すると、

これからの企業の社会的方向性は、CSR から CSV へと進む、ということだ。

 

企業がただ利潤を追求するだけでなく社会的な課題に対して貢献する、

いわゆる CSR (Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任) は、

企業の本体とは別の活動と見られがちであったが、

これから求められるのは、社会的課題の解決を事業本体が担う

CSV (Creating Shared Value、共通価値の創造) である。

マイケル・ポーターというハーバード大学の教授が提唱したもので、

社会問題の解決と企業の利益創出を両立させる、という考え方。

この機能を街の中に埋め込んでいこう、というのが次の構想であり、

そのキーワードのひとつが、

万人に共通する生きる根本活動としての 「食」 である。

さて、僕らは何ができるか-。

 

しかし・・・ CSV って。

社会的課題に取り組むことで新たな価値を創出し、

結果として経済的価値も創造される。 そんな企業活動が求められつつある。

って、何をかいわんや! ではないか。

これこそまさに大地を守る会を誕生させた組織コンセプトに他ならない。

僕らは37年にわたってこの点で苦心惨憺、生きてきたのだ。

いよいよ時代がここまで喋り出した。

僕らはここで改めて腹を据えて、挑戦者魂を発揮させなければならない。

生きて、その向こうを目指してみようじゃないか。

  - とまあ、いきなり気合いを入れるのは簡単だけど、

   言えば言うほど自らの首を絞めることも分かっている。

 

2月27日(水)は、週刊誌 『アエラ』 の取材を受ける。

" あなたは福島の野菜を食べますか? "  をテーマに

各地でいろんな人の取材を続けてきて、どうも袋小路にハマってしまったようだ。

ご同情申し上げながら、

ここでも自分たちが取ってきたスタンスと取り組みを語るしかない。

答えは、ある意味でシンプルである。

事実を知る、影響について出来るだけの情報を集め、自らの判断基準を持つ。

生産地が対策に努めるなら、私は応援する。

それが未来の保証につながっていると確信する者だから。

応援の形は多様にあり、それは各々が決めることである。

 - 採用されるかどうかは分からないので、とりあえず忘れることにする。

 

3月1日(金)。

農林水産省が関係省庁と連携して進めてきた

「地域食文化活用マニュアル検討会」 の最後前のひと仕事、

巻末に掲載するという検討委員のコラムを書き終える。

付けたタイトルが、かなりクサい。

「食文化は、ふるさとの  " 風景への愛 "  とともに-」。

かなり情緒的な文章を書いてしまった。

読み返すとやっぱり気恥ずかしい。 しかしもはや書き直す気力なく、

「もう、どうでもしてっ」 と 「送信」 クリック。

あとは得意の開き直り精神で臨む。

 

「活用マニュアル」 という表現が、どうも上から目線的で気に入らない、

というのが委員の大方の意見で (そういうメンバーを選んじゃったのね)、

最終的に、

『 日本食文化ナビ -食文化で地域が元気になるために- 』

というタイトルで落ち着いた。

最終チェックがまだ残っているけど、

まあまあ自分なりに役割は果たせたか、という感じではある。

出来上りを見て、至らなかった点に気づいたりするのだろうが。

 

以上、先週のトピック 4本。

書いてみれば、すべてつながっていることに気づかされる。

「食」 からの CSV、体現するのは他でもない、、、と言わずにどうするよ。

 



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