食・農・環境: 2013年4月アーカイブ

2013年4月13日

白菜の力 -ファイトケミカル

 

高知から田植えの便りが届くあたりになると、

食事の様子もだいぶ変わってくる。

この冬の記憶は、白菜をよく食べたなあ、って感じ。

平日一人暮らしの身でありながら、

必死で 「福島&北関東の農家がんばろうセット」 や

「ベジタ」(大地を守る会の野菜セット) を消化しようとするのだが、

難敵だったのが、白菜半玉(1/2カット) だ。

料理の腕もなく、時間(気持ち?) の余裕もない夜に、

野菜をまとめて食おうとなると、まあだいたい鍋、ということになる。

 

人参も大根も、ピーラーで皮からひたすら剥いていって

紅白うどん(きしめん?) みたいにして、鍋に放り込む。

 

白菜も嫌いじゃないけど、こんなに食っても栄養的にどうなんだろうね・・・

とか思っていたものだが、ところがところが、

冬の途中から俄かに白菜礼讃者に豹変してしまった。

放射能連続講座第4回でお願いした高橋弘先生(麻布医院院長)

の著書に、次の一文を発見したのだ。

 


『 白菜のような淡色野菜は、これまでニンジンやホウレン草といった

 色の濃い緑黄色野菜と比べると、栄養価が低いと考えられてきました。

 しかし、ファイトケミカルという新たな視点から見直してみると、

 白菜はガンに対して優れた効果を発揮します。

 白菜に含まれるファイトケミカル(グルコブラシシン)が素晴らしいのは、

 ガンにアポトーシス(エビ注・・細胞死のこと) を起こさせる作用が強いことです。』

  (『ガンにならない3つの食習慣』 ソフトバンク新書 から)

 

e13041301.jpg 

しかも都合のいいことに、

野菜からファイトケミカル(野菜がつくる化学成分、第7の栄養素と言われる)

を吸収するには、加熱調理が基本、とある。

ファイトケミカルは熱に強いのだ。

白菜にはデトックス(解毒) 効果のあるミネラルも豊富で、

カルシウムはホウレン草並み、カリウムも多い。

さらには、低カロリーなのでたくさん食べても OK だと。

まさに鍋に最適。 やっぱ冬には白菜か。

 

とまあそんなワケで、寂しい冬の夜も、お陰でまずまず温まったのだった。

ありがとう、白菜。

また次の冬が無事迎えられたなら、よろしく。

 

 

季節は確実に移ろっていて、

桜が散ったと思っていたら、もうツツジが咲いている。

e13041302.JPG 

昨日、連続講座の打合せのため児玉龍彦教授を訪ねた際、

東京大学先端科学技術研究センターの庭に咲いていた。

 

これからの季節は山菜や筍がいいなあ、、、なんて思ったすぐあとに、

ため息をついている自分がいる。

「しかし、それを喜べない地域もある。」

 

まったくこの2年、食を楽しむ心そのものが汚された気分だ。

しかも、まだこの先も続くのである。

 

何かを怨みながら、生きたくはない。

怒りは持続させながら、前向きに、

未来のためにやるべきことをやり抜きたいものだ。

 

先端研の中庭に、こんな銅像があった。

e13041303.JPG 

 

ここは戦前、「航空研究所」 として、

航空機時代の黎明期を牽引した研究の場所だったということを知る。 

当然のことながら軍とも密接につながっていたであろう。

 

ま、歴史的背景はともかく、励まされよう。

飛べ! 前へ!

 

高橋弘医師推薦の、ファイトケミカル・スープにも挑戦してみるか。

これなら僕でも簡単にできそうだし。

HPはこちらから ⇒ http://www.azabu-iin.com/phyto/index.html

 

最後に肝心の、昨日の話。

児玉龍彦教授は、物腰の柔らかい誠実な方だった。

講演用パワーポイント・スライドを紙で配布するのも、

USTREAM での中継・アーカイブのアップも、気軽にOKしてくれて、

約束の時間のほとんどは、打ち合せというよりは、

最新の研究成果や除染の方法などについて熱く語ってくれるのだった。

そしてこの国の、変えられない欠陥についても・・・

 

この2年で、認識を改めたことのひとつ。

ずっと東大は敵だと思っていたが、この大学も多様である、ということ。

 



2013年4月 1日

会津の堰さらい-『美味しんぼ』 に登場

 

「Daichi & keats」 日本酒セミナーで PR させてもらった

福島県喜多方市山都町での堰さらいの話が、

先週(3月25日) 発売のコミック誌 「ビッグコミック・スピリッツ」 の

長寿漫画 『美味しんぼ』 で紹介された。 

 

原作者の雁屋哲さんとは 昨年の堰さらい でお会いして、

福島を回っていると聞いていたが、

2年以上の取材を経て 「福島編 (第604話 「福島の真実」)」

の連載開始となったものだ。

それだけ慎重に、また緊張感を持ってこのテーマに挑んだということだろうか。

 

堰さらいボランティアの仕掛け人、浅見彰宏さんが

リアルに描かれている。 

e13040101.JPG

 

この漫画の特徴は、花咲アキラ氏によって

自然の風景や背景が実に精緻に描かれていることだ。

e13040102.JPG

 

福島有機農業ネットワークの活動も紹介され、

今週号では 「あいづ耕人会たべらんしょ」 のメンバー、渡部よしのさんも登場している。

原発事故から2年、さてこの 「福島の真実」編 はどう落ち着くのだろうか。

 

実は雁屋哲さんには、放射能連続講座での講演をお願いした経緯がある。

私たちはこれから福島の食や生産者との関係を

どう築き直していけばいいのか、

取材を経てお考えになっていることをお話いただけないか

とメールしたのだが、

見事に断られてしまった。

作者は、漫画という手法を通じて、いろんな考えや思いを

登場人物の口を借りて語らせるワケで、

今の段階で、作者の考えを開陳することは控えたい、と。

 

たしかに、仰る通りだと思った。

しかもお願いしたのが、これから福島編の連載を始めようという段階で、

いろんな思いがめぐっているようでもあった。

「いま話をさせると、何喋るか分かりません。 国への批判で暴走するかも・・・」

と、事務所の方も怖れていた。

 

海原雄山と山岡士郎の 「お前の根がここにある」 福島対決の結末を

楽しみにしながら、今年も堰さらいに行くことにしよう。

 - というワケで、今年も堰さらいの案内です。

関心ある方は、「続きを読む」 をクリックしてください。

 


【浅見さんからの呼びかけ】

喜多方市山都町本木および早稲谷地区は、

町の中心部から北に位置する併せて100軒足らずの小さな集落です。

周囲は飯豊山前衛の山々に囲まれ、

濃緑の森の中に民家や田畑が点在する静かなところです。

そんな山村に広がる美しい田園風景には一つの秘密があります。

それは田んぼに水を供給する水路の存在です。

水路があるからこそ、急峻な地形の中、川沿いだけでなく

山の上部にまで田んぼが拓かれ、田園風景が形造られているのです。

その水路は 「本木上堰」 と呼ばれています。

水路の開設は江戸時代中期にまで遡り、そのほとんどは当時の形、

すなわち素掘りのままの歴史ある水路です。

深い森の中を澄んだ水がさらさらと流れる様を目の当たりにすると、

先人の稲作への情熱が伝わってきます。

しかし農業後継者不足や高齢化の波がここにも押し寄せ、

人海戦術に頼らざるを得ないこの山間の水路の維持が困難な状況となっています。

そこでもっとも重労働である春の総人足 (清掃作業) の

お手伝いをしてくれる方を募集しております。

皆さん、この風景を守り続けるために是非ご協力ください。

 

【作業内容】

冬の間に水路に溜まった土砂や落ち葉をさらったり、

雪崩などによって抜けてしまった箇所の修復など。

 

【スケジュール】

5月3日(金) 夕刻 JR磐越西線山都駅集合

5月4日(土) 早朝より水路清掃作業(昼休みをはさみ夕刻まで)。

         夕刻より交流会。

5月5日(日) 午前中解散。 希望者には山都町周辺をご案内します。

 

【宿泊場所】 本木または早稲谷の集会所を予定。 連泊可能です。

【参加費用】 交通費は自己負担でお願いします。

         宿泊費は1泊 500円。 交流会費 1,000円。

【用意するもの】

作業着、軍手、長靴、雨具、帽子、タオル・洗面用具、着替え、など。

お持ちの方は寝袋を持参いただけると助かります。

 

【その他】

・ 朝食は宿泊者で作ります。お手伝いください。

・ 参加者には、秋に上堰の田んぼで獲れたお米をお届けします。

 

詳細お問い合わせは、本ブログの 「コメント」 から

メールアドレスを付けて、お送りください (問い合わせは公開されません)。

折り返しお返事を差し上げます。

 

★ この堰の保全活動には、大地を守る会オリジナル日本酒 「種蒔人」(たねまきびと)

  の売上の一部が積み立てられている 「種蒔人基金」 も応援しています。

 



大地を守る会のホームページへ
とくたろうさんブログへ