食・農・環境: 2013年5月アーカイブ

2013年5月24日

行幸マルシェ × 青空市場

 

東京駅から地下の丸の内口に出て、丸ビルと新丸ビルの間に

「行幸(ぎょうこう) 通り」 がある。

そこで月2回、「丸の内行幸マルシェ × 青空市場」 という

市場(マルシェ) が開催されている。

青空市場を主宰するのは、俳優の永島敏行さん。

(この写真は、青空市場HP からお借りしました。)

 

そこで本日、大丸有 (大手町・丸の内・有楽町の略) エリアを中心に、

食の安全や地産地消の食材を共同調達する仕組みをつくってきた

大丸有つながる食プロジェクト」 として、初めて出店した。 

 

e13052405.JPG 

 

出したのは大地を守る会の野菜・果物と、

東京・国分寺の小坂農園で栽培された江戸野菜。

初出店ということもあり、お昼過ぎから閉店の夜7時半まで

売り子として張りついた。 

 

e13052401.JPG

 


「大丸有つながる食プロジェクト」 (略称 「つなまる」) は

以下の団体で協議会を結成して運営されている。

・ エコッツェリア協会 (一般社団法人 大丸有環境共生型まちづくり推進協会)

  - 全体コーディネーションの他、情報発信、各種イベント開催など。

・ 三菱地所株式会社

  - 全般的なサポート。

・ 株式会社 まつの

  - レストラン等からの受注・決済、配送等の物流担当。

そして大地を守る会は、生産者・食材の審査、トレーサビリティによる商品保証・管理、

「つなまる」 認定基準に合致する生産者の紹介(広がり) を担当する。

 

ここで設定した認定基準とは、以下のようなものである。

基準1 - " 食べる人の健康を守る "  プロとして責任を自覚する生産者であるか?

基準2 -  " 地産地消 " に取り組む生産者であるか?

基準3 - " 食べる人とのつながり "  を大切にする生産者であるか?

基準4 -  " 食べる人に価値を伝え、刺激を与えられる "  生産者であるか? 

 

e13052402.JPG

 

e13052403.JPG

 

結果としての安全性の基準だけではない。

食の作り手としての姿勢を重視した基準。

広がりとつながりを求め、一緒に健康な社会を築くための基準。

この基準と仕組みを整理するのに、2年かかった。

 

e13052407.JPG

 

食べものが人と人をつなげ、暮らしを豊かにする。 

レストランも手をつなぎ、

環境に配慮した物流(みんなで少しずつでもCO2排出を減らす) を目指す。

街がイキイキとしてくるような取り組みに育てていきたい。

 

そんな思いで、僕らは町に出ることにした。 

e13052404.JPG

 

初回の成果は、、、、曖昧な表現で申し分けないが、まずまず。

道行く人々に認知され、たくさんのレストランに広がっていくために、

しばらくは月1回(第4金曜日) は出店をしながら PR していくことになった。

 

次回は6月28日、午後11時半から19時半まで。 

東京駅周辺に来られた方は、ぜひお立ち寄りください。

 

e13052406.JPG

 



2013年5月 8日

人の罪を浄化する生命の営み -堰さらいボランティアから(Ⅱ)

 

千葉県出身。 某大企業勤めをかなぐり捨てて、

あえて会津の山間部に単身移り住んだ浅見彰宏さんが、

次世代の責務として堰を守らんと、

総人足 (地元総出での堰さらい) に友人を誘ったのが、14年前。 

今や堰さらいボランティアは 50人規模にまで膨れ上がった。

 

ボランティアといえども、テキトーにやるわけにはいかない。

米づくりは、水脈の確保によって始まる。

この作業によって、水が麓に運ばれるのだ。

一年分の溜まった土砂や落葉をさらいながら、

ムカデのように進んでいく。

 

RIMG0044.JPG

 

途中、倒木が堰をふさいでいた。 

見事に・・・

e13050609.JPG

 

去年まで立派に立っていたヤツ。

残された幹を見れば、中はすっかり空洞になっていた。

たくさんの生命を育て、寿命を終えた古老。。。 

こうして生態系はゆっくりと、しかしダイナミックに輪廻してゆく。

 

この倒木の処理は、特別班の任務となる。

重機など入れる場所ではないので、チェーンソーで細かく伐って片づける。

ジブリの宮崎駿さんがいたら、

この木にイメージを掻き立てられ佇み続けるかもしれないが、

我々には、そんなことを考える余裕はない。

せっせと始末するのみである、蟻のように。

 


休憩のひと時。

e13050611.JPG

 

お疲れさまです。

 

川は地形に応じて柔軟に蛇行して流れ、

不思議と土砂が貯められていく場所がある。

e13050608.JPG

風景は、数年にミリの単位で微妙に変化していくらしいのだが、

人はある日突然、少しの変化に気づくのがやっとである。

 

ボランティアの半分は女性である。

女子パワーもあなどれない。

e13050613.JPG

 

ずっと気になっている場所がある。

先人の執念を感じさせるトンネル。

e13050612.JPG

 

雪深い山間部で、この水路を通すのに、

いったいどれだけの季節を数えたことだろう。

今の時代のように専門技術を持つ他人にアウトソーシングすることなく、

百姓たちの腕と団結力で、掘り続けた路(みち) 。

村民のアイデンティティが、この洞穴には詰まっている。 

次にベトコン体験の機会をいただけるなら、この暗闇を踏破してみたい。

視界の向こうに光が見えたとき、

この萎えた肉体が何を感じ取るか、確かめたい。

 

作業を終え、公民館の駐車場で打ち上げをやって、

温泉に入り、里山交流会に臨む。 

お酒と料理はしばしお預けとなり、いっ時の勉強会が行なわれる。

今回の講師は、会津みしま自然エネルギー研究会副会長・二瓶厚さん。

e13050614.JPG

 

只見川流域で、再生自然エネルギーによる電力自給を目指す。

3.11を乗り越えるたたかいが、反骨の会津でネットワーク化されつつある。

この夜も 「種蒔人」 を持って応援のエールを送らせていただく。

 

「あいづ耕人会たべらんしょ」 の若者たちの笑顔も見てほしい。

e13050616.JPG

左から二人目、Vサインを送っているのが、

チャルジョウ農場の二代目、小川未明(みはる) さん。

親父の光さんが育種した感動のミニトマト 「紅涙」 を、

今年も ヨロシク頼む!

 

あとは、ただ楽しく飲む。 

e13050615.JPG

 

翌日は、浅見さんたちの案内で、

耕作を放棄された棚田を見る。 

 

e13050617.JPG

 

子々孫々の食と暮らしの安定のために、

けっして贅沢を望まず、必死で汗を流して開墾した土地が、荒れてゆく。

自然サイドからみればそれは荒地化ではなく、

摂理に従っての植生の変化なのではあるけれど、 

明治以降に開かれた面積に相当する農地を、たった数十年で放棄したという事実を、

僕らはもっと真剣に考えなければならないのではないだろうか。

世界的に食糧需給が逼迫しつつある時代にあって。

 

幸いなことにこの国では、荒地は不毛の地ではない。

たくさんの恵みが、いたるところに生まれる。

e13050618.JPG

 

カタクリの花に教えられる。

あなたたちの罪は、長い長い生命のつながりによって浄化されると。

 



2013年5月 6日

山奥の水路にある世界技術 -堰さらいボランティアから

 

大型連休で人々が浮き足立っている間にも、

暦(こよみ) は早くも立夏となる。

季節というのはホント、無常に移ろっていくものだ。

その自然の流れに身を委ねながら、ある種の諦念や

災害に対する開き直り的強靭さまで、日本人は育んできたのかもしれないが、

一方で粘り強く、黙々と地域共同体の資産を守り続ける営みというものも、

たしかに存在するのである。

誰のためでもない。

私とみんなのためであり、先祖から子孫にいのちをつなげていくために。

ゴールデンウィーク、僕はそれを確かめるために会津に行く。

 

福島県喜多方市山都町での堰さらいボランティアも、

早いもので7年目となった。

堰の歴史からみればほんのひと呼吸程度の時間だけれど。

 

5月3日、仲間と乗り合わせ、激しい渋滞に揉まれながら一路北上。

午後4時過ぎ、山都町でも北の最奥部に入るあたりに位置する

早稲谷(わせだに) 集落に到着。

7年間変わらない、同じ桜と同じ景色が出迎えてくれる。

 

e13050601.JPG

 

e13050602.JPG

 


今年のボランティアは46名。

過去最高の昨年より少し減ったけど、それでも地元の人にとってはけっこうな数だ。

めいめい到着しては温泉に入って、

地元の方に混じってまかないも分担しながら、

前夜祭の開幕となる。

大地を守る会から、今年は職員と会員合わせて10名の参加。

来る途中、大和川酒造で調達した 「種蒔人」 1ダース (12本) を献上する。

みんなが飲んで貯めた 「種蒔人基金」 からの差し入れです。

 

e13050603.JPG

 

採れたての山菜の天ぷらなどがふるまわれる。

これら自然の幸が美味いんだよね、ホント。

e13050604.JPG

 

都会からのボランティアを募った仕掛け人であり、

大地を守る会では、夏の若者たちの野菜セットを届けてくれる

「あいづ耕人会たべらんしょ」 の世話人的役割も担ってくれている、浅見彰宏さん。

 

e13050605.JPG

 

入植して17年。

今やこの人のネットワークなしでは、田に水を送る水路の維持も難しくなってしまった。

 

我々ボランティアという名の人足たちは、ふたつの公民館に分かれ宿泊し、

翌5月4日、朝ごはんを自炊して、お昼のおにぎりを用意して、

8:00 集合。

諸注意を受けて、作業にとりかかる。

e13050606.JPG

 

我らが 「チーム大地」 は、今年は上流から下る組に配属される。

早稲谷の上流部から取水して下の本木地区まで、

延べ 6km の水路(堰 :せき) が続く。

掘られたのが江戸時代中期、吉宗の時代だという。

 

e13050607.JPG

 

山あいを縫いながら、ほとんど水平に近い傾斜で、

ゆっくりと水を温ませながら流れていくように計算されている。

開設当時で 5000分の1 の傾斜を設計する測量技術があった

というのだから、驚きである。

ニッポンの誇る世界技術は、弛まぬ自然とのたたかい、いや

長い長い折り合いの歴史によって築かれてきたのだ、きっと。

この精神の廃れこそ、この国の危機なのではあるまいか。

 

すみません。 眠くなったので、続きは明日に。

作業ではなく、行き帰りの渋滞で、小バテしたかしら・・・

作業自体は、去年のベトコン体験に比べたら、

まあ  " イイ汗かいた "  と余裕で言っておこう。

 

ブヨに射された痕がモーレツに痒い。

合計11箇所あった。

アンモニア水が手放せない。

 



大地を守る会のホームページへ
とくたろうさんブログへ