三番瀬・アオサの最近のブログ記事

2013年11月26日

3年ぶりの三番瀬クリーンアップ

 

ネオニコのフォーラムを終え、東京駅近くの居酒屋で

大野先生や abt スタッフの方、有機農業関係者たちと一杯やった。

その席で、作家・詩人でもある abt 代表の星川淳さんから

次回の内容について打診され、よせばいいのについつい意見を述べてしまった。

結局、また関わらざるを得なくなる。 

こうやって墓穴を掘るっていうか、自分の首を絞めるっていうか・・・ 


翌 11月10日(日) は、

久しぶりに 「ふなばし三番瀬海浜公園」(千葉県船橋市) に出向いた。

震災の影響で中止されていた 「ふなばし三番瀬クリーンアップ」 が、

3年ぶりに開催されたのだ。

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この日は朝から冷たい風が吹いていて、しかも中潮で海は満ち始めていた。

それでも600人くらいの市民、ボランティアが集まっただろうか。

砂浜の清掃をメインにして、なぎさ美術館と銘打った絵画展や

貝殻工作教室、木の実クラフト作り、地球温暖化対策のパネル展示などが、

それなりに楽しく、実施された。


大地を守る会の 2 つの専門委員会(おさかな喰楽部&米プロジェクト21)

とNPO法人 「ベイプラン・アソシエイツ」(BPA) が共同で運営する

我が 「東京湾アオサ・プロジェクト」 も、

震災後は開店休業状態だったのだが、ここで3年ぶりの登場となる。


アオサはびっしりと打ち上げられていた・・・

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本来ならここで

プロジェクトの目的であるアオサの回収を力強く呼びかけるところなのだが、

残念ながらできずに終わった。

アオサを引き取って発酵飼料に仕上げてくれる予定だった

本田孝夫さん(埼玉県深谷市) が飼料用米の収穫で忙しくて来れなくなった。

加えて生の海藻は焼却ゴミとして扱えないのだ。

富栄養化の原因となるチッソやリンを吸収して海を浄化してくれている

このアオサが、厄介ものと嫌われるようになって久しい。

これを農業の力で資源に変える、陸と海の循環を取り戻す、

そんな構想に挑んで 13 年が経った。

生産者とのネットワークで、堆肥化や発酵飼料化の受け皿はつくった。

その効果も確かめた。

しかし、これを採る人手と運ぶ手間(コスト) が課題として残った。

公園が震災でやられた後、こちらもやけに忙しくなってしまったこともあって、

なかなか再開できず、気がつけば 3 年の月日が流れた。

 

クリーンアップが再開されたことを機に、

こちらのモチベーションも復活させるか、と話し合った。

このまんまじゃ、どうにも終われない気分だしね。 

 

開会式で挨拶する実行委員長の大野和敏さん。

BPA 代表であり、元船橋漁協組合長。  

「東京湾アオサ・プロジェクト」 の代表もお願いしている。

" 船橋の顔 "  の一人。 

相変わらずダンディで、カッコいい。

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アオサ・プロジェクトを代表して、おさかな喰楽部(くらぶ) の吉田和生が

アオサの説明をして、予告してあった回収が中止になったお詫びをする。

生産者は今日も食の自給力を高めるために頑張っていることをお伝えして。

 

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写真の右に座っているのは、

なぎさ美術館の絵画コンクールで受賞した小学生たち。

船橋市内の 6つの小学校から 242点の応募があったそうだ。

地元に残された貴重な干潟地帯 「三番瀬」 を守っていこうと

子どもたちが呼びかけているのだ。

大人なら、やるしかないよね。

清掃に励む市民たち。

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集めたゴミは約 500 ㎏ と発表があった。

以前には 2 ton 車満杯のアオサを回収したことがあった。

今日の人数で一斉にやったら、ゴミと同じ量くらいは採集できたと思う。

アオサを眺めながら、ちょっと悔しい。

 

アオサの回収は断念したが、

大地を守る会ではもうひとつ、「干潟の生き物観察会」 を担当した。

講師は、稲作体験でお馴染み、会員の陶(すえ) 武利さん。

専門委員会 「米プロジェクト21」 のメンバー。 

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砂以外何もないように見える砂浜のなかにも、

実にいろんな生き物たちがいて、たたかい、

食い合いながら共存している。

多様な生物がいることによって、生命の循環が守られ、海も浄化されている。

そんな世界を、陶さんは本当に嬉しそうに語るのだ。

 

 

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アオサもよく見ると、小さな貝がへばりついている。

こいつらもしっかり生きているんだ。 スゴ~イ! ね。

生物多様性の世界は、僕らの暮らしの足元にもつながっている。

大切にしよう。

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まあ、ちょっと寒かったね。

また来てほしい。 

身近にある自然から学べることはたくさんあるから。

それは未来のために必要なことだ。

 

なおこの日、放射性物質の検査のためアオサのサンプルを採取した。

結果は、ND(不検出)。 検出限界値は 0.6~0.9 Bq。

参考までに付記しておきたい。

 



2011年7月22日

エメラルドグリーンの海

 

わあ~きれい! と叫ぶ人がいる。

台風6号が去った翌日、

千葉市幕張の海の一帯がエメラルドグリーンに染まった。

まるで沖縄のサンゴ礁のように美しく見える。

 

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コンパクトカメラなので分かりにくいかもしれないけど、

乳青色の水域が見て取れるかと思う。

これが、いわゆる  " 青潮 "  ってやつ。 

アサリや海苔にとって命取りになりかねない危険信号である。

幕張に本社が移転してから、何度となく目にしてきた。

 

「青潮」 -実は広辞苑にも収載されていない。

その発生メカニズムは、こんな感じである。

 


東京湾にはいくつもの河川から生活排水が流れてくる。

排水には、窒素やリンなど栄養塩類が含まれていて、

閉鎖系の内湾では、湾内に溜まり、富栄養化状態となる。

それらは植物プランクトンの餌となって浄化に向かうのだが、

夏場に水温が上昇してプランクトンが異常発生したりすると、

海が赤茶色に染まる  " 赤潮 "  の現象が生まれる。

 

過剰に発生した植物プランクトンは死んで海底に蓄積される。

その死骸を分解するのがバクテリアであるが、

分解活動の際に大量の酸素が消費され、海底が貧酸素水状態になる。

特に東京湾には、埋め立て用に土砂が持ち出された穴ぼこがたくさんあって、

その穴は無酸素状態になっていると言われている。

 

そこに北か北東からの強風が吹くと、

表層の海水が沖 (太平洋側) に向かって流され、

それに伴って海底の貧酸素水塊が表層に湧昇してくる。

無酸素水塊には硫化水素が含まれていて、

上昇したところで酸素と反応して、硫黄酸化物となる。 

その粒子が太陽光を反射して見せてくれるのが、

鮮やかなエメラルドグリーンの海、というわけだ。

 

そこは酸素不足の水塊で、腐卵臭を放ち、

硫化水素によってアサリの斃死などにつながってしまう。

 

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幕張テクノガーデンD棟22階から東京湾を望む。

ここから西、つまり東京方面に向かうと、

習志野を経て船橋、三番瀬の干潟地帯へとつながっている。

 

僕らがそこで、2000年から取り組んできたのが、

やはり窒素やリンを吸収して繁茂する海藻・アオサを回収して陸に戻す

「東京湾アオサ・プロジェクト」 である。

アオサは発酵させて鶏の餌にしたり、堆肥化する試験を行なってきた。

例年だと、春・夏・秋と回収作業を行なうのだが、

地震により三番瀬海浜公園も液状化の影響を受けていて、

秋の回収も中止を余儀なくされてしまっている。

今年は残念ながら開店休業状態。

 

台風や強風のあと、エメラルドグリーンの海が登場する。

これはただのきれいな景色ではなくて、

ヒトビトの暮らしの影響を受けながらも必死で生態系の浄化に向かう

生物たちのもがきの現場である。

 

僕らはもっと、目の前の海と付き合う機会を持たないといけないね。

 



2010年11月27日

「地域の力」 で結び直す希望を

 

今週もよく飲んだ一週間だった。 

いつも飲んでると思われているかもしれないけど (それも否定できないけど)、

こんな会合続きの週はそんなにはないです。

月・火・水そして金と。

気がつけば週末で、財布は空っぽだし、出るのは溜め息のみ。

 

まずは月曜日、22日の夜。 東京湾アオサ・プロジェクトを共同で運営する

NPO法人 ベイプラン・アソシエイツ(BPA) の方々と一席。

場所は船橋。

BPA代表で船橋漁協組合長・大野一敏さんの船 「太平丸」 直送の魚が

食べられる居酒屋 「轟」 (とどろき) にて。

 

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結局ただの飲み会になってしまった感もないわけではないが、

このところやや精彩を欠くアオサ回収-資源循環の取り組みを再活性させることを

確認できただけでも、まあ成功だと思おう。

2001年、『アオサ・プロジェクト 出航宣言』 で掲げたスローガン、

"  海が大地を耕し、有機農業が海を救う!  " 

をもう一度思い起こして、ネットワークづくりを再開しよう。

 

東京湾アオサ・プロジェクトを結成して10年。

大野さんも組合長に復帰し、僕らも実に忙しくなった。

でも、同じ問題に悩む人たちは、全国各地に増えている。

漁民と農民、上流と下流をつなぐことで、この課題を飛び越えることが出来るはずだと、

感性先行で取り組んだ僕らのプロジェクトは間違っていない。

この確信は、いっそう深まってきている。

しんどいけれど、誰かが動かなければならない。

 

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- 酒は純米、燗ならなお良し -

「酒造界の生き字引」 と呼ばれる上原浩大先達の言葉を見つめながら

ぬる燗の清酒が進む。

「日本酒は温度を変えることによって味わいが変わる稀有の酒だ」

(上原浩著 『純米酒を極める』、光文社新書より) ・・・・まさに。

 

続いて翌23日(火)。 勤労感謝の日でも僕らは働く。

-と言いながら外出許可をいただいて、

20年ぶりくらいになるだろうか、

もう来ることはないだろうと思っていた母校のキャンパスに足を踏み入れる。

 


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都の西北、早稲田の杜に - 

アルバイトと大学当局との喧嘩、虚しい党派闘争、合間に勉強とお酒の訓練、、、と恋愛。

そんな喧騒の思い出ばかりの大学時代だが、多少の母校愛は残っていたか、

思わずカメラを取り出してしまった。

校歌に謳われる  " 進取の精神 学の独立 " は今も息づいているのだろうか。 

ま、僕の場合は  " 新酒の精神 "  てところで、偉そうなことは言えないけど。

 

で、この日行なわれたのは 「第2回 地域力フォーラム」 という集まり。 

今回のタイトルが 「持続する価値観と文化のために-自給の力、場所の力、農の力」。

 

グローバリズムが例外なき自由貿易へと突き進む時代に、

地域の力を考える - そのココロは。

哲学者・内山節さんが基調講演で語る。  

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ムラとは周辺の自然も含めた暮らしの空間であって、

すべての生命活動が見える世界だった。 

自然と人間の生命活動が連鎖しあう世界では、互いが助け合う 「関係」 があった。

それが地域という主体である。

しかし手段としてあった貨幣や市場 (しじょう) がいつの間にか目的と化して、

基盤である生命活動が見えなくなってしまった。

 

地域の自律を取り戻すために、地域を越えた関係を築き直す必要がある。

「開かれた地域」 によって、新しい都市と農山村の関係を取り戻したい。

都市にも多様な共同体が生まれ、

それぞれの共同体が、自分たちの山、自分たちの自然を持ち、

自分たちのふる里となる、そんな 「結びつき」 を。

そしてTPPなんてどうでもいい、と言えるような農民をつくっていきたい。

自然とともにある持続、持続する価値観と文化を見つけ直し、

新たな 「地域主義」 を創造しよう。

地域をデザインする鍵は 「関係」 である。

 

聞きながら、夕べの  " 飲み "  を思い返している。

上流と下流のつながりで資源循環モデルをつくる。

これもまた内山さんの言う 「地域を越えた関係」 であり、

「開かれた地域主義における都市と農山村」 の関係の修復でもあり、

「地域と多層的な関係」 づくりなのではないか。

 

共催団体として5分間のスピーチを求められていて、

当初、僕の頭の中では、山間地に移り住んで有機農業をベースに村の活性化に

貢献する若者たちを支援する試みを始めている、といった事例があったのだが、

内山さんの視座でアオサも見つめ直してみようか、そんな気になった。

 

まとまらないまま登壇し、出たとこ勝負の5分間。

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農文協電子制作センターの田口均さんが写真を送ってくれたので、アップしてみる。

背景に映っているのは、高知県馬路村のPRコピーです。

 

地域を拠点にした活動事例を発表された方が8名。

長崎・五島で食から衣料、エネルギーの自給まで進める歌野敬さん。

佐渡で宮司を務めながら農業・漁業・文弥人形の保存と興行活動・除雪オペレーターなど

多職の力で島の活性化に挑む臼杵秀昭さん。

新潟と富山で、新しいスタイルで福祉事業を展開するお二人の女性。

柚子しかない過疎の山村を逆に  " 売り "  にして発展させた

馬路村農協組合長、東谷望史さん、など。

皆さんとても元気がよくて、しかもここに至るプロセスが刺激的なのだ。

頑張ろう、という気になった参加者も多かったのではないだろうか。

 

地域の力を取り戻す。

それは価値でつながる共生の 「関係」 づくり、なんだね。

世界が 「市場価値」 に呑まれてゆく中で、

いま僕らは次の希望のタネを播いているんだ。

そんな気にもなって、関係者たちと、また一杯やってしまう。

俺たちの学生時代にはなかったようなコジャレた店で。

昔入りびたった 「水っぽい酒、まずい焼き鳥」 という看板を掲げていた汚い店は、

見つけられなかった。

 



2010年7月31日

三番瀬 アオサ回収と水上バス

 

話は前後しちゃったけれど、

鹿児島から帰った大暑の日の翌日、7月24日(土)、

船橋・三番瀬海浜公園の浜辺でアオサの回収を行なったので、

写真だけでもアップしておこうと思う。

 

この日も暑い一日になった。 

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子どもたちには格好の水遊び日和。

生命の揺りかごともいえる干潟は、危険ももちろんないわけではないが、

楽しい海辺体験ができる比較的安全な場所である。

(一番怖いのは、エイ。 潮が引くのに取り残されたでかいエイを見たことがある。

 しかも砂と同じ色なので気がつかない。 裸足は禁物。 )

 

特に干潮がお昼時にやってくる中潮から大潮の日ともなれば、

  遊びにも生物観察にも、もってこいとなる。

しかもここは都心に近い。

人々の暮らしと海のつながり を感じさせてくれる貴重な砂浜として、

よくぞ残してくれたと思う。

 

このところの暑さのせいか、アオサはわずかしか見当たらず、

しょうがないねと、干潟の生き物観察会をメインに変更する。

講師は、毎度お馴染み、陶武利センセ。

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松林の陰に集まってもらって、まずは干潟の役割を簡単におさらいする。

 


いろいろと観察しながら、ついでにアオサを拾っていただく。

主客転倒ではあるけど、子どもたちにとってはちょうどいいか。 夏休みだし。

 

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僕が、アオサが溶けた跡じゃないか、なんていい加減なことを言ったあと、

陶センセがすかさず訂正する。

これは植物プランクトン、キートセラスという珪藻(ケイソウ) の種類で、

光合成、つまり太陽のエネルギーを使ってCO2を吸収して有機物をつくってくれている。

これがたくさんの魚介類の餌となります。

水域生態系の一次生産者、つまり土台。 とても大切な生物なんです。

 

潮が引いて、残された水溜りはお湯状態になっている。

暑くて避難しているヤドカリの大群。 

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なんか、可愛くないか。

 

砂浜に空いた小さな穴を掘れば、カニたちが飛び出してくる。 

足の下には壮大な生命循環の世界がある。

満ちればここは海の底となり、たくさんの魚たちの餌場となる。

 

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クラゲだぁ~。

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いえ、これはタマシキゴカイの卵です。

この卵のうの中に、約33万個の卵が入っているそうです。

 

生き物がたくさんいればいるほど、海はどんどんきれいになってゆくのです。

 

米のとぎ汁実験。

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1時間もしないうちに、違いを見せつける貝の浄化力。

というか、有機物の循環こそ、生命の営みそのものなのだ。

 

アオサも循環に貢献している。 

陸から運ばれてきた栄養塩類を取り込んで、富栄養化を防いでくれている。

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アオサの回収自体は絶不漁に終わる。

大漁を期待して、埼玉からやってきた本田孝夫さん(THAT'S国産卵の生産者)、

茨城からやってきた下河辺昭二さん(北浦シャモの生産者)、すみません。

暑い中、少しでも海辺の風で癒されたなら幸いですが。

 

東京湾アオサ・プロジェクトを共同で運営する

BPA(ベイプラン・アソシエイツ) のメンバーは、

大野一敏代表(船橋漁協組合長) はじめ、今回は顔を見せず。

何をやっていたかというと、

船橋市内を流れる海老川に、水上バスを走らせたのだ。

 

交通渋滞の緩和とか地域振興とかが名目らしいが、

何よりも、人が川に親しむことが大切だと、大野さんは思っているに違いない。

身近に感じれば、そしてそれが大切な生命循環の血流だと思うなら、

平気で汚したり、視界から消したりはしないはずだから。

 

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                              (7月27日付 読売新聞)

 

記事によれば、

「船橋市宮本の海老川橋から下流の八千代橋までの約300mを無料で4回運行。

 親子連れなど計40人が参加し、川岸で風にはためく大漁旗などを眺めながら、

 ゆっくりと進む船に揺られていた。」

とある。

 

次回は8月28、29日の予定。

予約制で、バス代は無料。 ただし保険料が1回につき100円。

問い合わせは、BPA (090-3106-6679) まで。 

 

皆さんのところに、川は普通に流れていますか。

街というものを、川の水面目線から眺めてみるのも、一興かも。

 



2010年4月18日

春のアオサ回収大作戦 -カキ礁まで歩く。

 

前日の記録的な寒波が去って、一転うららかな春の一日となった。

ふなばし三番瀬海浜公園は潮干狩りが解禁された最初の日曜日とあって、

人が押し寄せてきている。

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東京湾にわずかに残された干潟地帯は、

街に住む人々が海に触れられる手ごろな場所であり、

かつ憩いを与えてくれる貴重な自然である。

 

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ハマシギ、ユリカモメ、アオサギ、名前の分からない鳥たち・・・

野鳥の種類も多く、休日には必ずと言っていいくらい観察会のグループに出くわす。 

 

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干潟の豊かさは鳥の多さだけでなく、その餌を支える莫大な生命生産力があって、

皆さんの足の下にも、コメツキガニやたくさんの動物がいるんですけどね。。。

 

そしてこいつが、我々が陸(おか) に戻して資源として生かそうと

試みている海藻・アオサである。 

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春になっても低温が続いたせいで、思ったほど繁殖していない。

風がまだ北から吹いてくるので、沖に流されているということもあるようだ。

これが南からの風に変わって気温が上がると、一気に生育が進み、

また陸に打ち上げられてくる。

 

閉鎖系の東京湾に、たくさんの河川から窒素やリンなどの栄養分が流れてきて、

アオサはそれを吸収するかたちで過剰繁殖する。

" 海の厄介もの "  とか  " 海の雑草 "  と呼ばれて、漁民たちから忌み嫌われているが、

視点を変えれば、彼らこそ海の富栄養化を防いでいる調整係なのである。

「昔は  " 川菜とり "  といって、近隣の農家が持ってってくれていたんだよ」 

というのが、一緒にアオサ回収に取り組んでいるBPA(ベイプラン・アソシエイツ) 代表、

船橋漁協組合長・大野一敏さんの口癖である。

これを陸に戻し、肥料や飼料として資源の循環をはかる。 

それには農家の、しかも有機農業の技を持った農家の存在が欠かせない。 

アオサは、資源だけでなく、陸と海の人をつなぐ役割も果たしてくれている。

 


昨日までの悪天候もあってか、今日の参加者は20名強。

たくさんの潮干狩り客やバーベキュー連中を横目に集合。 

「しっかりアオサを回収して、浜をきれいにして帰りましょう。」

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東京湾アオサ・プロジェクトの代表も務めていただいている大野一敏さん。 

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海は陸の影響を受け、陸もまた海の結果を受けとることになります。

私たちはみんな、地球というこの星の一員、いわば運命共同体なのです。

このきれいな干潟を楽しみ、海を眺めながら、

そんなことも感じ取ってもらえると嬉しいです。

 

今回の生産者は、いつもの埼玉の養鶏家・本田孝夫さんではなく、

茨城から北浦シャモの生産者・下河辺昭二さんと、

JAやさとの鶏肉部会から2名の方(広瀬さん、木村さん) が参加してくれた。 

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養鶏の餌として、それに米(水田) で肥料試験をやってみたいとのこと。

こうやって生産者の受け皿が広がっていくのが、嬉しいね。

 

今日は回収というより 「アオサ拾い」 という感じ。

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潮干狩りに押し寄せた大群。 

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現代のニッポンは、飽食の一方で、何かに飢(かつ) えているのか。

コメツキガニも恐怖で深く潜ったに違いない。

 

本日の収穫量は、約200㎏。 

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試験用ということではちょうどよい量だったのでは。

 

回収後、記念撮影。

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第二部は、ここ数年で恒例となった、陶(すえ) ハカセによる 「干潟の生物観察会」。

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山から海までのつながりを見て、干潟の役割について知ってもらう。

次に、浜を歩きながら、一見ただの砂浜にもたくさんの生物が棲息していて、

循環しながら海を浄化していることを感じてもらう。

 

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そして今日は特別に、干潟の奥(沖) に広がってきているカキ礁まで歩く。

通常なら、大潮の日でもここまで見られないほど、カキ礁がはっきりと姿を現している。

陶さんもちょっと興奮気味で、

「今日はスゴイ! 今までで最高のタイミングです。」

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これがカキ礁。 

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ここ数十年で、異常なまでに三番瀬を侵食してきている。

カキの大繁殖を、それだけ豊かなのだと語る人もいるようだが、それは誤りである。

本来、三番瀬にカキ礁はなかったものだ (カキ自体は河口辺りにはいたのだろうが)。

それが埋め立てや浦安あたりでの高層建物の林立などによって風が変わり、

海の流れが弱くなって、カキが異常に繁殖するようになった。

気がつけばこの姿である。

 

カキ礁は、海面表面を覆うため砂がなくなりアサリが棲めなくなる。

海苔の養殖にも影響を与え、さらには減少している貴重なアマモ場を壊滅させる。

アマモは砂に根を張り、海中に酸素を供給し、魚の産卵場となる、

" 生物のゆりかご "  なのである。

 

干潟の価値を確かめながら、そこにもヒトのなりわいの結果を受けた自然の遷移という

" 脅威 "  が、日常的に進行していることを、僕らは目の当たりにさせられたのだった。

 

これはなんでしょう。 

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排水の汚れなんかではありません。

ケイソウ(珪藻) という名の藻類、植物プランクトンです。

光合成を行なうため、浅瀬や海面に繁殖したりします。

これを餌に魚が集まってきます。

干潟は生命を支えてくれているのです。

 

最後に、アサリの力を見ていただく。

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観察会を始める前に、アサリを入れた水槽とただの海水の水槽を並べ、

米のとぎ汁を入れる。

約1時間後、帰ってきたらこの通り。 

皆さんが普段流しているとぎ汁も、魚介類がきれいにしてくれています。

生物が豊かに生きられる世界があれば、暮らしは安定するのですね。

大事にしましょうね。

 

陶さん、ありがとう。

それにしても、カキ礁は少々ショックだった。

 



2010年4月 7日

三番瀬・アオサ回収大作戦のお知らせ

 

なかなか春の陽気にならず、

野菜の遅れが気になってしょうがない日々ですが、久しぶりに

三番瀬での 「アオサ回収大作戦」 開催のご案内です。

 

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東京湾・三番瀬に大量発生する海藻・アオサを人海戦術で回収し、

田畑の肥料や畜産の飼料として利用することで海の浄化につなげよう、という取り組み。

海が田畑を耕し、有機農業が海を救う!

をスローガンに、2000年から始まった実験です。

 

春の海は気持ちいいですよ~! 

体験田の生き物観察でお馴染み、陶(すえ)ハカセによる干潟観察会もあります。

今回は、現地集合・自由参加。 どうぞ奮ってご参加ください。

 

◎ 日時 : 4月18日(日) 午前11時集合

       回収作業 = 11:30~12:30

       干潟の生物観察会 = 12:30~13:30

◎ 場所 : ふなばし三番瀬海浜公園 (千葉県船橋市)

     http://www.park-funabashi.or.jp/bay/

   公園内に入り、駐車場-事務所前を過ぎて、堤防から浜に降りてください。

   下の写真にある旗を立てて受付を設置しています。

◎ 交通

      電車ご利用の場合は、JR・京成 「船橋」 駅から

      京成バス 「ふなばし三番瀬海浜公園」 行きに乗り、終点で下車。

      車での来場も可(上のHP参照) ですが、駐車場代が500円(1日) かかります。

      また日曜日なので駐車場も混雑が予想されます。 お早目にご来場ください。

◎ 参加費 : 無料。 小雨決行です。 保育はありません。

◎ ひざ下まで海に入ります。長靴もしくは下は濡れてもよい服装でお願いします。

      暑くなりそうな場合は日焼け対策も。

      干潟の生物観察会に参加希望の方は、おにぎりなど昼食をご用意ください。

◎ お問い合わせ先 :

      東京湾アオサ・プロジェクト事務局(大地を守る会事務局内)

      03-3402-8841

      メールの場合は、 osakana@daichi.or.jp  までどうぞ。

      当日のご連絡は、 080-5023-3211 まで。

 

今回回収したアオサは、THAT'S国産平飼卵の生産者・本田孝夫さん(埼玉県深谷市)

が持ち帰り、醗酵させて鶏の餌として利用します。 

(THAT'国産とは......100%国産飼料で育てた鶏や牛のことです。)

というわけで、本田さんも駆けつけてくれます。

 

では、春の陽光を期待して、

三番瀬でお会いしましょう!

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2009年10月10日

三番瀬・船橋港まつり

 

台風18号が走り去って、

産地担当職員が各地の状況を聞き取っているのに聞き耳を立てながら、

今のところ、甚大な被害はなさそうだとホッとする。

しかし生産者の 「さほど」 を言葉どおりに受け止めると痛い目にあったりする。

彼らの、自然の驚異を前に想定した被害レベルと結果に対する受け止め方は、

我々のそれとは違う。

実際に長野ではリンゴの実は少なからず落ちたようだし、

激しい風雨にあたり、畑が冠水し、稲刈りが遅れたりすることによる影響は

これから出てくるわけで、彼らはけっして安堵しているわけではない。

ま、とりあえず生産者が落ち着いているのに、我々は救われているわけだ。

 

そんなことをモヤモヤと思い巡らしつつ、今日も天気を心配しながら船橋へと向かう。

三番瀬を生かしたまちづくりをめざして、

「三番瀬フェスタ '09 -船橋港まつり」 が、今年も開催された。

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やってる、やってる。

 

小雨模様だった空も晴れ間が出てきて、気分も明るくなる。

やっぱ祭りの日の空は高い方がいい。

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いつも祭りを盛り上げるジャズ・バンド 「下間哲とベイサイドオールスターズ」 。

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港町にはジャズが似合うね。 

今日は港のお祭りだ。 束の間、生ビールでも飲みながら楽しませてもらおう。

 


大地を守る会の専門委員会 「おさかな喰楽部」 も当然のごとく出店。 

三浦半島・横須賀市佐島の岩崎晃次さんの釜揚げしらすをたっぷり乗せた

しらす丼が人気を博している。

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並んでいたら、エビちゃんが最後ね! と言われたので、後ろのご婦人に譲る。

食べそびれた。

 

こちらも大地を守る会自慢の有明海一番海苔。

福岡から成清忠・千賀さん夫妻も駆けつけ、売り子に立って三番瀬を応援する。

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三番瀬と有明、海苔のブランドではライバルかもしれないが、

今日はコラボレーションである。 海の仲間は、連帯感が強い。

 

千葉の野菜ということで、さんぶ野菜ネットワークさんも出張ってくれた。

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人参ジュースを売り込む事務局の花見博州 (くにひろ) さんと

稲作体験田の地主・佐藤秀雄さん。

隣では母ちゃんたちが元気よく野菜を  " 売るっぺよ " 。

 

実行委員長・大野一敏さん (船橋漁協組合長) の大平丸は、海鮮汁をふるまう。 

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実行委員長は忙しく動き回っていて、写真を取り損ねた。

 

子供たちは三番瀬のミニミニ水族館で、カニや貝と戯れている。 

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触れ合うこと、それが初めの一歩である。

 

オッ 出てるね。 魚屋ロックバンド 「漁港」 。

「港」の字が左右逆さまが彼らの正しい表記なんだけど、作れないよ。  

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港に活気を。 海を元気に。 みんなで支えよう、三番瀬。

「魚を食おうぜ! 大事によ 」

 

本日のお目当てイベントのひとつ、10メートルの海苔巻き体験の始まり。 

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忠くんが10メートルの海苔をこしらえてきてくれた。

 

みんなで並んで、シャリを広げ、具を乗せて、一斉に巻きます。

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チームワークが問われる作業ですよ。 

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さあ、どうだ! 

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お見事! 10メートルの太巻きの完成! です。

パチパチパチパチ。 

 

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気がつけば、すごい人だかりだ。

何べん見ても、これは面白いなあ (本当は参加したいのだけど・・・)。 

 

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みんながもっと海辺や港で憩い、魚に親しんでくれれば、

海は豊かに、僕らとともにあり続けてくれる。

森や大地への人々の所作のすべてを、最後に受け入れる海。

もっと付き合おうぜ、ちゃんとよう。

フィッシャーマンたちは、彼らの流儀で訴えている。

 



2009年9月19日

東京湾エコ・クルーズ

 

専門委員会・おさかな喰楽部主催による 「東京湾エコ・クルーズ」 に参加する。

今日は午後から稲作体験田の脱穀をやる予定だったが、天候を心配して、

生産者が昨日済ませてくれたので、ちょっとゆとりができた。

ただ雨は降ってなくても、船が出るには波の状態がモノをいう。

台風14号の影響を心配しつつ、千葉・船橋港へと向かう。

 

集まった参加者は子供さんを含めて60名ほど。 

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全員ライフジャケットを装備して、船に乗り込む。

 

船長は、言わずもがな、東京湾アオサ・プロジェクトを一緒に運営する

BPA(ベイプラン・アソシエイツ) 代表、かつ船橋漁協組合長、大野一敏さん。

 

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- 今日は羽田沖からアクアラインのあたりまで周航します。

  波もあるので、気をつけるように。

 

大野さんの大平丸に乗るのは、久しぶりかな。

このところ行事がぶつかってアオサ回収も2回ほど出られなかったし。 

 

出航。

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難民ボートみたい? たしかに多いね。

今回は抽選になるほどの申し込みがあったとのこと。

海が近くにあっても、船に乗る機会なんて滅多に得られない。

それどころか、湾周辺に住む人ですら、海は視界に入らないものになっている感もある。

東京湾に関心を持ってくれる人は、大事にしたい。

漁協の壁に掲げられた 「海を活かしたまちづくり」 は、

大野さんがずっと声を大にして言い続けてきたテーマでもある。

そのためには、もっとたくさんの人たちが海に親しむ機会が必要なのだ。

 


船橋港を出て東京湾に出る。

まだ揺れも少なく、潮風が心地よい。 

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しばらくして浦安のディズニーランドが西岸に眺められた時は、

一瞬、方向音痴になったような気分になる。

考えてみれば、そこは東京湾の喉仏のような江戸川区から

どんどんと沖に向かって埋め立てられ、張り出してきた土地なのだ。 

 

大海原ではないけれど、それでも海はやっぱり気持ちを広くさせる。

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子供の頃から海の風景に親しんでくれる人を増やしたいものだ。

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波しぶきがだんだんと迫力を増してくる。 

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東京湾は交通も混んでいる。

タンカーやコンテナ船、工事用のクレーン船に小型のポートまで、

どんどんすれ違ってゆく。 

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羽田沖がさらに埋め立てられている。 

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こういう光景をいつも海から見つめている漁民の目線は、

僕らのものとは決定的に違うのだろう。

 

海の真ん中に東京湾アクアラインの排気口が浮かんでいる。 

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この下を車が走っているのか・・・・・

 

ここからUターン。 風が強くなり、波も荒れてきた。 

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船の後方の乗船者には容赦なくしぶきがかかってくる。

気がつけばびしょ濡れ状態。 

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大平丸のコックピットの屋根の上にはフクロウが立っている。

なぜここに森の賢者、知恵の神様が? 大野さんの趣味だろうか。

いやおそらくは、周囲を広く見渡せる (首が回る) というところから、

漁師にも重宝されているのではないかと推測する。

 

三番瀬を沖側から眺望する。

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浦安から市川沖に広がる海苔シビ。 

江戸前の海苔は、今でも評価が高い。 「三番瀬の海苔」 はブランドである。

 

水深1m から 5m までの浅海域が、東西5700m、南北4000m、

約1600ヘクタールにわたって残る三番瀬(さんばんぜ) 地帯。

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湾に流れてくる栄養塩類を吸収・浄化し、魚介類を育てる一大漁場でもある。

 

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カキなどの殻で出来上がった通称  " 貝殻島 " 。

これが自然に作られたってんだから、この地帯の生命力が想像できる。

 

陸に上がった参加者に、スズキの刺身に天ぷら、漁師汁が振るまわれる。 

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今日の汁の具はホンビノス貝。 

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北米の東海岸から貨物タンカーのバラスト水 (※) と一緒にやってきた外来種。

「ビノス」 の名は、ローマ神話の美と愛の神 「ビーナス」 から来ているとのこと。

漢字でも 「本美之主貝」 という字があてられている。 ウマいね。

ハマグリに似た食感があるため (ちょっと淡白な感じ)、

世間では 「白はまぐり」 と称して売られたりしたらしいが、今では " 偽証 " になる。

 

  (※)「バラスト水」......タンカーが船のバランスを保つために入れた海水。

     輸出国で注水された水が、輸入国で排出されるため、魚介類の幼生などが

     その国に定着し、場合によって生態系をかく乱する。これもグローバリズムの

     問題点のひとつとされている。

 

やってきて繁殖してしまったものは、生態系のバランスを維持するためにも、

獲って、食べるしかない。

" たべまも " キャンペーンじゃないけど、ここでも  「食べて、海を守る」 である。

 

大野さんの波止場ミニ講演。

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- アメリカ・サンフランシスコ湾では、湾域の環境と景観を保全するために

  市民の力で条例がつくられた。

  埋め立てやコンクリ護岸は、市民の許可がなければできない。

  市民たちは海辺で憩い、海を慈しんでいる。

  かたや日本では、経済優先で、あっという間にコンクリの岸壁となって、

  人々が憩える場所が失われてきた。

  海を守るためにも、もっと海に親しむ場や機会が必要なのです。

 

今の漁師はただ魚を獲るだけでなく、海を語り、海に触れる機会を用意し、

実際に食べてもらい、理解者を増やす努力をしなければならないのか。

こんな活動に、行政の支援は一切ない。 ないけどやるのだ、オレたちは。

 

きたる10月10日(土)には、港まつりが開催される。 

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屋台あり、コンサートあり。 おさかな喰楽部も参加します。

皆様、ぜひご参集ください。 

JR船橋駅から南へ、徒歩15分。 船橋港周辺で展開されます。 

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カモメたちも待ってます。

 



2009年5月25日

BPA10周年

 

昨日は " 野卑な連中たちが生き残っている街 "

なんて書いてしまって、船橋の皆さん、失礼しました。

でも決して侮蔑的に言ったのではなくて、僕は好きなんです、あの雰囲気が。

 

きれいになったJR船橋駅南口から京成線周辺の賑やかな商店街を経て、

国道14号線の交差点を渡って京葉道路を潜る手前あたりから、町の空気が変わる。

古くからの漁師町・ふなばし本来の世界へと入り込むのだ。

四国の小さな漁村で育った僕は、港というものを見ただけで、

今でも血がぞわぞわと震えたりする。 なんたって、風が違う。

漁船が静かに停泊してカモメがゆったりと鳴きながら舞う風景も好いが

ウチの田舎はカモメでなく、トンビのヒュウ~ポロポロ~だけど)、

魚が水揚げされ漁師たちが罵声を浴びせ合いながら動き回る、あの喧騒のほうが断然イイ。

生きている実感がある。

オレこそが一番だと言わんばかりの漁師たちの騒ぎ、あれは子供には恐怖であった。

豪放でいて優しくて、それは今でも  " 畏敬 "  として生きている。

 

1999年7月、そんな漁師と船橋市民が一緒になって、

海に親しみ、海を守りながら、海を活かした街づくりを提案し活動するNPOを結成した。

BPA-ベイプラン・アソシエイツ。 代表・大野一敏。

その設立10周年を記念しての祝賀会である。

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10周年といっても、大野さんたちの海を守る活動は昭和40年代、

つまり1970年あたりまで遡る。

東京湾の埋め立てに疑問を持ち、憩いの場としての海辺の価値を提言し、

水質を守るためにも漁業の大切さを訴え、

市民との接点を " 祭り " といった漁民らしい仕掛けで演出した。

港でジャズ・フェスティバル、漁船に子どもたちを乗せて東京湾クルージング、

こういった活動を先駆けたのが、大野さんだ。

 

その間にも大野さんは、市民の力で湾岸の保全を都市条例として制定させた

サンフランシスコ湾の事例を自力で翻訳・出版している。

実は、これこそが三番瀬保全活動の原点となった。

 

歴史を振り返る大野一敏。

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こうやって改めて見ると、僕らが初めて大野さんに接触したのは、

大野さんたちがBPAを結成した、つまり活動が新たな展開に入った時だったわけだ。

それは必然的と言えるような糸でつながったと思える。

 

触媒の役を果たしたのは、シグロという映画制作集団だった。

故・土本典昭さんが撮った水俣の映画シリーズをご存知の方には馴染みの名前だろうか。

そのシグロが、秩父・大滝村のダム建設で沈む村を取材して、

『あらかわ』 というドキュメンタリー映画を制作した (監督は萩原吉弘さん)。

その映画で、大野さんは荒川の終着点である東京湾の漁師として登場する。

 

オレたちはここで漁をしながら、上流がどうなっていっているのかを感じ取っている

 

あのセリフは、衝撃だった。

完成して間もなく、高知に生産者が集まった会議で上映会を企画して、

萩原監督に講演をお願いした。

次は監督が訪ねてきて、秩父で農業をやっている長谷川満 (大地を守る会理事) と

色々と情報交換をしているうちに、『続・あらかわ』 の構想がつくられた。

『続・あらかわ』 では大地を守る会の生産者が随所に登場する (実はエビちゃん一家も)。

そんな折に、当会の専門委員会 「おさかな喰楽部」 が大胆な企画を立てた。

秩父(荒川の源流) で水産生産者の会議をやろう。

魚屋たちが秩父困民党の里にやってきたのだ。 萩原監督にも再度お越しいただいた。

そこで次は、『続・あらかわ』 の上映と大野さんの講演を、という話になって、

電話を入れたところ、間髪を入れず 「そんなことより大地でよぉ、アオサを何とかしないか」

という逆提案を受けたのだった。 電話口でビビッ!ときたのを今でも覚えている。

東京湾アオサ・プロジェクトは、そうして始まった。

上映会が 「アオサ・プロジェクト出航宣言のつどい」 なる集まりになって、

2001年からアオサ回収が始まる。

考案したメッセージは -海が大地を耕し、有機農業が海を救う!

 

あれから、アオサの回収-資源活用をシコシコと続けてきた。

しかし物事は、見極めるまでは粘り強くやり続けるものだと、つくづく思う。

千葉県が、国 (国土交通省) が、アオサの資源リサイクルの相談にやってくるようになった。

こうして次の段階の扉が用意されようとしている。

 

誰もが認めるパイオニア、大野一敏。

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カッコよく、ジャズ・ソングを唄う大野一敏。

 

このたび古稀(70歳) を迎えたとのこと。

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スポーツ・ジムまで開いていたという大野一敏。

嫉妬することすら失礼にあたる、と言わざるを得ない若さである。

 

後進の一人として、こう見えても漣 (さざなみ) を子守唄にして育った者として、

大野さんが蒔いた種のひとつくらいは花を咲かせて見せないと格好がつかない。

 



2009年5月13日

三番瀬をラムサール登録へ -署名10万人突破!

 

「三番瀬のラムサール条約登録を実現する集い」

という集まりが開かれたので、出席する。 

三番瀬の保全活動に取り組む団体や千葉県野鳥の会などの自然保護団体が

中心になって、三番瀬をラムサール条約の登録湿地にしようという署名運動が

昨年の12月から進められていて、

その署名筆数が10万人を超えたのを記念して開かれた。

 

場所は千葉県船橋市・船橋フェイスビル-きららホール。

19時開会。 オープニングで披露されたのが、" 船橋手拍子音頭 "  。

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チーム三番瀬と呼ばれる地元のご婦人たちによる踊り。

地元の祭りなどでも活躍しているんだな、きっと。

 

   舟の船橋世界へかけて 国と国との橋渡し

   今日もやるぞと はりきる町の

   意気を伝える あの汽笛

   (ソレ!) しゃんと船橋 しゃんと船橋 手拍子音頭

   うてば笑顔の花が咲く

 

港町、浴衣、花火、太鼓に鉦の音、走る子どもたち

 ・・・そんな風景が浮かんでくるね。

 

プログラムでは、新しく知事になられた森田健作氏が来賓として来られる

ことになっていたのだが、代理の方の簡単な挨拶があったのみ。

「いろいろと立て込んでおりまして・・・」

三番瀬保全を公約に掲げていた堂本暁子前知事のあと、

さて新知事の方針やいかに、と思ったのだが、残念。

「できるだけたくさんの方の声を聞き、よい方向に進めるべく・・・」

要するに、まだ何も考えてないようだ。

 

そんな中で、大きな動きを見せたのが船橋市漁業協同組合である。

昨年3月の臨時総会で、「三番瀬のラムサール登録を進める」 決議が採択された。

組合長はご存知、大野一敏さん。

「東京湾アオサ・プロジェクト」 を一緒に運営するBPA (ベイプラン・アソシエイツ)

の代表でもある。

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大野さんが壇上に立つと、場が締まるというか、やっぱ華がある。


   オレは船橋のネイティブだ。

   ここは昔は船橋村と呼ばれ、家康が江戸幕府を開いた際には

   食料自給の重要な拠点とされ、栄えてきた。

   巨大な胃袋を持つ東京に近く、運ぶのにエネルギー消費も低くすむ。

   今は地産地消がもてはやされるが、環境が壊れては何にもならない。

   三番瀬をラムサール条約に登録させ、環境を守っていきたい。

 

記念講演は、東京大学大学院総合文化研究科助教授の清野(せいの) 聡子さん。

堂本前知事が三番瀬保全を進めるために設置した

「三番瀬再生計画検討会議」(通称、円卓会議) と、それに続く 「三番瀬再生会議」

の委員を務めてきた方である。

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清野さんの専門は、海岸・沿岸・河川の環境保全学。

その立場から、ただ干潟だけを眺めるのでなく、海の底まで留意が必要と語る。 

 

これが戦後間もない1948年の三番瀬の様子。

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それが1950年(昭和25年)の港湾法により、干潟を 「港」 にすることが決まった。

そして、今の様子。

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色が濃くなっている箇所が、海底が掘られたところ。

ここに海水が溜まり、時に青潮の原因となる。

残った干潟の意味は大きい。

「ここは未来を守る共有財産だ」 と清野さんは訴える。

 

第二部は、大野一敏さん、清野聡子さん、田久保晴孝さん(署名ネットワークの代表、

三番瀬を守る会会長、千葉の干潟を守る会会長、千葉野鳥の会副代表など)による、

トーク・セッション。

 

大野さんによる、漁をしながら歌う  " 木遣(や) り "  唄が披露される。

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声もいいけど、体もごつい。 海のダンディズムは古希を過ぎても衰えてない。

 

 

 セッションでは、三番瀬の自然や生き物たちの写真を見ながら、

 干潟の豊かさを感じ取る。

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ここでは砂浜の役割が大きい。

ひと粒ひと粒に微生物がくっついている。 砂粒が小さいほど多くの生き物がいることになる。

それが水を浄化し、また小動物たちの餌となる。

小動物は水鳥たちの餌となる。 鳥の糞は砂 (の微生物) が処理する。

プランクトンが増えれば、魚が集まってくる。

 

東京湾の素晴らしさを語る大野さん。 

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会場から、「三番瀬のラムサール条約登録を進めるのに何が障害となっているのか?」

という質問が挙がった。

田久保さんは行政の問題を挙げ、大野さんは損得勘定があると指摘する。

漁業者たちの間での利害関係があるということだ。

そういう意味でも、船橋漁協の決議は大きな力になったと言える。

清野さんは、

「政治家も経済人も、未来の財産を守る度量があるかどうかが量られている」

と手厳しい。

 

大野さんのまとめ-

身近なものを食べること。 海や自然と親しみ、憩い癒される場所が近場にある。

この暮らしを守るのかどうか。 決定権は皆さんの手の中にある。

 

その通りだ。

 

≪注釈:ラムサール条約≫

正式名称を 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」 と訳され、

湿地の保全と適正な利用を国際協力の下で促進していくことを目的とする条約。

1971年にイランのラムサールで採択されたことから 「ラムサール条約」 と呼ばれる。

当初は国境を越えて移動する渡り鳥の生息地としての湿地保全が中心だったが、

近年では、湿地生態系の持つ様々な機能が人間も含めた動植物の営みを支えている

ことが認識され、湿地生態系そのものの価値が評価されるようになってきている。

現在、日本では33ヵ所が登録されている。

2005年11月には宮城県・蕪栗沼とその周辺水田が登録され、

田んぼが生物にとって貴重な湿地であることが初めて認められたことで話題を呼んだ。

 



2009年3月21日

三番瀬漁場再生とアオサ対策

 

ここは千葉・船橋港の内港。

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南側に 「ららぽうと」 を望む奥まった位置に、船橋漁協がある。

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3月18日、ここの会議室で、

千葉県による 「三番瀬漁場再生検討委員会」 が開かれ、

傍聴してきたので、遅ればせながらその一報を。

お彼岸に入って気持ちのいい陽気。 この冬も暖冬だったか。

 

千葉県の浦安から船橋にかけて残る干潟地帯・三番瀬 (さんばんぜ)。

そこは海と陸をつなぎ、水を浄化させ、生物相を豊かにする場所であり、

渡り鳥はじめ野鳥を支えるえさ場になると同時に、

アサリや海苔の貴重な漁場ともなっている。

自然保護の観点だけでなく、食料生産のための大事な 「漁場」 なのである。

そこに湧く海藻・アオサを回収し、資源に変える取り組みの検討が続いている。

 


三番瀬漁場再生検討委員会 (委員長 : 工藤盛徳・東海大学名誉教授)

での審議は15回目となり、今回は今年度の漁場再生事業の結果についての報告と、

来年度の実施計画について審議された。 

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そこでは、青潮対策や藻場の減少など、アサリと海苔の生産にとっての諸課題が

ずっと検討されているのだが、中でも 「アオサ対策」 は緊急的課題として挙がっていて、

これまで県は、「自走式潜水吸引トラクター」 なる回収船を建造したりして、

アオサの回収と資源化の試験や検討を進めてきた。

しかしその大がかりな回収装置を駆使しても、結局、

回収したアオサは税金を使って焼却処分とせざるを得ず、活用の道は開かれてこなかった。

 

そこで委員の一人でもある大野一敏さん (船橋漁協組合長、東京湾アオサ・プロジェクト代表)

の提案により、2月26日、

我々「東京湾アオサ・プロジェクト」 (注) が、埼玉の養鶏農家・本田孝夫さん

 (THAT'S国産卵の生産者) と一緒に取り組んできた

養鶏飼料としての活用の現場視察が行われたのだった。

今回は、その報告も合わせて行われた。

 

これまでの調査や実験では、

まず重金属やダイオキシン、農薬の残留試験がされ、その無害性が実証された。 

その上で、裁断-洗浄-乾燥-粉砕-異物除去、という工程を経て、

食用 「乾燥アオサ」 としての有用性が確かめられた。

これがその粉末アオサ。 

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じゅうぶん青海苔の代用として使えそうだ。

しかし問題はその実用化 (販売によるコスト回収) への道筋が見えないことである。

そこで 「手間をかけないで活用できている事例があるんだよ」

という大野提案となる。

 

視察報告では、アオサが米ぬかと混ぜて発酵させる工程が紹介され、

そこでは塩分や貝殻等も飼料成分になるので粉砕や洗浄などの下処理が不要であること、

醗酵させれば長期保存が可能であること、

漁業者が回収したアオサを持ち込んでさえくれればOKで、

持ち込み量が多いことが事前にわかれば、

大地を守る会から作業ボランティアを派遣することも可能であること、などが報告され、

近隣の養鶏仲間も含めれば150トンは可能、との数字がはじき出された。

 

合わせて、以下の説明もあった。

 -消費者が気にする黄身の色は餌に由来し、トウモロコシや緑色野菜や青草を与えると

   黄身の色が濃くなるが、平飼いで国産飼料にこだわった養鶏に取り組んでおり、

   輸入トウモロコシの代わりに緑色野菜や青草に与えている。

   アオサは、これらが不足する冬季に代用品として活用できる。

 

今後は、提供されたアオサ飼料をサンプルとして、

畜産総合研究センターと水産総合研究センターで、成分や飼料としての評価を行なう

ことが承認され、来期の事業計画に持ち越されることになった。

このデータがそろえば、我々としても有り難い。

 

漁場の再生は環境保全と一体であり、それを支えるのが循環である。

もっとも効率よく (税金をかけないで) それを実現する道筋は、

一次産業のつながりである。

「海が有機農業を支え、有機農業が海を守る」

アオサ・プロジェクトを立ち上げた時のスローガンは伊達じゃない。

私たちが取り組んできたアオサ回収に、県のまなざしも変わってきたようだ。

 

昨年の5月、船橋市内の高校生たちも手伝ってくれたアオサ回収の風景。 

後ろで立っている右から二人目が大野一敏さん。

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みんなの力が何かを動かすかもしれないよ。

 

三番瀬保全の進め方に対する市民団体の意見は多種多様にあって、

検討委員会に対する評価もまた分かれているようだが、

ぼくらはアオサの資源活用一本に絞って三番瀬を歩き続けてきた。

上流と下流の生産者ネットワークが海を守る、というシンプルで具体的な取り組みに、

誰も異論ははさめないだろう。

 

この作業が、いつか財産になる、と思ってやってきた。

県の取り組みがどう発展するかは分からないけど、大切なヒントにはなったはずだ。

なんだかんだ言って、地道に続けることは、大切なことだと思う。 

 

(注) 「東京湾アオサ・プロジェクト」

   大野一敏さんが代表を務めるNPO法人 「ベイプラン・アソシエイツ」 と大地を守る会が

   共同で運営するアオサの資源化プロジェクトで、2000年にスタートした。

   大地を守る会の生産者の協力を得て、回収したアオサを堆肥の原料や養鶏の飼料

    に活用する実験を続けてきた。

 



2008年11月 4日

三番瀬クリーンアップ08

 

さる10月26日(日)。

東京・丸の内の 『フードアクション ニッポン』 の出店応援に行った日、

船橋・三番瀬海浜公園では、恒例の 『三番瀬クリーンアップ大作戦』 が行なわれた。

本来ならこっちに来る予定だったのだが、

エビはいなくても何ら支障なく、こちらも楽しく行なわれたようである。

遅ればせながら、スタッフから写真が届いたのでアップしておきたい。

 

開会式風景。 おや、船橋は小雨模様ですね。

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挨拶しているのは実行委員長。 東京湾の漁師、現・船橋漁協組合長、

我ら 「東京湾アオサ・プロジェクト」 代表でもある大野一敏さん。

 

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「 この陸と海の境目にある貴重な干潟・三番瀬が、東京湾を常にきれいにし、

 私たちの暮らしを守ってくれているんだ 」 と名調子でやっている (に違いない) 。

 


前回と違って、かなり湧いているアオサ。

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このミネラルたっぷりのアオサを回収して、資源として有効活用します。 

解説は、大地を守る会の専門委員会 「おさかな喰楽部」 代表、吉田和生。

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うしろのフェンスに掛けられているのは、市内の小学生たちの絵。

三番瀬を守ろう、のメッセージが並ぶ 「なぎさ美術館」 です。

 

回収風景。 今回は相当に取り甲斐があったようです。

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春 (5月17日) の回収に続いて、今回も船橋市内の高校生たちが参加してくれた。

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春のときは、" やる気あんのか、あ~ん " みたいな口を叩いてしまったけど、

その後、ちゃんとした感想文も届いて、今回も参加してくれて、

なんか、嬉しいねぇ。 この場を借りて御礼を言わせていただきます。

 

大漁 (?) です。 

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これでどうなるってもんでもないのかもしれないけど、

海に入り、そこにいるたくさんの生き物たちの世界に触れることで

自然の素晴しさを実感してもらい、

こうした作業を通して海を大切にしたいという心も深まっていく。

もちろんこれ自体が、資源循環のモデルづくりの一歩でもある。

 

全国各地で、こうしたアオサに悩まされながらも

逆に利用しようとする取り組みが模索されている。

ネットワークしたいなぁ。

イメージはできてるんだけど・・・・・ なんとも手が回らないでいる。

 

ま、何はともあれ、こちらはこちらで、お疲れ様でした。

埼玉からトラック走らせてきた本田孝夫さん (THAT'S国産平飼卵の生産者) も、

ありがとうございました。

 



2008年10月11日

三番瀬フェスタ'08 船橋港まつり

 

今日は船橋漁港 (千葉県船橋市) で港まつりが開催される。

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朝からあいにくの雨で、出足がそがれた格好になったけど、

お昼過ぎには青空も出てきて、

船橋市民や魚好きなどで、港はいつもと違う賑わいを見せる。

大地を守る会も実行委員に加盟して、専門委員会「おさかな喰楽部」を中心に出店した。

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おさかな喰楽部の強みは、なんと言っても水産物生産者たちの結束力である。

今日も、シラスの岩崎さん、天日干しの島源さん、佃煮の遠忠食品さん、

さらには九州から海苔の成清さん、宮城からは遠藤蒲鉾店さんと、

全国から助っ人が駆けつけてくるからスゴイ。

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岩崎さんのしらす丼を食べて、生ビールを飲んで......

今日はスミマセン、久しぶりの非番なんで、楽しませてください。

獲れたてのイワシをチョー格安でゲット! こういう祭りならではの楽しみだね。

 

こんな展示もある。

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対岸に見えるのは、船橋ららぽーと。

あそこでショッピングを楽しむ人たちは、眼下で魚が水揚げされていることを、

そして海の大切さを訴えている人たちが暮らしていることを、知ってくれているだろうか。

 

ラムサール条約への登録運動を進める人たちの屋台の脇では、

三番瀬の生き物に触れてもらおうと、ミニ水族館も。

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三番瀬という干潟地帯は、ここで生きる漁民にとっては、生命線のような財産なのだ。

だから一人でも多くの市民に、 魚に、港 (漁業) に、海に、親しんでもらい、

少しでも地球環境の変化に関心を抱いてほしいと願っている。

" まつり " 自体が、漁民から市民 (消費者) への、

切として豪放なラブコールなんだと言える。

 

まさにそんな剛毅さとセンシティブさをあわせ持ったロックバンドの登場。

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" FISH&PEACE " をスローガンに掲げる、

究極のフィッシュロック・バンド (そんなジャンルは聞いたことがなかったが・・・)、

その名も 『 漁港 』 (正式名称は港の字が左右逆さま)。

リーダーの森田釣竿さんは、実際に浦安で魚屋を営む傍ら、バンドを率いて興行する

れっきとしたプロである。

魚を食べることと地球がつながっていることをロックで表現しようとしている。

しかも格好に似合わず (失礼。こういう人ほど、と言うべきか)、シャイに訴えている。

歌の最後には、マグロの頭部をさばいて振る舞うパフォーマンスもあるので、

魚や海をテーマにした集まりなどあれば、ぜひ一度呼ばれてはいかがでしょうか。

さかなくんとは180度違う汗臭いキャラではありますが-

 

気分を変えて、ヨットで海に出る。

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船橋港から東京湾へ。

 

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船橋の港からみれば沖にも見えてしまう、三番瀬。

写真はカキ殻が堆積してできた、通称 " 貝殻島 " 。 ここは本当に豊饒なる浅瀬なのだ。

 

東京湾。

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経済発展という名のもとに翻弄されてきた海。

どっこい、生きている。

 

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海水浴場に行っても、本当の意味での " 海と暮らし " のつながりは実感しにくい。

港においでよ。

怖そうに見えて、実はシャイで心優しい海の男たちが待っている。

 

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2008年7月26日

アオサ回収不発。 でも 『鉄腕ダッシュ』 が・・・

 

ここは 『ふなばし三番瀬海浜公園』 の砂浜。

東京湾の奥に残る干潟地帯・三番瀬を体感できる貴重なスポットである。

ここで今年2回目の 「アオサ回収大作戦」 を開催する。

夏休みに入ったばかりの土曜日ということもあってか、

参加者はこれまでで最高の150名近い人たちが集まってくれた。 

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砂浜の上は暑いので、開会の挨拶やレクチャーは、海に足を入れて行なう。

気持ちがいい。 


挨拶する、東京湾アオサプロジェクト代表、大野一敏さん。 

船橋漁協の組合長も務める、海の男。

 

東京湾を囲むかたちで生きている人々の、暮らしの諸々を受け止め、

たくさん運ばれてくる栄養分を吸収し、浄化する干潟。

これがあることによって、実は私たちの暮らしも支えられていること。

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これが東京湾です。 どうだい、水もきれいだろう。 

 

今回もアオサの回収と、干潟の生き物観察会をセットにしたのだが、

人数が多いということもあって、アオサ回収から始める組、観察会から始める組に分ける。

 

観察会のガイド役は、お馴染みとなりつつある会員の陶 (すえ) 武利さん。

小学生の頃から原書の動物図鑑を眺めていたという、ちょっとアブナイ人。

でも、お陰様で、海でも陶、山でも陶、畑でも陶、と重宝させて頂いております。

おまけにガイド料は安すぎ・・・すみませんね。

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何気ない砂浜も、よ~く見れば、そこは生き物たちの世界。

どの生物も、大きなサイクルの中で何かの役割を果たしてくれている。

この生物多様性こそが、この地球 (ほし) の妙である。

 

せっかくたくさん集まってくれたのに、

こんな日に限って、アオサが少なかったりする。

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今回の収穫は、ほんとにチョボチョボって感じ。

こればっかりは、仕方がない。

北埼玉の川本町 (現深谷市) から2トン車を飛ばして来てくれた

That's (ザッツ)国産卵の生産者、 本田孝夫さんも拍子抜けしたようだが、

まあそこは 「ここ (海) に来るのが楽しいんだいね」 と我々を慰めてくれる。

消費者にも会って、少しはPRもできたか。

「こういう活動を通して、海と陸の連携つうか、いい循環がつくれればいいな、

 って 思ってます」

 

そして最後に、実は1週間前に、日本テレビの日曜日の人気番組

 『 ザ!鉄腕!DASH!

のスタッフたちがやってきて、アオサを集めていったことを報告する。

トキオの山口達也くんも大野さんの話をしっかり聞いていったそうだ。

 

さて、アオサを何に使うのか?

それは放送を見ていただければ、ということにしておきたい。 乞うご期待、

・・・・・と書いたところで、念のためにホームページを開いたら、

なんだ、もう予告編が出ているじゃないか。 風鈴をつくるんだと。

どうも我々の主旨とは違うようだが、でもまあ、よしとするか。

少しでもアオサの存在を知ってもらえるなら。

 

放送日は、8月3日(日)、午後6時55分あたりからの一時間番組。

何を隠そう、僕も時々観ている。

 

ホームページも、かなり面白い。

お暇な時にでも、ぜひ (上の 『ザ!~』 の文字をクリック) 。

以前、何かの会合で里山博士の守山弘さん (東京大学教授) とお会いした時、

教授も 「いや、彼らはけっこう真面目にやっているよ」 と褒めておられた。

こういう番組が長く人気を維持していることは、分析に値するよね。

 



2008年5月25日

高校生たちへのお詫び

 

5月17日 (土) に行なったアオサ回収大作戦に参加してくれた

船橋市内の高校の生徒さんたちから感想文が届けられた。

それを見て、

僕は今、自分の感性を少々恥じ入っているのであります。

 

当日の日記では、ダラダラやっているとか、いやいや連れてこられたと思ってんじゃないかとか、

性格の悪いオヤジぶりを発揮してしまったが、

なかなかどうして、彼らは真面目に考えてアオサ拾いをやってくれてたのである。


   ・アオサの役割を知れて、とっても楽しかったです!!

   ・先輩との関係もより深くなり楽しく行なえた。 生物観察会では、

    知らなかった知恵や生物たちの名前を覚えられて、いい勉強になってサイコーでした。

   ・地球にはたくさんの生き物がいる。 東京湾は広かった。

   ・白いアオサは死んでいるのです。

   ・アオサをたくさん取りましたが、散乱していたゴミも取りたかった。

   ・磯の生物が海や砂浜の役に立っていることを知り、感動しました。

    もっと海のことが好きになりました。

   ・ボランティアは初めてで大変でしたが、やってみたら楽しかった。 

   ・思った以上にアオサの量があり、回収していくうちに、たくさん集めれば

    肥料やトリのエサになり、生き物のためにもなると思うと、もっと回収しなきゃと思いました。

   ・アオサの利用範囲が意外と広いことを知った。 エサとか肥料になるってすごい!

   ・取っても取っても減らないアオサに、少し疲れました。

   ・どこまで行ってもアオサが落ちていて、地球のためにも、また拾う機会があったらいいな。

   ・アサリなどの貝が水を浄化する力は凄いと思った。

   ・生きるのってのは、知恵もいっぱい! 

    海と生物は大切で、循環しているんだなと思いました。

   ・アオサを食べてみたいかも。

   ・船はやっぱり風が気持ちよかった。 スッキリする。

   ・ゴミが多かった。 アオサ回収は最初は楽しんだが、すぐあきちゃいました。

   ・フジツボが生きてたっ!

 

素直な感想が並んでいる。

僕はどうも、" 今どきの高校生 "  に対して、

もっとスレッカラシのようなイメージを持ちすぎていたかもしれない。

幼い感じは否めないが、ちゃんとポイントは見てくれていたようで、

ありがとう、と言いたくなる。

いやその前に、印象だけで判断していたようでゴメン、と謝っておきたい。

 

海の広さを感じて、自然と生命のつながりを発見して、

ヒトの所作から出たゴミに何か思って・・・

どうか、そのまま終わりにしないで、思考と想像力を深めていって欲しいものだ。

オベンキョーは苦行かもしれないけど、学びというのはゼッタイに面白いのだよ。

 

先生からは、今回の活動が深く心の中に残ったこと、

今後も日程が合えば参加を続けたい旨の手紙が添えられていた。

 

今度来たら、ちゃんと名前を覚えてあげよう。

想像力を刺激する仕掛けも、なんか用意して。

 



2008年5月17日

高校生たちと一緒にアオサ回収

 

予想を超える 『カンブリア宮殿』 の余波がずっと続いていて (良い反響という意味です)、

問い合わせの対応に追われる職員を横目に、ちょっと複雑な心境の男が一人。

加えて、4月の日照不足に続いて5月に入ってからの低温で、野菜の出荷が芳しくない。

仕入担当部署としては、どうにも気分の晴れない日々である。

野菜同様、ブログのパワーもすっかり落ちてしまっているのが、我ながら分かる。

 

そんな中で、土日連チャンのイベントに突入する。 

 

ここはひとつリフレッシュといくか、と気合い入れ直して、朝6時前から始動。

向かったのは 「ふなばし三番瀬海浜公園」 の砂浜。

4月19日に予定していたアオサの回収作業が、天候事情で中止となり、

今日に延期となったものだ。

しかし公園からの事前情報では、潮干狩りの団体予約も多数入っていて、

浜は間違いなく満杯になるだろう、とのこと。 

たしかに、それを見越して6時半に到着したにもかかわらず、すでに屋台まで開店しているではないか。

天気も良くなってきて、本当に出足が早い。

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ほとんどが潮干狩り目当ての来場者たち。

アサリだけじゃなく、目の前の浜の様相も見て欲しいものだが...... 

波うち際にビッシリと打ち上げられ、敷き詰められた緑の絨毯。

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去年の秋 (07年10月28日付) も報告したが、

これが東京湾に流れてくるチッソやリンを吸収して大量に繁茂する海藻・アオサである。

景観が損なわれるだけでなく、これが海に大量に発生することで

漁師からも 「やっかいもの」 と蔑(さげす) まれている。

でもそれはアオサが悪いんじゃなくて、過剰に流されてくる栄養分のせいなのだ。

したがって、これを回収して資源として循環させる。

2000年から船橋の漁師さんたちと取り組んできたプロジェクトである。

 

今回は嬉しいことに、船橋市内の私立高校の生徒さんたちが参加してくれた。

そこで、高校生向けに解説する。

  こいつらは東京湾をメタボから守ってくれているのです。

  これを畑の肥料や家畜の飼料として再生させます。

  それによって栄養分が海と陸を循環して、環境のバランスが維持され、

  東京湾の生態系も守られます。

  三番瀬の干潟は、その貴重な場所なんです。

 

ちょっとひ弱に見えるも、意外と真面目に、でもちょっとダラダラと、

アオサ拾いに協力してくれる高校生たち。

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そして、実はこの日、環境省の委託を受けた映像制作会社の取材も入った。

環境省が策定した 『生物多様性国家戦略』 のシンポジウム用にデモ映像が作られていて、

生物多様性を守るための取り組みの事例として紹介したいとのことである。

環境省の生物多様性戦略・・・・ふ~ん。

どんなもんか、じっくり見させていただきましょう、とか言いながら協力する我々。

アオサの回収や利活用の取り組みは他にもあるが、

「漁師と農家の連携で循環型社会づくりを」

という我々のコンセプトが、今回の映像撮りのポイントになったようだ。

 

アオサを拾う高校生にカメラが迫り、感想なんか聞いたりしている。

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無理やり連れてこられた、とか言ってるんだろうか......

 

楽しそうにやってくれる子たちもいる。

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やってる意味を分かってくれたのかどうか......でもまあ、話はちゃんと聞いてくれたし、

そこそこ取ってはくれたので、よしとしよう。

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上の写真、後方右から3人目のダンディな親父が、

一緒にこのプロジェクトをやっているNPO 「ベイプラン・アソシエイツ」 の代表、大野一敏さん。

『東京湾で魚を追う』 という著書もある、船橋漁業協同組合の組合長さん。

実際の東京湾の広さ、豊かさ、そして海の大切さを分かりやすく語ってくれた。

 

「ボクたちはね、地球を食べてるんだ。 その地球といつまでも共存していくために、

 今日、みんなはスゴイ仕事をしたんだよ」  -カッコいい! 

 

さて次は、お馴染み(?) となった生きもの博士・陶武利さんによる、磯の自然観察会。

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東京湾の位置の確認からはじまり、周辺の暮らしとのかかわりが語られ、

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干潟の生きものを観察し、彼らが果たしている役割を伝えてゆく。

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このアオサも、いつの間にか、消えてなくなる。

それはここにたくさんの小動物がいて、食べてくれているから。

その小動物を鳥が食べ、糞を分散させて、自然界の帳尻が合う。

掃除屋といわれる微生物や小動物がいなくなったら、

この世界は 「糞と死骸」 だらけの世界となる。 いや、生命はすべて死骸となって終わっている。

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手に持っているのはサンゴ。

海の植物や貝たちは地球のCO2を閉じ込めてくれる、とても大切な働きをしているのです。

それを最後に実験で確かめる。

 

生徒さんたちは、ちゃんとレポートを書きます、と言ってくれた。

すっかり環境教育の授業となった、今日のアオサ回収でありました。

 

さて、アオサをトラックに積んで、

同僚の吉田 (専門委員会 「おさかな喰楽部」 担当理事) が

埼玉の養鶏農家・本田孝夫さんちまで走るのを見送ったあと

(アオサはTHAT'S国産卵の醗酵飼料の材料として活用される)、

わが方 (専門委員会 「米プロジェクト21」) は、今度は山武へと向かう。

 

明日は、いよいよ今年の 『稲作体験』 の田植えである。

若手職員のスタッフが、すでに現地でその準備に入っている。

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田んぼに着いたときには、もう苗の準備 (畑の苗代から移した状態) ができていた。

今年は手際がいい。 苗もまあまあだ。

残りの作業をやって、田んぼに設置する看板をつくって、

地主・佐藤秀雄さんの納屋でバーベキュー。

美味い日本酒をキュッとやって、蛙の声など聞きながら、車で寝る。

 



2007年10月28日

三番瀬クリーンアップ

 

10/28(日)、ふなばし三番瀬海浜公園にて、秋の三番瀬クリーンアップ開催。

 

台風一過。爽やかな秋晴れ。

三番瀬から眺める富士山は、たしか富士山百景にも選ばれたポイントである。

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この大切な干潟をいつまでもきれいにしておこうと、

船橋市民やNGOなど大勢のボランティアが集まった。

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開会の挨拶をする実行委員長・大野一敏さん。

大地と共同で運営する『東京湾アオサ・プロジェクト』の代表でもあり、

昨年からは船橋漁協の組合長という要職も務める。

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温暖化が叫ばれる今日、海の力はとっても大切なんです。

どうぞ眺めてみてください。これが地球です。

自然の揺りかごを慈しみながら、きれいな三番瀬をいつまでも守りましょう。

 

いつもダンディな海の男である。

 

大地からは、アオサプロジェクトの副代表・吉田和生が挨拶に立ち、

アオサの役割と資源化について説明する。

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ただ今日は、昨日の強風によって流されたようで、アオサはほとんどなくなっている。

そこでアオサ回収は諦め、みんなと一緒に清掃作業・ゴミ拾いに合流することにする。

アオサで集まってくれた方々も快く協力してくれる。

 

一斉に清掃作業開始。

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ちっちゃな坊やもお手伝いです。ありがとう。

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さて、清掃作業のあとは、恒例となった「干潟の生き物観察会」。

講師は今回も、大地会員・陶(すえ)武利さん。

 

まずは、水の循環と私たちの暮らしのつながりから見ていただく。

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干潟に出て、観察。

 

ちゃんと眺めれば分かる。

実にたくさんの生き物が干潟の土の中に棲んでいて、

せっせと水を浄化してくれていること。

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ほら、ここにもね。

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砂浜に敷き詰められた貝殻も、生き物の証し。

実は貝殻は、CO2をガッチリと閉じ込めてくれているすごいヤツだってことも、

実験で見てもらう。

 

鳥たちを眺める。

 

シギの仲間に、チドリの仲間に、ミヤコドリ...

(スミマセン。どうしても細かい名前が覚えられない私。)

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彼らは、ここでたっぷりと餌を取って、

もう少ししたら、オーストラリアまで飛ぶのだ。

 

≪ああ・・・・・俺も飛んで行きたい≫

 

というような話ではなくて、

ここにある、たしかな "豊かさ" を見てほしいのです。

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ダイサギもいる。

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彼らには、この人ごみはどんなふうに映ってるんだろうか。

さほど恐れる様子もなく、ただひたすら餌を啄ばむ。

 

子どもたちにも、水の温んだ干潟は、揺りかごである。

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自然の中では、優しくなれる?

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憩いや癒しを与えてくれる自然が身近にあることは、

とても大切なことです。

 

しかし、それはきれいでなければならない。いつまでも。

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参加された皆様。

アオサはなかったけど、楽しんでいただけたでしょうか。

天気も良くて、よかったのでは。

お疲れ様でした。

 

どうも時差ボケが解消できず、頭の重い一日だったけど、何とか取り繕えたか。

さあて、アメリカ・レポートにいきましょうか。

3回分はあるかな。

 



2007年10月 7日

海と暮らすまちに-「船橋 港まつり」

 

JR船橋駅から南に歩くこと約20分。

繁華街の空気が、京葉道路のガードを潜ったあたりから一変して、

港町の風情になる。

静かな住宅街を抜け、堤防から中に一歩足を踏み入れば、

埠頭には立派な漁船が並ぶ、今も活気を失わない船橋漁港である。

 

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港のさらに南側に湾岸道路、そしてショッピングセンター「ららぽーと」が見えるのが

不思議な感じだが、逆にこの風景が

「どっこい、東京湾の漁師は生きてるぜ」 という特別な印象を与える。

 

その港で、市民にもっと海や魚に親しんでもらおうと、

昨日(10/6)、『船橋 港まつり』 が開かれた。


やってくる人々。

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地産地消の市が開かれ、

自慢の漁師汁に海鮮カレー、鯖の塩焼きなどが振る舞われている。

三番瀬の海苔も手に入る。

 

今日は家族で、漁師たちと一緒に港を眺めながら食事を楽しむ日。

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大地は、短角牛の牛丼で応援参加。

牛肉はさすがに地元産ではないけど、精神は地産地消そのもの。純国産牛丼だ。

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三番瀬の海苔やアサリを、佃煮で支援する遠忠食品さんも出品。

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清酒「種蒔人」の蔵元、大和川酒造店さんも祝い酒を届けてくれている。

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クジラの屋台に誘われる。

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クジラを串焼きで食べる機会はそうない。 いや、旨い!ホントに。

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クジラはたしかに日本の食文化としてあった。

クジラは増えてきているとも言われているし、

増え過ぎると食物連鎖のバランスが崩れるわけだから、

クジラだけ守るというのは、あまり賢いことではない。

 

しかし、正論だけで捕鯨が再開されるほど甘くはないようだ。

問題は、日本が信頼されてないからじゃないか、と思う。

 

日本人は獲る技術を持っている。

許すとまた根こそぎやるかもしれない、油断ならない国。

規制しておくのが妥当だ。

-そんな指摘を聞かされたことがある。

 

いつか、調査捕鯨のお下がりじゃなく、胸を張ってクジラを食いたいものだ。

世界から信頼される国になって。

その時は、みんなで網焼きパーティといきたいね。

 

ことさら環境や三番瀬保全を主張したりするわけでもなく、

ただただ海と魚に親しんでもらう。

漁師らしいまつりである。

 

港にはやっぱり、ジャズがいいね。

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クルーザーでの「三番瀬ヨット体験」という案内がチラシにあったけど、

どこでやってんの?

-開会前から行列ができて、もう終了したよ、とのこと。残念!

 

カモメも今日は楽しんでくれたか? いや、うるさかっただけか。

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三番瀬に一度行ってみようか、という方は、

10月28日(日)、「三番瀬クリーン・アップ大作戦!」 にどうぞ。

我々は、今年2回目のアオサの回収と干潟の生き物観察会で参加します。

場所は、ふなばし三番瀬海浜公園、です。 (←太字をクリックすると、公園の案内が出ます。)

 



2007年7月29日

アオサ回収大作戦 in三番瀬

 

東京湾に残る貴重な干潟-「三番瀬」(さんばんぜ)。

千葉県の浦安市から習志野市にまたがる、およそ1800haの浅海地帯を呼ぶ。

干潟にはたくさんの生物が棲んでいて、海を浄化する役割を果たしている。

 

ここに、毎年春から秋にかけてアオサが大量に発生する。

これが打ち上げられたアオサ。

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砂浜が緑の絨毯で覆われている。

 

アオサは、河川から運ばれてくるチッソやリンなどの栄養塩類を吸収して育つ。

いわば余分な栄養分を食べてくれているわけだが、

死ねばまたその養分は海に放出され、

結果的に富栄養化や時には青潮の原因となる。

アオサは漁師たちから'海の厄介者'と言われている。

アオサが悪いわけではないのだけど。

 

そこで、このアオサを回収して資源に変えようという活動に、2000年から取り組んでいる。

 

『東京湾アオサ・プロジェクト』と称し、

船橋の漁師さんを中心とした「BPA(ベイプラン・アソシエイツ/大野一敏代表)」

というNPO団体と大地を守る会とで運営している。

さて本日、大潮をねらって、今年も夏のアオサ回収が行なわれた。

場所は、「ふなばし三番瀬海浜公園」の砂浜。

夏休みということもあって、約100名ほどのボランティアが集まってくれた。

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めいめいに青いネットのアサリ袋を持ち、

干潮で遠浅となった浜に広がってアオサを集める。

 

子どもたちは温んだ水に浸かり、またカニと戯れたり、

親子で夏の海辺を満喫するひとときにもなったようだ。

 

アオサは取っても取っても取りきれない。

今回アオサを持ち帰り、鶏の餌として活用していただく本田孝夫さん

(埼玉県川本町:That's国産卵の生産者)が

「もう積みきれないよぉ」 と音を上げたところで、終了。

回収したアオサは約1.5トンくらいか。

 

アオサはミネラルが豊富で、本田さんはこれを醗酵させて鶏に与える。

鶏は喜んで食べるそうだ。

 

以前、本田さんちまで運んだとき、着いた途端に鶏が一斉に鳴き始めたことを覚えている

海草の匂いに刺激されたのだろう。

試しにひと掴み投げると、奪い合って食べた。

生でOKなのだが、アオサは足が早い。醗酵させることで持たせている。

 

輸入のトウモロコシを使わない本田さんは、ミネラル補給だけでなく、

これで黄身の色が少しでも濃くなってくれればいいな、と考えている。

 

さて、アオサの回収後は、干潟の生き物観察会。

センセイは、一週間前、田んぼでの観察会でも活躍してくれた陶武利さん。

今度は海のガイドである。

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砂の下に棲息するカニやゴカイの数の多さ。

彼らは海をキレイにすると同時に、鳥たちの栄養源となる。

ここでも生物多様性が環境を守っていることを教えられる。

子どもたちも真面目に授業に参加。

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「エイに気をつけてください」

という公園からのアナウンスを聞きながら、少しだけ海にも入る。

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約1時間、観察しながら帰ってきたところで、アサリの実験結果を見る。

米のとぎ汁を入れておいた水槽。

アサリが水をキレイにしていることが一目瞭然。

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これが干潟の力である。

 

年間にたった数日、しかも短い時間でのアオサ回収ではほとんど力にはならない。

でも実際に干潟に足を踏み入れ、現場で動いてみることで、たくさんのことを学ぶ。

これはこれで貴重な体験となって帰っていただければ、と思っている。

 

干潟そのものが人を癒してくれることも、きっと実感してもらえるだろうし。

 

この自然は残しておきたい。

「東京湾はけっこうきれいなんだね。もっときれいにしたいね」

そう思ったとき、漁民とのつながりも生まれる。

 

海は人の想像力を超えて懐深く、東京湾は今も'豊饒の海'である。

 

皆様、お疲れ様でした。

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