三番瀬・アオサ: 2009年9月アーカイブ

2009年9月19日

東京湾エコ・クルーズ

 

専門委員会・おさかな喰楽部主催による 「東京湾エコ・クルーズ」 に参加する。

今日は午後から稲作体験田の脱穀をやる予定だったが、天候を心配して、

生産者が昨日済ませてくれたので、ちょっとゆとりができた。

ただ雨は降ってなくても、船が出るには波の状態がモノをいう。

台風14号の影響を心配しつつ、千葉・船橋港へと向かう。

 

集まった参加者は子供さんを含めて60名ほど。 

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全員ライフジャケットを装備して、船に乗り込む。

 

船長は、言わずもがな、東京湾アオサ・プロジェクトを一緒に運営する

BPA(ベイプラン・アソシエイツ) 代表、かつ船橋漁協組合長、大野一敏さん。

 

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- 今日は羽田沖からアクアラインのあたりまで周航します。

  波もあるので、気をつけるように。

 

大野さんの大平丸に乗るのは、久しぶりかな。

このところ行事がぶつかってアオサ回収も2回ほど出られなかったし。 

 

出航。

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難民ボートみたい? たしかに多いね。

今回は抽選になるほどの申し込みがあったとのこと。

海が近くにあっても、船に乗る機会なんて滅多に得られない。

それどころか、湾周辺に住む人ですら、海は視界に入らないものになっている感もある。

東京湾に関心を持ってくれる人は、大事にしたい。

漁協の壁に掲げられた 「海を活かしたまちづくり」 は、

大野さんがずっと声を大にして言い続けてきたテーマでもある。

そのためには、もっとたくさんの人たちが海に親しむ機会が必要なのだ。

 


船橋港を出て東京湾に出る。

まだ揺れも少なく、潮風が心地よい。 

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しばらくして浦安のディズニーランドが西岸に眺められた時は、

一瞬、方向音痴になったような気分になる。

考えてみれば、そこは東京湾の喉仏のような江戸川区から

どんどんと沖に向かって埋め立てられ、張り出してきた土地なのだ。 

 

大海原ではないけれど、それでも海はやっぱり気持ちを広くさせる。

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子供の頃から海の風景に親しんでくれる人を増やしたいものだ。

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波しぶきがだんだんと迫力を増してくる。 

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東京湾は交通も混んでいる。

タンカーやコンテナ船、工事用のクレーン船に小型のポートまで、

どんどんすれ違ってゆく。 

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羽田沖がさらに埋め立てられている。 

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こういう光景をいつも海から見つめている漁民の目線は、

僕らのものとは決定的に違うのだろう。

 

海の真ん中に東京湾アクアラインの排気口が浮かんでいる。 

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この下を車が走っているのか・・・・・

 

ここからUターン。 風が強くなり、波も荒れてきた。 

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船の後方の乗船者には容赦なくしぶきがかかってくる。

気がつけばびしょ濡れ状態。 

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大平丸のコックピットの屋根の上にはフクロウが立っている。

なぜここに森の賢者、知恵の神様が? 大野さんの趣味だろうか。

いやおそらくは、周囲を広く見渡せる (首が回る) というところから、

漁師にも重宝されているのではないかと推測する。

 

三番瀬を沖側から眺望する。

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浦安から市川沖に広がる海苔シビ。 

江戸前の海苔は、今でも評価が高い。 「三番瀬の海苔」 はブランドである。

 

水深1m から 5m までの浅海域が、東西5700m、南北4000m、

約1600ヘクタールにわたって残る三番瀬(さんばんぜ) 地帯。

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湾に流れてくる栄養塩類を吸収・浄化し、魚介類を育てる一大漁場でもある。

 

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カキなどの殻で出来上がった通称  " 貝殻島 " 。

これが自然に作られたってんだから、この地帯の生命力が想像できる。

 

陸に上がった参加者に、スズキの刺身に天ぷら、漁師汁が振るまわれる。 

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今日の汁の具はホンビノス貝。 

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北米の東海岸から貨物タンカーのバラスト水 (※) と一緒にやってきた外来種。

「ビノス」 の名は、ローマ神話の美と愛の神 「ビーナス」 から来ているとのこと。

漢字でも 「本美之主貝」 という字があてられている。 ウマいね。

ハマグリに似た食感があるため (ちょっと淡白な感じ)、

世間では 「白はまぐり」 と称して売られたりしたらしいが、今では " 偽証 " になる。

 

  (※)「バラスト水」......タンカーが船のバランスを保つために入れた海水。

     輸出国で注水された水が、輸入国で排出されるため、魚介類の幼生などが

     その国に定着し、場合によって生態系をかく乱する。これもグローバリズムの

     問題点のひとつとされている。

 

やってきて繁殖してしまったものは、生態系のバランスを維持するためにも、

獲って、食べるしかない。

" たべまも " キャンペーンじゃないけど、ここでも  「食べて、海を守る」 である。

 

大野さんの波止場ミニ講演。

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- アメリカ・サンフランシスコ湾では、湾域の環境と景観を保全するために

  市民の力で条例がつくられた。

  埋め立てやコンクリ護岸は、市民の許可がなければできない。

  市民たちは海辺で憩い、海を慈しんでいる。

  かたや日本では、経済優先で、あっという間にコンクリの岸壁となって、

  人々が憩える場所が失われてきた。

  海を守るためにも、もっと海に親しむ場や機会が必要なのです。

 

今の漁師はただ魚を獲るだけでなく、海を語り、海に触れる機会を用意し、

実際に食べてもらい、理解者を増やす努力をしなければならないのか。

こんな活動に、行政の支援は一切ない。 ないけどやるのだ、オレたちは。

 

きたる10月10日(土)には、港まつりが開催される。 

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屋台あり、コンサートあり。 おさかな喰楽部も参加します。

皆様、ぜひご参集ください。 

JR船橋駅から南へ、徒歩15分。 船橋港周辺で展開されます。 

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カモメたちも待ってます。

 



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