「有機農業」あれこれ: 2009年4月アーカイブ

2009年4月30日

さんぶで有機農業研修説明会

 

「さんぶ野菜ネットワーク」 (以下 「野菜ネット」 ) や山武市、JA山武郡市、

ワタミファームさんと一緒に大地を守る会も構成団体となっている

千葉の 「山武市有機農業推進協議会」 (略称:山有協) が、

新規就農希望者を対象に説明会を開催した。

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昨年度から始まった有機農業推進法によるモデルタウンに選定されてから、

山有協では、HPの立ち上げ、池袋で開かれた 「新農業人フェア」 への出展など、

精力的に新規就農者受け入れの活動を行なってきた。

現在まで4人の研修生が、野菜ネットの生産者のもとで有機農業の研修を受けている。

一人は茨城の農家出身で、警察官の職を投げうって生産者・岩井正明さんから

研修を受け、実家に帰っていったという。

実家は有機ではなく慣行栽培だが、近隣で耕作を託された農地が発生して、

「そこで有機でやってみたい」 と決意してのUターンだと岩井さんから聞かされた。

山有協の通信には、その若者 (26歳) のコメントが残っている。

(実家は慣行なのに、なぜ有機を? の問いに)

「有機で作ったほうが人に喜んでもらえるし、畑も長持ちする。

 感動したのは、岩井さんとこの人参。 すっげーうまかった! 味がぜんぜん違う。」

畑が長持ち! 有機がうまい!

 -こじつけた理屈で有機を批判する評論家に聞かせたい言葉だ。

 

素直に有機に感動した青年がこれから歩む道が、どんな苦労に満ちているか、

私には分からない。 ただ成功を祈るのみである。

 

さて本日の、山有協が初めて正式に開催した研修希望者向けの説明会である。

平日にもかかわらず、東京から、千葉から、埼玉から、さらには宮城から、

12名という想定していた以上の参加があった。

受け入れ予定人員は4名、なんだけど。 


研修希望者を前に、野菜ネット代表の富谷亜喜博さんが、

山武での有機への取り組みの歴史や、さんぶの優位性などを説明する。

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50名近い有機農業の実践者(=アドバイザー) がいること、

そしてJA山武有機部会時代から開拓してきた豊富な販売先の存在は、

研修希望者にとってかなり心強い説明だったのではないだろうか。

 

続いて野菜ネット常勤理事の下山久信さんから、

現在の日本農業をめぐる厳しい状況や農地法改正の動きなどのレクチャーがある。

「大変な状況なんです、日本農業は」

「だからこういうこともオレたちはやっているわけ。分かりますか? 」

まるで恫喝 (どうかつ:「おどし」より怖い感じ。団塊世代の左翼が好む言葉)

のような説明。

また農林振興センターの方から千葉県での新規就農支援制度の概略が説明された。

新規就農者にとって、最も悩ましいのは資金と就農後の経営である。

就農してすぐに収入が見込めるほど農業は甘くない。

生産者は若者の就農を期待するが、若者であるがゆえに手持ち資金は少ない。

「1千万ぐらいは持ってこないと」 なんて言われたって、腰が引けちゃうよね。

持っているのは、会社の重役経験者、つまり定年帰農のような方々である。

実際に 「ぜんぜん資金がない者はどうすればいいんでしょう」

なんて素直な質問も飛び出す。

ワタミファームの竹内社長の答えは、もはや説教である。

「いいですか。 農業をやるってことは、経営者になるってことなんですよ」

計画なしに農業を始めたいという甘っちょろい考えではダメなんだ、と。

恫喝のシモヤマ氏は 「ごちゃごちゃ言ってないで、やる気あんなら、やれば?」。

間をとって解説する私。 何なんだ、この説明会は。

やらせたいのか、やめさせたいのか・・・・・まあ、どっちでもいいけど。

「マニュアルがない」 には、さすがにこちら全員、内心ぶち切れたか。

「マニュアルは農家の体にある。 だから実地研修なのです」 -オレってけっこう冷静?

 

説明会と質疑を終えた一行は、

野菜ネット前代表・雲地康夫さんのほ場を見学する。

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人参畑で説明する雲地さん。

 

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後ろにいるのが、研修中の千葉さん。

千葉・検見川からバイクで通っているとか。 

 

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千葉さんは、すでにこの地で農業をやろうと決めているようだ。

法人化までプランを練っている。

聞き入る説明会参加者たち。

 

帰る前に書いてもらったアンケートでは、

ほとんど全員が 「研修を希望したい」 と書かれていた。 すごいね。

自己資金はゼロから一千万まで。 これから悩ましい選考である。

ちゃんとやれるのだろうか。 ワタミの竹内さんが頼りか・・・ 

 

説明会後は、山有協の総会。

今年も事業の継続が認められたが、助成額は少し減った。

だんだんと地域の力が求められてくる。 研修制度の充実に注力しよう。

稲作体験への助成は 「なくて結構」 とした。

元々から税金をアテにしてやってきたわけじゃないし。

 

体験田は、もう田起しがすんでいた。 秀雄さん、ありがとう。

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新しく増えたもう一枚の田んぼでは、畦が塗り直されていた。 直樹さん、ありがとう。 

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今年の米づくりも、着々と進行している。

 

畦に咲くヒメジョオン。

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これも北アメリカからやってきた帰化植物で、農業の概念では強害草だが、

ハチにとっては、ただ蜜源のひとつであり、共生する仲間なのである。

 



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