「有機農業」あれこれ: 2014年2月アーカイブ

2014年2月20日

有機農業の明日を語る

 

さてと、レポートを急がなければ。

とりあえず書き出したものだけは、仕上げたい。

鮮度は落ちるけど、それぞれに大事な私の歩みなので。


1月24日(金)、

群馬県新年会の帰り、栗田さんご家族から頂いたトマトを抱いて、

霞ヶ関の参議院議員会館に向かった。

地下鉄丸の内線・国会議事堂前駅からの道路は、

秘密保護法案反対を叫ぶ人々でごった返していた。

差し出されるビラやチラシを受け取りながら歩く。

運動のリーダーか著名人だろうか、TVカメラが迫ってインタビューしている。

「他人事じゃないんですよ!」

と言わんばかりの目線の連なりにちょっと詫びを入れながら、

午後1時半、議員会館に入る。

 

「NPO法人 全国有機農業推進協議会」 主催

『有機農業の明日を語るつどい』。 集まったのは約 150人くらいか。


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「明日を語る」・・・

振り返れば2006 年、議員立法の形で 「有機農業推進法」 が成立し、

全国各地に有機農業推進協議会が設立されていった。

国が有機農業の拡大を後押しする時代に入ったわけだが、

しかしその協議会も、例の 「事業仕分け」 によってしぼんでしまった。

この間、マーケットは拡大したか。 

したとも言えるし、していないとも言えるような、伸び悩み感は否めない。

有機農業を目指して新規就農した人たちも、販路の確保に苦しんでいる、

というのが実情だろう。

そこには、栽培技術の不安定さや認証制度の仕組み・コストの問題などなど

あるのだろうが、問題の根本は生産環境を育てるための

構造的な推進体系が築かれてないことにある、と僕は思っている。

心身がアンバランスなまま大人への道を歩んでいるような・・・

そして我々流通サイドもまた、模索の中にある。


つかみ切れないジレンマを抱えながら、

国は 「有機農業推進基本方針」 の見直しをはじめ、

2014(平成26)年度には、有機JAS 認定農産物の生産量を 50%増加させる、

という政策目標を掲げた。

しかしそれがリアリティのある数値だとは、どうも感じ取れない。


さて、これからどう進むべきか。

ここで自由に意見を出し合おう、という場が用意されたワケなのだが、

いろいろと意見は出ても、散発な印象は拭えない。

「明日を語る」・・・ か。

僕らはずっと有機農業の未来を描きながら、

しかし未だ、そのロードマップを定められずにいる、ということを

このタイトルは物語っているように思えてくるのだった。


呼びかけ人の一人、埼玉県小川町の金子美登(よしのり) さんが、

小川町での有機農業の社会的広がりを、事例として提示された。


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それは素晴らしい成功事例なのだが、

続く事例が現れてこないのは何故なのだろう。

もっと掘り下げたい。


福島県二本松市から参加した菅野正寿さんも発言。

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有機農業運動を長く 「産消提携」(生産者と消費者の直接的結びつき)

の形でやってきたが、原発事故によって多くの消費者が離れてしまった。

いま私たちは、有機農業運動の質そのものを、もう一度見つめ直さなければならない。

そして、有機農業と原発は絶対に相容れないものであることを、

しっかりと宣言してもらいたい。 拍手


実は、主催者からの報告や呼びかけ人の基調発言のあと、

会場からの発言を~ となった際に、いきなりこんな質問が飛び出したのだった。

「 昨年、大地を守る会とローソンが事業提携した。

 これをどう理解すればいいのか、説明してほしい。」


司会を務めたのが、大地を守る会の来島(きたじま) 職員。

  - え~と、それについてはですねぇ、私は司会なのでちょっと、ハハ・・・

    ここに生産部長の戎谷が来てますので、戎谷から答えさせましょう、ハイ。

しょうがないので、立つしかない。

僕なりの背景分析から、率直に語らせていただいた。

根本的な要因は、人口減(&少子高齢化) が進んでいることではないか。

そして、消費者の健康を応援する、は社会の必須項目になってきていること。

一方で有機マーケットの閉塞感を突破したい、という意識が我々サイドに働いたこと、など。

これからどう進むかはまだ予断を許さないけれど、

有機農業を支え、推進するための大きな仕組み作りを目指したいと思っている。。。


マイクを握ったついでに提案を一本、させていただいた。

有機農業の価値というものを、ここで改めて棚卸ししてみる必要がある。

そして政策的につなぎ直してみてはどうか。

政策交渉の相手は、農水だけではなくなるだろう。 

環境省からも文科省からも経産省からも予算を引っ張り出させるような、

横断的な国づくりの方向が示せるのではないだろうか。


理解いただけたかどうか、どうも心許ない感じがしたので、

「これはお願いしているのではなく、私自身の宿題として自覚している」

つもりである、と納めさせていただいた。

だからローソンとの提携なんだ、とはさすがに言えなかったけれど、

いずれやることになるであろう実験のひとつなんだ、という思いはある。

明日に向かって、語るだけではない。 

無謀に走ったり、先陣切って仕掛けたり、そういう役割もまた

大地を守る会には課せられていると、僕は思っている。




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