遺伝子組み換え: 2008年5月アーカイブ

2008年5月30日

今度はTBS-「NEWS 23」

 

『カンブリア宮殿』の余波というか、後始末というか、

これは俺が応えるしかないか、という意見が断続的に寄せられて、

そんな対応がまだ続く中、

性懲りもなく、今度はTBSテレビの取材を受ける。

依頼は平日の夜11時頃に放送されている報道番組「NEWS 23」。

昨年10月にアメリカのカーギル本社を訪ねた話を、

遺伝子組み換えの話とも合わせて、聞きたいと言う。

何と、自分のブログ (10/30~) を見ての取材依頼なのである。

 

なぜ今になって?

来週、ローマで開かれる食糧サミットに合わせて、

食の問題で特集を組むらしい。

その中で、世界最大の穀物メジャー・カーギルを日本の市民団体が訪れたという、

まあ普通あり得ないケースが面白いというか、

何でだよ、と思ったようだ。


そんなわけで、取材前から不安先行での、インタビューとなる。

何たって、世界の穀物を牛耳るとか言われたりするカーギル社に招かれた

「遺伝子組み換えに反対する団体」 という絵が描かれているのだ。

(予め断っておきますが、ちゃんと自腹切っての視察です。)

 

インタビューは2時間に及んだ。

 

「なぜ、カーギルが大地を守る会を招いたと思われるか?」

-実は大地に直接声がかかったわけじゃなくて、ノンGM(非遺伝子組み換え)の
 飼料用コーンを使っている生産者に話が来て、
 その方から「一緒に行かない?」って声がかかったんです。
 ・・・かなりつまらない説明だと自分でも思う。カットかな。

 

「では言葉を変えて、カーギルの戦略はどこにあると思うか?」

-「戦略」というものがあるとすれば、彼らには明確に
 ノンGMのコーンを維持しようとするプロジェクトが存在していて、
 それは思想というより穀物商社としてのビジネス上のリスクヘッジであって、
 それを維持するために、
 アメリカの農民に日本の需要の確かさを伝えようとしての仕掛け
 という意味合いだったと思われる。
 しかし(悲しいことに)日本の企業は実は腰が引けていて、
 多分、日本のなかでノンGMをしっかりと支持する実儒者であれば、
 相手は誰であってもよかったのだ。
 こちらにとっても、遺伝仕組み換え作物に対する姿勢は、
 ただの理念的な反対運動ではなくて、
 何を食べるかの具体的な話である。
 それは誰と誰をどのようにつなげて、
 何を守るのか、というリアリズムでもある。
 その一点において、我々は出会ったのだ。

 

私が強調したかったのは、カーギルがどうのではなく、

昨年の視察で得た最大の収穫は、

「ノンGMコーンを来年も植えるよ」と言ってくれる農民と出会えたということだ。

そのケント・ロックという農民と、日本の下河辺昭二という畜産農家、

そして彼の鶏肉 (北浦シャモ) を食べる消費者までをしっかりとつなげる作業こそが、

私にとっての遺伝子組み換え反対運動での役割だと思っている。

分かってくれただろうか。

 

もちろんカーギルという会社は、GM作物も大量に扱っている巨大企業である。

しかし広大な北米大陸の耕地を、GM一色にさせることの危険性 (リスク) も考えていて、

種屋から農民までのノンGMチェーンを維持させようとしている。

少なくとも私は、その農民は支援しなければならないと思っている。

 

そして話は遺伝子組み換えへの問題へと発展する。

私なりに考える重要な問題点は喋ったつもりだが、

さて、どのように編集されるか。

極めて短い時間で象徴的な話を切り取ってしまうテレビという制約の中で、

あまり多大な期待をしてはいけないのだろう。

ただ誤解されないかだけが心配だ。

 

まあ、あとは先方の判断となる。

放送は6月3日か4日あたりだとか。

 

さて、そんなやり取りしているうちに、噂をすればなんとやら。

ノンGMコーン生産者、ケント・ロックが6月に来日するとの連絡である。

 

大地にもお呼びするつもりで準備に入る。

ひと晩は自慢の「山藤」で、

美味しい和食に下河辺さんのシャモを食べてもらおうと思っている。

 

ケント氏によれば、今年のノンGMコーンの生育も順調だということである。

ありがたい話だ。

 

それから、もうひとつ。

冒頭に書いた、カンブリアの後始末というのは、

やっぱりここでも報告しておきたいと思う。

どうも歯に引っかかった小骨が取れないような気分が続いているので。

農産担当としての言い訳もしたいところがある。

では次回に-。

 



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