あんしんはしんどい日記: 2007年8月アーカイブ

2007年8月17日

仕事再開-いきなり100件!

 

一週間お盆休みを頂戴して、仏さんと一緒に過ごしてきました。

四国は今も弘法大師さんとともに在るような国です。

 

さて本日(17日)、一週間ぶりに仕事に戻れば、

机の上には100件ほどの新商品の審査物件書類がド~ンと詰まれていて、

パソコンを開けば、溜まったメールが300件強。

とても今日一日では処理し切れないなぁ、とため息ひとつ吐いて、開き始める。

 

審査物件100といっても、初見のものは半分弱くらいで、

多くは一度はチェック済みのもの。

不足書類を要請したり、内容の再確認・不備の指摘に対して返ってきたものである。

なかには何回も往復してきたものもある。

 

安全審査グループをつくって5年。

すべての取り扱い基準を整備し直し、

それに基づいての商品情報のトレース体制を築いてきたが、

必然的にメーカーからの提出書類は膨大になった。

 

古くから付き合いのあるメーカーの方から皮肉られたことがある。

 

「大地は'顔の見える関係'と言ってきたけど、

 これじゃまるで'紙の見える関係'だ!」


うまいことを言う。 座布団2枚!

-なんて切り返しながら、しかし、だからといって引き下がるわけにはいかない。

 

ひとつの製品に含まれるすべての原材料の内容確認から始まり、

製造工程・工場内のアレルゲン物質の有無・包装容器・一括表示やラベルでの記載内容

などなど、可能な限りトレース(追跡)して、当方の基準との適合性を判断していく。

例えば、遺伝子組み換え食品に反対しながら、遺伝子組み換え大豆が使われていた、

なんてことになれば、目も当てられなくなるわけで、

大豆ひとつにも証明を求めることになる。

 

ひっきょう原料が多岐にわたるものほど書類が増える。

例えば、先週新製品として登場したフルーツバスケットの「野菜を飲もう!(ジュース)」の場合。

人参、大根、小松菜、水菜、ほうれん草、キャベツ、りんご、カボス、

それぞれの栽培内容を有機農業推進室で確認する。

たとえ大地の契約生産者のものでも、必要な情報は求める。

フルーツバスケット⇔大地・商品グループ⇔安全審査グループ(品質保証チーム、有機農業推進室)

の間で書類が行き来し、最終的な提出書類は55枚にのぼった。

 

こういった審査の途中経過や最終結果を確認するのが私の係で、

商品開発担当者(その後ろにはメーカーさん)が審査にしびれを切らして

イラ立っているのが書類から透けて見えてくるときがある。

 

こんな作業が繰り返され、毎週10品目前後の新商品が日の目を見る。

 

大地に皮肉も言いたくなるだろう。

'顔'を見るだけでなく、身体検査をされているような気持ちにもなるかも知れない。

でもこれが我々の生命線であり、こういった作業の積み重ねが、

「大地につながるすべての生産者・メーカー」(結果として「大地」)を

守ることにつながっている、というのが私の自負である。

 

トレーサビリティの徹底は、自分たちの限界と'課題'をも照射する。

それが安全性の向上意識につながって、'食の安全を担う生産者'の輪となるはずだ。

このやり取りが互いのモラルを鍛えている。

そんな思いでハンコを押している。

 

休みのツケとの格闘となった一日。

そんな中で、ブログへの感想を5件、発見する。

どれも過分なるお褒めの言葉。嬉しい!

身が引き締まり、時差ボケ気分も一気に抜けて、ギアを加速する。

 

それにしても暑い。最高気温も記録更新。

夜、一人居残りのところに、長野の原志朗さんから電話が入る。

 

「りんごが焼け始めている」

 

りんごも心配だけど、体に気をつけてよ -という言葉しか出てこない自分が歯がゆい。

 



2007年8月 3日

台風情報でも少しは役に立ちたいと・・

 

台風4号から半月ちょっとで5号の来襲。

おとといの日記は、ただの能天気なコメントになってしまった。

07080301.jpg

 

今日も農産チームのスタッフがあちこち電話しては、

「台風、どう?」とやっているのが聞こえる。

 

とりあえず、そんなに大きな被害はないようだ。 よかった。

ただ早場米の宮崎が、やっぱりヤバイ感じ。

生産者・宮本恒一郎さん -「今年はキツイ年になりそうよ」

これは、実際には4号からの影響のようだ。

会員の皆さんには、『PROCESS』での新米情報にご注意を。

 

さて、大地もただ生産者から聞き取っているだけではない。

せっせと情報を集めては生産者に発信している者が、一人いる。

安全審査グループ有機農業推進室・古谷隆司。


別に気象予報士のような仕事をしているわけではない。

仕事のちょっとした合間に台風情報をネットで収集しては、

メーリングリストに登録してある生産者に流している。

 

情報を先に先にとキャッチして、少しでも有効な手を打つことができれば、

生産者の手助けになることもあるかもしれない。

そんな感じで彼の判断に任せているのだが、

実際にどこまで役に立っているのかは、まだよく分からない。

 

ただ感心するのは、ヤツは気象庁情報や予報会社のサイトだけでなく、

米軍のレーダーからの情報をチェックしているのだ。

青年海外協力隊上がりで、コミュニケーション力はともかく、英語はできる。

 

今回はタイムリー・ヒットとはいかなかったようだけど、

前の4号情報は、なかなかだった。

上陸する4日前に、彼は台風の進路をかなりいい線で生産者に伝えていた。

 

「今日の朝見たときは沖縄を通って北上するコースでしたが、夕方には

 東に流れていくコースになっています。

 米軍予報で北から東に進路変更が出た場合は、もっと東へずれていくことが多い。

 四国上陸予報が銚子をかすめる、なんてことも」 -ほぼピッタリ?

 

「どちらにしても大雨が心配。まだ接近まで2,3日あります。

 水はけの悪いところは今のうちに溝を掘るとか、

 冠水して根が腐らないような対策をしてはどうでしょうか」

 

その上で、各地方で出される台風対策情報を逐次知らせている。

「○○県では○○栽培に○○の対策を、というお触れが出てます」

 

当たろうが当たるまいが、こちらには責任はない(信用はともかく)。

それが予報というものである(正確には「予報」でもないし)。

と強調しつつ、

いつかこの作業が日の目をみることもあるかもしれない、とか思ってたりして。

ま、こんなことをやらしている責任は自覚している。

 

さて、そしてやはり、今日の進路を見ながら心配したのは新潟、

中越沖地震で避難生活を続けている人たち。

 

何もお役に立てないでいたが、

現地で復興ボランティアに入っているピースボートの連中に頼んで、

大地自慢の「短角牛の牛丼」250食分を送る手はずがついた、との報告が入る。

 

岩手県山形村-短角牛の生産者も心配しているようだ。

TVで紹介されたりしている小千谷や山古志村の闘牛も同じ短角牛だったか

と改めて気づかされる。

生産者と連名で送ることに。

少しでも喜んでくれれば、と思う。

 

あと気になるのは、今日から現地に向かった「青森りんごツアー」かな。

いや本音は?-りんごは気になっても、ツアー自体はたいして気にしてない。

「くそぉ、ねぷたか、いいなあ」というやっかみもあるか...。

 

(注) 冒頭の図は気象庁HPからのものです。米軍ではありません。

 



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