あんしんはしんどい日記: 2010年10月アーカイブ

2010年10月31日

世界のシェフ・三國清三、「フランス共和国農事功労章」 受章

 

同い年の友人が一人、逝っちゃった。

いつもブログを読んでくれてたヤツ。

西洋医学を拒否しながら生き、ついに議論を尽くせないまま旅立ってしまった。

どんなに後悔しても帰ってくるわけではなく、茫然自失している暇もなくて、

昼間は仕事で気を紛らわせながら、でも夜になると、

無理矢理ヤツを枕元に呼んでは対話を試みたりして。

 

「いつも楽しみにしているから」 と言ってくれてたのを思い出し、

おとといの夜も夢の中で急かされてしまったので、ようやく気を取り直して、

命日(23日) の日に途中まで書いて放ってしまった日記をアップする。

これからも遅れ遅れしながら、日々の  " しんどい "  を綴っていこうと思う。

読んでくれよ、とヤツの目を意識しつつ。

 

さて、二つの臨時総会をやって夜は35周年記念パーティという、

昨日の長~い一日の話はあと回しにして、この一枚から。

ヤツが亡くなる前夜だということが、今となってはとてもつらいのだけど、

僕はあるパーティに呼ばれて、楽しい時間を過ごしていたのだ。

 

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このところ、丸の内での取り組みなどでご登場いただいている

東京・四谷 「オテル・ドゥ・ミクニ」 オーナーシェフ、三國清三さんが

フランス共和国から 「農事功労賞オフィシエ」 なる素晴らしい栄誉を授与された。

フランス食文化の普及に大きな功績を残した、と認められた人にのみ与えられる勲章である。

そこで22日、 「オテル・ドゥ・ミクニ」 の25周年とあわせての祝賀会が催されたのだった。

 

祝賀会の呼びかけ人代表である大御所・服部幸應さんも入ってくれて、

記念の一枚を頂戴する。

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胸の勲章が光っている。

サイズにも美というものがあるのだと思った。

食育の提唱者である服部さんからは、大地を守る会への熱い期待も頂き、身が引き締まる。

 


会場となったレストラン 「ミクニマルノウチ」 には、

たくさんの料理人や食に関係する専門家、メディア関係者が参集された。 

 

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お歴々の会話にさりげなく登場する人物の名前もスゴイのだが、

僕がただ尊敬するのは、地元・東京野菜に光を当てようとしてくれる

三國さんの姿勢である。

 

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今日も並べられた東京野菜。

小平・川里さんの名前も登場する。

 

料理の写真はあまり撮らないので (表現も下手なので) 控えるが、

味の素晴らしさはいうまでもなく、

肉も魚も果物も、東京産で披露されたところに、

三國シェフの強い意識が感じられる。

フランス食文化の真髄は、調理への探求だけではない。

どんな国際交渉にも毅然と対峙できる  " 我が文化への誇り "  を持て、ということだと

僕は感じてしまうのだった。

 

そしてまたしても、恐るべきサプライズ! に立ち会うことになる。

「今日はもう一人、お客さんが来ています」 と三國さんに呼ばれて登場したのは、

なんと、世界の巨人! ではないか。

 

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20世紀最高の料理人と謳われる

  " フレンチの神様 "  ジョエル・ロブションさん。 生で見る神様。

どんな挨拶をしたのかは覚えてない。

ただ江戸野菜のカブや大根を生でかじって、

頷きながらコメントをしていた姿だけを記憶している。

 

北海道増毛町の貧しい半農半漁の家に生まれ、

中学卒業と同時に料理の世界に飛び込み、" 世界の食 "  の頂点まで登った男、三國清三。

記憶の底にあるのは、働き者の母の、台所での包丁の音だという。

 

帰りに頂いた一冊のレシピ本。

飾らない、でも極上の  " 家庭でフレンチ " 。 僕でも出来そうなレシピが嬉しい。

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(小学館刊。 1300円+税)

 

この夜、僕が三國さんと語り合ったのは、来年から本格的にやりたいと言う

 「味覚の一週間」 である。

 

そして僕の脳裏に浮かぶのは、たとえばこんな言葉である。

「 運よく豊かな食物とともに生きることになった私たちにとって、問題は移り変わっている。

 大昔からの料理への依存を、より健康的なものにしなければならない 」

  ( リチャード・ランガム著 『火の賜物 -ヒトは料理で進化した』、NTT出版)

「 おそらく食は、グローバル化が脅かす様々な価値、たとえば地域特有の文化や

 アイデンティティ、そして風景や生物多様性の存続を力強く象徴するものなのだ。」

「 アメリカ人が自分をトウモロコシの民族だと考えないことは、

 想像力の欠如か、資本主義の勝利、あるいはその両方を少しずつ意味する。」

「 まっとうなことをするのは、最も楽しいことであり、

 消費という行為は、引き算ではなく足し算的な行為なのだ 」

  ( 以上、マイケル・ポーラン著 『雑食動物のジレンマ』、東洋経済新報社) 

 



2010年10月18日

イタリアンの国産米粉パスタ饗宴-東京野菜で応援!

 

東京駅前・丸ビル1階にある 丸の内カフェ ease (イーズ)」 にて、

今日から始まった食のイベントをご案内させていただきます。

 

4名のイタリアン・シェフが、

国産(新潟産)米粉と東京野菜・東京魚を使ったオリジナル・レシピで競演する

 秋の情熱 ご馳走パスタ

米粉にアモーレ!

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期間は本日18日から31日までの2週間。

前半(~24日)が、「イル ギオットーネ」 笹島保弘シェフによる

「金目鯛と東京野菜のもっちもち米粉タリアテッレ」、

そして西麻布 「アルボルト」 片岡譲シェフによる

「米粉のスパゲティ ~フレッシュトマトソース、伊豆七島のイサキと共に~」 の2品。 

後半(25~31日)が、「アンティカ オステリア デル ボンテ」(丸ビル36F)

ステファノ・ダル・モーロ総料理長による

「米粉のタリアテッレ ~豆乳スープ仕立て、金目鯛と東京野菜のメリメロ~」、

そして「Essenza」(丸ビル5F) 原田慎次シェフによる

「チェリートマトと水菜の米粉ペンネ、イサキのカリカリポワレ添え」 の2品。

いずれもミニサラダ、米粉のシフォンケーキ、ドリンク付きで1,000円。

ランチ企画なので時間帯は11:30~14:00まで。

 

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丸の内を舞台に展開されている 「食育丸の内」 のランチ企画第3弾となった本企画。

今回のテーマは、「都産都消」 そして 「食料自給率UP」。

いずれもそうそうたるシェフのオリジナル・レシピに、

東京有機クラブ(阪本啓一、川里賢太郎、藤村和正) の水菜と小松菜で参画しています。

 

夕方、「丸の内カフェ ease」 を訪ね、望月料理長から初日の反響をお聞きする。

反応は上々で、想定した二日分くらい出ちゃったとのこと。

「モノも良かったですよ」 にホッとする。

 


「食育丸の内」-

「大人の食育」 を掲げ、 まずは大人から食に対する知識を持つこと、

そして生産者・消費者・レストランの連携によって、

" 心身ともに健康になる社会づくり "  を目指して活動を展開しようというプロジェクト。

 

 

旗振り役は、丸の内エリアに出店しているレストランの

オーナーシェフたち26名で構成する 「丸の内シェフズクラブ」。

会長は大御所、服部幸應さん。

ジャンルを超えて情報交換をしながら、食に関する新たな提案を仕掛けている。

 

「食育丸の内」 活動の推進母体である 「丸の内地球環境倶楽部」 では

「都市の食」 のあるべき姿をビジョンとガイドラインにまとめようとしていて、

僕もその検討委員会に参加させていただいている。

東京のど真ん中で提供する 「食」 とはどういうものであるべきか。

そのビジョンとモデルづくりは、けっしてモノが集中する都市の我がままではなくて、

東京だからやらなければならない責任の表わし方にもなるだろう

と思って、参加してきたつもりだ。

おいしい食、安全・安心な食、身体にいい食、自然とつながる食、

人とつながる食、地域とつながる食、本物を知る食、創造力を育てる食、

世の中を変える食、自分でつくる食・・・・・と、ようやく

  " 10のビジョン "  としてまとめられようとしている。

 

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ビジョンは言葉で終わるものでなく、それに基づいた行動指針が策定され、

生産と消費をつなぐ魅力あるプランを、具体的に創出させていかなければならない。

国産の食材を大切にする、食の安全性や環境にも配慮する、は当たり前の柱として。 

 

今回のランチ企画に合わせてくれたのか、

今日、ネット・マガジン 「丸の内ドットコム」 に、

シェフご推薦の東京野菜生産者として、川里弘・賢太郎親子がアップされた。

こだわり食材と出会える 「青空市場 × 丸の内マルシェ」 のコーナー。

「シェフをうならせる東京の食材の実力」 -小見出しも嬉しい。

よかったら覗いてみてください。

 

先月、取材の記者さんをお連れした時の様子。

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8月のミクニマルノウチでの試食会で好評を得た川里さんの島オクラ。 

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実は9月にシェフズクラブのレストランからリクエストが入ったのだが、

「もう終わりなんです。 残っているのも 『山藤』 の契約分のみしかありませ~ん」

ということで、来年に向けての応相談となった。

トップ・シェフが 「採用しよう」 なら、こっちは 「じゃあ作ってやろう」 である。

美しいビジョンを実現させるにも、この人たちをつなげなければならないわけだ。

流通者(ネットワーカー) の苦労は、そのためにある。

 

 

さて、その足で新丸ビル10F-エコッツェリアに向かう。

夜は 丸の内地球環境倶楽部 主催 『地球大学アドバンス・第35回』

 - TOKYOから提案する新たな 「地球食」 のデザイン。

 今回のゲストは、丸の内シェフズクラブのコーディネーターであり、

都市の食ビジョン・ガイドライン検討委員でもある、

「オテル・ドゥ・ミクニ」 オーナーシェフ・三国清三さんだったのだが、

すっご~いサプライズ! つきのセミナーになったので、明日はその続きを。

 



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