あんしんはしんどい日記: 2011年1月アーカイブ

2011年1月21日

天候は 「関係」 を考える素材なんだけど-

 

ふ~、しんどい。

 ( 「しんどい」 はどうも昔からの口癖で、苦しい時も大したことない時も使ってしまう。

     さだまさしの歌にある 「ため息つけば それですむ」 みたいなものか。)

 

それにしても、まったく書けなかった。

何もなかったわけではなく、毎夜飲んだくれていたわけでもないのに、

新年早々からなんか急き立てられ、余裕を失っていた。

どんな感じだったかというと-

 

東京有機、埼玉大地と新年会が続いたあと、

13日(木) は群馬での新年会をパスして、(株)NTTデータだいち さんと打ち合わせ。

栃木・那須に開いた農場 の今後の新しい展開について当方からの提案を持参する。

詳細はまだお伝えできる段階でないので省かせていただく。

14日(金) はアファス認証センターによる監査を受ける。

当会独自の農産物監査システムで、

自分たちの情報管理や産地監査の適正さを審査していただくものだ。

3つほど改善の指摘を頂戴する。 

無事に、と言ってはいけないが、まあ想定範囲内で終了。

 

14日午後は丸の内に出かける。

丸の内地球環境倶楽部-「都市の食WG (ワーキンググループ)」 での

「 『都市の食ビジョン』 具体化に向けたまちづくり検討会」 に出席。

丸の内地区の食堂を東京野菜やこだわり食材で結ぶ新しい物流構築に向けての、

ロードマップというのか、プロセス・イメージを提出する。

いよいよ正念場に突入。

 

15日(土) は、専門委員会 「米プロジェクト21」 主催による講演会と食事会企画を実施。

ところが新幹線のトラブルで講師の到着が大幅に遅れるという事態に見舞われ、

綱渡りの運営で何とかしのいだ。

この報告は次回に。

 

18日(火) は大地を守る会理事会。

NGOと株式会社の合併についての具体的論議が本格化してきた。

19日(水) は、千葉県内産地合同での新年会をパスして、

他団体の生産者の集まりに参加する。

ウチの生産者との交流をないがしろにしたわけではけっしてなく、

組織としての代表派遣のお勤めだとご理解いただきたい。

そして昨日から泊りがけでの茨城県合同新年会に出席。

深夜3時過ぎまで生産者と語らい、そして歌った。

今日は頭が重い。

 

その合い間にも (どっちが合い間なのか曖昧なまま)、

この時期は管理者としてプレッシャーがかかってくる季節である。

来期の事業計画の策定、予算の検討、偉そうに部下の評価、などが迫ってくる。

内部で進めてきた検討事項もいくつかあって、年度末に向かって仕上げの議論へと進める。

 

それやこれやに忙殺されながら、内心気を揉んでいたのは天候である。

本当はこういうことを伝えなければならない、と思ってもいるのだ。

 


今季は比較的穏やかな冬のスタートで、

猛暑の影響を挽回するかのように野菜が押し寄せてきたかと思っていたら、

年末からやってきた寒波はまた出荷を不安定にした。

特に南のほうから 「寒い、寒い。野菜が伸びない」 の連絡。

こういう時にこそ情報が大事だと思うのだが、

はたして的確な情報提供が出来ただろうかと気になる。

 

僕らの農産物流通の最大のネックは、

生産者とは契約で、つまり 「約束」 をしているのに対して、消費者とは注文制であるということ。

特定の生産者と契約するということは、その地での天候の影響、畑の状況が

ストレートに反映されることを意味する。

スーパーマーケットなどで買い物をしていると分からないことが 「見えてしまう」 のだ。

一般市場流通では途中ではじかれてしまうようなものも入ってくる。

しかもこちらから生産者に発注する数量は消費者・取引先からのオーダーに基づくため、

「調整」 という作業がつきまとう。

計画出荷と言えば聞こえは良いが、今日はここまで、ちょっと待って、

ということが常時のやり取りになっている。

ひっきょう、やや伸びた葉物なども届いてしまったりするのだが、

生産者だけを責めるわけにもいかない。 

誰だってベストな時に出したいのに我慢してもらったりしているのだ。

だから習志野センターに入荷した農産物を検品する職員から

「こんなのを出す生産者はいかがなものか」 とか言われると、

仕入担当は逆切れしたりする。 

「良いものを寄こせ」 と平気で言える一般市場のバイヤーさんとは違うのだ。

 

天候不順とは、こんなふうに部署間のコミュニケーションまでギスギスしたものにさせる。

信頼関係はとても傷つきやすく、だからこそ上流からの情報が大切になるのだが、

これがなかなか・・・で、プロでありたいと念じつつ、

「だからと言って、これでは」 とか言われると口ごもってしまう。

安全・安心の保証とは生産者としっかり付き合うことで生まれるのに。

悔しい日々の繰り返しではあるが、

生産と消費の相互理解とは、僕らがよく口にする 「顔の見える関係」 とは、

システムではなく、日々の努力で築かれることを、忘れないようにしたい。

愛だよ、愛! 愛を持とう。

 

日々会員さんからのクレームを受ける会員サポート・センターでは毎朝、

今日の留意事項などを確認する朝会(朝礼のようなもの) というのが行なわれていて、

農産チーム(農産物の仕入部署) の職員も、去年の秋から週に一回出るようになった。

今年は一発目の11日に自ら名乗り出て、そんな話をしようとしてみたのだが、

時間が2分と限られていて、またお姉様方のキリッとした視線にも緊張させられて、

上手に話せなかった。

この場を借りて、お詫びとともに、釈明とさせていただきたい。

いつも丁寧なコミュニケーションにご努力いただき、感謝申し上げます。

 

最後は内輪話でスミマセン。

今年もこんなふうにドタバタと動き回ることになるのだろう。

ブログ・タイトルは実によく出来ていると自虐的に感心したりしながら・・・。

 



2011年1月 4日

子どもたちの未来のために

 

千葉・幕張より

 - 皆さま、明けましておめでとうございます。

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本日より仕事を再開いたしました。 

ということで、ここは職務がら、生産者の方々向けに年頭のご挨拶を述べる形で

2011年の 「エビ・ブロ」 を開始したいと思います。 

 

生産者の皆様

新年明けましておめでとうございます。

昨年は例年にも増して天候不順に悩まされた一年となり、皆様には大変なご苦労の中、

当会への計画出荷にご尽力いただきましたこと、改めて感謝申し上げます。

 

気候変動は地球規模で進み、温暖化対策もままならず、

一方で農業政策は明るい展望が示されないまま、この国は

グローバリズムの渦にさらに深く呑み込まれようとしています。

今年が平穏な年になる保証はできませんが、

皆さまと農作物にとって良い一年になるよう願わずにはいられません。

 

大地を守る会としても、基本理念として掲げた

「一次産業を守り育てる」 「人々の生命と健康を守る」 「持続可能な社会を創造する」

という社会的使命をまっとうするために、精一杯邁進していく所存ですので、

本年もご支援のほど、切にお願い申し上げます。

 


昨年は大地を守る会にとって、これまでの運動と事業展開から、

さらに一歩大きな社会的挑戦へとウィングを広げた年となりました。

東京駅や三越銀座店への出店、WEBストアの強化など、

多層な消費者層への提案の場づくりに向け、積極的に販売チャンネルの開拓を進めました。

販売形態の多様化は、皆様にも新たなお願いを伴うことでもありますが、

目的はひとつ、

ライフスタイルの核を求める消費者に、暮らしを安定させる土台は

" 信頼できる食 " であることを訴えることに尽きます。

宅配カタログだけでなく、百貨店の店頭やインターネット等を通じて、

安全な食こそ生活の基盤であることを訴えていきます。

時には皆さんの  " 生きざま "  もヴィヴィッドに伝えたいと思っていますので、

どうかご協力ください。

 

また地球環境問題への関心はますます、否が応にも高まっていきます。

低炭素化社会に向けて、生物多様性の保全など、

これらはすべて健全な一次産業が存立してこそ可能であり、かつ安定します。

" 農の力 "  を社会に見せつけられるような一年にしたいものです。

 

いや、農の力って実は、食に対する総合的な民意度というか理解度というか、

いわば  " 国の食力 "  のような気もしていて、

そんな視点でも仕事を進めてみたいと、あれこれ悩んでいます。

 

有機農産物の市場も大きくなり、社会的影響力もずいぶんと増してきました。

これは一方で競争の激化ということでもあり、

それに伴って農産物の品質も問われることになります。

もちろん、わがままな品質要求はけっして良い関係にはつながりませんが、

かといっておろそかにすれば淘汰されるという情け容赦ない時代でもあります。

現実を無視した原理主義にはまることなく、またトレンドに流されて舵を誤ることなく、

皆さんの頑張りが消費者の信頼につながるよう、

より一層相互のコミュニケーションを豊かにし、また生産者会議なども

より有効な技術研鑽の場になるよう、工夫を重ねていきたいですね。

 

競争が奪い合いや他者への批判に陥ることなく、

社会のより良い形への変化と消費者の共感につながるような、

健全な競争に育てていくこと、これも大地を守る会のミッションだと自覚するところです。

課題は増える一方ですが、ひるむことなく前に進み、

この大転換の時代を切り開いてゆきたいと思います。

 

  もっと強く願っていいのだ

  わたしたちは朝日の射すあかるい台所が

  ほしいと

      (茨木のり子 「もっと強く」 - 詩集 『対話』 所収 - から)

 

子どもたちが、若者たちが、おおらかに希望を持てる社会にしたい。

そのためにできることを、ひとつずつ、成していきたい。

その決意を持って、新年のご挨拶とさせていただきます。

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                                 (埼玉県飯能市、武陽山 能仁寺にて) 

 

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 



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