あんしんはしんどい日記: 2011年4月アーカイブ

2011年4月16日

原発はいらない! と タン君も叫んだ。

 

予告してしまった以上は実行しないとまずいか。 まずいね。

天下無敵の百姓どのにもしっかりコメントで発破かけられちゃったし。

 

4月16日(土)。 渋谷、宮下公園の先にある神宮通公園。

短角牛の短君を台車に乗せて(こいつは自力では歩けない)、午後1時過ぎに到着。

だんだんと人が集まってきて、2時には公園に収まりきれないほど膨れ上がった。

 

「野菜にも一言いわせて! さよなら原発デモ!!」

やるしかない!

 

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                                   (あ・あ・・・右手が落ちた・・・) 

胸のプラカードは夕べやっつけで作ったもの。

気温がどんどん上がる中、まるでサウナ状態 (-_-;) 。

 

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いや、泣き言はやめよう。

牛にも一言いわせろと、せっかく岩手から応援参加してくれたんだ。

東北の風土に根ざし、東北の大地に生きて、100%国産飼料で育てられた日本短角牛。

この仔には岩手の畜産農家たちの思いが託されているのだ。

腹をきめて、

行くぞ~! オオーッ! (写真左の人は弊社広報グループ・中井徹) 。

 

東北の方々の思いを背負って、なんてとてもできないけど、

都会の消費者に、少しでもメッセージを伝えたい。

" 美しい大地と きれいな海を とりもどそう "

そのためにできることを考えよう。 子どもたちの未来のために。

 

デモの前に集会が始まる。 

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被災地の原発被害の状況を、

グリーンピースジャパンの高田久代さんが報告する。

次に各地からの悲痛な叫び声が伝えられる。 

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真剣に聞き入る参加者たち。

涙する女性もいる。

 

茨城から、オーガニックファームつくばの風の松岡尚孝さんも参加。

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大きな希望を抱いて就農して3年。 

自分たちが受け入れた覚えもない放射能によって、ホウレンソウも、のらぼう菜も、

出荷できなくなった。

出荷できる野菜まで影響を受けているが、それでも自主的に検査をして

責任を持って届けたいと頑張っている。

今はとにかく、明日につながる道筋がほしい。

 

千葉県成田市三里塚に就農した若者が決意を語った。

「楽しく、いきいきと生きたい、そう思って成田に就農した。

 もしかしたら僕たちの農地も汚染されてしまうかもしれない。

 でも僕は、何があってもここに残って農業をやる、やり続けると決めました!」

 

福島の農家からのメッセージが読み上げられ、

続いて流通の立場から発言を求められる。 

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たんくんのままではきつかったので、頭は脱がせてもらう。

 

私たちは原発を 「トイレのないマンション」 と呼んで、ずっと反対してきました。

原発は温暖化防止に貢献できるエネルギーでもありません。

ひとたび事故が起きた時のリスクは測り知れないものになる。

・・・それがついに現実のものとなってしまいました。 実に辛いですね。

 

20km 圏内の仲間の生産者は、慈しんだ大地を離れて避難しています。 

一人は、もう帰れないと諦め新天地を探し始めました。

30km 圏内に畑を持っていた生産者は、

屋内退避勧告に応じず、敢然と畑に通ったのですが、

その努力は報われることなく、出荷を断念せざるを得なくなりました。

その圏外にも放射能は飛び、たくさんの生産者が被害を被っています。

いくつかの市町村がまるごと捨てられる、これが原発が持っているリスクです。

 

そんな中で私たちは、食べられるものは食べようと呼びかけ、

福島・北関東の農家を応援する野菜セットの販売を始めました。

食べることでつながりが確かめられ、

消費者は応援していると生産者に少しでも希望のメッセージになればと願っています。

そしてみんなの力で、

新しい 「いのちと暮らしの安全保障システム」 を築いていきたいと思う。

そのシステムには、原発というハイリスクで超コスト高な装置は入る余地はありません。

(廃炉まで10年という時間とコストとその間の汚染を想像してみてほしい)

 

希望はこの道にある。 そう信じて今日は皆さんと一緒に歩きたい。

 - とまあ、そんなふうにスピーチするはずだったのだけど・・・ 68点。

 

PARC理事で出版社・コモンズ代表の大江正章さんが、集会をまとめた。

 

原発事故は人災と言われているが、

復興構想会議の特別顧問となった哲学者・梅原猛さんの言葉を借りれば、

 「文明災」 である。 文明が裁かれているとは、まさにその通りだと思う。

原発がなくても、私たちの暮らしは何ら問題はない。

いま日本は電力の29%を原発に頼っているが、その数字を引いても

1985年当時の電力量より多い。

はたして85年はそんなに不便だったろうか。

かたや、内閣府で出している国民生活白書を見れば、

生活の満足度は84年をピークに、85年からずっと下がりっぱなしである。

原発はいらない! をみんなで確認して行進しましょう。

 

では、いざ、出陣! です。 

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短君、カッコイイね。 堂々としているぞ。

 

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神宮通公園からJRのガードをくぐり、東電の電力館前で

一斉にシュプレヒコールが上がる。

オールドスタイルの掛け声は、もうやめたほうがいいんじゃないかと、ふと思う。

それより、道行く人たちに向かって

「原発のない社会をつくりたいのです。 どうか一緒に歩いてください」

と真摯に語りかけた方のほうが好感が持てた。

 

あれ。

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エビが疲れた表情で歩いているけど、短君じゃないの?

いえ。 集会の1時間だけ着て、デモに移る時に若手の O 熊くんにバトンタッチしました。

こういう経験は若いうちにさせなければ、という美しい先輩心です。

水色のシャツはびしょ濡れです。

 

O 熊くんは頑張りました。

渋谷駅前では注目度ナンバー1 じゃなかったか。

国内外の報道系だけでなく、通行人からも車の運転席からもカメラを向けられ、

ちょっと得意にポーズをとったりして。

「渋谷の駅前はチョー気分よかったっすね。」

お疲れさまでした。

 

応援に来てくれた会員の皆様、スタッフの方、そのご家族の方。

急な集会でしたが、来ていただいて有り難うございました。

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プラカードを持って、お巡りさんにガードされながら、車道を、声出しながら歩く。

なかなかに照れくさいもので、通行人に呼び掛けているのだけど、

目を合わせるのは何となくはばかられる。

手を振ってくれる方もいれば、胡散臭そうに眺める方もいる。

 

ハーヴァード大学名誉教授の社会生物学者で、2度のピューリツアー賞を受賞した

知の巨人、エドワード・O・ウィルソンは書いている。

「 抗議活動団体は、自然経済の早期警戒システムであり、

 生きている世界の免疫反応である。」 (『生命の未来』 角川書店 )

 



2011年4月14日

野菜にも一言いわせて! さよなら原発!

 

個人的にお付き合いのある NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC) から

4月16日(土) に表記のタイトルで集会とデモをやるので、

スピーチしてほしい、という依頼が入った。

当会の専門委員会 「原発とめよう会」 に打診したのだが、

祝島に行くなど色々と予定があって皆さん都合が悪いようで、

「野菜にも言わせて」 ならお前だろうとも言われ、

結局回り回って、自分がスピーチを引き受けることになってしまった。

 

以下、急な話で恐縮ですが、集会のご案内をさせていただきます。

 

野菜にも一言いわせて! さよなら原発デモ!!

◆ 日にち: 2011年4月16日(土) 14:00~集会 15:00~デモ

◆ 会 場: 渋谷・神宮通公園 (東京都渋谷区神宮前6-21)

◆ デモコース:

  神宮通公園 ⇒ 神宮前6丁目右 ⇒ 東電電力館前左 ⇒ 渋谷駅前左

  ⇒ 宮益坂下左 ⇒ 神宮通公園

◆ 主 催: アジア太平洋資料センター(PARC)

        「野菜にも一言いわせて!サヨナラ原発デモ実行委員会」

◆ 詳細は、以下のURLをクリックしてください。

    http://beingb.com/yasaidemo/index.html

 

14:00からの集会では、

原発の現状と放射能汚染が農業・漁業に与える影響についての報告、

現地調査の報告、漁業者・農業者からの声、などが発表される予定です。

戎谷の持ち時間は5~10分。 

福島の生産者の思いの一端でも伝えられれば、と思っています。

 

またデモでは仮装大歓迎! ということなので、

岩手県山形村(現久慈市山形町) から

短角牛のたん君(着ぐるみ) の応援参加をお願いしました。

荷が間に合えば、牛さんになって渋谷駅の周りを歩きます。

 

デモなんて久しぶりだけど、小さな行動でもやれることはやろう、

と腹を決めています。

見物人でも結構です。 一人でも多くのご参加を!

 



2011年4月 9日

原発とめよう会の緊急講座から

 

「福島と北関東の農家がんばろうセット」 を企画した途端、

マスコミが殺到してきた。

風評被害から農家を守ろう、という取り組みはそれほど珍しい、ということなんだろうか。

たしかにここにきてスーパーマーケットでも

「福島応援フェア」 などが開かれたりしているが、

普通のコーナーに並べられることはない。

僕としては 「(流通OKなものは) 普通に食べようよ」 と言いたいだけなんだけど。

それよりもっと大きな方向にベクトルを向かわせたいと思うのに。

 

一昨日(4月7日) は、NHKさんから取材を受けた。

昨日の夕方の首都圏ニュースで3分ほど流れたようだけど、

自分は外での会議に出席していて見ることができなかった。

応援セットの主旨より放射能の自主検査について色々と聞かれてしまい、

これについてはわずかでも間違ったことをいうわけにはいかないので、

カメラの前で言葉を選んでいるうちに、自分でも緊張してくるのが分かった。

見た方からの感想は 「ちょっと元気がなかった感じ。 疲れてる?」 。

いえ、喉が渇いて、大きな声が出なくなっちゃったんですよね、トホホ。。。

でも視聴者から 「私も応援したい」 という連絡も入ったようなので、

その報告だけを記憶して、今日は寝ることとしよう。

 

いや、寝る前に、今日開かれた講座の報告をしておかなければならない。

大地を守る会の専門委員会 「原発とめよう会」 が開催した

緊急講座- 「福島原発とどう向き合うか」

場所は、新宿区早稲田にある 「戸山サンライズ」の大研修室。

講師は、原子力資料情報室共同代表の伴英幸さん。

 

仕事の都合でちょっと遅れて行ったところ、定員200名の席がほぼ埋まっていた。

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原発をテーマにして、これだけの人が集まったのは、チェルノブィリ以来だね。

心境は複雑である。

 


原発事故や放射能についての解説は、原発とめよう会ブロク他の媒体に譲るとして、

取り急ぎ、誰もが気になっていることだろうと思われる疑問について、

伴さんのコメントを紹介したい。

ただ紹介するだけでは無責任なので、→ のあとにエビの見解を示します。

 

1.政府が出した暫定基準値は甘い。

被曝は単純な比較で終わるものでなく、足し算で考えなければならない。

被曝の影響として語られる 「ただちに健康への影響はない」 とは、

将来に影響が出る可能性があるということである。

放射能にこれ以下なら安全という量はない。

→ その通りだと思う。 だからこそ 「ただちに」 止めなければならない。

  と同時に、今は危機管理体制の中にある、というのが僕の認識で、

  暫定基準値は、最低ここまでのラインで行動する、という統一基準として理解している。

  それをいたずらに危険だと煽ったり店頭から撤去するのは賢明な判断ではないと思う。

  「この基準を恒常的なものにしてはいけない」 は、まったく同感である。

 

  平時にあっては予防原則に則って安全性を確保する社会づくりに努める。

  しかし非常時にあっては、できるだけ多くの人を救うための共通する行動原理に従って

  一刻も早く事態を収束させる。 それが危機管理の鉄則じゃないだろうか。

  そして、すべての不安を、「ただちに」 次の行動に結集させたいと思うのである。

  僕が腹の底から願うのは 「いのちの安全保障」 ビジョンである。

 

2.乳幼児ではヨウ素の影響は大人に比べて10倍くらい高い。 子供は4倍くらい。

できるだけ情報を集めて、自分で判断しよう。

→ この数字の根拠までは語られなかったので、検証はできてないが、

  こういう数字を示してくれると、やっぱホッとするのは消費者心理ではある。

  一方で今の基準値は子供への影響も考慮したものである、という見解もあるが、

  とりあえず伴さんの説明に基づいて計算するなら、

  野菜類の乳幼児の暫定基準値は200ベクレルということになるか。 子供で500ベクレル?

  当会で放射能汚染食品測定室に依頼したホウレンソウの比較試験で得られた結果は、

  洗って約4分の1、茹でて半分。 なら葉物で400ベクレル、というのが指標になるか。

  乳幼児向けだと、葉物でひっかかる場合がある、というレベルである。

  真の大人なら、当たり前に食べてほしい。

  気になるなら、厚生省や官公庁で日々発表されているデータをHPでチェックして

  参考にしていただきたい。

  じゃが芋や玉ねぎ・人参・大根といった根菜類はまず問題ない。

  トマトやきゅうりなどの果菜類も大丈夫でしょう。

 

  ちなみに、ホウレンソウなどの葉物が高く出るのは、

  太陽に向かって葉っぱを広げて伸びようとしている、その生長段階のものを食べるから。

  落ちてくるものを受け止める面積が広いからです。

  単位重量に対して、表面積が大きいものは高く出ることになります。

  そういったことも頭に入れながらいろんな野菜を判断していただけたらと思います。

 

  ただ、この汚染が長引くと、問題は半減期の短いヨウ素ではなくセシウムになる。

  大地に降ったセシウムを植物がどう吸収するか、これからいろんな情報が出てくることだろう。

  私が考えるポイントは腐植や微生物の役割、つまり有機農業の力である。

  生態系の力で安定させていく事こそもっとも合理的で、これこそ地球の原理だから。

  これは専門化レベルの話になるが、いずれ挑戦したい。

 

3.子供を外で遊ばせてよいか?

雨が降ると放射性物質も一緒に落ちてくるから、当然濃度も高くなる。

濡れないように注意してあげる必要がある。

普通の日に外で遊ぶ場合は、砂場などで土や砂をいっぱい体に付着させるのは

なるべく避けたほうが良いと思うが、それ以外は神経質に考える必要はない。

部屋に閉じ込めてストレスを高めることのほうが問題だと思う。

→ 有り難うございます。 そのように伝えていきたいと思います。

 

他にもいくつかあるけど、取り急ぎこんなところで。

 

昨日キャッチした情報。

  全国漁業協同組合連合会 (全漁連) の服部郁弘会長は6日午前、

  都内の東京電力本社に勝俣恒久会長を訪ね、

  同社が福島第1原発で高濃度放射能汚染の貯蔵スペースを確保するため

  低濃度の汚染水を海に放出したことに対し、

  「何の相談もせずに強行した一方的な暴挙だ。

  われわれ漁業者の神経を逆なでするもので、許し難い」 と強く抗議した。

  服部会長は、「国と東京電力の責任は免れない」 と強調。

  政府と東電に、関係者への最大限の補償を速やかに行うよう求めた。

  これに対し、勝俣会長は

  「大変なご迷惑をお掛けしたことを、心から深くおわび申し上げます」 と陳謝。

  汚染水の流出防止や補償の問題に 「最大限の努力をする」 と述べ、

  同社として誠意を持って対応する姿勢を示した。

  服部会長は東電側との会談後、記者団に

  「これからはどんな説明を受けても信頼できない」 と強い不信感を表明。

  福島、茨城両県以外の漁業者にも不安を広げた東電や政府の対応に怒りを示し、

  今後全漁連として、全国で運転もしくは計画中の全ての原発の中止を訴えていく

  考えを示した。 (4月6日12:29、時事通信発)

 

今日改めて確認しようとしたが、どうやら最後のセンテンスはカットされてしまったようだ。

考えさせられるね。

ここは一発、断固支持のエールを送っておきたい。

がんばれ!全漁連・服部会長!

 



2011年4月 5日

支援は多様に展開したい

 

いま 「大地を守る会震災復興支援基金」

たくさんの義援金が寄せられてきています。

ご協力ご支援いただいたすべての方々に深く感謝申し上げます。

 

お寄せいただいた義援金は、

被災された方々へのお見舞いとしてお渡しさせていただく他、

現地での炊き出しなどの生活支援や復興に向けての各種の支援に

活かさせていただきます。

支援の活動内容については、当会広報室スタッフによる

~ 大地を守る会の活動レポート ~ ブログ 大地を守る

にて逐次レポートされますので、ご覧いただけると嬉しいです。

(私のブログは個人の行動範囲とアンテナ・体力・気力に常に左右されてますので。)

 

炊き出し隊は昨日から岩手に入り、活躍してくれています。

隊長・吉田和生のツイッターからは、リアルタイム(と言っていいよね) で

現場からの情報が発信されています。

(平時ではテキヤ部長の異名も持つ彼の公式肩書は、「畜産水産グループ長」です。)

最近は誤字や変換ミスをむしろ売りにしつつある吉田のツイッターはこちらです。

http://twitter.com/DWMK_yoshidak

 

我が農産グループでは、今週から

風評被害に苦しむ産地をバックアップしようと、

『福島と北関東の農家がんばろう セット』

という、ネーミング・センス度外視の野菜セットを企画しました。

(これでも農産チーム諸兄は喧々囂々やってたようですが・・・)

 

福島・北関東の野菜は今が出盛りの時期。

にもかかわらず、出荷規制の対象外の野菜も

「福島県産」 「茨城県産」 というだけで買い控えが広がっています。

自分たちが誇りを持って育てた農産物が、人々から忌み嫌われる生産者の悲しみ、

苦しみ、怒りは察するに余りあるものがあります。

そこで企画したのが上記の  " 福島&北関東 がんばろう! "  セットです。

ご支援いただける方は、ぜひ食べて応援してください。

 

これはけっして抵抗を感じる方にまでお願いするものではありません。

支援の方法は一つではないですから。

基金へのカンパ、被災地の商品の購入、救援物資の提供、ボランティア、節電、

みんなが出来る方法で力を合わせ、

ただただ、いのちと暮らしの復興に進んでいきたいと思うのみです。

ご支援いただけたなら幸いです。

 


 



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