あんしんはしんどい日記: 2013年6月アーカイブ

2013年6月29日

地域の力フォーラム

 

6月16日(日) 

「福島県有機農業ネットワーク」 の代表で、

「ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会」 の理事も務める

二本松市の菅野正寿(すげの・せいじ) さんから召集がかかり、

とある集まりに参加する。

仮称 「地域の力フォーラム」 と銘打たれて、集められたのは7人。

菅野さんに、喜多方市山都町の浅見彰宏さん、

出版社コモンズの大江正章さん、秋田県立大学教授の谷口吉光さん、

国士舘大学准教授の宮地忠幸さん、CSOネットワーク事務局長の黒田かをりさん、

そして戎谷。

場所は、新宿区・早稲田奉仕園内にある CSOネットワークの会議室。

 

この集まりは何か。

結成趣旨を引用しつつ整理すれば、だいたいこんな感じ。

  循環型地域づくり、地産地消、地元学などが注目を浴びるようになって久しい。

  さまざまな地域で、地域主体の取り組みが行われてきた。

  しかし、東日本大震災・原発事故後の復興では、

  改めて地域づくりのあり方が問われている。

  大規模整備や大型メガソーラーなど、

  住民参加型とはいえない復興の動きが進んでいる。

  TPPに象徴される、国家主権を多国籍企業にゆだねるかのような

  グローバリゼーションの動きが強まる中、

  それでも、働く場をつくり、地場産業を興し、人も暮らしも仕事も豊かにさせる

  輝く地域は、存在する。

  本フォーラムでは、東北を中心に、

  持続可能な経済、第一次産業の経済的自立、都市と農村の新しい関係、

  などをテーマに、広く事例を集め、政策提言も視野に入れつつ、

  地域再生(地域主権) の理論を発展させたい。

 

谷口さんは秋田からネット (スカイプ) での参加。

谷口さんとは、彼が大学院生だった頃からのお付き合いだ。

宮地さんとは初対面だが、

二本松・東和の佐藤佐市さんのところに学生さんたちを連れて、

農業体験や地元の方々との交流を行なってきている方だ。


初会合ということもあって、銘々自由に思うところを出し合う。

調査研究を進め、3年程度を目処に、事例集とともに政策提言をまとめよう、

ということになった。

現状置かれている身からして、どこまでお手伝いできるか心許ないが、

このテーマで声をかけていただいた以上、乗らないワケにはいかない。

地域再生や循環型社会の進め方について、

自身のイメージを発展させることができるような気もするし。

 

早稲田奉仕園という場所も懐かしければ、

夜はまた学生時代にウロウロした高田馬場で一杯やって解散。

 

6月17日(月)。

しばらく前に書いて社に提出してあった

「大地を守る会の放射能対策の経過とこれから」

が、大地を守る会の HP にアップされた。

基準値の一部改定も行なっているので、ぜひご確認ください 。




2013年6月27日

未来のために、オレはやる!

 

この間飛ばしてしまったトピック -その2。

 

6月12日(水)

昨日本ブログに初登場したローソン・山口英樹さんを、

静岡県函南町の (株)フルーツバスケットにご案内する。

ジャムやケーキの工房の他、酪農王国の施設をご覧いただき、

代表の加藤保明さんも交えて、今後の農産加工の展開について意見交換する。

産地を下支えできる農産加工の進め方について。

視察と会談後、

山口さんはさらに焼津のほうに流れ、自分はとんぼ返り。

 

6月13日(木)

福島県須賀川市、ジェイラップ(稲田稲作研究会) を訪ねる。

 

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代表の伊藤俊彦さんの車で回りながら、

去年と微妙に違う様子に、少し胸が震え、慎重に尋ねた。

「田んぼ、増えてない?」

耕作地が増えたんじゃないか、という意味だ。

風景が、美しくなっている。

「 ああ、増えましたね。 俺たちがやってきたことが間違ってないと

 地域の人たちが認めてくれた結果です。」

 


震災と原発事故に見舞われた一昨年は、120 町歩(= ha ) を除染し、耕した。

昨年は 150 町歩の除染に取り組んだ。

ゼオライトをすき込んでの反転耕 (天地返し)。

下に沈んでいたミネラルが表に出てきて、有効土層が深くなった。

堆肥を入れなくても収穫量が伸びた。

反転耕のあとにしっかり踏み込むことで機械も入れるようにした。

 

伊藤さんは地域の指導に呼ばれるようになっていた。

JA や自治体の説明会には顔を出さない地元の人も、伊藤さんの話は聞く。

「もう除染はやらなくてもいい」 という空気が広がる中で、

なぜ徹底する必要があるのかを伊藤さんは説く。

米を売るためだけじゃない。

春先の風が吹く頃に、背の小っちゃな子どもたちが

少しでも吸引して内部被ばくしないために、未来のために、

子孫からよくやったと言われたいために、

良い死に方をしたいために、オレはやる!

 

あの2011年という年の稲作研究会の取り組みに寄り添いながら、

このたたかいは地域を救う道しるべになると、

そう書いたのは、2011年の暮れ のことだった。

あの時の確信通りに進んできている。

いま地域全体での反転耕の実施へと広がり、

市役所がジェイラップへの作業依頼を取りまとめるまでになった。 

 

今日も測定は丹念に続けられている。

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大地を守る会とカタログハウスが提供した測定器が仲良く並んで、

働いてくれている。

 

昨年秋、収穫後の全袋検査を実施したことで終わらせず、 

彼らは今も日々、

精米調整前の玄米 - 精米後の白米、と何度も確かめている。

妥協しない彼らの信念を支えているのは、未来への責任である。

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このご時世にあって、田んぼが復活し、 

美しい風景が蘇っている。 

 

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このプロセスに立ち会っているのは、僕だけじゃない。

食べる人たちの声援もまた、この風景に貢献している。

 

伊藤さんに、一枚の連絡便(会員さんからのお便り) をお渡しした。

「 備蓄米、待ってました!

 福1 の原発事故から 1年、の去年。

 注文しようかどうしようか迷いに迷いました。 申し訳ないですけど。

 でも、カタログを通して、生産者の方々の血のにじむ努力を見て、

 注文させていただきました。

 ふっくら炊きあがったご飯を食べた瞬間、

 注文してよかった、とうるうるしながら思いました。

 今年もよろしくお願いします!!」

 

春先から低温が続き、かつ雨不足もあって、

田植えができなかったという場所があちこちに発生しているなかで、

この地では、希望が蘇ってきている。

美しい田園を支えるのは、何よりも未来への希望なのだ。

 

稲田から帰ってきて、16日の日曜日。

今度は二本松の菅野正寿さんから呼び出され、都心に出かけた。

その話は、次回に-

 



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