あんしんはしんどい日記: 2013年8月アーカイブ

2013年8月13日

戦車からトラクターへ

 

今日は旧暦(太陰太陽暦) 七月七日、本来の七夕の日。

七夕とは秋の季語でもあり、やはり七夕はこの日にしたいと、

月のカレンダーがそれとなく主張している。

 

今年はお盆休みも取れず、

仕事、会議、仕事、会議、合い間に出張・・・ みたいな日々。

強がって仕事中毒を自慢したりしながら。。。

 

8月13日。

今夜、郷里では、春に急死した高校の同級生を偲ぶ会が開かれた。

仲間内の電話・メールだけで25人集まったとの連絡。

3年前に開いた同窓会では幹事を務め、

二次会のカラオケで一緒に河島英五の 『時代おくれ』 を歌った。

元野球部で少々いじられキャラのイイ奴だった。

今朝は早くに、帰省途中の女子(いつまで経っても女子) から

「エビちゃんは出るんやろな」 のメールもあって、

ますます無念な気持ちが募る。

やっぱ、こういう義理は欠いてはいけないか。

 

関東から、一人でヤツに杯を捧げる。

こうやって人との別れを経験しながら、

僕らは生の意味をたしかめていくんだろうか。

僕のなかでは、ヤツは今も生きていて、楽しげにジョークを飛ばしている。

御霊を迎え、交信し、送るお盆の儀式が、どこにいても蘇る。 この時期になると。

お遍路の国で育った DNA なのかな。

N へ- ちゃんと帰れよ、またね。

 

さて、変わり種の新規就農者を一人見つけたので、

ご紹介しておきたい。

 

沢木勇一、43歳。

 

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元陸上自衛隊員。

PKO(国際連合平和維持活動) 支援で、

ゴラン高原(イスラエルとシリアの国境地帯) に派遣されたという男。

戦車に乗ってたという。

除隊して2年間、

千葉県 「さんぶ野菜ネットワーク」 の常勤理事・下山久信さんのもとで研修を重ね、

今年の春、農地を得て独立した。

 

就農への動機を聞けば、

子供が生れ、しっかりと大地に根づいた暮らしをしたいと思った、とのこと。

「今度、ゴラン高原の話を聞かせてください」 とお願いした。

 

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人参の播種前に水をくれている。

なかなか丁寧な作業をしていると思った。

教えられた手順を頭に入れる+状況に応じた対応能力

+手抜きをしない勤勉さ、が農家に好かれるコツだ。

簡単に言っているけど、これが実に一筋縄ではいかないのである。

 

農林水産省の新規就農総合支援事業の青年就農給付金に

何とか間に合ったと、

研修から農地斡旋まで世話を焼いた下山さんは安堵している。

就農時年齢で45歳までという条件で、

年間150万円(2年間限定) の助成が得られるのだ。

 

沢木さんは地主さんにも気に入られたようで、

あそこの畑も使ってくれと頼まれたりして、

いきなり2町歩(=ha) の農地を任された。

 

「 いや、やる気ある。 なんたって覚えが早いんだ。

 やっぱ戦車扱ってたからな、筋が違う・・ 」

と独自の理論を展開する下山さん(下の写真左)。

嬉しそうだ。

 

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新規就農者が、いきなり有機農業で2ヘクタール。

「時代は変わるよ、エビちゃん」

と下山久信は将来を見据える。

沢木さんの後ろの畑では、麦が植わっている。

有機農業は土づくりから。 教えを守っている。

 

借りたハウスでは、薬剤を使わない太陽熱での土壌殺菌。

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しかし、有機栽培の本当の苦労はこれからなんだよね。

 

途中、さんぶ野菜ネットワーク理事長の富谷亜喜博さんの畑に立ち寄れば、

炎天下の中、こちらも二人の研修生に指南の真っ最中。

 

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ロープワークひとつとっても、

サッとやって、こうやるのよ、と言われても、エッ?

という感じが伝わってくる。

でも若者たちも、数時間後には当たり前にこなすようになるのだ。

 

世の中に悲観ばかりしている場合ではない。

それぞれのフィールドで、みんな何かをつなげようとしている。

故郷のご先祖や同級生への不義理に対する弁解じゃないけど、

僕もここで頑張ってるから、とは言わせてくれ。

 



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