あんしんはしんどい日記: 2013年12月アーカイブ

2013年12月30日

2013 仕事納め

 

12月30日。 本日をもって

2013年の仕事納めとさせていただきます。

じつに慌しい一年ではありましたが、

たくさんの方々に支えられて、何とかやってこれました。

改めて感謝申し上げます。

 


今年一番の出来事はやっぱ、

3月から始まったローソンさんとの事業提携でしょうか。

WEBストア 「スマートキッチン」 さんへの納入から始まり、

5月にはお店での野菜販売がスタート。

新たに 「特販課」 なる部署が設置され、

僕も久しぶりに営業部隊に呼び戻されました。

以来、ローソン営業と放射能対策の兼務という、

なかなか刺激的な日々を過ごさせていただきました。

 

今年最大の出会いは、麻布医院の高橋弘院長、でしょうか。

6月の放射能連続講座で講演をお願いする手紙を書いてから、

講演後も医院に足を運ぶようになり、

高橋さんの提唱するファイトケミカルをコンセプトにした

新たな商品開発の話が進みました。

お目見えは来年2月、「大地を守る東京集会」 の予定です。

東京集会では講演もお願いしてあります。

去年が細川モモさんなら、今年は高橋弘さん。

出会いから仕事でのつながりに発展して、

こんなかたちでの貢献も、まあまあ嬉しいものであります。

 

連続講座は計7回、開催。

延べにして500人くらいの方に聴いていただきました。

東大の児玉龍彦教授(第2回) からはその後も講演の案内など頂くようになり、

高校の同級生である慶応大の金子勝教授との共演など

拝聴させていただく機会を得ました。

お二人から連名でサインしていただいた著書(共著 『新興衰退国ニッポン』)

は、プチ宝物として本棚にあります。

 

第6回に呼んだ佐藤佐市さん(福島県二本松市) と

自由の森学園(埼玉県飯能市) の再会に立ち会えたのも、

嬉しい出来事でした。

最終回の鎌田實医師からは、イラクの子どもたちへの医療支援

のためのチョコレート販売で協力を依頼されているのですが、

現在少々お悩み中。 こちらは検討案件として年越し。

 

6月には、農産加工の子会社である(株)フルーツバスケットの

取締役を命ぜられ、こちらのプレッシャーも少しずつ強くなってきて、

さて来年はどうなることやら。

 

個人的なトピックとしては、

3月、26年過ごした奥武蔵の山間から都会の片隅に引っ越しました。

夏になると子どもたちが泳いでいた川(名栗川) が、

時々懐かしく思い出されます。

5月には長女が、付き合っていた和食の板前野郎と

下町の某所に小さなお店を開店。

その名もなんと、「戎(えびす)」 です。

日本酒のラインアップはお父さんに選んでほしい、

なんて言うもんだから、真剣に考えました。

個人的趣味に走って客がつかなかったら

この顔丸つぶれとなるところでしたが、

「イイ酒が置いてある」 と言ってくれるお客様もいるようで、

とりあえず安堵しているところ。

時々宅配で 「種蒔人」 買って持参する親バカぶりです。

 

ま、仕事の幅はいろいろと広がっても、

変わるもの・変わらないもの、変えるべきもの・変えてはならないもの、

をしっかり見極めながら前に進んでいかねばなりません。

自らを戒めて、一年を締めたいと思います。

 

気がつけば、日付はもう31日に。 

今年1年、拙いブログを読んでいただき、有り難うございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

皆さま、よいお年をお迎えください。

 



2013年12月23日

2013 年末、訃報まで・・

 

2013年もいよいよ残りわずかとなって、

皆様はきっと、今年最後の連休を有意義に、

お正月の準備などで楽しく過ごされたことでしょうか。

 

ワタクシはというと、21日(土)、雪の山形・高畠町まで出張して、

米や野菜・果物をいただいている 「おきたま興農舎」 さんの

2013年反省会&忘年会に参加して、

お米部会の反省会の席上、

もっと米を売れないのかとこってり絞られて、

大好きな日本酒をたっぷりと飲まされたのでありました。

いや~実に有意義な、命がけの連休でございました。

 


「もっと食べて~」 とただお願いしても胃袋が大きくなるわけでなく、

少子高齢化の進行に加えて食生活の多様化

(というより外部化と言うべきか) は、

コメの消費拡大という掛け声とは真逆の方向を指していて、

もっと知恵を出せ、手を考えろ、との攻勢に、

棚田米の販売では最優秀賞もいただいたんですよ、とか

来年に向けて考えていることとか、値段は上げられないっすよ、とか、

外は雪だというのに汗をかきながら戦一方。

ゴール・ラインの手前で、明治の重量フォワードの押しに耐える早稲田ラガー

みたいな感じか。

いや、そんなカッコいいもんじゃないし、この比喩は間違ってる。

みんな耐え、必死で考えようとしているんだ。

 

世の中の空気は、はっきり言って悪い。

格差社会の広がりや医療・福祉の後退は、

根っこへの不安を増幅させている。

" これからの社会は、食べものを食べる人と、餌で食いつなぐ人に分かれる "

なんて言った口の悪い評論家がいたが、それも間違っている。

選ばれた人たちのわずかな胃袋では、

たとえ飽食してもらったとしても、食の安全は守れない。

健全な平均値が大切なのだ。

それが民主主義の要諦である。

しかし社会制度を立て直すべき政治は、逆に危険な一線を越えようとしている。

世は  " 自己責任という名の無責任社会 "

(金子勝&児玉龍彦著 『新興衰退国ニッポン』 から拝借) に向かって

加速している。

他者への愛がない社会は壊れる。

環境という大事な公共など守れるわけがない。

 3.11 から、僕らはたしかに学んだはずなのに。

 

生産者と飲みながら、想像力の壁に苛立っている自分がいる。

どう突破すればいいんだろう。。。

我が凡庸な頭脳は、古いパソコンみたいに立ち止まっている。

 

18日(水)には、農林水産省の 「食文化ナビ」 の検討会に出席した。

食文化を素材に、どう地域活性化を導けるか。

地域で汗をかく人たちが使えるナビを作成しよう。

竹村真一座長に藻谷浩介さん、細川モモさんらと一緒に、

委員のイメージの出し合いは、それなりのまとまりに向かって進んだ。

進んだんだけど・・・焦りは消えない。

 

今月、「和食」 がユネスコの世界文化遺産に登録された。

それは喜ばしいことだ。

しかし地方は、「和食」 の見直しといわれても・・・という感じだし、

何かちぐはぐに進んでいるとしか言いようがない。

減反政策の見直し、とか今さら言われてもねえ。

耕作放棄地は増え、今年も 1万2千ha の農地が消えた。

見えないところで崩壊現象が進んでいる。

生産者の苛立ちは、もっともなことだ。

 

ま、いずれにしても今年の行事はこれにて終了。

 - と山形から帰ってきたところで、突然の訃報が飛び込んできた。

「三里塚産直の会」(千葉県成田市) 代表の萩原進さんが急逝したと。

僕が高畠で飲んでいた頃、萩原さんも仲間と楽しく飲んでいた。

その帰りに倒れられた。

あの、殺しても死なないんじゃないか、と思っていた人が。

僕は、あの人から突き刺された宿題をまだ終えてないのに。

 

年末のまとめに入っていこうと思って書き始めたけど、

もうフリーズして、これ以上書けない。

 



2013年12月 1日

シェフと畑をつなげる

 

2013年もあっという間に師走に突入。。。

焦るぞ。

11月のレポートを急がねば。 

腰が痛い痛いと情けなく呻きながらも、なんだかんだ動いた月だった。

 

11月18日(月)、夜。

東京・丸の内、新丸ビル10階 「エコッツェリア」 にて、

地球大学 × 食と農林漁業の祭典 『農業分野の新ビジネス』」 

が開催される。

実は11月は、農林水産省が旗振り役になって様々なイベントが展開された

食と農林漁業の祭典」 月間だった。

前回報告した 「食の絆サミット」 も、その一環として開かれたものだ。

そして今回は、地球大学とのコラボで行なわれたセミナーのひとつ、

ということになる。

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例によって竹村真一さん(京都造形芸術大学教授) をモデレーターとして、

4名のゲストが新しい農業の姿やビジネスの可能性について語った。

大地を守る会代表、藤田和芳もその一人として、

有機農業の果たす役割について語った。

 

竹村さんやゲストの間でのやり取りがあった後は、

自由に語り合う懇親会となる。

食材は、丸の内の直営レストラン 「Daichi & keats」(ダイチ・アンド・キーツ) にて

用意させていただいた。

 

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こういう場って、けっこう料理が残ってしまったりするのだけど、

お陰さまで好評を博し、きれいになくなった。 

次はお店のほうにもぜひ足をお運びくださいませ、と宣伝。


翌19日(火)は、その 「Daichi & keats」 にて、

レストランのシェフやオーナー向けの試食会を開く。

8日の行幸マルシェに続く、さんぶ野菜ネットワークのPR 第2段。

 

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今が旬の、人参、里芋、小松菜、カブ、ミニ白菜を、

生で、ボイルして、あるいは蒸して、素材の味を確かめていただく。 

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人参の甘さに感動され、

「何もつけないのが一番おいしい」 という感想までいただいた。

生産者にとっては最高の賛辞だね。

町田マネージャーの説明もさりげなく力が入る。

 

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ケータイで撮ってきた畑の写真を見せながら、

身を乗り出して説明する石橋明さん。

 

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事務局の山本治代さんはパネルを持参して、

さんぶの野菜の美味しさをアピール。

土づくりからキッチリやってるからね、こういう野菜を使ってもらわなきゃあ、

とけっこう押しも強い。 

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・・と、さんぶをしっかりインプットしていただいたところで、

28日(木)、今度は丸の内からマイクロバスを仕立てて現地視察ツアーとなる。

 

まずは石橋さんの里芋畑で、

里芋掘りを実体験していただく。

 

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里芋は、親芋の回りに子芋・孫芋がくっついている。

傷つけないように鍬を入れ、テコの原理でグイと掘り上げる。 

 

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そんでもって小芋らを剥がし、土を除いて、選別して出荷する。

里芋掘りは面白い。

だけどそれをずっと続けて出荷までの作業となると、しんどい。

手間のかかる作物なのだ。

少しは想像していただけただろうか。

 

石橋さんのハウスを見る。

小松菜と水菜がきれいに育っている。

 

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有機農業にとって土づくりがいかに大切か、

そして葉物の生理と育て方まで、

懇切丁寧に話す石橋明さんがいた。

 

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昼食は、農家料理で。

シェフの方々に対して何をお出しすりゃいいのよ、

とか悩んでいたけど、

どっこい、シェフを唸らせるシュフの手料理だった。 

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「いやあ、美味しくて、食べ過ぎちゃいましたよ」 と

若いイケメンのシェフに感激されて、ご機嫌の主婦でございました。

奥様方、お手間取らせました。

 

昼食後も精力的に畑を回る。

人参畑で説明するのは、

さんぶ野菜ネットワーク代表の富谷亜喜博さん。

 

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ここでカメラのバッテリーが切れてしまう。。。

人参を抜いてもらい、富谷さんの堆肥を見せていただき、

ブロッコリィ収穫もプチ体験していただき、、、

夕方の仕込みがあるのでと、慌しく帰路に着く。

 

帰ってから、クリスマスイブの日に人参を葉付きのままで使いたい、

というリクエストが入ってきた。

しかし、とても無理です、と冷たく断る。

12月に入ると霜にやられて、人参の葉は枯れてしまうからね。

でも、それだけ感じさせるものがあったのだろう。

 

料理人たちも忙しい。

なかなか畑を見ることなんてできないんですよと、

そんな話も聞かせてもらった。

自然の移ろいや畑に合わせて調理するって、

都会ではそう簡単なことではない。

でも、畑を見て、モノの力を引き出そうとしてくれる料理人の創造力は、

あなどれない。 つなげたいと思う。

葉っぱつき人参の料理は春まで待ってもらおう。

 

都会では、子どもたちへの食育だけでなく、

シェフ育も必要なのかもしれない。

そんなアイディアも浮かんだりするのだけれど、

「遊びが過ぎるぞ」 という会社のセリフも聞こえてくる。。。

 

掘った里芋をそのままひと株もらって、持ち帰った。

洗って、食卓に飾ってみる。

 

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子沢山の縁起物。 

八つ頭ほどではないけど、

ひと足早く正月が来たみたいな気分になる。

 



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