あんしんはしんどい日記: 2014年1月アーカイブ

2014年1月27日

浅見さん、お疲れ様。 風は吹いたよ。


1月22日(水)、山形県白鷹町・加藤秀一さんの告別式から帰って、

翌23日(木) は群馬・伊香保温泉にて群馬県内の生産者たちとの新年会に出席。

一泊して24日(金)、吉岡町・栗田文明さんのトマトハウスを見学して、

午後は霞ヶ関の参議院会館まで出向き、「有機農業の明日を語る会」 に参加。

25日(土) は、専門委員会「米プロジェクト21」 主催の新春講座

「ジェイラップ2013年の取り組みから学ぶ」 を六本木にて開催。

26日(日) は、「ネオニコチノイド系農薬を使わない病害虫防除を探るフォーラム」

の第 2 回ワークショップにパネラーとして参加した。


例によって終了後に懇親会が持たれ、気になってしょうがなかった

福島・喜多方市長選の選挙結果を確かめることができたのは、

昨夜遅くのことだった。

以前にも報告したけど、この市長選に

「あいづ耕人会たべらんしょ」 の浅見彰宏さんが出馬していたのだ。


結果は以下の通り。

   山口信也氏(現職) 14,842票

   浅見彰宏氏(新人)  6,886票

ダブルスコアの敗退だったが、多くの人が喝采している。

「大切な市長選挙を、無投票で終わらせてはいけない」

と出馬を決意したのが 2 カ月前。

突貫の準備と 2 週間の選挙運動で、知名度もないに等しい

千葉出身の新規就農者に対して、7 千人近い市民が彼に投票したのだ。

" 市民が主役のまちづくり " " 新しい循環型の地域づくり "  を謳い、

「希望の種まき式」 と銘打った出陣式には、

歌手の加藤登紀子さんが旅の途中に事務所に立ち寄るといった演出も

取り入れるなど、なかなかの戦術家ぶりも発揮した。

" 風は吹いた "  と言っていいんじゃない、浅見さん。

未来への種は、たしかに運ばれた。

芽を育て花を咲かせられるかは、明日からの仕事にかかっている。

今日のところは、「お疲れさんでやんした。」

2月 8日の 「大和川酒造交流会」 では、蔵人に帰った君を称えよう。


浅見彰宏の果敢なるたたかいぶりについては、

彼の公式サイトで楽しんでいただけると嬉しいです。

 ⇒ http://asamiakihiro.com/


とまあそんなワケで、次から次へとレポートも進めないとダメなんだけど、

今週も、千葉、茨城での新年会、

そして土日は福島での国際会議、とイベントが続いている。

溜まった宿題は、来週から順次報告ということで、

ここはヒラにご容赦願います。

今日はとり急ぎ、浅見さんへのエールまで。




2014年1月19日

産地行脚中 +いくつかのイベント案内

 

15日(水) は神奈川の生産者たちの新年会に出かけた。

京急本線から久里浜線に乗り換えて三浦半島の終点・三崎口で降りる。

さらにバスに揺られ、漁師の網元さんが経営しているという

民宿 「真魚家(まなや)」 に辿りつく。

メンバーは、「黒崎有機栽培研究会」「ウィングクラブ」(ともに三浦市)、

「折本新鮮野菜出荷組合」(横浜市都筑区)の 3 団体。

今年の幹事は 「ウィングクラブ」 で、この網元さんとは古いお付き合いらしい。

富士山が大きく見える三浦半島突端の高台で、

新鮮な魚料理に舌鼓を打ちながら、年初めの抱負を語り合う。 

 

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生産者にとって、やはり気になるのはローソンとの事業提携のようだ。

作付けが増える期待感の一方で、

振り回されるんじゃないかという不安感が、じんわりと伝わってくる。

丁寧に説明しつつ、本音で語り合う。

僕らにとって産地新年会シリーズは、ただの挨拶回りではない。

行脚(修行の旅) なのである。

 


続いて、16日(木) 17日(金) と生産者来訪。

どなたも遠方から千葉・幕張まで来ていただいたわけで、

商談だけでなく色々と本音の話し合いもしたりするのだった。

誰と語り合っても、生産者に共通するのは、

「大地が大地らしくあってほしい」 という願いだろうか。

「大地らしく」って、実はけっこう難しい設問なのだけど、

要は食の安全を守るべく頑張ってきた生産者・製造者たちの気持ちを忘れることなく、

ポリシーを持った運動を続けてくれ、ということだと思う。

 

大地を守る会が、初期からの理念をそれなりにも保ちながら

 (" それなりに~ "  という言い方で微妙に逃げを打っている気もするが)

40 年近く続いてきたこと自体が希望だと言ってくれる人もいるけど、

本音の希望がそんな水準でないことも解っている。

 

生産者の思いも、消費者からの要望も、多様である。

それやこれやを受け止めつつ、現実とたたかい続ける。

時に両方から非難されるようなバランスを重視したりもしながら。。。

この孤独はなかなか語れるものではないけれど、

思想は忘れてないよね、と常に自問自答しながら進みたいとは思っている。


手帳を見れば来週から1ヶ月、イベント続きで土日が埋まっている。

その間にも、生産地の新年会がまだ 4 ヵ所残っている。

もちろん本来の仕事も溜まる一方で、

だんだんと開き直りの心境に至りつつある。


まだ募集中のものもあるので、イベント名だけでもご案内します。

詳細は、クリックして HP にてご確認ください。

よろしかったら、どれか一つでも参加いただけると嬉しいです。

 

1月25日(土)・・・米プロ新春講座 「ジェイラップ2013年の取り組みから学ぶ」

1月26日(日)・・・ネオニコチノイド農薬のフォーラム。 パネラーで参加予定。

2月1日(土)~2日(日)・・・「コミュニティパワー国際会議2014 in 福島」

  福島から喜多方へと流れます。

  ISEP(環境エネルギー政策研究所) 代表の飯田哲也さんから 「ちょっと来い」 

  との指令が入り、2日のセッションで登壇予定。

2月8日(土)~9日(日)・・・「第18回・大和川酒造店交流会 ~新酒完成を祝う会~

  2週連続で喜多方。 大地を守る会オリジナル純米酒 「種蒔人」 の新酒完成を、

  原料米生産者(稲田稲作研究会) とともに祝います。

  酒と温泉 + イイ仲間。 誰が名づけたか  " この世の天国ツアー " 。

  新企画!「大地を守るお酒造り体験」 も併せて募集中です。

2月16日(日)・・・ 「地域の力シンポジウム」(主催:地域の力フォーラム&CSOネットワーク)

  3.11東日本大震災と内発的復興、農山村と都市の新しい結びつきを考える。

  パネラーで参加予定。

2月22日(土)~23日(日)・・・毎年恒例の 「大地を守る東京集会」。

  つくる人と食べる人の出会いの広場。

  大地を守る会が38年にわたって続けてきた最大イベントです。

  今年のワタクシは、麻布医院・高橋弘先生の講演と、

  「米の生産者と語ろう」 という小さな場を担当します。

  高橋先生監修で大地を守る会の野菜を使った新製品、

  「ファイトケミカルプラス」(スープの素) の試飲も用意する予定。

  楽しいお祭りです。 意中の生産者にも会えるはず。 ぜひお越しください。


そんなワケで、今日はとても貴重な日曜日。

寒風に吹かれながら抱いた感懐と、イベント案内まで。




2014年1月 7日

新年のささやかな楽しみ

 

気持ちを新しくして仕事を始めよう、

とか思っても現実は厳しい。 せわしなくスタートダッシュが求められる。

たんなる数日の休息でしかなかったかのようだ。

それでも 2年ぶりに戻った仕入部署には、新年の細やかな楽しみがひとつ、ある。

大相撲千秋楽結びの一番での懸賞金なみに束ねられた

生産者からの年賀状。



静かになった職場で、1枚1枚めくりながら、

顔を浮かべたり懐かしがったり。

さすがに印刷されたものが多いが、それでもひと言書かれてあったりする。

今も変わらず毛筆でしたためてくる方もおられる。

何枚書くんだろう・・・ このこだわりには感心させられる。

面倒でも書かないと気が落ち着かない、ってこともあるか。

若者には家族写真が多い。

家族写真の賀状を嫌悪する方もおられるが、僕はわりと嫌いじゃない。

一年に一回会えるかどうか、の相手だったりするからね。

「二人目が生れました!」 なんてのは幸せ感が伝わってきて、

「よかったね~」 とニンマリしたりするのは、悪くない。

これからが大変だぞう、とか呟いたりして。

ま、人それぞれで。

 

わずかなコメントにも時代が反映されていて、

TPP、異常気象、農業政策や再稼働への怒り・・・などが散見される。

農業(食べものの生産) をめぐる環境が一段と厳しくなっていることを感じさせられ、

それでも我らは~ と続く言葉に励まされる。

やっぱり新年は、気持ちをリセットさせてくれるものである。


そして体調整える暇もなく、産地での新年会シリーズが始まる。

こちらは 3年ぶりの行脚となる。

明日の 「東京有機くらぶ」 を皮切りに、関東をめぐって福島・宮城まで。

終わるのは2月7日。

何年か前、死のロードと書いてしまって、生産者からいじめられた。

今も覚えてくれている人がいるので、 気をつけよう。


ここにきて失敗したと思うのは、去年のうちに

健康診断を受けなかったことだ。 人間ドックも行けなかった。

会社はコンプライアンス(法令遵守) 上、「早く行け」 と命令してくるのだけれど、

この時期に行くとロクなことがないので、もうちょっと逃げることとする。

行くとロクなことがないから・・・ って理屈になってない気もするが、

16 年前の胃の手術がどうもトラウマになってしまっている。

ま、とにかく気をつけよう。 けっして気合いで飲んではいけない。

もう若くないんだし。


とか言いながら、書いてなかった賀状を今頃書いている始末。

良い一年になりますよう、と願いながら。

今年もたくさんの生産者と会えることを喜ぼうと思うのであります。


たまにはこんな雑感で、お許しを。




2014年1月 5日

" 食と環境 " の年にしたいですね。

 

皆様、明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

月の暦によれば、今年は19年に一度の正月だそうです。

西暦1月1日が月暦の朔 (さく、ついたち、新月)、

つまり師走(十二月) 一日にあたるというワケです。

太陽(19年) と月のリズム(235ヶ月) が一致して、

元旦のご来光のそばに見えない月(月の誕生、月立ち-ついたちの語源-)

があります。 いや、「ありました」 と言うべきでしょうか。

だから何? って言われても困るんですけど・・・

そんな太陽と月の周期に感慨を抱くのも、歳のせいでしょうか。

ま、忙しい中にも多少の余裕を持ちたい心境の現われかも。

 

年をまたいで気になっていることの一つが、

大手食品会社の冷凍食品から農薬が検出されたという事件。

年末にこの報道に接したとき、

マラチオン(殺虫剤、商品名「マラソン」) と聞いて、

僕は輸入原料が原因だろうと推測しました。

この農薬は昔(80年代) から輸入農産物(小麦・トウモロコシ等) で検出されて

問題になってきたものだから (国内農産物でも検出されてはいます)。

しかしその濃度が(最高に検出されたもので) 1万5千ppm!

と新聞(1/1付朝日) で読んで、

それはあり得ない数字だと目を疑いました。

これまで問題にしていた数値は一桁レベル

(農作物の残留基準は0.1~8ppm) でしたから。

 


基準値の150万倍。 さすがに原料由来とは思えず、

「事件」(誰かが故意に農薬を入れた) として調査が進み出しました。

まるで中国冷凍ギョウザ事件がついに国内でも・・・

という感じです。

いったどうなっていくんでしょうか。

 

軽々な分析はまだ控えますが、

他人任せの、顔の見えない 「食」 に依存し過ぎている社会のリスクを、

私たちは見せられている、とは言えるのではないでしょうか。

加えて、農薬とはそういうものであることも示唆しているワケですが。

 

国家は底なしの借金地獄へと邁進し、

医療や福祉制度が後退するなかで税金も上がる時代。

人口(≒消費力) は昨年1年間で24万人減少しました。

この数字は、これからさらに加速するとの予測です。

気候変動や震災への不安も増すばかりです。

暮らしの土台が揺らぐなかで、期待するのは景気(経済) でしょうか。

僕には、どうあがいても  " 食と環境 "  を守る人々のつながりに行き着く

としか答えは見い出せません。

だって、それなくして社会の持続性は担保されないからです。

エネルギーの根幹もその文脈で考えたいと思っています。

 

かくして私は、今年も性懲りもなく、

" 顔の見える "  お酒からスタートしたのでありました。

 

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  (会津・喜多方市山都町 「本木・早稲谷 堰と里山を守る会」 の

  生産者たちのお米で造ったお酒/大和川酒造店謹醸)

 

食と環境、そして人とのつながりを紡いでいくこと。

今年もこのテーマをひたすら追求します。

何か一つでも、確かな前進を-

2014年が皆様にとって良い一年になりますよう祈念して、

仕事を開始いたします。

 



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