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田んぼの草取り&ホタル観察会

全国後継者会議で若者たちとシコタマ飲んで、帰ってきた翌日(21日)、
今度は千葉県は山武での「大地を守る会の稲作体験’07-第2回草取り」である。
かなりバテバテ。
で、ちょっと日も経ってしまったけど、外すわけにはいかないので、記しておきたい。

とにかく、ひどく草だらけの我らが体験田でありました。
コナギの天下のような田んぼ。オモダカは花を咲かせている。
先月の草取りは、かなりバッチリやったはずなのに…絶句状態。

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こんなにはびこられては、
私はとても庄内の佐藤秀雄の心境には立てない(7月2日の日記参照)。
これは取らねばならない。
参加者が多かったのが救い。

皆さん真剣に、最後まで草と格闘してくれ、
「ちゃんと草取らないと、夕飯抜きだからね!」と、
伝統的手法で娘を叱る母もいたり(だいぶ疲れが出てきてたのでしょう)、
今はただ、‘大地の会員はエライ!’という感想のみです。

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とにかく皆様、お疲れ様でございました。

しんどい作業のあとには、楽しい企画も-
ということで、若手スタッフたちが今日のために特別目玉企画を用意してくれた。

第二部-「夜の自然観察会」
みんな狙いどころを実に要領よく押えていて、ただ「蛍見会」と略して(?)呼んでいる。

作業のあと、生産者の話を聞きながら休憩をとり、
日が暮れ始めたあたりから第二部となる。

まずは、大地の会員で、専門委員会「米プロジェクト21」のメンバーでもある、
生き物博士・陶(すえ)武利さんの座学から-
テレビのモニターにいろんな虫や植物を映し出して、問題を出したり解説したり。

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ホタルの源氏と平家の違いは…、オスとメスの違いは…
フムフムなるほど、と私はただ感心するばかりだが、
子供たちの反応がすごい。よく手が上がる。するどい質問も飛ぶ。
陶さんはテキパキと答える。さすがだなあ…。
オタクもここまでくると、いや失礼、ハカセでした。

作業の疲れをしばし忘れ、感覚モードが虫や植物の世界にはまったところで、
6班に分かれて、順番に観察に出発する。

要所要所にスタッフが立ち、班がやって来るたびに、そこで見える植物のガイドをする。
解説のポイントは事前に陶さんからレクチャーを受けている。勉強になったね。

竹やぶを通れば、竹と笹の違いを解説し、
落花生の畑の前を通れば、夜になると葉っぱが閉じている姿を眺めてもらい、
ヤシの仲間のワジュロの木の前では、温暖化でこいつが静かに北上している話。

「これが烏瓜(からすうり)の花です。夏の夜に咲く花。夜ですので蛾が受粉役になります。
 この白いネットが雄花と雌花を結ぶ蛾の標識になります。秋には赤い実がなります。」

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そうこうしながら、夜の谷津田に入る。
静まりかえった森と森の間に田んぼが佇んでいる。
森と田んぼの間には沢が流れているが、それは見えない。
子どもが口を開くのを皆で制しながら、夜道を進む。
そして、眼を凝らしてみれば-

田んぼの向こう、その沢沿いに、やさしく点滅するホタルを一匹発見!

あ!いた。見えた!見えた!

あ!あそこにも!ここにも!

え!え!………いっぱい、いるじゃん!

改めて視界を広く取れば、幕が開いたかのように、フワ~っと出現したいくつもの光。
田んぼにも、沢伝いにも、森の木の上にも。
止まって点滅する光もあれば、優雅に舞いながら流れる光も。
こういうのを幽玄の世界というのだろうか。

間隔を置いて歩いていたはずの班が、谷津田を見通せるところで団子になってる。
誰も進もうとしない。
ただただ感嘆の声を小さく上げながら、かそけき生命の輝きに見入っている。
この光景は、もはや僕には表現できない。

生まれて初めて見たホタル。子どもももちろん初めて。何だかとても幸せな気持ち。
そんな方がたくさんいた。


やってよかった。
若手職員の、夜なべしながらの準備も報われたね。
もちろん陶さんには感謝の一語に尽きる。

「こうしてホタルがたくさんいるのも、農薬の空中散布とかがないからです」
との補足は忘れない。

体験田の地主・佐藤秀雄さん(庄内の佐藤さんとは別人)も、それを受けて語る。
「この地域で空中散布を全~部やめてっからさぁ、ホタルが戻ってきたんだよぉ。
 最近すっごく増えてきたっけよー」

生き物のゆたかさ、生命の静かなにぎわい、これはゼッタイにモノに変えてはいけない。
このゆたかさの上に、私たちの暮らしをつなげておきたいよね。

今日の汗水たらしての草取りも一挙に報われたような気分になる。
ホタルも感謝して舞ってくれているよ
 --なんてことはないけど、とりあえずそう思っておきたい。

三脚も使って写してみたけど、ホタルは一枚もとらえられなかった。
こういう時は、やっぱ一眼レフかなあ。
え?腕? そうね。それもある。
しかし、残念。
ここに写真を貼れないのが、とても悔しい。

最後に-
大地を守る会の機関誌『だいちMAGAZINE』8月号にて、
この稲作体験という企画が18年も続いてきたことの意味合いなどについて、
私なりに整理してみました。
ホタルと稲作体験は実は深くつながっています。
読んでいただけると嬉しいです。

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