大地を守る会: 2009年3月アーカイブ

2009年3月29日

九品仏に ツチオーネ

JR渋谷から東急東横線・自由が丘で大井町線に乗り換えて次の駅、

九品仏 (くほんぶつ) という駅に降り立つ。

 

九品仏といえば、淨眞寺ですな。

正式名は 「九品山唯在念仏院淨眞寺」 (くほんざんゆいざいねんぶついんじょうしんじ)。

江戸幕府四代将軍家綱公の時代、1678年に建立されたという古刹。

開山した高僧 「珂碩上人」 (かせきしょうにん) が彫刻した

九躰の阿弥陀如来像(九品仏) が安置されている。

 - と、にわか仕入れの知識を披露してみたりして。

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駅の改札を出て、左手に目をやれば、そこはもう淨眞寺の参道入口。

その伝統の町に、4月1日、注目のカフェがオープンする、

というので行ってみることにした。

とか言っちゃて、要するにまあ、接客の練習台として呼び出されたようなワケなんだけど。

日曜日だっつうのに・・・・・

 

改札から出て、淨眞寺とは逆方向、右手を見れば、

オーッ! 目の前に、どっかで見たようなデザインの看板があるじゃないか。

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老眼が進む身には近すぎるくらいの、もろ駅の前。

 

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うん。 まあまあのつくりだ。

 

中はといえば・・・・・


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いいでしょう。

大地を守る会と提携していただいている、北の住まい設計社さんはじめ、

家具のオークビレッジさん、畳の添島商店さんなど、あらゆる関係者が応援してくれた、

シアワセなカフェの誕生である。

 

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テーブルの素材は、ミズナラ。

その上にさりげなく置かれているのも、ミズナラの苗木。

私たちの暮らしは、森の生命とつながっている。

 

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取材に入っているのは、CSテレビ局とのこと。

 

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こんな和のコーナーもある。

無農薬のイグサで編まれた畳の温かさを体感していただきましょうか。

 

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いい気が流れている。

セコい私の不安は、お客さんが長居することだ。

 

食材は、THAT'S国産とフェアトレードを表現する。

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軽く焼いただけのキャベツ。 こんなに甘いものだったか。

農産グループ長失格 ?

すべてが、心地よく、旨い。

農産物の仕入担当者としては、ついつい慎重になっちゃうけど、

それを保証する仕事に邁進することだけは、誓わなければならない、生産者とともに。

このお店の信頼を支える重要なポジションだからね。

 

お店の音楽には、真空管アンプというのが使われている。

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僕はよく分からないけど、ほんものの音の再現性が違うようだ。

 

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デザートについても、ただパクパク食べて、すみません。

酒飲みだけど、これなら毎回食べたい、と思う。

粗雑な人間の自分には上手く表現できないけど、品って言葉を考えたりさせる。

美味しい、って言うのは、素材と職人の調和の賜物なのだろう。

尊敬できる仕事を食で感じてみるのは、必要なことだ。

感性を鍛えると、文化も豊かになる。 オイラには遅いかもしれないけど。

 

いい店ができた。

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「私たち、もうだめだわ。 別れましょ」

「僕の何が気に入らないのかね」

・・・・・やさしいお茶を飲みながら、「僕がいけなかったのかな」

    「そうよ。 まったくあなたがいけないの」

・・・・・笑顔が戻る。 

そんな力があるかどうかは分からないけど、人生の物語にもお付き合いできそうな、カフェ。

(写真のモデルは大地職員で、物語とは一切関係ありません)

 

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店長の上吹越 (かみひごし) さん。

こういうお店って、マニュアルの前に心が必要ですね。 頑張ってください。

 

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阿弥陀如来が佇む街に生まれた 『カフェ・ツチオーネ』 。

4月1日、オープンです。

 

愛されるみんなの作品、になるようにしたい。

 



2009年3月 7日

2009 だいちのわ (後編)

 

二日間にわたる2009年 「大地を守る東京集会」 も最終ラウンド、

打ち上げともいえる交流会の開催。

 

今やオープン・セレモニーに欠かせなくなった 「種蒔人」 新酒による鏡開き。

今年は大和川酒造さんも張り切って、 「種蒔人」 オリジナルの薦被(こもかぶ) り

を用意してくれた。

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未来に向けて種を蒔く- そんな願いを込めて鏡を開く。

最近は職員の結婚披露宴からもご用命を頂戴する、幸せを運ぶ薦被りの新装です。

( 披露宴での新郎新婦による鏡開き。 皆さんもいかがですか。 )

 

では、生産者、消費者、職員による大交流会のスタートです。

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生産者・消費者・大地事務局の3者が気持ちを一つにして、

ヨイショ、ヨイショ、ヨイショ~、の掛け声で鏡を開きます。

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宴が始まれば、写真を撮る間もなく、いろんな人につかまって、

感想や互いの近況を伝え合い、夢を語り合い、時に厳しい批評も頂戴し......

何だか覚えてないけどよく笑い合い、

ジャンル・地域・立場を超えての交流が繰り広げられた。

 

北海道の高野健治さん(中央) と九州・阿蘇の大和秀輔さん(右) 。

消費者のYさんと一緒に何を話したのか、ホント、楽しそう。 

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何があったって、僕たちはいつでも語り合うことができる。

これが僕の信念である。 

 

今春入社予定者の若者たちに囲まれてご機嫌の、ブレス(熊本) の波村郁夫さん。

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肥後もっこすの目には、今年の新人はどんな印象だったでしょうか。

 

卵とマヨネーズの安保鶴美さんと愛娘・小雪ちゃん(左の二人) を見つけたので、

一枚撮ってもらう。

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小雪ちゃんは今年、大学院に上がるそうだ。

「彼氏は?」 - 「大地で見つけたいですぅ 」

安保父娘の右隣は、やまろく米出荷協議会の岩井清さん・佐藤正夫さん 。 

 

山形・しらたかノラの会の大内文雄さんと疋田美津子さんが声をかけてくれた。

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代表の加藤秀一さんとは、提携米運動を始めてから一緒にたたかってきた。

組織運営でいろいろあったけど、「ノラの会」 として再出発して、

軌道にも乗ってきたとのこと。 よかった。

 

元大地職員で長野に入植した遠藤幸太郎。 (右は交流局・虎谷職員)

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無農薬でのトマトとプルーン栽培に挑戦している。

「早く大地と作付(契約) できるようになりたいです。」

 

交流は、解散後も、さらに続く。

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上の真ん中は、北海道・富良野、今グループの菅野仁恵さん。

列島リレートーク、聞きたかったなあ。 スミマセンです。

 

阿蘇の下村久明さんには、手づくり凧(たこ) の実演と指導をやってもらった。

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大地職員相手に、凧の魅力を語ってる?

 

こちらは、「おさかな倶楽部」 の愚連隊。

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いや、失礼。

左から、札幌中一の橋本稔さん、吉田和生・生産グループ長、大地OBの杉浦英夫さん。

魚屋には魚屋の矜持 (きょうじ) ってもんががあるんだよ!

 

水車むら農園・臼井大樹さん。 トーク、お疲れ様でした。

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(右は、静岡のお茶農家出身の職員、市川泰仙くん)

トークのあとに、親父さんからのメッセージが紹介されていたね。

「私はいつも大地にわがままや勝手なことを言ってきた、うるさい生産者でしたが、

 息子は本当にいい奴ですので、どうかよろしくお願いします。」

太衛さんは、今も詩を書き続けているのだろうか。

 

みんないつまでも名残り惜しく・・・・・でも笑顔で帰って行かれました。

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藤田会長を囲んでいるのが、福岡・成清海苔店の成清忠・千賀さん夫妻。

「オレにとってはもう一番の、最高の嫁!」

とくずれまくりの忠くん。 ご馳走さまです。

手前はいつも奥さんに責められている(?) 北海道・美瑛町の早坂清彦さん。 

「そんなシアワセ、いつまでも続くと思ってんの 」 ・・・・・

人生は複雑である。

 

来年も、笑顔で会えるよう、もっと大きな夢を語れるよう、

私は私のやるべきことを、やるしかない。

 

今年も楽しく終えることができました。

皆さま、有り難うございました。

また一年、頑張りましょう。

 



2009年3月 6日

2009 だいちのわ (前編)

 

15地区に分かれての交流会に続いて、

3月1日(日) はみんな集まっての全体集会、

「2009 だいちのわ ~大地を守る東京集会~」 の開催。

今年のテーマは、「みんなでつくる おいしい お祭り」。

会場は、蒲田にある大田区産業プラザ Pio 。

飲んだくれの僕は朝の集合に自信がなく、昨夜の調布から蒲田に直行して、

カプセルホテルに潜り込んだのだった。

 

10時開会。 時折り冷たい雨が降るという天候にもかかわらず、出足がいい。

例によって、藤田会長の挨拶からスタート。

自分は午後からの 「出会いの広場」 の展示の手配に手間取り、会長の挨拶は聞けずじまい。

とりあえず借り物写真で雰囲気だけでも。

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すごい!! すでに満席に近い。

 

準備の合い間をぬってホールに上がり、「全国生産者めぐり 列島リレートーク」 を覗く。

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熱気で、マジに目が覚める。


以前紹介したことのある " ニッポンの食の安心を考える工務店 " 

河合工務店の河合孝さんが、今の住宅の問題点を説明しつつ、

森を守る住宅の意味を熱くぶっている。

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続いて、静岡県藤枝市・水車むら農園の臼井大樹さん。

親父さんの太衛さんの写真から始めるところが律儀である。 

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「父も元気で、今は林業の方に力を入れてます」

水車むらの歴史は、もう40年くらいになるだろうか。

それはそのまま日本の有機農業運動の歴史と重なっている。

藤枝の山間部で、水土と地域社会の有機的つながりを唱え、仲間 (水車むら会議) と

一緒に建設した風車が、今もその象徴として存在する。

無農薬の緑茶栽培から始まり、国産紅茶を再興させ、

いま大樹さんは埋もれていた品種の復活に力を入れている。

何年前になるか・・・・・囲炉裏を囲んで夜遅くまで議論し合ったことを思い出す。

 

次は、都市農家の登場。

横浜市都筑区で、無農薬で葉物を栽培する折本新鮮野菜出荷組合の加藤之弘さん。 

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横浜市の農業の強さをPRするとともに、

都市近郊に農地と農業があることの大切さを、環境面から防災面まで含めて訴える。

パワーポイントを駆使したプレゼンテーションも、なかなか。

彼らの農業の継続に重くのしかかっているのが、相続税の問題である。

この悩みは、けっこう深い。

 

続くは新潟から、

佐渡トキの田んぼを守る会、斎藤真一郎さんと大井克己さんが登壇。

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一度は絶滅したトキの復活を願って、繁殖から野外復帰までこぎつけ、

さらにトキと共に生きる美しい島づくりを目指して、

無農薬・減農薬栽培、冬水田んぼ、ビオトープづくりなどを進めてきた。

農業から島を変える! 気合いの入った力強い宣言だった。 

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みんな熱いね。

このパワーとネットワークがあれば、まだまだ変えられる。

行ってみよう、この先の世界へ。 と、こちらも気合いをいただく。

  

4名の方しか聞けなくて、他の発言者の皆さん、すみません。

 

自然食品店 「すみれや」 さんの弁当をいただいて、

午後からは、「 出会いの広場 」 「 『わ』 Cafe 」 「 1Day トーク 」 の同時オープン。

僕は 「広場」 専門で動き回る。

 

福島わかば会さんは、甘酒のふるまいに野菜の直売。

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マゴメ米店さんを中心に、各地の生産者が大地を守る会の米をPR。 

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提携米研究会のブースには、遺伝子組換えいらない!キャンペーンも合流。

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千葉・さんぶ野菜ネットワークは、有機農業推進モデルタウンの事業活動を紹介。 

研修生や新規就農者を募る。

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農産グループ農産チーム職員による、大地を守る会の野菜・果物の展示即売。

「とくたろうさん」 コーナーも。 

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専門委員会 「米プロジェクト21」 のブースも、

今回は農産物エリアで一緒に展開させていただいた。 

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まったく農産関係の写真ばかりですみません。

それ以外、まったく回れなかったのです。

聞けば、午後のオープンのあと、

またたく間に受付で用意してあったプログラムがなくなったとのこと。

最終来場者数は、5000名。

予想を超える参加者に、誰も自分の持ち場で手いっぱい状態だったと思われます。

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農産と米プロのブースから抜けて、「手づくり体験コーナー」 での餅つきの準備。

手伝ってくれたのは、山形・コープスター会、千葉・佐原自然農法研究会、そしてマゴメさん。

餅の返しには、福島わかば会の安藤ヒサさんが急きょ助っ人で入ってくれる。

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臼と杵での餅つきに並んだ子どもたち。

みんな喜んでくれた。

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いかつい感じの生産者も嬉しそうである。 

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餅つきって、何でこんなに楽しいんだろう・・・・・

会場ではもち米を蒸すことができないもんだから(直火禁止)、

実はかなり冷汗気味のオペレーションだったんだけど、やってよかった、ホント。

 

とりあえず、今日はここまでで-

 



2009年3月 4日

夢を語ろう! 田んぼを増やそう(後編)

 

《昨日に引き続き...》 

では、「大地を守る会の備蓄米」 で提携している

稲田稲作研究会 (福島県須賀川市) の若手メンバー、伊藤大輔くんの熱いアピールを。

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 「稲田稲作研究会」 は、私たちの父たちの熱い思いで産声を上げました。

研究会発足より 「減反」 や 「生産調整」 という政府の政策には異議を唱え続けて20年、

皆様にご愛顧いただいている 「備蓄米」 等の増産を続けてまいりました。

 

私たちにとっての 「生産調整」 とは、

自分たちの最大限の技術と管理によって 「うまい米」 を作って、

私たちを支えてくれている方々のオーダーが増えることによる生産増加や、

自分たちへの評価に比例する言葉であり、田んぼを守るための糧であります。

 

現在、稲田稲作研究会が目指す農業とは、

産地ぐるみで後継者を育成することで、非耕作地をなくし、

古くより日本の食文化であり日本人の健康を支えてきた米を衰退させることなく、

次世代へ、そのまた次世代へと永年持続したくなるような農業と、

瑞穂の国日本と言われた美しい田んぼの景観や環境を守ることです。


今まで3ヘクタール程度の稲作農家が所有する農業用機械の総額は、

おおよそ3,000万円程度かかっていました。

そこに燃料代、メンテナンス代、自分を含む家族の人件費などが必ずかかります。

機械投資のための農業になり、魅力がなくなる。

兼業農家になり、手抜き農業になる悪循環に陥る構図になって、

それが本来の稲作を衰退させている大きな要因だと思います。

現在、研究会のなかに、稲作15ヘクタールと、ハウスきゅうり25アールを年間2作、

収穫日数240日を家族のみで営んでいるメンバーがいます。

この方は、元々の耕作面積は5ヘクタール程度でした。

しかし 「備蓄米」 の立ち上げ基盤構築と、機械の共同利用による農業に賛同して

主要メンバーとなり、稲作の重要なポイント作業以外はわれわれ生産法人部門に

作業を委託して、ハウス園芸をしながら、近隣で稲作を断念する農家さんのほ場を

次々と自作地にして維持してきました。

生産法人部門としての作付も、試験ほ場として3ヘクタールでスタートしたところ、

ここ数年の後継者不足や諸事情で断念せざるを得ない状況に陥ってしまった耕作地を

借り受けし、10ヘクタールまで増えました。

 

産地としてのモデル農業を自分たちで試行錯誤し、築き上げ、

田んぼ1枚ごとに評価することで生産意欲やモチベーションを高め、

安心・安全と 「満足」 を満たすような管理と、「食べ物半分、食べ方半分」 と考えて、

産地加工で米のパンや麺、乾燥野菜、製粉など、新しい食べ方を提案することで

「農業」 や 「食」 にある潜在能力を引き出すことに意欲的に取り組んでいます。

 

後継者不足。

その背景には、人に頼る農業への依存、輸入農産物等の大型農業にはない

自分たちの緻密な農業をマーケットに認識させる努力、進化をしなかったことに対する

ツケであると思います。

 

私たちは、親の背中を見て、ここに立つことを決しました。

どんな時も 「進化を忘れない」 「怠らない」 姿に、私たちが共感できたからこそ、

この場に立っています。

このような基盤を構築した先人の方々に深く感謝し、

それを守ることが私たちの宿命であり、進化することが

われわれの仲間や次世代につなぐためのタスキになると信じております。

私たち稲田稲作研究会は、種まきと同時に、毎年

 「希望」 と 「未来」 という種も一緒に播かせていただきますので、

皆様には、 「備蓄米」 や 「種蒔人」 の、茶わん一杯、おちょこ一杯が愛されることで、

そこに住む生き物、森が守られる。そして次世代が育つことを、

想像していただければ本望です。

「買う責任」 を果たしていただいている皆様のために、

私たちは 「作る責任」 をもって応えていくことを、

改めてこの場でお約束させていただきます。

 

・・・・・なんという若者だ。

オレのまとめの言葉を先取りされてしまった。

親父さんたちと僕らが語り合ってきたことを確実にモノにしてきて、

しかも 「進化させる」 と。 たくましくなったね。

しかもしっかりオヤジに似てきちゃって、まあ ・・・ウルル。

 

減反の生々しい話や、稲作特有の数字 (反とか俵とか金額とか) が

フツーに飛び交ったもんで、消費者には難しく聞こえたようだ。

その辺は基礎資料を用意すればよかったかと反省する。

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会場からの質問も、価格の話まで出たりして、ヘビーな第1部になったけど、

とりあえずは、私の注釈的なまとめよりも、

ここまでの生産者の語りこそが、今回のテーマを表現したということにしたい。

 

第2部はテーブルごとにフリーの意見交換。 

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司会が気を遣うことも少なく、自然に会話が弾んでいる様子が、嬉しかった。

ただやっぱり話題が米に流れたりして、米以外の生産者には申し訳なかったですね。

 

第3部は、お酒を試飲 (試飲ですよ、試飲) しながらの懇談。

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原料米の生産者を脇に、「種蒔人」 の説明。 

 

こちらは、同じく大地のオリジナル酒 「四万十純米酒」 をつくっていただいている

高知県・無手無冠 (むてむか) 酒造の山本勘介さん。

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社名の由来は、" 余計な手を加えない、冠も無用  "  の精神からきている。

土佐気質丸出しの蔵。

「四万十純米酒」 の原料米生産者は、窪川町の原発計画を阻止した男、

島岡幹夫さんである。

今日は、他の自慢のお酒も持参してくれて、交流会を盛り上げてくれた。

 

最後に、記念撮影。

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主催者のねらいや思いをどこまで拾えたか、司会としてはちょっと苦しいところだけど、

皆さんの笑顔に救われます。

 

長くなったので、二次会は割愛。

消費者会員のHさんと、大地を守る会が昨年進めた  " ブランディング "  について、

ひとしきり議論してしまったことだけ、報告しておきます。

愛知・天恵グループの津田敏雄さん。

「二次会でエビちゃんに失礼なこと言って傷つけたんだけど、謝っといて」

との伝言を承りましたが、

すみません。 大事なお叱りの言葉、覚えてないんです・・・もう一回、お願いします。

 



2009年3月 3日

夢を語ろう! 田んぼを増やそう

 

年が明けて、産地新年会シリーズが始まり、

終わったと思えば 「大地を守る東京集会」 の準備が佳境に入り、

何とか走り終えて、気がつけば3月である。

2月はホント、書けなかったなぁ。 ネタもいろいろあったのに、残してしまった。

酒がいけない? いや、それはまったく自分のせいだけど、

ついつい真剣勝負でやっちゃうんだよね、しかも最後まで・・・・・

 

少し疲れも取れてきたところで、東京集会二日間のレポートを記してから、

溜まったものを順次吐き出していきたいと思う。

 

『 2008だいちのわ ~大地を守る東京集会~ 』

一日目は2月28日(土)、15の会場に分かれての 「だいち交流会」。

ぼくの今年の割り当ては、調布会場。

消費者会員が主体となって準備された会場で、設定されたテーマが

「 夢を語ろう! 田んぼを増やそうプロジェクト 」

長く米の消費が減り続け (最近少し盛り返してきているけど)、

減反政策も40年近くにわたって継続されてきた。

気がつけば恐るべき勢いで耕作放棄された農地が増えている。

ようやっと農水大臣も減反の見直しを語るようになってきたなかで、

消費者の立場から、「田んぼを増やそう」 の声を挙げてくれたわけだ。

我が専門委員会 「米プロジェクト21」 もお手伝いしないわけにはいかない。

 

調布会場には、生産者・消費者・事務局合わせて約80名ほどが集まった。

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「今年は米でいきます」

企画準備当初からこう宣言した実行委員長、鬼弦千枝子さんの挨拶から。

「生産者の生の声を聞いて、私たちに何ができるのかを考えたい」

配布された栞(しおり) にも思いが綴られている。

-みんなの経験や知恵や繋がりを生かして、きっと未来に残せるようなことができるのでは・・・

 

第1部は、全体でのセッション。

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司会を託されてしまった。


自分のお喋りは極力自制して、生産者に順次、語っていただく。

 トップバッターは、宮城・蕪栗 (かぶくり) 米生産組合の千葉孝志さん。

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蕪栗沼周辺の水田地帯が野生生物保護のための貴重な湿地として

ラムサール条約に登録され、今や全国区になった当地でも高齢化の波は激しい。

千葉さんは、何とかして地域環境を守りながら、

消費者に喜ばれる米づくりを続けていきたいと語る。

有機JASを取得し、田んぼには魚道を設置するなど、

生き物の豊かな田んぼを復元しようと試みている。

肥料などの資材も地域で循環させるために新しい堆肥場もこしらえた、とのこと。

 

続いて、山形・みずほ有機生産組合の菅原専一さん。

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田んぼの一部をビオトープ (生物循環を豊かにする空間として設計された場所、のような意味)

にして蓮の花を咲かせたところ、田んぼにゴミを捨てる人がいなくなった。

除草の手がだんだんと足りなくなってきて、合鴨農法を取り入れたが、

生態系のバランスが崩れるのではないかという疑問も残っている。

それでも子どもたちの田んぼへの関心が高まってくれて、教育的効果は高いと実感している。

真面目な菅原さんらしい発言だった。

生産者独自の工夫、様々な試行錯誤が、地域に刺激を与えているのです。

悩みや疑問は、みんなで共有しようではないですか。

そこから何かが生まれてくるはずだから。

 

茨城・大嶋康司さんには、減反政策についての思いを語ってもらう。

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大嶋さんは減反はやってない。

「やるかどうかは生産者の自主性に任される、というのが正しい解釈のはずなんですが・・」

周りの農家も許容してくれているが、そこは地域の特性もあって、

地域の減反面積を請け負って収益性の高い作物を作る農家もいたりする。

地域的な締めつけの厳しい東北の生産者に気を遣いながら、複雑な心境を語る。

嫌なテーマでふって、すみませんでしたね。

 

減反については、協力しないと認定農業者が剥奪されるとか、

受けていた融資も前倒しで返せと言われる、とかの話まで出てくると、

消費者には、何がどうなっているのか???-という世界である。

要するに、「減反政策をやらないと、みんなが好きなだけ米を作って、価格が暴落する」

という理屈が金科玉条のようにまかり通っているわけだけど、

これくらい農家を馬鹿にしている話はない。

農民を自立した経営者とみなしてない。 というか、なって欲しくない勢力がいるのだ。

" 好きなだけ米を作る " 状況でも、すでになくなっていることは、

宮城の新年会の話でも触れた通りである。

作らせないために税金を使うのではなくて、

作って欲しい作物に助成するのが正しい考え方ではないか。

 

さて、生産者にとっては、この人には頭が上がらない。

米の仕入れから精米までをお願いしている八王子の(株)マゴメ社長、馬込和明さん。

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減農薬の米を学校給食に卸すなど、みんなの米を懸命に販売してくれる。

一方で、米の需要拡大も模索していて、

米粉を使ってのパン製造や製麺など、様々な加工にも取り組んでいる。

「朝ご飯にパンを食べる人には、米粉のパンにしてくれれば、

 それだけ田んぼが守られるんだけどね」 と訴える。

・・・そうなんだけど、大地の会員さんはおそらく国産小麦のパンだろうから、

やっぱ、もっと広く、国産を食べる人を増やすことが道ですね。

 

山形・米沢郷牧場の伊藤幸蔵さん。

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取り組んでいるのは、飼料用の米生産。

「これで国産飼料 (自給) 率70%以上の鶏肉の生産ができます」

田んぼは、もっともっと活用できる生産基盤なのだ。

 

若者世代を代表して、福島・稲田稲作研究会の伊藤大輔さん。

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しっかりと原稿を作ってきて、読み上げた。

それはそれはなかなかの内容で、聞き惚れてしまった。

 

久しぶりに力を入れたら、また長くなってしまった。

続きは明日とさせてください。

 



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