大地を守る会: 2010年5月アーカイブ

2010年5月15日

富平(フーピン) 学校

 

5月12日(水)、中国からお客さんがやってきた。

北京富平(フーピン)学校というNGO団体。

農村女性の貧困救済を目的とした家政婦学校としてスタートして、

職業訓練から互助ネットワークづくり、起業研修、

マイクロクレジット(少額融資) 制度などの事業へと発展してきている。

 

その富平学校が、中国で大地を守る会のような組織を作りたいと

研修にやってきたのだった。

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中国といえばご存知の通り、めざましい経済発展の裏で、

格差の拡大や環境破壊が激しく進んでいる国である。 

都市部では食の安全への不安も増していて、

「有機農産物」 は一般の野菜より10倍以上の値段で売られたりしているらしいが、

その実、有機農産物の表示はあまり信用されていないという。

また農民の暮らしは全然よくならない。

 

そこで彼らが注目したのが日本の 「大地を守る会」 というわけで、

中国でも持続可能な農業をベースにして生産者と消費者をつなげる事業を立ち上げようと

プランを練り始めたという経過である。

 

富平学校長の沈(Shen) 曙東さんは、実は3年前、

日本のソーシャル・ビジネスを視察して回った際に、当会を訪れている。

その時から 「これだ!」 という直感を抱いたのだと言う。

そして2年が経ち、昨年10月、今度は藤田会長が沈さんに招かれ、

農村を訪問して相互の交流が始まった。

 

そしていよいよ、沈さんは事業のパートナーと有機農業の青年リーダーを連れて、

組織の仕組みを詳細に知るためにやってきたのだ。

「大地を守る会35年の歴史のすべてをお見せしたい」 と藤田は応じた。

カッコいいなぁ。 でも実際のレクチャーは我々の仕事である。

 


翌13日(木)、生産管理の仕組みについて説明する。

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生産者の開拓から、契約、栽培管理やトレーサビリティの仕組みなど、

概略の説明は有機農業推進室・吉原清美が担当する。

質問は多岐にわたり、ときに設立時の話にまで遡り、ときに微妙なディテールを

実例を示しながら解説する。 基本から応用まで、国の法律から大地の基準まで・・・

予定の半日で終わらず、夕方までかかる。

これからどうやって生産者を組織していくか、多少の参考になったなら幸いである。

 

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疲れを知らない彼らは、物流センターを視察して質問を浴びせ、

スーパーマーケットや東京駅のデリを視察し、

また専門委員会 「森と住まいづくりフォーラム」 の活動に参加し、

2ヶ所の産地を回って有機農家と意見交換し、

夜は大地職員と交流した。

 

13日の夜は 「山藤」 で懇親会。

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14日の夜は幕張で職員と交流会。

ここでは逆に富平学校の活動についてレクチャーしていただく。

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北京富平学校長・沈さんは、元は投資会社のコンサルタントという経歴の持ち主。

中国でも新しいソーシャル・ビジネスの世界を発展させたいと願っている。

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こちらは山西省蓁子(サイシ) 村の農業リーダー、カンさん。

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有機で大豆や綿花を栽培している。 

一度は有機をやめようと思ったこともあるが、

若者たちを組織して農業を発展させるにはやはり有機農業だと思い直した。

今では50人のメンバーがいるとのこと。

我々のほうも学ぶべきことがたくさんあるじゃないか。

 

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中国の食と農業や環境の変化はモロに日本に影響する。

同じアジアの民として、互いの経験や知恵を交流させ一緒に発展できたらいい。

両国の信頼関係づくりにも少しは貢献できるのではないだろうか。

 

いつか中国に行く機会があったら、

尊敬する偉大な政治家、周恩来の話なども彼らとしてみたいと思う。

戦後、日本への批判が厳しい中で、

「日本に賠償は求めない」 「悪いのは政治や軍であって日本人そのものではない」

と言い切った政治家。

この人が願ってやまなかった朋友関係は未だのままだ。

 

また会いましょう。 再見(ツァイツェン)!

 



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