大地を守る会: 2012年3月アーカイブ

2012年3月 8日

オリーブは平和のシンボルだから

 

バナナやコーヒーなど、フェアトレード製品でお付き合いのある

オルタートレード・ジャパン (ATJ) からの招きで来日し、

「大地を守る会のオーガニックフェスタ」 にも参加して挨拶をしてくれた

パレスチナのオリーブオイルの生産者、サイード・ジャナンさんが、

6日(火)の夜、大地を守る会の幕張本社を訪ねてくれ、

職員有志のために話をする時間を取ってくれた。

 

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オリーブの栽培と、オイルの製造・販売によって農民の自立を目指す彼らに対して、

大地を守る会がカンパを募ったのはもう4年以上前のことになるか。

私たちが送った資金によって建設された農道は 「だいち ロード」 と命名された。

平等で持続可能な農業、地域コミュニティの自立を目指し、

今も水資源の安定確保や失業・貧困対策に取り組んでいるのだが、

来られた時はいつも、 「道ができた」 ことへの感謝の言葉を、彼らは忘れない。

そして昨年は、オリーブオイルの販売利益から

東日本大震災の被災地への義援金を送ってくれた。

こういう関係を丹念に紡いでゆくことで、平和への道が拓かれてゆくのだろう。

 

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サイードさんは、1968年生まれ。

ベツレヘム大学から米国・フロリダ国際大学で学び、

カナダの酒造メーカーで史上最年少の海外支店長としてインドネシアに勤務した。

UNDP(国連開発計画) の仕事経験もあり、4ヶ国語を流暢にこなし、

その他に3ヶ国語も使えるというマルチリンガル。

僕がそのレベルに達するには、5回は生まれ変わらなければならない。

しかもリセットなしで。

 

そんな立派なキャリアの持ち主が、なぜ不安定な母国に戻り、

給料も少ないであろうフェアトレードの世界に?

答えは、女手ひとつで育ててくれた母が一人でエルサレムに暮らしているから。

母の愛は世界共通である。

 

オーガニックとフェアトレードの認証を取り、

より高品質なエキストラ・バージンオイルを目指して、

農家や搾油所のトレーニングを重ねている。

「オリーブは、私たちにとって平和のシンボルなのです。」

思いを生産物に託して、一歩々々歩みましょう、平和への道を。

 

そして昨日(7日) はフランスから来訪者あり、説明要員に狩り出された。

その話は、次に。

 



2012年3月 6日

大地を守る会の オーガニックフェスタ

 

続いて、東京集会二日目。

3月4日(日),「食べてつながる一日 大地を守る会のオーガニックフェスタ 」。

今回はさらに手抜き報告でお許しを。

雰囲気だけでも伝われば・・・ すみません。疲れてますね。

 

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大地を守る会の野菜売り場風景。 

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お昼の復興屋台は、満席状態。

 

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山形村のベコ丼も大人気。 

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今日僕に与えられた役割は、

12時からの生産者トークステージ・第一部の司会のみで、

終わった後に食べに行ったら、すでに売り切れだった。

 


駆け足でブースを回れば・・・・・

 

成清海苔店さん。 

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大地を守る会自慢の、お米生産者のラインナップ勢ぞろい。 

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去年は大変だったですね、水車村紅茶さん。

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会津の 小川光さん は、今年も研修生たちを連れてやってきてくれた。

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研修生諸君。 オヤジは厳しい人だけど、ただの一本気だ。 うまくやれ。

 

トークステージ・コーナー。 

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料理研究家・辰巳芳子さんと藤田社長とのトークは、立ち見も出た。

 

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こちらはキッズコーナー。 

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生物多様性の語り部、陶武利ハカセが、

しっかりツカミをとりながら熱弁をふるっている。

 

生産者トークステージ、第二部。  

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被災地からのメッセージ-②

右から遠藤由美さん(遠藤蒲鉾店)、成清忠さん、二宮貴美子さん(奥松島水産振興会)。

 

ちなみに第一部のトーク・ゲストは、

ジェイラップ・伊藤俊彦さん、仙台黒豚会・小原文夫さん、舟形マッシュルーム・海道弘子さん。

 

皆さんそれぞれに、この一年間の葛藤を深い言葉で語ってくれた。

 

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おまけの一枚は、これにしようか。

マヨネーズやきりたんぽ、温泉卵の安保鶴美さんと、

いつも一緒に来てくれる娘の小春さん。  

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いつも仲良し。 羨ましい。

苦労の連続だったけど、こんなに明るい娘さんをみると、

いつも  " あっぱれ "  と叫んでしまう。

 

最後に藤田社長からのメッセージを。

 

  大地を守る会からみなさまへ

  2011年3月11日、日本はかつてないほどの大災害に見舞われました。

  あの日から早くも一年の月日が過ぎました。

  地震、津波の被害により、多くの人が亡くなられました。

  大切な人や愛する人を失った人たちの気持ちを思うと、胸が張り裂けそうです。

  そして、その後に起こった福島第一原発の事故。

  どうして、もっと早く原発を止めておけなかったのかと悔やまれます。

  放射能が飛び散ってしまいました。

  生産者たちは、自分の責任ではない放射能という問題で苦しむことになりました。

  大地を守る会は、原発事故直後から

  「福島と北関東の農家がんばろうセット」 を販売するなど、

  生産者を支援しようと努力しました。

  しかし、野菜の出荷量という現実的な点では、

  充分な結果を出すことができませんでした。

  支えようとしても支えきれないもどかしさに、私たちも苦しみました。

 

  一方、消費者の中でも小さなお子さんを持つお母さんたちの

  「我が子を放射能から守りたい」 という、必死な気持ちも痛いほど分かりました。

  生産者も支えなければならない。 消費者にも安全な食べものを届けたい。

  大地を守る会は、ある意味で矛盾する問題のはざまで、

  もがき続けた一年だったといえます。

  二度とこのようなことを許さないよう、私たちは原発に頼らない社会を

  いまこそ作らなければならないと思います。

 

  時の流れはとめることができません。

  ただ、立ち止まることも大切です。

  2012年3月11日(日) の夜8時から10時の2時間、

  100万人のキャンドルナイトを呼びかけることを決めました。

  暗闇の中、キャンドルの灯りを囲み、大切な人と時間を過ごしてください。

  わたしたちには、必ず明日がやってきます。

  「2011年3月11日」 のことを忘れることなく、少しずつでも前に進んでいきましょう。

  「でんきを消して、スローな夜を。」

 

  株式会社大地を守る会

  代表取締役社長 藤田和芳 

 



2012年3月 5日

車座トークの一日

 

大地を守る会が一番大切にしている年に一回の大イベント、「大地を守る東京集会」。

二日間のプログラムが無事終了して、夕べは生産者とともに

朝まで蒲田で飲み、語り合いながら過ごした。

始発で幕張まで帰ってきて、今日は会社に 「存在している」 状態。

 

一日目(土) が地域に分かれての 「だいち交流会」、

二日目(日) はみんな集まっての 「大地を守る会のオーガニックフェスタ」 と、

今ふうに名前を変えても、僕にとっては、どちらも 「東京集会」 である。

 

今年は、二日目の会場でもある蒲田の 「大田区産業プラザ PIO」 が

前日の 「だいち交流会」 の一会場にも設定され、

専門委員会はこちらに招集がかけられた。

おかげで二泊三日、蒲田にどっぷりと浸かってしまった次第。

 

頭が回らないけど、取り急ぎ1日目の様子をアップしておきたい。

簡単なコメントでお許しを。

 

3月3日(土)、「だいち交流会」 蒲田会場。 

集められた 5 つの専門委員会がブースを分けて、それぞれで車座トークを展開。

加えて、各セクションの職員が順番に呼ばれて仕事の説明をする

「職員と話そうコーナー」 が設置された。

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こちらが、我が専門委員会 「米プロジェクト21」 ブースの開始風景。

(写真撮影:以下すべて西田和弘)  

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南から、北から~ 米の仕入担当・海老原康弘が撮り溜めた生産者のビデオを

約1時間ものに編集してもらって、まずは上映会から。 


続いて 「生産者リレートーク」。

ビデオに登場した生産者たちの生の声を聞いてもらう。

栽培技術へのこだわり、環境への取り組み、日頃の思いなどが

順番に語られていく。

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プログラムⅢ は、「頑張りました! 放射能対策」。

「大地を守る会の備蓄米・大地恵穂(けいすい)」 の

生産者集団・稲田稲作研究会(福島県須賀川市) を束ねる

ジェイラップ代表・伊藤俊彦さんに、

取り組んできた放射能対策の成果を語ってもらう。 

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全国から集まった米の生産者たちが熱心に聞いてくれたのが嬉しい。

この一年の稲作研究会の試行錯誤で獲得した知見は、

実は稲作技術そのものにも応用できる理論が潜んでいる。 

 

他の専門委員会も盛り上がっている様子。

おさかな喰楽部。

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札幌中一の橋本稔さん。

声も通っていて、気合い入ってる感じ。

 

壁面では、三陸の復興支援を続けてきた数々の写真が掲示された。

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ホント頑張ったよね、おさかな喰楽部は。

 

「大地を守るエコ研究所」 では、

「富士酢」の飯尾醸造・秋山俊朗さんがお話し中。 

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棚田を守りながら米酢を作り続けている。

環境と食のつながりなど語ってくれているに違いない。 

ちなみに秋山さんは、米プロジェクト21のメンバーでもある。 

 

背中でも表現する人たち。

「原発とめよう会」 ブースにて。

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こちらは 「職員と話そう」 コーナー。  

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「誰も聞いてくれないんじゃないのかなぁ」

と心配していた職員がいたけど、けっこうイイ感じじゃないか。

 

米プロジェクト21 のプログラムⅣは、

TPP (環太平洋経済連携協定) の問題に挑んだ。

" WHAT'S TPP? "

問題提起者は、さんぶ野菜ネットワーク・下山久信さん。

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下山さんは、TPPは国家主権を失いかねない重大問題であると訴える。

それを受けて、自由に発言を求める。

「賛成」 論者もいたが、それは 「反対で日本の農業がよくなるのか」 という

苛立ちのようなものに感じられた。

「ただ反対するだけでなく、これをきっかけに国民的議論になることが必要だ」

「そもそもこの国の政府に交渉能力があると思えない」・・・・・

 

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全体的基調は、まさに 「この国をどうするのか」 に対する

両方からの怒りのようなものだった。

一人ひとりに主権者としての自覚が求められている。

TPPは食や農業だけの問題ではないわけだし。

この国のビジョンを示し合い、それでたたかいたいものです・・・ が

苦しまぎれのまとめだった。

 

一専門委員会で取り上げるには無理なテーマ設定だっただろうか。

そうは思わない。

僕らはいつだって語り合うことができる。

大地を守る会には、そんな空間があることを、示したかったんだ。

ビジョンはみんなの力で育てるものだと思うし。

 

ブース間で迷惑にならないようにと、マイクはなし、という指令。

会場の天井が高くて、地声ではなかなか声が通らず、聞きづらかったことと思います。

来ていただいた方々に、この場を借りてお詫び申し上げます。

 

明日もあるというのに、二次会、三次会と続いて午前2時半。

カプセルホテルに潜り込む。

普段の語り合いが足りないってことか。

しんどすぎるぞ ・・・

 



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