大地を守る会: 2013年3月アーカイブ

2013年3月14日

「Daichi & keats」 日本酒セミナー のご案内

 

季節の変わり目に入り、異常な風が吹く今年です。

日曜日には突然の 「煙霧」 に見舞われ、昨日はさらに強い 「風塵」 だとか。

電線に引っ掛かった自転車には驚きました。

皆様、体調のほどはいかがでしょうか。

 

さて、大地を守る会が昨年3月、東京・丸の内にオープンさせたカフェ&バル

「Daichi & keats」 では、開店一周年を記念して

4回連続での日本ワイン・セミナーを開催してきましたが、

記念企画の締めとして、「日本酒セミナー」 を開催します。

 

日時は3月30日(土)、18:30~20:30。

ゲストは、大和川酒造店の杜氏である佐藤和典工場長。

「種蒔人」 はじめ数種類の日本酒が堪能できます。

世界に誇る複雑な醗酵プロセスを経て醸される日本酒の世界に、

用意される 「D & k」 の料理。 さて、どんなコラボになるのでしょう。

参加費は、1周年特別価格! お一人様 3,900円。 

 

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飲みながら、食べながらのささやかな復興支援。

「この酒が飲まれるたびに、田が守られ、水が守られ、森が守られ、人が育つ」

(「種蒔人」 基金のキャッチフレーズ)。

そんな空間が生まれることを願って、多くの方のご参加をお待ちします。

詳細とお申し込みはこちらから (要予約です)。

 ⇒ http://ameblo.jp/daichi-keats/

 

おまけをもう一つ。

『つながろうフクシマ! さようなら原発 大行動』 に行けなかったお詫びに-

3月31日(日)、

大地を守る会の専門委員会 「原発とめよう会」 では、

ルポライターで 「さようなら原発 1千万人署名」 の呼びかけ人の一人、

鎌田慧さんをお呼びしての講座を開催します。

「鎌田慧さんと考える 原発にたよらない社会の作り方」

時間は14時~16時半。

場所は、池袋・豊島区生活産業プラザにて。

参加費 : 会員=無料、一般の方は500円。

お申し込み・お問い合わせは、原発とめよう会 tomeyoukai@daichi.or.jp まで。

 



2013年3月 2日

放射能から学んだこと -生産者の発言から

 

春一番が吹いても、気分はモヤモヤでしょうか。

中国からの、いま俄かに発生したワケでもない PM2.5 とかの影響も取りざたされて、

これからは黄砂もやってくるし、花粉が飛ぶ時期に入ったシグナルでもあるし。

 

東京集会開催にあたっての藤田代表の冒頭挨拶で、

中国で有機農産物流通組織をつくる支援を進めているという話が

少々控えめに報告されたけど、

中国で食と環境を守る担い手を育てることは日本にとってもメリットのあることだし、

「強い外交」 以上の国際連帯だと、

やる以上それくらいは断固言い切ってもらいたいものだと思った。

なけなしの金も人も使ってやるしんどい作業には、やっぱ大義が必要だから。

 

さて、「放射能連続講座」 の続き。

生産者2名の方に登壇いただいた。

 

福島県須賀川市・ジェイラップ代表の伊藤俊彦さん。

「稲田稲作研究会」 の米を守るために、正真正銘、命を張ってきたことを、

僕は知っている。

 

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原発事故があって、

安全神話に胡坐をかいて何ら危機に備えていなかったことを、

腹の底から後悔しました。

今は、ただしい知見とデータを残していくことが、

地球のどこかで何かが起きたときのための、恩返しになると思っています。

 

震災と事故のあと、心に決めたことは、農産物をただ売るためでなく、

「自分たちの家族を守る」 ために行動しよう、ということでした。

危ないと思うものは食卓に並べない。

同じように人に食べさせるワケにもいかない。。。

 

今年(2012年産) の福島の米は

全袋検査で 99.8% が 25Bq 以下という結果を得ましたが、

自分たちは独自の基準値を持って、1Bq でも下げようと努力してきました。

稲作研究会メンバー全部の田んぼの坪刈りをして、

稲刈り前から田んぼごとのデータを取ることで、米を出荷する際に

たまたま高いものが混ざるといったことも防ぐようにしました。

 

1年目(2011年産) は、玄米ベースで 3.1Bq。

2年目(2012年産) は、 2.5Bq まで下げられた。

もっと下げられると思って実験をやってきた田んぼでは 2.1Bq 平均を達成しています。

これだと年間60㎏(現在の日本人平均消費量) 食べたとして、

0.0005mSv (=0.5μSv/マイクロシーベルト) くらいですかね。

来年の目標は、玄米ですべて 2 以下 (白米で 1 以下) にしたいと考えてます。

  (注・・・これらの数値は、ゲルマニウム半導体検出器で相当に時間をかけて

   計測できる、通常はND -検出下限値以下- で語られるレベルである。)

 

自分も4世代8人同居で暮らしています。

「家族を守れなくてどうする」 という思いで一所懸命、

できることをやろうと試行錯誤してきました。

やろうと思ってもできないことはありますが、

それでもやればできることのほうがはるかに多い、ということも学びました。

その模索が、結果的に我々を進化させたように思います。

国ではなく、自分たちの基準で判断し、実践して、結果をちゃんと発信する。

これからもたしかな情報発信に努めながら、

いい百姓を目指して頑張りたい。

 

二人目は、「あいづ耕人会たべらんしょ」 の浅見彰宏さん。

大企業勤めをきっぱり捨てて、会津・山都町に入植して17年。

江戸時代から築かれてきた水路を守る活動を全国に発信し、

今ではすっかり地元の古老たちからも頼られる存在になっている。

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家族に安全なものを食べさせたいという思いで農業をやってきました。

福島原発から 100~120km の距離にあって、

最初は情報も知識もなく、安全かどうかも分からないまま、

このまま野菜を人に食べさせていいのか、と悩みながら悶々としました。

幸い 「食べらんしょ」 での野菜の出荷前に、大地を守る会で測ってくれたことは

本当に有り難かった。

 

今は2年経ってデータも集まり、何とか落ち着いて判断できるようになってきました。

地域資源を活用する有機農業にとって測定器を持つことのメリットは、

資材を計測できることだと思っています。

堆肥の原料の安全性も確認しながら使うことができる。

(それは地域にとっても安心の材料を提供できる、ということである。)

 

有機農業は、ひとつの生産手段とか営利活動ではなくて、

未来への財産を残す、引き継ぐ、そんな職業だと思っています。

この環境を未来に残すために、耕し続けたい。

 

一番怖いと思うことは、(消費が) 東日本産を避けることで

農業が顧みられなくなったとき、農家の意欲が喪われていくことです。

いま福島で耕作放棄地が増えています。

地域が衰えると、やる気のある農家も続けられなくなる。

もう一度、農業の価値を見直す作業を、皆さんと一緒にやり直したいです。

 

・・・・・・・・・・・・

放射能問題は、生きることの本質を私たちに突きつけている。

国に対して言いたいことは山ほどあるが、

社会の土台にあるのは人とモノの流れ (生産と消費のつながり) であって、

それは我々の日々の営みによって築かれていく。 あるいは壊れてゆく。

暮らしを他人任せにしては、社会は脆弱になり、

結果的に社会コスト (外部不経済) は膨らみ続ける。

格差社会を拡大再生産させる  " 顔の見えない "  グローバリゼーションの世界では、

そのしわ寄せは不均衡な帳尻合わせによって糊塗され、

ツケは未来世代が負うことになる。

その予兆が、目の前に迫っている増税である。

 

これは食品の安全性による切り分けではなくて、

大事なものを取り戻す作業なのだ。

 

東京集会レポート、もう一回続く、で。

 



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