大地を守る会: 2013年12月アーカイブ

2013年12月 3日

日本の原風景・里山の棚田米-フードアクション最優秀賞受賞!


農林水産省が後援する 『食と農林漁業の祭典』 シリーズ。
その最後のイベントで、本日、ビッグなニュースが発表された。

国産農産物の消費拡大と食料自給率向上に寄与した
取り組みを表彰する
大地を守る会が頒布会形式(全6回) で販売してきた
「日本の原風景・里山の棚田米」 企画が、
最優秀賞 を受賞した。
 
コメの消費低迷と価格下落に加え、高齢化が進む中山間地農業。
里山の自然と暮らしを支えてきた棚田も荒れていく一方のなかで、
何とか販売で支えたいと力を入れてきたものだ。
 
島根県浜田市(旧弥栄村) 「森の里工房生産組合」 のお米を
「棚田米」 と銘打って販売を開始したのが2010年。
今年から 6ヶ所の契約産地を選んで、頒布会形式での販売にトライした。
 
地道に売った棚田のお米が、3 年間で約 70トン。
この取り組みが評価されての受賞となった。
地域にどれだけの貢献を果たせたのかは心許ないけど、
素直に胸を張りたい。

僕は出られなかったけど、授賞式での記念写真を貼りつけたい。
社長(前列中央) もいい笑顔だが、
左隣の佐藤隆さん(森の里工房生産組合) が喜んで参列してくれたことが、
何よりも嬉しい。
生産者にとって、これが励みになればと願うところである。

e13120302.jpg



日本の気候風土に絶妙にマッチした水田稲作は、
日本人の暮らしの土台となり、文化形成にも大きな影響を与えてきた。
そしてこの急峻な地形の多い国土で、傾斜地を見事に活用し、
食料生産と環境保全、生物多様性の維持(というより増進)
を支えてきたのが棚田である。

しかし平地のように効率化や生産性を上げられるものでなく、
その作業の大変さから、高齢化とともに放棄水田が増えてきた。
今では、日本の棚田の4割が失われたといわれている。

営々とマンパワーで築いてきた芸術的な棚田の崩壊は、
おそらく現代の機械技術では再現できない。
僕らは、途方もない知的財産を捨てた時代の人々に、
まさになろうとしている。


e13120301.jpg


今回の最優秀賞の受賞を、生産者とともに弾みにしたい。

これはたんに、懐かしい原風景を守ろうという情緒的な話ではない。
未来に残すべき、持続可能な社会資源の貯金システムがここにあるのだから。

しっかりと食べることで、それだけで、
生産者の誇りを支え、美しい環境とそれを支える技術を継承することができる。
もちろん食べる人の健康を守ることにもつながる。

【以下、案内】
大地を守る会では、この受賞を機に
ウェブストアでの取り扱いも開始しました。
1月には頒布会の追加募集も行なう予定です。

この機会にぜひ一度、食べてみてほしい。
そして一瞬でも、里山の保全につながっていることに思いを馳せていただけるなら、
嬉しいです。

会員向け頒布会で登場する生産者は以下の通り。

 1.石川県加賀市、橋詰善庸さんのコシヒカリ(有機栽培)
 2.富山県入善町、「富山・自然を愛するネットワーク」 さんのコシヒカリ(有機栽培)
 3.新潟県佐渡市、「佐渡トキの田んぼを守る会」 さんのコシヒカリ(農薬不使用)
 4.新潟県上越市、内藤利孝さんのコシヒカリ(有機栽培)
 5.新潟県十日町市、佐藤克未さんのコシヒカリ(有機栽培)
 6.宮城県大崎市、「蕪栗米生産組合」 さんのヒトメボレ(有機栽培)

ウェブストアのご利用は、こちらからどうぞ。

大地を守る会の専門委員会 「米プロジェクト21」 では、
棚田を訪ね生産者と交流する機会も用意したいと考えています。
(来年夏には佐渡ツアーを計画中。)

=追伸=
フードアクション・アワードの商品部門では、
「純米富士酢」 の飯尾醸造さん(京都府宮津市) が優秀賞を受賞。
こちらも京都・丹後の棚田をしっかり守って、
伝統的な静置発酵法によって酢を作り続けてきた長年のお取引先です。
合わせて報告まで。



大地を守る会のホームページへ
とくたろうさんブログへ