雑記帳: 2011年8月アーカイブ

2011年8月15日

西からも東からも、応援し合う関係を築くこと

 

東京の夕空に、ゴジラ参上。 

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10日の午後から夏休みをもらって、帰る途中に発見。

似てない? 似てるよね。

この頭に乗って進軍してみたいものだ。

しかし、ゴジラが邪悪な都市に怒りをぶつけにやって来たというニュースは、

残念ながら聞かれなかった。

 

11日から3日間という慌しい日程ながら、

郷里に帰って墓参りをしてきました。

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南四国の東海岸。 太平洋を臨む、国道も通ってない小さな漁村。

この海から直線で15kmくらい北の岬に

原子力発電所を建設するという計画が持ち上がって、

住民の激しい反対にあって白紙撤回されたことがあった。

普段は政治のことなど話題にもしない漁民たちがハチマキ締めて

県庁まで抗議に出かけたりしたんだよね。

僕の家の戸口にも 「原発反対の家」 のステッカーがしばらく貼られた。

35年も前のことだ。

もし建っていたら、そろそろ寿命期に入る原発を、

この地の人々は眺めることになる。

 


前にも書いた気がするけど、

極めて保守的なこの地の漁民たちが猛烈に原発に反対したのは、

まだあの頃は漁業で暮らしてゆける自信があったからだ。

海はかけがえのない暮らしの源であり、

大らかに宝ものを与えてくれるみんなの財産だった。

それがもう、この海の豊かさを自慢する人たちはすっかり高齢化してしまって、

町自体が萎んできた感じである。

今なら、もしかしたら、海を売っちゃうのだろうか。。。

原発と一次産業は、どうしても負、いや反の関係にある。

お金といのちは両立しないワケではないはずなのだが、

おそらく両極に位置するからか。

 

9日、長崎で開かれた平和式典で、

田上富久市長が読み上げた平和宣言の一節が、頭の中でダブってくる。

 

  「ノーモア・ヒバクシャ」 を訴えてきた私たちが、どうして

  再び放射線の恐怖に脅えることになったのでしょうか。

  自然への畏れを忘れていなかったか、

  人間の制御力を過信していなかったか、

  未来への責任から目をそらしていなかったか・・・、

  私たちはこれからどんな社会をつくろうとしているのか、

  根底から議論をし、選択する時がきています。

  たとえ長期間を要するとしても、

  より安全なエネルギーを基盤にする社会への転換を図るために、

  原子力にかわる再生可能エネルギーの開発を進めることが必要です。

 

守らなければならないものは何なのか、本当に今、考えなければならない。

そして、行動すべき時は、敢然と動きたい。

あの頃の漁師のおっちゃんや母ちゃんたちのように。

賢治も書いている。

 - なぜやめたんですか。

    ぼくらならどんな意気地ないやつでも

    のどから血が出るまでは叫ぶんですよ。 (『セロ弾きのゴーシュ』) 

 

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あちこちに祀られている神仏に手を合わせて、

肝心のウチの仏さんを見送ることもせず、とんぼ返りする。

 

14日、途中で奈良に迂回して、五條市にある王隠堂農園さんを訪ねた。

6月から取り組んだ企画 - 「西から応援野菜セット」 へのお礼を伝えたかったのだ。

 

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作業場では、まさにセット組の最中だった。 

お盆の真っただ中であるにも拘らず、

作業ローテーションを組んで出勤してくれた女性陣に、深く感謝したい。

 

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実に手際よく箱詰め作業が進んでいく。 

 

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野菜の状態もチェックしているのだが、

時に流通過程で溶けたり傷んだりしたものも発生した。

小売店なら入荷した時点で検品して、バックヤードではじけばよいのだが、

産地から家庭まで、そのまま運ぶものはやはり一定のリスクを伴う。

 

もし傷んだものが入っておりましたら、ご一報ください。

返金処理とかはもちろんのこと、産地へも情報をフィードバックし、

改善に役立てていきますので。

先週はよかったのに、今日は・・・ということもありえます。

一般では隠れて見えなくなる青果物流通の実態が

そのまま届いたりするのが、この流通の妙味です。

どうか温かい目で・・・ と言うと、甘い!と叱られるのではありますが。

 

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王隠堂さんがつなぐ生産者たちの野菜で構成された 「西から応援セット」 も、

来週をもっていったん終了となります。

このあと、王隠堂さんたちの野菜で継続されるものは、

「子どもたちへの安心野菜セット」 に吸収されることになります。

引き続き、「子どもたちへの~」 をご利用いただけたなら幸いです。

 

応援セットは終了しても、それで終わりではない。

これからの有機農業の全国的発展、次世代育成をにらんで、

関係を強化するための作戦会議も開いて、おいとました。

 

吉野の里のお米も、登熟期に入ってきた。

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この国の大地を守るべき主体を育て、ネットワークする。

それは原発に頼らない社会を再建するための地盤となるはずだ。

「西から応援~」 は、消費者の不安に応えた側面もあるが、

食べることで輪がひとつ大きくなったことはたしかである。

 

原発問題は、福島だけではない。

これから全国の原発が、廃炉の時代に入っていく。

西からも東からも、里からも海からも、応援し合うつながりを築いていきたい。

未来のために、教訓は今から形に、である。

 

渋滞のピークを避け、深夜の中央道を走りながら、

明日からの作戦を思い巡らせている。

これで夏休みも終わる。 病気だね、まったく。

 



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