雑記帳: 2011年12月アーカイブ
2011年12月16日
カキの鉄人に学ぶ
NHKで放送されている人気番組 『プロフェッショナル 仕事の流儀』 。
今週12日の放送は見なくちゃと思いながら、仕事が終わらず見逃してしまった。
録画もしてなくて、昨夜、深夜0時15分からの再放送を見る。
今回の登場は、カキの巨人、気仙沼の畠山重篤さんだ。
題して 「それでも、海を信じている」 。 カッコいいね。
" 森は海の恋人 "
-世紀をまたいだ最大のコピーだと思っている。
畠山さんの紹介は不要だよね。
気仙沼湾に注ぐ大川の上流部に木を植えて23年、その数2万本。
気仙沼の海とカキを再生させた男の物語はあまりにも有名だ。
僕が訪ねて行ったのは17~8年前だったか。
アポとって行ったのに、畠山さんは小学校の講演が入っていて、
お陰で校長室での挨拶まで付き合わされた思い出がある。
そして今年、震災で壊滅したカキ養殖復活の一章が加えられた。
この章は始まったばかりだ。
畠山さんはこの震災で、苦しい時から支え続けてくれた母、小雪さんを失っている。
小雪さんの言葉- 「自分の信念をつらぬきなさい」 に泣けてくる。
畠山さんの物語を解説する資格はないので、一冊の本を紹介してすませたい。
『鉄は魔法つかい』 (小学館刊、本体価格1,300円) 。
小学校高学年なら読めると思う。
命と地球をはぐくむ 「鉄」 のすごい世界が、
カキ再生にかけた男の道のりとともに語られている。
上梓間近で震災に遭って、
でも気を取り直して出版させた力は、お母さんの言葉と、自然の力だったんだと思う。
テレビ放送を楽しみにした理由はもう一つあって、
僕はこの番組に一枚の画像を提供してあったんだよね。
畠山さんに 「鉄の力」 を教えることになった松永勝彦さん (当時北海道大学教授) の写真。
なんと 2年前のこのブログ から見つけてくれた。
登場したのは一瞬だったし、「写真提供」 のクレジットも記してくれなかったけど、
まあちょっと、誇らしい気分になったのだった。
今日はもう一つ。
二日前に藤田社長が安受け合いしちゃったもんだから、
午後、国会議員の先生の部屋に行くことになった。
食品の放射能測定の現状とか、情報公開の問題点とか、課題などについて
レクチャーしてほしいいうことらしい。
と言うわりには永田町の議員会館まで来いと・・・。
「え、え、え、え、、、」 と 「え?」 を5回くらい言っただろうか。
「それって、、、命令ですか?」
「命令じゃないけど、エビスダニってやつを行かせると言っちゃったし・・・」
という感じ。
大地を守る会もいろんなセンセーから声はかかるけど、
特定の政党を支持することはないので、ここでは政党名は伏せておきたい。
で、衆議院第一議員会館まで足を運んで、
測定というものの実情と課題に始まって、情報公開の意味とリスク、
我々が生産者と一緒に取り組んだ対策などなど、一所懸命語ってきた。
先生は、聞きたいところだけを急ぎ足で確認していたみたいだけど、
低線量内部被曝への関心を高く持っておられたこと、
除染が有効に働いているか、今後の食の汚染がどうなっていくかなどに
強い懸念を抱いていることは、ありがたいことだと思った。
情報公開(表示) の充実に関して、国会議員はまだ懐疑的な人が多いことを嘆いていた。
「国民が政治を信頼してないんじゃなくて、政治が国民を信頼してない」 と。
流通の末端(小売店等) での測定の体制強化よりも、
上流 (生産現場) でのきめ細かい検査と情報公開、
そして結果的に濃度が高かった地区の対策の徹底こそが、
消費を安定させる基本であることを訴えてきた。
公と上流がきっちりと責任もってやっている、という形づくりが必要なのだ。
ありとあらゆるものが流れてくる下流(小売現場) で
「全品検査」 をすべてに徹底させることなど不可能であるし、
トレース(産地を遡る) ができない場での対策は、形だけの 「撤去」 しかできない。
産地での予備検査がおざなりであったことによって
福島県産米全体に影響を与えたことをもって知るべし、である。
福島の 「やまろく米出荷協議会」 の佐藤社長が嘆いていた。
今年は本当に美味い米ができたのに・・・ この悔しさはいかばかりか。
その先生は、「せっかくだから」 と他の議員の秘書さんも呼んでくれたりした。
共同テーブルで出した厚生労働省への質問書にも賛同してくれた。
頑張ってほしい。
無駄ではなかったみたいだけど、
お陰でワタクシは残業なのである。
何人かが楽しげに飲みに行ってる。 ああ、この世は不条理に満ちている・・・
でも、カキの鉄人を見た後だから、頑張れる。
「鉄」 のような流通者になりたい。