2010年3月 3日

天鷹酒造さんを訪問してきました!

とらちゃんこと虎谷健です。

皆さん、日本酒を楽しんでいますか?

毎晩のように家や事務所で(終業時間後です!)癒していただいている私は大の日本酒好き。

特に新酒が出る今の時期の火入れをしていない生酒のプツプツはじける感覚を舌の上で

楽しみながら飲むことが大好きです。


醸造が最盛期のこの時期、栃木県大田原市にある天鷹酒造さんを訪問してきました。

今回の酒蔵見学会の目的は醸造現場の見学と作業体験、試飲。

酒造りの作業体験などなかなかできません。

東京でも小雪がちらついたこの日、現地でも雪が降っていました。

那須連山もマシュマロの様にまっ白でした。



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天鷹酒造さん外観。雪の中の酒蔵ってそれだけで美味しいお酒に出会えそうな気持になります。

天鷹酒造さんは、那須山から流れ出る那珂川と塩原渓谷から流れ出る箒川に挟まれた

水の豊かな田園地帯にあります。

那珂川は関東のカヌー乗りに人気の水のきれいな川で、鮭が遡上する南限の川でもあります。



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杉玉が下がっております。ご存じ「新酒ができましたよ!」の印ですね。

静かに雪の舞う中の杉玉。ますます美味しいお酒に出会える期待が高まって参ります!



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工場に入るとなつかしいお米屋さんの香りと精米機がうなる音に迎えられました。

天鷹酒造では精米から自社で行っています。手前にある青い石は精米する際の砥石です。

その上に乗っているのは研いだ状態の米のサンプルです。



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天鷹酒造さんでは、14年前に「米作り酒造りの会」を地元米農家さんといっしょに立ち上げて

地元栃木の水とお米にこだわった酒造りをしています。

倉庫には原料の米がいっぱい。日本酒の原材料がお米であったことを再確認!


ちなみに純米酒1升(約1.8L)を作るのに、約1kgの米が使われるそうです。

1週間に1升のお酒を飲むと年間60kg~80kg(お正月とか忘年会、新年会、とても嬉しい事があった時、

「いやぁ...ちょっと昨日飲み過ぎちゃった!」日も含める)、約1俵のお米を消費することと同じなんですね!

1俵というと私たち一人が年間に消費する平均量と同じくらい...。


そうです!日本酒飲みの皆さんは毎日毎晩、ご飯にお酒にと、うまずたゆまずせっせ、せっせと

お米を消費して米農家さんと田んぼを守っているんですね(笑)。

皆さんもお酒をたくさん飲んで田んぼと農家さん、田んぼの生物多様性を守ろうではありませんか!



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米が炊きあがってもうもうと湯気があがっています。酒造りの現場に来たことを実感!


さっそく帽子と長靴を着用して手洗いをしっかりして見学開始です!

天鷹酒造さんのお酒は有機JASの認証を取得し、「有機清酒」を名乗っています。

有機JASの認証を取るためには、工場設備はもちろん、酒を作る蔵人、さらに有機米を作る農家に

いたるまで認定機関が定めた手順に従わねばなりません。

今回私たちが有機JAS認定の工場に入るにあたって、全員分の認証機関指定の長靴を揃えて

もらわねばなりませんでした。

そこまでしても消費者の皆さんに自分たちの取り組みを知ってもらいたい、というその熱意に脱帽です。

...でも、事前に電話で皆さんの足サイズをお聞きするのはちょっと恥ずかしかったです。 (*^_^*)



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酒造りの戒めが。その成果がまわりを囲む賞状の数々なのでしょうか。

皆さんも「酒造り」の部分を自分の仕事にあてはめて頑張ろう!おうおう!



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蒸しあがった米を放冷機に移します。

この機械で、蒸しあがった熱々の米を麹菌が元気に活動する温度までさまし、さらに麹菌を混ぜ

やすいようにほぐします。



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ほぐした米を麹室に運ぶお手伝いをしました。さっと口をしばって手早く運びます。



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麹室では杜氏さんと一緒に米を拡げるお手伝い。

杜氏さんが作りだした麹菌が好む温度と湿度を体感しました!



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麹菌を振る作業です。さすがに私たちには手伝いは難しそうです。

均一に菌を振った後、さらに菌が全体に行きわたるようにかき混ぜ作業を行います。

そして湿度をさげて菌が米の奥に水分を求めて入り込むように、湿度と温度をコントロールするそうです。



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醸造樽のある奥へ進みます。入口には青々とした杉玉が。

お酒造りは神聖な作業のため、酒造りの初めには神官さんに来てもらいお清めの儀式が行われ、

酒蔵の各場所にはお札やこのような杉玉が下げられています。



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櫂入れのお手伝い。かき回して均一に発酵するように手伝ってやります。

櫂を動かすとプツプツと良い音がします。

樽の縁まで日本酒の清々しい良い香りが...。一日中嗅いでいたい良い香りです!


ここで虎谷、大失態!

欲張って深呼吸したとたんにグラッとして、一瞬気を失いかけてしまいました。

もう少し欲をだして身を乗り出していたら樽に落ちていたことでしょう。

樽の中は二酸化炭素に満ちているので数秒で気を失い、溺れてしまうこともあるそうです。


「酒に溺れて人生を棒にふる」とは人生訓の一例でありますが、酒蔵では人生を棒にふる

どころでなく命を落としてしまうこともあるのです!

たとえ運よく助け出されても「あいつは酒のニオイに誘われて樽に落ちるような奴」という烙印を

おされてしまうでしょう。まさに「酒に溺れて人生を棒にふる」ところでした(笑)。

皆さんも酒蔵でどんなに良い香りに出会っても深呼吸をしてはいけませんよ~。



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見学会の後は天鷹酒造さん自慢の有機清酒4種類を飲み比べ。

他にも生酒なども含めて合計10種類も試飲させていただきました!

同行した職員には「とらちゃん、いちばん飲んでいたよね。」と冷ややかに分析されてしまいました。

いやぁ、天鷹酒造さんのお酒、私、大好きでございます。



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試飲会の後はお忙しい中作っていただいた酒粕汁とおにぎり、大地を守る会の日本酒に合う

おかずで昼食会です。

カウンターにいる方が天鷹酒造の社長さんの尾崎宗範さん。

その右が杜氏さんの大将、直町昊悦さんです。直町さんは岩手から仕込みにきているそうです。

他にも数人の杜氏さんが働いていらっしゃいますが、地元の農家の方が冬の仕事として来て

いるそうです。一年を通してお米に関われて良いお仕事ですね。


私は特別に直町さんに「知識としての」お酒の作り方を直々にこっそりと教えていただきました。

教わっただけですよ!どぶろくを作るような、そんな日本国の法律を犯すような事は致しません!(笑)



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酒米をおにぎりにしてくれたものを試食してみました。

「酒米はまずい」と聞いていたのですが、「とちぎ酒14号」はけっこう美味しい・・・でも同じく酒米の

「五百万石」の味はちょっと...。やはり酒米はお酒にして楽しむのが一番のようです。


昼食会では参加者の皆さんにも訪問会の感想やお酒にまつわるお話などをしてもらいました。

酒造りのプロとお酒好きの参加者が集まり、軽い酔いも手伝いほんのり良い連帯感も生まれて、

居心地の良い空間が誕生しました。

美味しいお酒を味わって蔵人さんのお話も聞けて大満足の訪問会になりました。


大地を守る会 交流局 虎谷健


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