2010年6月29日

「神泉・畑の樂校」に行ってきました。

とらちゃんこと虎谷健です。

6月20日はキャンドルナイトの日。皆さん、どのように過ごされましたか?

私は埼玉県の神川町、ヤマキ醸造さんと一緒に行っている「畑の樂校」に行って草取りに汗を

流してきました。

 

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この日は梅雨の中休みで雨は降りませんでしたが、湿度が高く畑で少し動くだけでじわっと汗が

にじんでくるような、農作業にはちょっとキビシい日でした。

畑のすぐ近くを流れる、埼玉県と群馬県の境の神流川では昼間なのに川霧が見られました!

普通、川霧は冬の早朝など気温が低いときにあたたかい水からたちこめるものですが、この川面を

覆っている霧は真昼間に発生していました。

想像するに、たっぷり湿気を含んだ空気が冷たい川の水に冷やされて霧になったのではないでしょうか。

それだけ風もなく、湿度の高いどんよりした空気に満たされていたわけですね。

これを見た午後の作業はさらに暑く感じられてしまいました!

 

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神泉では小麦の収穫が始まっていました。「麦秋」と呼ばれる風景です。

麦畑だけが秋のような風景ですね。「麦秋」は秋とついていますが夏の季語でございます。

正面のモヒカン刈りのような小山はいつも気になっているのですが、なぜあのような形になって

いるのか誰にも聞けずにいます。

針葉樹を植林した山の頂上に広葉樹を残しておいて落葉させ、保水性を保つ...という話は聞いた

ことがあるのですが、そのような目的でもなさそうです。

 

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ちなみにこちらは神泉より平坦な本庄市周辺の水田の様子です。

収穫を待つ麦と田植えされたばかりの稲の色の対比が春と秋が同居しているようで面白いですね!

 

田んぼの裏作で麦を作っている農家にとって麦の収穫のタイミングの見極めが大変です。

梅雨に入っているので雨は降りやすいし、麦はできるだけ乾燥させて収穫したいし、いつまでも

晴れを待っていては田んぼに戻して稲を植えるタイミングを逸してしまったら大変...。                

乾燥した気候の欧米などと違い、収穫時期に梅雨を迎える日本で麦を作ることは、天候の

見極めが大変です。

アジアで米が主食になり欧米で麦が主食になった理由の一端がわかる気がします。

でも、粉にして加工しなくてはいけない麦に比べ、粒のまま食べて美味しいお米はひと手間かけ

ない分だけ優れものって気がします。(麦農家さん、パン屋さんごめんなさい <(_ _)> )

 

少し麦さんのフォローをさせていただきますと、冬に「ヤマキの手作り味噌教室」の参加された

皆さんには麦踏みを体験していただいたとおり、麦は秋に種をまいて芽が出た状態で春を迎えます。

冬の関東平野には乾いた北風が吹きますが(特に埼玉県北部は「赤城おろし」という冷たい乾燥

した北風が強烈!)、麦が植わっている事によって畑の表土が飛ばされる事を防ぐ働きがあるそうです。

さらに関東地方では春に麦の間にスイカの苗を植えたそうです。こうすると麦がスイカの苗の風除けに

なって苗が良く育つのだそうです。

6月に麦の収穫を迎えると、実を取った後の麦藁をスイカの敷き藁に使い、その後はそのまま

畑にすき込まれて畑の保水性にも貢献します。

幼い頃は寒風にさらされながら畑の土を守り、壮年期には苗の風除けを身を挺して行い、最後は

ひっそりと人知れず土に還ってからもさらに畑を守る...という、生涯にわたっての縁の下の力持ち、

ナニワブシ的なスバラシイ作物でございます。麦さんエライ!

でも、好む気候の違う作物をうまく組み合わせて栽培していた先人の知恵ってすごいですね。

無駄がありません。

 

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さて、今の畑の樂校の様子です。

梅雨に入ってたっぷり水を得た雑草たちの勢力が増してきました!

手前のジャガイモはもう収穫時期を迎えました。今日はまずジャガイモを収穫して畑を耕して、

大豆の播種までしてしまいたいです。

その他にも草取りやトマトの脇芽とりややることがいっぱいです!

 

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畑の中の様子です。

4月に定植した長ネギが育ってきました。そろそろ土寄せをしてやります。土寄せをくりかえすことで

白い茎の部分が伸びていきます。

 

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こちらは雑草畑...ではありません!落花生の苗が草に埋もれてしまっていました!

草取りをし救出してやらないといけません。

 

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ちなみにこちらが草取りを終えて救出後の落花生の苗の様子。

左の人参はちょっと元気がありません。5月中はあまり雨が降らなかったので水分好きの人参くん

にはちょっと厳しい季節だったかも。

 

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こちらはミニトマト。側枝が繁茂してジャングル状態になりかけています。

このあと側枝は折り取って空いた畑に挿しておきました。こうしておくと根がでて株を増やすことが

できます。

 

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アスパラガスです。

一通り収穫をした後はこのように葉を茂らせて栄養をたっぷり蓄えてもらいます。

そうするとまた来年春にたくさんのアスパラを収穫できるわけです。

株は毎年太ってきて収穫する量も増えていきます。来年が楽しみですね。

ちなみに花が咲いて赤い小さな実ができますので、その実をまいておくと爪楊枝のようなアスパラ

が生えてきます。

2年目になると鉛筆くらいのアスパラが収穫できますのでおいしくいただいてしまいます。

 

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おおっと!じゃがいもにトマトのような実がなりました!

じゃがいももトマトもナス科ナス属の植物ですから同じような実がなるのですね。

根元のじゃがいもは土から出てしまい青くなっています。このような色になったじゃがいもはソラニンなど

有毒物質を含んでいるので、食べるときには青い部分を取り除かないといけません。

実にも同じ様にソラニンなどが含まれているので食べない方が無難です。

 

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長ネギの土寄せをしました。雑草もきれいに取ってくださっています。皆さん、雑草取りはプロ級です!

三角ホーやジョレンといった道具を使いこなしてどんどんキレイにしてくれています!

 

左後に植えているのは挿し木をしたミニトマトです。この場所にはきゅうりが植わっていたのですが、

近年畑にはびこり始めた外来種のウリ科の雑草に覆われて枯れてしまいました。

畑にはびこる雑草にも新たな外来種が登場したり、害虫にも新顔が登場したりと、農家さんも

対応に迫られる事柄が多いようです。

 

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本日収穫したじゃがいも。大豊作です!

「ど~するの、こんなに!」という声も聞こえていましたが、帰りにはキレイになくなってしまいました。

ご近所や幼稚園、小学校のママ友にあげたりと、皆さん大量の野菜を片付ける術を身につけて

頂いているようです。

収穫したジャガイモは2~3日影干ししてから陽があたらないように保存します。

こうすると腐りかけている芋などが腐り始めるのでしっかりした芋だけを残すことができます。

ジャガイモが腐ると臭いが強烈ですから早めに傷んだ芋を取り除かなくてはいけませんね。

 

畑ではさっそくじゃがいもレシピの情報交換が。様々なレシピが挙がっておりました。

ちなみに虎谷のお気に入りはじゃがいもごろごろのバター煮でございます。

小さめのジャガイモを皮付きのまま鶏がらスープで煮込んで、塩、こしょうで味付けして「えっ!」と

思うほどの大量のバターをボトッと落してできあがりです。

学生の頃、全国をオートバイツーリングしている時に北海道でバター煮の美味しさを知りました。

この料理だと小さな粒のジャガイモも無駄なく使えて簡単でとてもおいしいですよ。

上の写真の右下のチビじゃがも無駄になりません。

 

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ジャガイモの収穫を終えた後は耕して大豆を蒔きました。

人数が多いと作業がはかどります。手前のじゃがいもも次回には収穫してしまいます。

しばらくじゃがいも生活が続きそうです。

 

本日の作業:

じゃがいも収穫と大豆の播種、長ネギの土寄せと草取り、ミニトマトの脇芽取りと挿し木、草取り

落花生の草取り、人参の草取り、とにかく全面、草取り。

 

大地を守る会 交流局 虎谷健

大地を守る会の震災復興支援

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