2010年11月26日

群馬のきのこ屋さん、自然耕房を訪問してきました!

とらちゃんこと虎谷健です。

秋も深まってまいりました。

「今年は富士山周辺ではマツタケが当たり年!」という情報を得て、きのこ狩りが好きな虎谷は

マツタケで一攫千金を夢見て休みの度に富士山周辺を歩き回ったのですが、結局夢に

終わりました...。

こんなことなら山を歩き回っていた時間、家族サービスをして家族からの評価をあげたり、

事務所に出勤してマジメに働いていた方がず~っと良かった・・・。

一攫千金なんてダメ!コツコツ働くのが一番!...と深く反省したのですが、思い出してみれば

約20年前の若かりし頃、アラスカの金鉱跡で砂金掘りのマネごとをした時に同じ様な反省をした事を

思い出しました。私の思考は20年間進歩していないようです(笑)。

 

マツタケで一攫千金!ではなく、地域の資源を大切に使いながら地道にきのこ栽培を

行っているきのこ屋さん「自然耕房」を群馬県の赤城山麓に訪ねる訪問会を行いました!

 

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美味しそうな肉厚なマイタケをお土産にいただきました。

自然耕房さんは「循環・再生」を標榜してそれに沿った栽培を行っています。

地域資源活用ときのこ栽培による雑木林再生を目指し、様々な取り組みも行っていますし、

自社で所有する雑木林も広い!

どこから紹介すれば良いか戸惑うほどです。

 

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ということでまずは、当日ごちそうになりましたお弁当からご紹介!

きれいに盛りつけされたお重を渡され「あれれ、仕出しのお弁当を頼んでくれたのかしら?」と

思ってしまったほど。

実は自然耕房さんが経営するお食事処の料理長さんが作ってくれたお弁当でした。

肉団子や春巻き、シュウマイには自社栽培のシイタケが使われていました。「ダシがしっかり

出るから他に味付けは要りません。」とのこと。美味しいお弁当でございました。

春巻きと一緒に入っている物はマイタケの天ぷらです。こちらも美味しゅうございました。

ちなみにこのお弁当は子どもさん用のお弁当です。大人向けにはこれにさらにマーボー豆腐が

付いていました。食べたかった...。

 

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佐藤社長さんの挨拶です。

15年前にこの会社を興し、きのこと雑木林の再生一筋でございます。

趣味は自転車で毎朝ロードレーサーで、山麓からこぎ登ってくるそうであります。

毎日ヒルクライムを行っているとは恐れ入ります。

 

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お昼を食べた後はリサイクルセンター見学。

ここでは廃原木を粉砕してきのこを育てる菌床作りを行っていますが、自然耕房全体で大きな

リサイクル・循環が試みられています。

 

それではどんな循環がされているかと言いますと・・・

1、雑木林の手入れ →2、シイタケ用原木入手 →3、シイタケ栽培 →4、使い終わった原木を粉砕 →

5、マイタケ用菌床に加工 →6、マイタケ栽培 →7、マイタケ栽培で使い終わった菌床を粉砕 →

8、ヒラタケ栽培 →9、ヒラタケ栽培で使った菌床粉砕 →10、腐性性きのこの栽培 →

11、腐性性きのこの栽培で使った菌床粉砕 →12、堆肥化 →13、できあがった堆肥を

地元農家さんに使ってもらう →14、栽培された野菜を自然耕房の直売所にて販売 →

15、雑木林の維持管理 →

1、雑木林の手入れ →2、シイタケ用原木入手 →3、シイタケ栽培・・・(この後も同じ循環がつづく)

といった具合です。

 

きのこは木の分解段階で発生する種類が違うので、このような菌床の再利用ができるのですね。

 

きのこ栽培の菌床の殺菌には通常、重油を炊いてお湯を沸かし、蒸気で殺菌するのですが、

自然耕房さんでは重油ではなくバイオマスボイラーと呼ばれる流木など、用途がない木材を

燃やして蒸気殺菌する方法をとっています。

さらに殺菌する際に発生する蒸気もムダにしません。栽培室に引き込んで栽培室の保温・加湿に

活用するなど利用できる資源はとことん使い尽くしていました!

 

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シイタケ栽培が終わった原木を粉砕する際に唯一使い道がなかったクヌギの木の皮ですが、

ここにはなんと、カブトムシの幼虫が卵を産んでいて、子どもたちにとっての宝の場所になっていました!

今回の訪問会の目玉、カブトムシの幼虫探しです。 

みんなで一生懸命に土をほじくり返しましたが、カブトムシの好む腐葉土は水分を結構含んでいて

重い土になっています。お昼ご飯に使ったスプーンでほじってもなかなか掘れないよ...。

  

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幼虫探しにシャベルカーが登場!プロのカブトムシ掘りは違います!(笑)

ごろごろでてきた幼虫をみんなで捕まえてお土産になりました。一人で何匹も持ち帰る子どもたちも...。

カブトムシの幼虫は大食漢で、来年春先にあたたかくなると、さなぎになる準備をするために

猛烈な勢いで朽ち木を食べ始めます。

周りにいくらでも朽木がある自然耕房さんなら問題ありませんが、町で幼虫たちの食欲を満たして

やることは大変です。ペットショップ通いをしなくてはなりません。

「これ以上扶養家族が増えるんじゃたまらないよ!」というお父さんの嘆きの声も聞こえてきましたが、

カブトムシの幼虫がする糞は良い肥料になるのでしばらく我慢していただき、観葉植物の肥料に

使ってもらえたら...と思います。

 

今回の訪問会で唯一失敗だったのがカブトムシ探しを先におこなってしまった事。

幼虫探しに目いっぱい頑張った子どもたちですが、訪問会の途中で疲れが出てきてハイ状態に

なってしまったのです!

 

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先ほどのシャベルカーはもちろんカブトムシ掘りだけのためではありません。

一度マイタケ栽培で使われた菌床(廃菌床)を砕く機械に入れる際に使われていました。

左の木くずの山が廃菌床の山です。この木くずも殺菌してまた別のきのこ栽培に使われます。

 

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こちらが用途のない木材を利用するバイオマスボイラー。

重油を使わないエコなボイラーですが、同じ能力を持った重油ボイラーに比べ高価で場所もとり、

扱いも大変だそうです。

 

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マイタケの栽培施設も見学させていただきました。明るいマイタケの栽培施設。

蛍光灯も使っていますが、「太陽光自動追尾式採光機」が天井に付いていて効率よく太陽光を

室内に採りこめるようになっています。

たちこめる蒸気はバイオマスボイラーが温めた蒸気によるものです。加温と加湿に役立っています。

さらに、栽培施設内に蒸気を送ることで室内の空気圧が高まるため、ドアを開けても空気が外にしか

流れないので虫などが入ってくることができません。

きのこは洗うと風味が落ちてしまうので、なるべく洗わない方が良いのです。虫やゴミが付着して

いないきのこはさらにおいしく食べれますね!

野生のきのこは採る時は楽しいのですがゴミや虫を落とすのが大変な作業です。水で洗い流さ

なくてはならないので風味も失せてしまいます。 

 

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施設の見学が終わった後は再び外に出て、雑木林の中で栽培されている原木シイタケを収穫

させてもらいました。

栽培効率が良くない、という理由でどんどん減ってしまっている原木栽培シイタケです。

お土産にたくさん収穫させていただきました!

 

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りっぱなシイタケでございます。

シイタケが苦手、というお子さんも多いですがこの体験を機会にシイタケ好きになって欲しいです!

 

今回の訪問会、特に好評の感想が多かったので一部をご紹介します!

「自然耕房さんの「循環」のシステム、すばらしいなと思いました。菌床の再利用、菌床を包んで

いるビニルまでムダにしないなんて...」(UHさん)

「自然や次世代のこともお考えになる活動、すばらしいです。私ももっともっと自分にできることを

やっていこうと考えさせられた1日でした。」(MNさん)

「リサイクルへ取り組みつつ利益のことも含めいろんなことを考えながら活動されていることが

すばらしいと思いました。感動しました。」(STさん)

 

皆さん、自然耕房さんの取り組みに感銘を受けてくださった様で今回の訪問会は大成功でした!

雑木林の再生やリサイクルに取り組むだけでなく、そこからさらに利益を出して会社を維持して

いけていることが素晴らしいですね!

 

最後に佐藤社長さんがおっしゃっていた一言を紹介させていただきます。

「うちには軽い障害を持っている方や高齢者の方も働きに来てくれている。彼らはうちを頼って

くれている。頼ってくれる人がいるこの会社を潰すわけにはいかないんだ。」

アツイ想いを持った社長さんでございます。私もせっせとマイタケ食べて応援させていただきます!

 

大地を守る会 交流局 虎谷健

大地を守る会の震災復興支援

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