2011年8月アーカイブ

2011年8月30日

【復興支援】食べものつなげるプロジェクト第16回ご報告

5月7日(土)よりスタートした新鮮な季節の野菜など加工食品を
避難所に継続的に届ける「食べものつなげるプロジェクト」、
第16回8月20日のご報告です。

それと先日、すべての方が仮設住宅に移ったため、
食料支援が終了した岩手県大槌町から感謝のお手紙を
いただきました。
ご丁寧に、町からに加えてご担当者さんからも
お手紙をいただきましたよ。
ご紹介しますね。

<大槌町からのお手紙>

<ご担当者さんからのお手紙>
 

やはり震災当初は炭水化物ばかりで、
なかなか栄養のあるものが行き届かず、
大地を守る会の支援があり助かったと言っていただけました。

ご担当者の菊池さんは、栄養士でいらっしゃったので
特に町民の方々の栄養状態を心配されていたのですね。
想いと食べものがつながって、本当によかったです。

これも、大地を守る会会員さんからの
「大地を守る震災復興支援基金」にご協力があってこそです。
みなさんのお気持ちが、こうして届きました。
ご協力、ありがとうございます!

それと岩手県山田町のご担当者さんからの
コメントが届いていますので、ご紹介しますね。

●岩手県山田町からコメント

こちらはお盆に入り、
帰省している方がたくさんいるようです。
山田町では、仮設住宅の入居は100%とはいきませんが、
大多数の方が入居完了しました。
大きな瓦礫等はなくなりましたが、
いまだ漁業、それらに関係する業種は再開のめどどころか、
いまだ復旧の途中です。
問題は山積みですが、自分のできるところから
やっていこうと思います。

多くの方が仮設住宅に入れたようです。
よかったです!

 

第16回「食べものつなげるプロジェクト」

▼8月20日(土)石巻市へお届けの商品

大根10本、キャベツ16個、小松菜30束、きゅうり15㎏、おくら25パック、ピーマン3.7kg、生しいたけ13パック、なす5kg、長ネギ5kg、ズッキーニ22本、パプリカ2kg、バナナ4.2kg、ぶどう24kg、ブドウセット10パック、ハム・ソーセージ6パック、納豆・豆腐などの大豆製品75個、こんにゃく10パック

▼8月20日(土)湊小学校へお届けの商品

じゃがいも15kg、新しょうが2kg、キャベツ26個、大根15本、玉ねぎ20kg、にんじん12kg、小松菜20束、にんにく2kg、ミニトマト6kg、トマト12kg、なす5kg、ピーマン2kg、ほうれん草10束、にら10束、長ねぎ8kg、おくら10パック、ズッキーニ10本、ぶどう24.3kg、こんにゃく5パック、納豆・豆腐など大豆製品35パック、パン粉3袋、ジュース6箱、ちくわ10パック、梅干し10パック、調味料8本、ハム・ソーセージ100パック、そうめん2袋、卵10パック

▼8月20日(土)岩手県山田町へお届けの商品

キャベツ16個、小松菜39束、にら30束、長ネギ15kg、ほうれん草30束、レタス64個、ズッキーニ10本、ピーマン4kg

大地を守る会 宇田川



2011年8月29日

【復興支援】食べものつなげるプロジェクト第15回ご報告

5月7日(土)よりスタートした新鮮な季節の野菜など加工食品を
避難所に継続的に届ける「食べものつなげるプロジェクト」、
第15回8月13日のご報告です。

また、石巻市へはピースボート経由で食材を提供しています。
ピースボートの担当者から、
コメントが届きましたのでご紹介しますね。

●ピースボードからのコメント(8/11)

お盆を境に仮設への移行が進んでおります。
食材提供のみを行っている避難所などでも、
今週で解散というところが4ヶ所ありました。
その他も避難所縮小により炊き出しが不要になっていったり。
ということもあり、食数が減少、
リクエストもかなり少なくなっています。

ということです。
お盆にはゆっくり過ごせた人が増えたのですね。
逆にいえば、お盆になってもまだ避難所で暮らしている方も
多いということですね。
お届けした夏野菜で元気の足しにしてもらえていれば!と
思います。

 第15回「食べものつなげるプロジェクト」

▼8月13日(土)石巻市へお届けの商品

大根30本、玉ねぎ20kg、にんじん20kg、キャベツ70個、小松菜35束、きゅうり80㎏、じゃがいも10kg、葉しょうが1束、おくら30パック、ミニトマト12kg、ミディトマト4kg、ピーマン11.7kg、生しいたけ10パック、なす25kg、にら25束、長ネギ4.5kg、枝豆6kg、ズッキーニ45本、おかひじき10パック、ハム・ソーセージ8パック、納豆・豆腐などの大豆製品74個、ちくわなど練り物14パック、こんにゃく20パック


▼8月13日(土)湊小学校へお届けの商品

じゃがいも15kg、新しょうが2kg、キャベツ16個、大根25本、玉ねぎ20kg、にんじん20kg、小松菜10束、にんにく2kg、きゅうり20kg、ミニトマト6kg、トマト12kg、なす20kg、ピーマン7.2kg、ほうれん草10束、ブルーベリー11パック、にら10束、長ねぎ10kg、おくら30パック
、こんにゃく5パック、納豆・豆腐など大豆製品30パック、薄力粉3袋、かたくり粉10袋、ジュース6箱、ちくわ10パック、梅干し10パック、調味料21本、砂糖10kg、ハム・ソーセージ100パック、そうめん2袋、卵10パック


大地を守る会 宇田川

 



2011年8月18日

大地を守る会本社、電気使用量34%オフ!【6月度】

脱原発を目指し「スイッチ!電力」を宣言した大地を守る会。
/info/news/2011/0422_2815.html

電力についてのアンケートや
自然エネルギーについてのイベントなど
脱原発に向けた取り組みをさまざまに実施しています。
でも、まずは自分たちを見直さなくちゃ!と
本社の節電を開始。
冷蔵庫の使用数削減、ポットと電子レンジは撤廃、
蛍光灯を半減させるなどの対策を実施して、
企業や家庭の削減目標である15%を
大きく上回る34%(昨年同時期比)電力使用量を削減できました!

冷房はビルの一括管理なので、温度設定はできないのですが
ビル自体節電しているので、社内も暑い!
どこの会議室も締め切ると暑いので、
開けっ放しで会議しています。

個人的にはお弁当も温められないので
少しさみしくもありますが、
スイッチ!のためにささやかな一歩を踏み出しています。

大地を守る会 宇田川



2011年8月17日

2011 米生産者会議報告 in 北海道

うっしーこと牛島真也です。

今日は久しぶりに、理事、改め、CSR運営委員による生産者会議報告をお送りします。

 

登場するのは、大地を守る会のイベントでの「生きもの調査」でもおなじみの、

"陶博士"こと、陶武利運営委員です。

稲作体験イベントなどで陶委員に会ったことのある方も多いかと思います。

果たしてどんな報告が届いたのか?!乞うご期待。

 

↓↓↓↓↓

CSR運営委員の陶です。

個人的な感想を交えてレポートしたいと思います。


今回「お米の生産者会議」が行われたのは、「涼しく短い夏」というイメージの北海道でした。

イネは元々熱帯を起源とする作物ですので、本来北海道は、稲作に適した環境ではないわけです。

ところが、調べてみると、今や生産量は全国1位。

一体、どうやって負の要因を克服し、今の生産量を築いたのでしょうか?

そんな興味を持って参加してきました。

 

講演内容は、「おいしくなった道産米の秘密」~北海道稲作と品種改良のあゆみ~。

なんと、生産量だけでなく、味も変わってきているようです。

後ほど食味会も行われるとのことで楽しみです。


講演して頂いたのは、菊池治己先生。元上川農業試験場長。

まずは、北海道の開墾の歴史から。

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森林を開墾して水田にしたそうですが、ユンボもない時代に相当大変なことだったと思います。

田んぼに残る木の切り株が当時の苦労を伺い知れます。


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稲作は、明治10年頃からどんどんと北進していったそうです。

明治33年を見ると、ちょうど今の札幌辺りまできています。

ちなみにこの年は、エゾオオカミが絶滅してしまった年でもあります。


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北海道は、やはり内地と違って寒い。

 

4年に一度は冷害に見舞われるという状況があって、以前としてそのリスクはあるそうです。

そんな厳しい環境条件の中、育種をどうやって進めていったのか?

 

育種のプロジェクトが始まったのは1980年。なんと、今から30年以上前にさかのぼります。

稲は普通に作ると1年に1作しかできませんが、もし1年に2作、3作とできれば、

育種のスピードを早めることができます。

それを実現する為に最初は鹿児島県や沖縄県にお願いして作ってもらったこともあったそうです。

 

その後、道南農試に大型の水田温室を用意し、2期作の体制を整えました。

30年で60年分の仕事ができるというわけですから、すごいことです。


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冷害に強い個体を選抜する為には、人工気象室も用意。

「冷害に強く、生産量も多い」という性質だけではお米は売れません。味も重要な点です。

 

そこで「北海道のお米はまずい」といわれる理由を分析したところ、

アミロース含有量が低くなりにくい為、粘りが無くなりおいしくない、ということが判明。

(アミロースが0になるとモチ米になる)

夏場に高温になりにくい北海道では、どうしてもアミロース含有量が低下しないという

気候的要因が良食味をはばかっていることがはっきりしたのです。


そこで、低温下でもアミロースが低くなる系統を作るという育種目標が掲げられました。

その為に、様々な品種を導入。

「おぼろづき」に至っては、なんと新規の低アミロース遺伝子を見つけ出すこととなりました。


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カリフォルニア米で有名な「国宝ローズ」の血も入れたんですね。

正直、これには執念と気合いを感じました。


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また、純系を短期間に作る為にも重要な葯培養の技術も導入。

 

教科書ではよく習う技術の1つですが、葯培養で実用品種を作った例というのは

あまり知らなかったので、非常に興味深く話しを伺っていました。

このような工夫と努力が実って、北海道の寒い気候でも育ち、

しかも高アミロースにならないという品種が誕生したわけです。

 

食べ比べをしてみましたが、「おぼろづき」「ゆめぴりか」には正直びっくりしました。

炊き加減もあったのかと思いますが、食べ比べの値を集計しても

コシヒカリより上の評価がついていました。

これだけの時間と努力をしてきたのですから、「素直に評価したい!」と思いました。




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話の終わりに、産業用大麻の話がありました。


麻は、どうしてもマイナスの側面ばかり取りざたされますが、

THC(向精神薬)を殆ど含まない産業用大麻というのがあります。

大麻は本来伝統的に日本で栽培されていた作物で、植物体は繊維やプラスチックとして、

また「実」は大変栄養価に富んだ食料として我々に大きな恵みを与えてくれる植物です。

最近では、その秀でた成長力と吸肥力から、放射性物質を吸収してくれる可能性についても

示唆されています。

この植物の持つポテンシャルを日本でももっと活用できる日がくればいいですね。

 


最後に気になった生き物を一つだけ。

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北斗会の水田に生えていた糸状藻の一種、アミミドロ。


過去の観察経験を踏まえてお話すると、水田では、温度が低い時期にサヤミドロが出現し、

その後アオミドロやアミミドロなどが出てきます。

サヤミドロは非常に細い細胞でできていて、イネには殆ど影響を与えません。

初期にこれがあることで抑草効果もあることが報告されています。

 

アオミドロは、場合によってですが風などで一カ所に集まってしまうことがあり、

その結果イネを倒してしまう害も報告されています。

アミミドロは、全体がネット状に繋がっていて風の害を受けにくく、

場合によっては抑草効果もあります。


田んぼに生えている藻は、全部アオミドロだと思っている人が多いですが、

同じように見える生き物でも、時期や環境によって種類が違っているという状況があります。

地味な側面ですが、そんな生き物の営みもあることを知って頂けると嬉しいです。

 

以上、北海道生産者会議の報告でした。

 

CSR運営委員・陶武利

 



2011年8月12日

大地を守る会 パキスタン洪水支援報告

お久しぶりです。とよまるです。

昨年2010年の7月下旬から8月中旬にかけてパキスタンのインダス川が氾濫し、国土の20%が被害

を受けたというニュースを憶えていますか。

 

大地を守る会ではNPO法人JFSAを通して、会員の皆さんに古着をお送りいただくことにより、カラチ

市のスラムの学校運営に協力しています。昨年11月からそのスラムの学校、アルカイール・アカデミ

ーの生徒たちの発案により被災地支援が始まり、大地を守る会は、会員の皆さんからご支援を募り

支援に協力をすることにしました。集まりました支援金は、2,391,000円! 直ちに現地に送られまし

たが、今回はその現地報告です。

 

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いきなりですが、ここはパキスタンのカラチ市から北へ約500キロの村、シター郡ダドゥ村です。踏み

固められていますが畑です。洪水が引いてから、塩が表土に出てきて作物が植えられません。

私は7月2日にここに到着しました。気温40℃以上の暑さでしたが、外で農作業をしている人もちらほ

らいました。酷暑期は58℃になったと聞き、頭がくらくらします。アルカイール・アカデミーの子どもた

ちは、畑の復旧作業を手伝ったそうです。今回は、まだ暑い時期なので子どもたちの支援は一休み。

9月過ぎから再開するそうです。

 

 

 

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 同じ村の別の畑では、オクラが育てられていました。畑の復旧は急務です。オクラはカレーによく使

われる食材ですね。

 

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洪水で壊れた家屋です。もともと地震が少ない地域のせいか鉄筋を使わずにレンガを積んだだけな

ので、水の力で簡単に崩れてしまうようです。レンガも乾燥しただけの安いものが多くつかわれてい

るようでした。レンガは焼くと硬くなります。陶器と同じですね。値段も高くなりますが、再建するとき

は焼いたレンガも使用しています。

 

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住むところが無くなった村の人々は、国連をはじめ様々なNGOからの援助物資を頼りに生活してい

ます。後ろに見えるようなテントで暮らす人が多いのですが、暑さを考えると過酷です。

パキスタンの農民は、大地主の農地を借りて耕していることが多いのですが、酷いところでは地主が

援助物資を横取りしてしまうこともあるようです。この村の地主さんは村人を大切にするとのことなの

で、支援を行うことにしました。もちろん日本人の我々にはわかりませんので、アルカイール・アカデミ

ーのムザヒル校長先生やスタッフが現地のあらゆるネットワークを駆使して決定しました。

(JFSA西村氏撮影)

 

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他団体からの支援金を合わせて970万円のうち、500万円を使って家を建てることになりました。現時

点では、最も困っている農家15軒分を建設中です。どの農家の家を建てるかは、外部の者だけでは

決められないので、地主と村人と何度も話し合いをします。

 

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これは小麦のもみ殻や茎を裁断したもので、家畜の餌になります。村人とアルカイール・アカデミーの

事業部が新ビジネスとして販売する予定で、支援策の一つの柱です。

 

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これは、今年の1月にアルカイール・アカデミーの生徒たちが支援に来た時のひとコマです。農地を復

旧させるのと同時に、サトウキビの収獲も手伝いました。援農作業も支援の一つとなっています。

都会の子どもたちと村の子どもたちとの交流の場にもなり、お互い刺激を受けたそうです。

(JFSA西村氏撮影)

 

 

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これが新たに建設中の堤防です。日本語で堤防というとコンクリートの巨大なものが頭に浮かびます

が、ここでは土を3メートルから5メートルくらいに積み上げて固めたものです。村の周りにぐるりとつく

ります。簡単なつくりですが、洪水時には頼りになります。

  

 

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この写真も1月にアカデミーの子どもたちが支援にきたときのものです。村の生活もスラムの生活も

厳しいと思いますが、笑顔が良いです。 生活が厳しいところほど人と人の強い繋がりを感じます。

(JFSA西村氏撮影)

 

 

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被災地支援とは別のお話です。アルカイール・アカデミーには、女性自立のための縫製学校もありま

す。アカデミー内では選抜された女性チームが日本から来た縫製のプロフェッショナルFさんからエプ

ロンづくりを学んでいます。チームの皆さんは日本で通用する縫製技術を身につけようと必死に話を

聞いていました。近い将来、大地を守る会でも販売できるようなものが出来ればと思います。

 

上記の通り、皆様からお預かりした洪水支援金は、きちんと有効に使われていることを確認致しまし

た。新たな動きがあり次第、またご報告致します。

 

とよまる こと CSR推進室 豊島でした。

 

 



2011年8月11日

【復興支援】食べものつなげるプロジェクト第14回ご報告

5月7日(土)よりスタートした新鮮な季節の野菜など加工食品を
避難所に継続的に届ける「食べものつなげるプロジェクト」、
第14回8月6日のご報告です。


 第14回「食べものつなげるプロジェクト」

▼8月6日(土)大槌町へお届けの商品

きゅうり40Kg、トマト40kg、ハム・ソーセージ38パック、納豆・豆腐などの大豆製品30個、焼きそばなどの麺類37パック、ヨーグルトなど乳製品380パック、キムチ23パック、こんにゃく100パック、食パン197斤、梅干し20パック、ちくわ100パック


▼8月6日(土)石巻市へお届けの商品

大根34本、玉ねぎ20kg、にんじん20kg、キャベツ70個、小松菜43束、きゅうり20㎏、じゃがいも10kg、セロリ11株、ほうれん草11束、サニーレタス10個、レタス52個、おくら28パック、アスパラ20束、トマト208kg、ミニトマト18kg、ミディトマト6kg、ピーマン6.8kg、生しいたけ10パック、ハム・ソーセージ21パック、納豆・豆腐などの大豆製品128個、ちくわなど練り物47パック、こんにゃく20パック


▼8月6日(土)湊小学校へお届けの商品

じゃがいも10kg、キャベツ20個、大根30本、玉ねぎ20kg、にんじん15kg、小松菜20束、にんにく3kg、きゅうり20kg、ミニトマト6kg、トマト12kg、なす5kg、ピーマン6.8kg、ほうれん草11束、セロリ11株、こんにゃく5パック、納豆・豆腐など大豆製品35パック、薄力粉3袋、かたくり粉10袋、ジュース6箱、ちくわ10パック、梅干し10パック、調味料18本、砂糖40kg、ハム・ソーセージ100パック


大地を守る会 宇田川



2011年8月10日

2011夏期学校給食学習会

7月25日(月)26日(火)、東京都千代田区の科学技術館サイエンスホールにて
「震災・津波・原発事故後を考える」をテーマに2011夏期学校給食学習会を開催しました。

例年、多数の学校給食栄養職員・栄養教諭・調理員を集め、
食育、衛生管理、合理化、食の安全、アレルギーなど様々なテーマの専門官による
講義と意見交換がおこなわれます。

今年は、3月11日の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故による
放射能汚染を受けた、原発と食の安全をテーマに開催しました。

当日のレポートをお届けします。

一日目 7月25日(月)
専門家による原発事故の分析および放射能汚染への対応、脱原発にむけて市民ができることなどを提案してもらいました。また、講義の間、13~14時には、ドイツの核再処理工場建設に反対するドキュメンタリー映画「故郷のために ギートルさんたたかう」が上映されました。

1、「福島原発事故で何が起きたのか」
伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表)

福島第一原発事故の構造や今回の事故のメカニズムなどを図をもとに丁寧に説明していただきました。また、今後の収束に向けた見通しの解説もあり、国や東京電力の想定どおりにはなかなか進まないだろうとのこと。
放射線の種類や性質、人体への影響についても解説があり、やはり今後は半減期の長いセシウムの被爆に注意が必要だと来場者へ呼びかけました。
以上のような講義が終わり、来場者から質問がいくつかありました。

「行政の検査にまかせっきりにはできない。自分達で測定を検討しているが、機器の価格はどれくらいか? 扱うのに専門知識は必要か?」
「魚貝類への汚染影響をとても心配している。基準値は野菜と同じなのか?」

など、現場の栄養士のみなさんが、日々不安を感じていることが、切実に伝わってきました。
伴さんは、ひとつひとつの質問に丁寧に応えてくれました。

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2、「脱原発に向けて社会を変革する」
田中優さん(未来バンク理事長)

ふたつ目の講義は、「脱原発」「エネルギーシフト」などを事故以前からも訴え、具体的にアクションを起こしてきた市民運動家・田中優さんの講義です。
まず、放射性物質の内部被爆、外部被爆の解説と、できるだけ放射能汚染の影響を受けないようにする暮らし方の提案がありました。食べ物からの被爆にももちろん注意が必要だが、空気中に含まれる放射性物質もマスクをするなどの方法で避けるべきであるということです。
続いて、脱原発に向けた具体的な社会提案。日本は自然エネルギーを導入する前に、節電対策だけで原発をゼロにできる。その後に、発送電分離のインフラを整え、自然エネルギーを生活者が選択できる社会にすべきである、というアクションを呼びかけました。
「社会は変わった」というキーワードが田中さんの言葉の端々にあらわれました。いま、わたしたちには社会をよりよい方向へ向かわせるためのアクションを行なえる可能性があると、強く感じたお話しでした。

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(一日目レポート担当 広報担当・中川啓)

二日目 7月26日(火)
震災被災地への支援活動や、原発事故現場の報告、農業生産者が直面する現状などをお聞きし、
これからの社会と学校給食のあり方について意見交換しました。

1、「原発事故と放射能の汚染」
天笠啓祐さん(市民バイオテクノロジーの情報室代表、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表)

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天笠さんと原発の関わりは1971年から。
理工系の出版社に入り、原発関係の本を出版しました。
おりしも、福井の敦賀原発、福島第一、美浜原発が動くか動かないかという時期で
関心が高く本が売れました。
今はジャーナリストとして出版社を離れて独立されています。

日本の放射能の基準は暫定基準で目安。経済的な観点からつくられたもの。
ヨウ素131で、野菜、魚介類が2,000ベクレルまで許容されてました。
出荷停止にすると保障しなければなりません。
高い数値になればなるほど、出荷停止が少なくなり、補償も少なくなります。
ということより、もともと日本は370ベクレルだったものが引き上げられました。

チェルノブイリ事故より
最初に異常があらわれるのは、家畜の赤ちゃん。
人間では、子どもたちの甲状腺の異常・感染症の増加です。
これに震災の影響と重なり健康障害の拡大が懸念されます。

放射能は遺伝子を傷つけます。
人間の遺伝子は二重に守られていますが、
DNAのなかで働いている遺伝子部分は3%にすぎません。
さらにDNAは二重らせんで修復機能もありますが、
携帯電話や送電線の電磁波は阻害します。
原発事故が起きて、放射線と中国の農薬野菜のどちらかと聞かれますが、
どちらも問題。
相乗、相加作用があるので、
今こそ農薬汚染や輸入汚染をさけるのが大切な時期です。

天笠さんには、原子力発電の構造や、放射能のしくみまで
丁寧にわかりやすく教えていただき、その後も来場者より活発な質問がありました。

2、「放射能が身体に与える影響について」
里見宏さん(健康情報研究センター代表)

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里見さんは例年の夏期学校給食学習会では、衛生管理、食の安全についてお話いただくとともに、
放射線照射食品についての反対運動を続けています。

放射線を細胞にあてると、細胞の中の栄養成分、膜、DNAなどに傷をつけます。
そしてもうひとつの問題は、細胞の中の核にある遺伝子にも傷がつきます。
細胞の中に入ってしまった農薬など化学物資の影響もありますが、
直接的に体細胞、生殖細胞のDNAを直接傷つけるのが放射線です。
遺伝子に1年間で何個傷がつくか、どこに傷がつくか、が問題。

自然放射線による突然変異と、人工放射線による突然変異は異なることが
明らかに証明されているので、
とにかく放射能は避けてくださいと強く訴えてました。

3、「東日本大震災・原発事故の現場から」

阪神淡路大震災を経験した調理員が、ボランティアとして被災地に炊き出しに行った内容の報告、
被災地の学校給食の現状、特に東日本大震災と放射能汚染の両方の中で学校や学校給食に置かれている状況。
さらに放射能汚染を抱える中、有機農業生産者が今、何を考えているのかなどの報告をいただきました。

宝塚市の炊き出し報告 大原猛さん(調理員)
交流のあった大船渡市に、宝塚市として学校給食調理員が3,4月に炊き出しに行った報告をお話いただきました。

仙台市の学校給食現状報告 佐藤螢子さん(保護者)
仙台の被災状況、学校の状況などについての思いを語っていただきました。

福島県の状況 籏野梨恵子さん(栄養教諭)
センターの栄養教諭として、活動していた籏野さん。
震災前は、給食と食育を連携させて授業を行なっていました。
地震当日のこと。
そして放射能の問題と、学校給食を子どもたちに提供するという厳しい現実を語っていただきました。

福島県の状況 武藤類子さん(元教員・脱原発福島ネットワーク)
学校での年間20ミリシーベルトの基準の問題や、その後の動きについてお話いただきました。

生産者から 橋本明子さん(提携米研究会・茨城県)
有機農業の郷としてさかんな茨城県八郷の個人の有機農業生産者として、
堆肥の汚染による地域循環の問題について語り、
生産者と消費者が希望をみつけることが必要だと訴えました。

生産者から 伊藤俊彦さん(ジェイラップ・福島県)
福島県の有機農業生産者として、生産者も外部被ばく、外部被ばくの問題があり、
福島県の農家が理解して汚染を減らしていく取り組みが必要。
そして、放射能測定しながら考えていきたいとお話いただきました。

生産者から 下山久信さん(食と農の再生会議・千葉県)
「ある日突然出荷停止になるのは、農家の気持ちを萎えさせます。
お金の問題ではありません」
という言葉がとても印象的でした。

(二日目レポート担当 広報担当・齋藤史恵)


2011年8月 4日

ゆかいな野菜物語:廃食油回収スタート!

回収した廃食油からディーゼル燃料化して、
その燃料で野菜を作るプロジェクト「ゆかいな野菜物語」、
会員さんからの廃食油回収がスタートしました。

7月11日からの2週間で、
なんと約650リットルが回収されました!
ここから約620リットルのVDFが作れるのです。
2リットルペットボトルが310本分が並んでいるのを
想像するとけっこうな量ですね。
廃食油回収は9月30日まで続きますので、
大地を守る会の会員さんはご協力お願いします!

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左にあるハッポウ箱の中にも回収した油が詰まっています。

使用済油とともに、未使用の油も回収されました。


さて、廃食油回収のプロジェクトを一緒に実施している
ユーズさんhttp://tokyoyuden.jp/ は、
いろいろなところでも油回収をしています。

銀座のソニービルで開催している
「3D美ら海水族館」http://www.sonybuilding.jp/aqua11/
でも8月31日までは、油の回収をしています。
そして水槽の循環ポンプやクーラーを
VDFを使って動かしているのです。

ぜひぜひ、銀座に行った際には水族館に、
そして油も持って行ってくださいね!

大地を守る会 宇田川



2011年8月 2日

「news every.」(日本テレビ系列)に直営店「大地を守るDeli」が登場しました。

昨日放送された「news every.」(日本テレビ系列、毎週月~金夕方)で、
大地を守る会の生産者でもある
鮮魚の達人グループ・山根博信さんが特集されました。

被災した漁師の生産復興を目的に、岩手県宮古市で水揚げされた
スケトウダラを流通させよう、という試みの取材です。

大地を守る会では、いち早く、このスケトウダラの取引を約束し、
山根さんとともに、被災地の復興に向けて活動をはじめました。

実際に商品化したのは、
東京駅構内、エキュート東京にある直営店「大地を守るDeli」です。

昨日から、期間限定で、宮古のスケトウダラを使った
「有明産海苔とミックスフライ弁当」を販売しています。

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もちろん無添加。こだわり素材のおいしいお弁当です。
大地を守る会では、震災後、「食べて復興応援」を合言葉に
被災生産者の復興支援活動を展開しました。

このお弁当のように、食べることで、応援できる商品の販売も、その活動のひとつです。

ほかにも、被災地である仙台の黒豚を利用した
「仙台黒豚会の豚めし」も人気の商品です。

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ぜひ、新幹線を使った旅行の際には、
「大地を守るDeli」で、復興応援弁当を買って、
日本を元気にしましょう!

大地を守るDeli アクセスはこちら。

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大地を守る会 広報担当 中川啓



2011年8月 1日

ゆかいな野菜物語、はじめました

大地を守る会では、原発に頼らない社会の実現のために、
ライフスタイルの転換を提案する「スイッチ!電力」宣言しています。
/info/news/2011/0422_2815.html

代替エネルギー推進の提案として、
大地を守る会会員さんから回収した使用済食用油を
ディーゼル燃料化(VDF※1)して、それを大地を守る会生産者が
トラクターなどの農機具の燃料として使用し、野菜を栽培する
プロジェクトを始めました。
題して「ゆかいな野菜物語」。
ゆかいの「ゆ」は、油と輸のyou、「かい」は「回る」をかけています。

VDFは、大気汚染の原因となる硫黄酸化物はゼロで
呼吸器官障害の原因といわれる黒煙は軽油の半分以下なので、
地球に優しいクリーンなエネルギーといわれています。
VDFを畑のトラクターで使用したら、
畑でてんぷらの香りがするそうな?!
クリーンな空気の中、おいしい香りに包まれて野菜を栽培できますね。

そして、栽培した野菜は「ゆかいな野菜物語」として
10月から大地を守る会の宅配で取り扱う予定です。
また、三越銀座店では9月7日より先行販売します。
よければ買ってみてくださいね!

ちなみに現在、日本の家庭から捨てられている使用済みの天ぷら油は、
年間20万キロリットルにものぼるといわれています。
その大半がごみとして燃やされているというのは、
実にもったいない話です。
油回収は、ごみ減量と資源リサイクルを同時に実現できるのです。
ぜひご協力ください!

●大地を守る会会員さんへ
2011年9月30日まで、廃食油を回収しています。
ぜひご協力ください!
詳しくは会員専用サイトをご覧ください。
https://member.daichi.or.jp/news/dispdetail/contentscd/9/year/0/no/395


●大地を守る会の会員の方も、そうでない方も、
お近くで回収できる場所があるかもしれません。
ぜひご覧ください。
廃食油回収をしている「ユーズ」のサイト
http://tokyoyuden.jp/


大地を守る会 宇田川



【復興支援】食べものつなげるプロジェクト第13回ご報告

5月7日(土)よりスタートした新鮮な季節の野菜など加工食品を
避難所に継続的に届ける「食べものつなげるプロジェクト」、
第13回7月30日のご報告です。


 第13回「食べものつなげるプロジェクト」

▼7月30日(土)大槌町へお届けの商品

きゅうり40Kg、トマト40kg、ハム・ソーセージ58パック、納豆・豆腐などの大豆製品543個、焼きそばなどの麺類40パック、ヨーグルトなど乳製品374パック、キムチ20パック、こんにゃく100パック、食パン83斤、梅干し20パック、ちくわ100パック、ジュース40箱


▼7月30日(土)石巻市へお届けの商品

大根20本、玉ねぎ20kg、にんじん20kg、キャベツ10個、小松菜20束、きゅうり10㎏、じゃがいも10kg、ミニトマト6kg、ピーマン5kg、ハム・ソーセージ20パック、納豆・豆腐などの大豆製品53個、ちくわなど練り物47パック、こんにゃく20パック


▼7月30日(土)湊小学校へお届けの商品

じゃがいも10kg、キャベツ20個、大根30本、玉ねぎ20kg、にんじん15kg、小松菜20束、にんにく3kg、きゅうり20kg、ミニトマト6kg、トマト12kg、なす5kg、ピーマン5kg、ほうれん草20束、にら10束、長ねぎ10kg、卵20パック、こんにゃく5パック、納豆・豆腐など大豆製品35パック、薄力粉3袋、かたくり粉10袋、ジュース6箱、ちくわ10パック、梅干し10パック、調味料18本、砂糖40kg、ハム・ソーセージ100パック


大地を守る会 宇田川



大地を守る会の震災復興支援

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