2012年10月 1日

NEWS 大地を守る2012年10月号 やまけんの大地を守るうんまいもん探訪

さやあかね
ジャガイモは男爵とメークインばかりじゃない
 

 新じゃがのシーズンは1 年に2 回。春先に出てくる九州地方の新じゃがと、これからの季節に出てくる北海道の新じゃがだ。北海道では雪が溶けてから種芋を植えるのでこの時期に掘り始めるのである。

 縦に長い日本の端と端だから、北海道と九州では得意な品種も違う。ジャガイモは品種によって味や肉質が全く違うから、いろんな品種を楽しむのが吉だ。ちなみに、定番の「男爵いも」「メークイン」は日本に導入されてから約100年経っている。近年定着した「キタアカリ」だって1987年の品種だから古い! 実はジャガイモは新しい品種が少なくとも年に5 種は開発されているのだが、なかなか新品種が根付かない特殊なマーケットだ。売る側にすれば、知名度のある定番品種は労せずとも売れる。一方、新品種は売れるかどうかわからない。
だから安全パイの定番品種を並べるばかりで、新品種が根付かないわけだ。
 けれども、最近の品種は定番品種の欠点を補ったものが多い。例えば男爵いもはごつごつして皮を剥きにくいけれど、新品種のほとんどがツルンとした表面で、皮を剥きやすい。味の面でも様々で、栗のような香りのする「インカのめざめ」や、バターなどと合わせるとおいしい「シンシア」など、目的別に選べるようになってきた。
 写真は十勝で無肥料・無農薬で栽培された「さやあかね」。無肥料とは思えないほどに立派で、新じゃがの状態でも香りが強くおいしい。こんな新しい品種が拡がるかどうかは、食べ手の皆さんにかかっている。ぜひ食べたことのないジャガイモ品種にも手を伸ばしていただきたい。


山本 謙治(やまもと けんじ)
1971年、愛媛県に生まれ、埼玉県で育つ。農産品・食品などのコンサルタント会社(株)グッドテーブルズ・代表取締役社長。
『日本の食力? 国産農産物がおいしい理由』ほか。ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記(www.yamaken.org)」が人気。



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