2012年12月12日

「食品への放射線照射はいらない!!」政府との意見交換会


~黒塗りの報告書~放射能に付きまとう影・・・

2012年12月6日 13時30分~15時30分
参議院議員会館


大地を守る会の顧問でもある里見宏さん(健康情報研究センター)(公衆衛生)は、放射線を照射

した餌をたべさせた動物に異常が出た経験をされ、それをきっかけに、市民の反対に協力されて

こられました。現在は照射食品反対連絡会の世話人をされておられます。この日も、進行の久保田

裕子さん(国学院大学教授)とともに、深い議論を展開されていました。


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(意見交換会の様子)



福島第一原子力発電所事故があり、多くの市民のあいだでは脱原発への流れがありますが、

原子力村や産業界にはまだまだ原子力依存べったりがあるのが現実です。放射線照射食品は

原子力産業と表裏一体ですので、今でも強力です。


ほとんど表面には出てきていませんが、ここ数年来、水面下、放射線照射食品に「安全」のお墨付き

をあたえようと、「原子力委員会」、「スパイス協会」、「厚生労働省」、「食品安全委員会」、が動いて

いました。現実はきっと、「原子力委員会」がほかのすべてを動かしてきたたのでしょうが。


放射線照射食品については、世界的に議論になっている化学物質は、アルキルシクロブタノン類です。

2002年のフランスのグループの報告によると、放射線照射によって食品中に生じるアルキル

シクロブタノンが、発ガン物質存在下において、その発ガン効果を促進する作用があることを

報告しています。


放射線照射によってアルキルシクロブタノンが発生することは確実です。ですから問題は、この

アルキルシクロブタノンに、毒性(発ガン促進作用、もしくは発がん性など)があるかどうかです。

2009年、食品安全委員会は、大阪府立大学の古田雅一教授を代表として、アルキルシクロブタノン

の安全性評価の研究を委託しました。総額は、3年間で、3千900万円です。


その結果が、2012年7月20日に食品安全委員会の放射線照射食品の専門委員たちに提出

され、説明されています。そしてすでに、食品安全委員会として、古田雅一教授の結果に

対する評価報告書もできあがっています。


ということで、放射線照射食品反対の市民の立場を理解してこられた、大河原雅子議員に

お願いして、食品安全委員会から、古田雅一教授の結果をとりよせてもらいました。

なんと、その報告書は、おどろくべきことに、ほぼ、黒塗りだったのです。





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(黒塗りの結果報告書)


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(食品安全委員会の古田雅一教授の結果に対する評価報告)


この黒塗りの報告書に驚かされ、照射食品反対連絡会の市民は、衆議院選挙、都知事選挙

などで世の中の多くの人々はそちらに目がいってしまっているのはわかっていたのですが、

とりあえず、集まることにしたのです。


この日の意見交換会に出ていた食品安全委員会からの出席者(官僚)の方の説明は、「論文」に

なってからということのみでした。「食品安全委員会は国際的な評価をしたと言われたいので、

論文になったものを評価したという実績にしたい。なので、論文になったあと、公表する」


この言い訳、一般の人には通用しても、事情を知る人にはちょっと通じません。

この官僚の方は、生物論文の査読や出版の現実を知らないのでしょうね。今、論文はメールで

やりとりされます。高等数学などの超難解なものは除きますが、生物論文で、その論文の

レベルと雑誌のレベルが適当なら、順調なら数週間~数ヶ月でアクセプト(受理)されます。


「食品安全委員会の評価」を見ると、古田雅一教授の結果は、日本の名だたる科学者で構成され

ているであろう専門委員が、感覚的ですが、「良」、と評価してるようです。そうだとしたら、まあ、

NatureとかScieceとかの超一流は無理としても、そこそこの雑誌ならば、すぐに(数ヶ月以内)に

掲載されることでしょう。


普通、7月20日に結果を出しているのなら、科学者であれば、その時点で仮に本文を書いていな

かったとしても、1ヶ月もあれば書ける。ということは、遅くとももう今頃はアクセプトされてないと。


それで論文になってないとしたら、それは、古田雅一教授が、今もって本文を書いてないということ

でしょう。それなら、それは、「怠慢」。3千900百万円もらって怠慢は許されないでしょう。


もしくは、結果を、専門委員と古田雅一教授で、・・・してるとか。あとで、都合よく・・・したものが

公表されるとか。これは、想像なので、あってはならないことですが。


この黒塗り現象、東京電力福島第一原子力発電所事故報告書のときもありましたよね。


もう一つの直感的な理解としての理屈。「委託研究」。「学術研究」とは違いそう。

何をいってるかというと、文部科学省などから、「科学研究費」としてお金をもらって研究をする

場合、「新規」の研究を狙ってやることがほとんど。わかりやい例で、iPS細胞のようなものが

あります。つまり、論文にせずに、勝手に公開したりすると、国家的な損失となります。ですから、

「科学研究費」の場合は、論文にする前に公開したりできない、っていう理屈はありえる

(厳密な法的解釈は抜きで)。

しかし、直感的に、今回のような委託研究は違うと感じます。アルキルシクロブタノンについては、

フランスの結果が先に出ています。その結果が、白か黒かを確かめるための研究です。それが

どちらにでようが、それが特許とか、ノーベル賞とか、名誉とか、ほとんど関係しそうにない。

というより、世界中で、誰かが先に、実験として、争ってそうにもない? というか、実際、フランス人

が先にやってるし。あの、食品安全委員会の官僚の人は、本当は何の言い訳を言いに来たの

でしょうか? 


里見宏さん、科学者ですから、この辺の裏話、全部わかって、つっこんでましたが、官僚の人、科学者

でないので、「食品安全委員会は科学的にやります」と、非科学的な回答に終始していました。

残念ながら。



誘導放射能の問題

今回の意見交換会で、もう一つの課題が、里見宏さんから、提出されました。それが誘導放射能です。

専門的な話しになるのですが、簡単にいうと、放射線照射食品レベルの高レベルの放射線を照射

すると、食品そのものの中に、放射性物質ができるということです。

これは、まだ、確実には証明されていませんし、里見宏さんも、確実だとは言ってはいません。

危険性を指摘しています。

しかし、これが本当のことだとすると、非常に怖いことです。

学校給食を考える会副会長の野田克己さんは、「もし仮に、誘導放射能が現実にあるとすると、

今、出回っている照射じゃがいもは汚染じゃがいもということになります。そのことについての

ご意見をお聞かせください」と、厚生労働省につめよっていました。

今後の課題ですが、重要課題です。



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「ちばてつや」さんが協力

里見宏さんは、「あしたのジョー」で有名な、ちばてつやさんのご近所さん。そのご縁で照射食品反対

連絡会のチラシを書いていただいています。照射のターゲットとしてとして狙われるている、肉、

香辛料(スパイス協会)や、オーストラリアで実際にあった、照射ペットフードを食べたネコで起こった

神経マヒなどが描かれています。


放射性照射食品は、元々が、原子力発電所でできるコバルトをもとにした技術。つまり、原子力発電

由来技術。そして、それでできる食品にもいくつかの危険性が潜んでいます。


12月6日は、大地を守る会の吉田和生事務局長も積極的に発言し、議論を展開しました。


放射線照射食品は、遺伝子組み換え食品ほどにはなじみが薄いのですが、アメリカでは生肉など

にも実施されており、TPP(環太平洋経済連携協定)といったことになれば、すぐにでも大きく一般化

するかもしれません。みなさん、ぜひ、今後はニュースや新聞など、注視してください。


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