2013年4月アーカイブ

2013年4月24日

「学校給食ニュース」のご案内


 今回の記事は、大地を守る会が事務局をつとめております「全国学校給食を考える会」が

発行しております、「学校給食ニュース」のご案内です。

 まず、「全国学校給食を考える会」は、保護者、栄養士を中心に、1978年にその活動を開始

し、その後、調理員、教員などの学校関係者を含めて、集会や学習会を開催してきました。

現在は、年間10回の学校給食ニュースの発行と、春に全国集会、夏に学習会を開催しています。

また、定期的に小規模な学校給食連続講座を開催しています。

 学校給食ニュースは、全国集会、学習会の報告、その時々の学校給食に関わる最新ニュース

お届けしております。

 今、学校給食の現場では、何が問題になっているのか。立場によって受け取り方は異なる

とは思いますが、全国学校給食を考える会が憂慮していますのは、「合理化問題」です。

学校給食も政治の流れを受け、合理化の対象となっています。

 給食が始まったころはほとんどが学校それぞれにあった調理場(単独調理場)が、大規模

センターにどんどん変更となっています。センターになることの問題点は様々あるのですが、

それが最も表面化したのは、堺市のO157食中毒事件です。一度、食材の汚染があると、

多くの児童が被害にみまわれてしまいました。

 もうひとつが、調理員などの民間委託化です。民間委託についても様々な議論がありますが、

栄養士が公務員である学校給食現場において、モザイク状に調理員だけ民間委託化される

ことに関しては、いびつな実態があるという声が、全国学校給食を考える会のメンバーからは

あがっています。

 そして大事な基本が、「食教育」です。全国学校給食を考える会では、「地場産直型学校給食」

理想として、顔の見える食材提供こそ、食教育の原点であるという認識にたっています。

ですが、合理化によるセンター化や弁当給食などの推進により、学校給食への「加工食品」、

「半加工食品」の導入がどんどん進んでいます。

 また、食の安全性の担保は、基本中の基本ですが、今、日本政府はTPP参加に向けて動き

だしています。TPPに参加してしまえば、遺伝子組み換え作物、食品大国であるアメリカから、

今以上の大量の物資が、表示なしで流入し、食の安全が脅かされてしまうのではないでしょうか。

全国学校給食を考える会としえては、TPP参加に対しては、原則反対の立場で日本政府の

動きを注視しています。

 そして、2011年3月11日、東日本大震災事故による福島第一原発で、放射能汚染が日本を

襲いました。その後の食品への監視体制については、子どもたちを守るために、学校給食は

最前線に立っています。全国学校給食を考える会では、集会、学習会でも、何度もこのテーマ

を取り上げ、みんなで勉強、議論を重ねてきています。

 そして、不幸な事故が続いてしまいました。2012年12月、東京都で学校給食が原因による

アナフィラキシーショックにより、亡くなってしまうということがおこりました。食物アレルギー

患者数は、統計によると、年々その数が増加しています。また、その医学的に明確な原因は

解明されていないということです。この問題に対する解答は、すぐに出るものではなく、学校

給食に関わる人々で真剣に考えていかなければいけません。「全国学校給食を考える会」

でも、以前よりおつきあいのあるアレルギー・アトピー患者団体である、「認定NPO法人

アトピッ子地球の子ネットワーク」などとともに、学習会、連続講座を開催し、この問題に対し

て少しでも子どもたちに対してどういったことができるか、情報の収集し、学習しています。


 こういった内容について、学校給食ニュースでは取り扱っています。5月号では、東京都

調布市のアレルギー事故報告書についての解説記事を掲載しています。


 また、3月27日に実施した学校給食全国集会のテーマである、「学校給食はどう放射能

汚染と向き合うか」の解説記事を掲載しています。


 学校給食ニュースに興味をお持ちの方、購読希望の方は、必要事項をご記入の上、

メールにてご連絡ください。こちらから、お返事いたします。


購読料 ¥3500(年間10回)
お名前(必須):
郵便番号(必須):
住所(必須):
電話番号:
メールアドレス(必須):






news1.jpg

























































「調布市のアレルギー児死亡事故調査報告に関する記事」




2013年4月22日

小学生春休み企画 富士見堂工場見学を開催しました

fujimi1blg.jpg
春休みに入ったばかりの3月26日(火)、小学生親子企画 富士見堂工場見学を開催しました。
こちらが当日のようす。
講師は、東京都葛飾区にある富士見堂・佐々木健雄さんです。

富士見堂では、ごはんとして炊いて食べても美味しいお米を使い、
おせんべいを作る時には食品添加物を一切使用しません。
使われるひとつひとつの食材がそのまま食べても、
とっても美味しいものを使っています。

はじめに、佐々木さんから、富士見堂のおせんべい作りのこだわりについて、
お話いただきました。

一般のおせんべいは、おせんべいの成形・乾燥したものを、業者から仕入れ、
仕入れたものを焼いて、販売します。
また、一般のおせんべいに使われる米原材料は、加工用の加工米や、
くず米が使われることが多くあります。

一方、富士見堂のおせんべい作りは、北海道の大地を守る会生産者の栽培する
うるち米が、一等米として、玄米の状態で到着するところから始まります。
おせんべいの風味と味のために、一等米を精米したらすぐに、
炊いて、おせんべいの生地にします。
風味が損なわれない、鮮度の高いおせんべいなのです。

富士見堂のおせんべいの風味が豊かなのは、一等米を精米してすぐに、
生地にするというこだわりがありました。



fujimidoutuika.JPG

こちらが富士見堂の佐々木健雄さんです。



fujimi2blg.jpg
佐々木さんから子どもたちに質問です。
「富士見堂のおせんべいを食べたことがある人?」
たくさんの手があがりました。
おせんべいが大好きで、毎日食べる子もいれば、
時々食べるというお子さんもいます。

さあ、実際に工場の作業のようすをみてみましょう。



fujimi3blg.jpg

写真に残せませんでしたが、この工程の前に、炊きたてのお米をついて、生地にする工程を
見学しました。

こちらは、生地を成形する工程です。
ローラーで生地を一定の厚さになるまで何度も何度も繰り返し伸ばします。
気温や湿度、天気によって生地の状況は毎日変化します。ここでしっかりと一定の生地を作ることが、
その後の完成度の高さにつながる職人技なのです。

機械のなかに、型があり、生地が型を通ると、
おせんべいの形ができあがります。

職人さんが、出てくるおせんべいすべてを入念に目で確認しています。

ちなみに型でおせんべいにならなかった生地も、あとでまとめて、再度、型に通し、
おせんべいの生地になります。
農家の方が丁寧に作ってくださる貴重なお米。無駄にする生地はありません。

子どもたちは、じっとこちらの作業に見入っていました。



fujimi4blg.jpg

成形されたおせんべいは、4~5日間、乾燥の工程に入ります。
季節や湿気により、乾燥の時間や方法は、職人さんの勘により、変わります。

乾燥の過程のあとは、いよいよ、焼きの作業です。
上がそのようす。
職人さんが、約1kgもある焼き網に、おせんべいを5枚づつ入れて、
丁寧に直火で焼きあげていきます。

一般にはオートメーション化されて、流れ作業で焼かれるおせんべいも、
ここでは、職人さんが丁寧に焼いていきます。




fujimi5blg.jpg
焼きあがったおせんべいに醤油をシンプルに塗って、食べてみました。
お米の風味と味が豊かで、本当においしい。


fujimi6blg.jpg
子どもたちはおせんべいのおいしさに虜になっていました。
「おせんべいを4回もおかわりしたよ! もっと食べたかった!」
と笑顔の女の子。


fujimi7blg.jpg
その後、黒米せんべいの原料になるつきたての黒米生地を
ちぎって、そのまま、またはちょっと醤油を付けて、
食べてみます。
「生地、すっごくおいしい!!」と子どもたちに大人気。
子どもたちはなんども、なんども並んでおかわりをしていました。

工場見学が終了して、高学年の男の子とお話しました。
「普段おせんべいはあまり食べなかったけど、ここのおせんべいは、
これからはいっぱい食べるから。おせんべいって旨いなあ」とのうれしい言葉がありました♪


fujimilast.JPG

お米の旨さをしっかり味わえる富士見堂のおせんべい。
今の世の中、なかなか出合えない職人の技がさえる一品です。

富士見堂のおせんべいは、毎週バリエーションをかえて、
『ツチオーネ』27~28ページに紹介しています。
どうぞ、ご利用ください。





2013年4月18日

つながる福島・長崎ツアー報告

「つながる福島・長崎ツアー」
春休み中の3月28日から4月2日まで、
南相馬の子どもたち12名に、大人を加えた総勢17名のツアーは、
天候にも恵まれて無事終了しました。

このツアーは、「長崎有機農業研究会(長有研)」のみなさんからの
"福島の子どもたちへの支援をしたい"というお申し出に応えて、
アースマンシップ自然環境教育センター」、「南相馬こどものつばさ」、
「大地を守る会」の4団体で企画催行しました。

また、このツアーは「福島子どもプロジェクト」の企画として位置付けられ、
子どもたちの参加費用などを、「大地を守る震災復興支援基金」から支援していただきました。

多くの方々のご支援により本ツアーを行わせていただきました。
大変ありがとうございました。
この場を借りてツアーの報告をさせていただきます。


k20130329-01.jpg
3月29日、お昼過ぎに長崎空港に到着。
長崎ちゃんぽんのお店でお腹を満たしてから、チャーターバスで南島原に。

k20130329-02.JPG
南島原市口之津町に到着。
長有研代表の長尾さんに、
「できるだけ自然環境を汚さず、地域に生きる様々な生物とも共存する農業を求める」
長有研の取り組みをお聴きしながら畑を見学しました。

k20130329-03.JPG
長尾さんが手にしているのは「雲仙こぶ高菜」
コブの突起があるのが特徴的なこの土地の在来作物。
世界スローフード協会の「味の箱舟」にも認定されています。

k20130329-04.JPG
地元白木野小学校の子どもたちが、「先おどり」という郷土の伝統的な踊りを披露してくれました。

k20130329-05.JPG
長有研のみなさん白木野小の子どもたちと保護者のみなさんが、歓迎会を開いてくれました。
子どもたち同志の交流が早速始まっていました。

k20130329-06.JPG
宿泊先の白浜ビーチホテル。波の音が子守唄。みんなちゃんと寝てたかな?


k20130330-01.JPG
3月30日、今日は二人ずつ分かれて受け入れ生産者のお宅で農業体験。
このチームは、日本の棚田百選に選ばれた「谷水棚田」のある白木野の
馬場武さんのところにお世話になりました。
馬場さんは、白木野小学校の子どもたちに踊りを教えている先生でもあります。

k20130330-02.JPG
この日の作業は玉ねぎの箱詰め作業。
二人ともテープ張りがとっても上手になりました。

k20130330-03.JPG
今日の出荷分、約100ケースの箱詰め作業終了!達成感あったね。

k20130330-04.JPG
農作業体験の後はツアー前半のハイライト、
口之津港から出航し、有明海の入り口・早崎海峡でのイルカウォッチング。
イルカはいるか?なんて心配しなくていいほどの確率で野生イルカが観られるポイントです。

いたいたいた!

k20130330-05.JPG

k20130330-06.JPG
4~5隻が取り囲んで追うため、まるでイルカ漁でもしているみたいで、
イルカにはちょっと申し訳ない気もしましたが、
たくさんの野生イルカが泳ぐ姿を観られて感激しました。

k20130330-07.JPG
たくさんのイルカたちと会えてよかったね!

k20130330-08.JPG
イルカを観た後、宿舎に向かう途中にちょっと立ち寄った「雲仙普賢岳」。
しかし、子どもたちには人気がなく、だれもバスから降りて来ません。
こんな絶景、よっぽどチャンスがなけりゃなかなか観られるもんじゃないのに、
と思う大人たちだけがバスを降り、景色を堪能しました。もったいないのー。

k20130331-01.JPG
3月31日、原城跡で交流イベントが開かれ、桜と菜の花が迎えてくれました。

k20130331-02.JPG
シンガーソングファーマー荒木悦郎さんとフォークソングを一緒に歌い、


k20130331-03.JPG
初日の歓迎会ですっかり仲良くなった白木野小の子どもたちとゲームをやりました。
(ゲームを仕切って交流会を盛りあげ、大活躍してくれたのは、ここでも馬場さんでした)

k20130331-04.JPG


k20130331-04-1.JPGk20130331-05.JPG

場所を移動して、凧揚げ(地元では「旗揚げ」)体験。

k20130331-06.JPG
長有研の小田原さんたち「有馬むそ凧の会」の皆さんが準備してくれた旗に、
各自、思い思いの字を書いたり、絵を描きました。

k20130331-07.JPG
交流会に参加した福島と長崎の子どもたち全員の名前を記した旗。
揚がるかな?

k20130331-08.JPG
やった!揚がった揚がった!

k20130331-10.JPG
この日はちょうど良い風が吹いて、旗はぐんぐん揚がりました。

k20130331-11.JPG
旗揚げの後、長有研事務所に移動。
長有研さんの敷地に、ツアーの記念として、桜の木を気持ちを込めて植えました。
いつかまた見に来れますように。

k20130331-12.JPG
バーベキューでの送別会
お忙しい時期であるにも関わらず、大勢の長有研のみなさんにご準備をしていただき、
たくさんのご馳走でお腹いっぱい、胸もいっぱいになりました。
ありがとうございました。

k20130331-13.JPG
長有研事務局の本多さんから記念品のプレゼント。
本多さん、ツアーの準備から何から何まで大変お世話になりました。
本当にありがとうございました。


k20130401-01.JPG
4月1日 長崎空港に向かう前に、
長崎市内(大浦天主堂とグラバー園周辺)を観光しました。

k20130401-02.JPG


k20130401-03.JPG
長崎のおみやげは何にしよう?
南島原での体験もいいおみやげになったことでしょう。

長有研の本多さんがツアー前におっしゃっていた、
「子どもは子どもが好きだから、子ども同志の交流の場を作りましょう。」
が、子どもたちに良い想い出を残してくれたようです。
サポートする私たち大人にとってはこれが一番のお土産です。

「福島子どもプロジェクト」は、これからも子ども同志の交流の場を、
大人たちがサポートしていけるようにしたいと思いました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
(CSR推進課 秋元浩治)


2013年4月 1日

NEWS 大地を守る2013年4月号 GLOBAL REPORTS

平和の象徴オリーブの苗木をパレスチナに送ろう!
 
スマイルオリーブ基金 経過報告

オリーブの苗木はこの丘陵地に植えられます。乾燥した岩だらけの荒地に数千年の間オリーブの木が育てられてきましたが、イスラエルの入植地である町が次々と周囲に建設され、状況は厳しくなっています。

大地を守る会で取り扱っている「オリーブオイル(パレスチナ自治区産)」は、

イスラエルによる占領化が進むパレスチナ自治区で生産されています。

オリーブオイルを購入していただくたびに支援につながる「スマイルオリーブ基金」の経過報告です。

(広報国際課 豊島洋)



農民、市長、ボランティアが参加して植樹を行いました。
日本からの支援による植林ということでパレスチナの
新聞でも報道されました。


パレスチナにオリーブの苗木を送ろう            

 昨年10月からスタートした「スマイルオリーブ基金」。

オリーブオイルの販売額から会員の皆さま、販売元の(株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ)、

(株)大地を守る会の三者がそれぞれ8 円ずつ負担して合計24円を基金に充て、オリーブの苗木を

購入するものです。

昨年10月から今年1月にかけて集まった基金は207,372 円となりました(一口500 円の支援金も

含む)。すでに現地の農業団体に渡され、オリーブの苗木の購入・配布が始まっています。



困難な地域に支援先を決定

 今回の支援対象地域は、パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区)北部のナブルス行政区域に位置する、

人口約9,000 人の町アクラバ村です。この村はオリーブの産地でもありますが、もともと西岸地区第二の

小麦産地として知られていました。1967 年の第三次中東戦争以後、面積の80%がイスラエルにより占領

されてしまい、次々とイスラエルの入植地と軍事基地が作られました。現在そのほとんどの場所でイスラ

エルが行政権・軍事権を持ち、ヨルダン川西岸地区の中でも最も多くのイスラエルの支配地域に囲まれた

地域の一つになっています。

 この地域ではパレスチナ人はイスラエルの許可なしに建物等を建てることができず、違反と見なされれば

イスラエル軍により破壊されてしまいます。主要な幹線道路もイスラエルにより管理されています。

アクラバ村の人々に残されたのはたったの20%。限られた土地の中で、外部との往来や水資源の利用が

制限された厳しい環境下での生活を余儀なくされています。

入植者によるオリーブ畑の破壊なども行われ、パレスチナ人の土地を暴力で奪いとろうとしています。


購入したオリーブの苗が次々に車に運び込まれます。
オリーブは木であるため苗木も大きいことがわかります。


2000本の苗木が送られました

 現地の農業団体であるUAWC(パレスチナ農業開発センター)は、ATJを経由して送られた大地を守る会からの

基金を元手にオリーブの苗木2000本を購入。1月下旬に、約60 人の地元農民やボランティアとともに植樹を行い

ました。植えても植えても抜かれてしまう状況の中でそれでもオリーブを植え続けていくことは、パレスチナ人の

土地を守り、当たり前の暮らしを取り戻していくことへの願いであり、平和への願いでもあります。オリーブオイル

を購入することで、この支援にご協力ください。


植樹に参加した農民からの声

Shaher Deriyehさん(アクラバ農民)

入植者によって自分たちの土地や生活が脅かされ、

丹念に育てたオリーブの木が引き抜かれている現状

に暮らすすべての農民を代表して、日本の皆さんに

心から御礼申し上げます。今後も我々の支援をどうか

続けてください。

我々オリーブ農家は、広大なオリーブ畑において土地

を耕し肥料を与えることで、大切にオリーブを育ててい

ます。

今年のオリーブの作柄は非常に良く、オイルの品質に

ついてもぜひ期待していてください。最後にもう一度、

アクラバをこのように支援してくださる皆さま、本当に

ありがとうございます。

『ツチオーネ116号』イチオシ商品「オリーブオイル(パレスチナ自治区産)(注文番号1590)」をぜひよろしくお願いいたします。一本のオリーブオイルからできる海外支援にぜひご参加を。






NEWS 大地を守る2013年4月号 報告 「 食品と放射能問題検討 共同テーブル」

政府に対し新たな提言を提出

 一昨年9月に5 団体(※)で結成した「食品と放射能問題検討 共同テーブル」(以下「共同テーブル」)では、各団体が実施してきた食品中の放射性物質に関する検査結果を持ち寄り、放射性物質の検出動向や推移を調べ、必要な対策等について協議を重ねてきました。
 2月には改めて2012 年のデータ(2万件超)を検証し、そこで得られた知見をもとに、政府に対し、今後の施策の方向について以下の提言を行うことを確認しました。
放射能対策特命担当 戎谷徹也


1. 品目ごとの検出状況を踏まえ、可能な品目については現在の基準値をさらに下げるべきである。
  • 多く品目で放射線量は低下傾向にある。
  • 共同テーブル参加団体は、それぞれ独自に政府の基準を下回る自主基準を採用しているが、現在はほとんどの品目において自主基準をクリアしている。
  • 上記の状況から、この間検出されていない品目については、現在の基準値をさらに下げることは可能であると考える。

2.市町村単位の出荷制限は見直すべきである。

現在、ある作物から放射性物質が基準値を超えて検出された際、生産された市町村の単位で出荷制限が行われている。しかし以下の理由から、市町村単位の出荷制限は見直し、団体(個人)・ほ場単位など、きめ細かい対応に移行すべきである。

  1. 放射性物質による汚染は行政区域に基づいているわけでなく、自治体単位での制限等は科学的な根拠に乏しく、汚染実態を反映しているものとはいえない。
  2. 放射性物質の検出原因がその地域に由来しない事例を考慮すべきである。精肉から検出された場合、原因の多くは肥育時の餌による。また原木栽培のしいたけの場合、原因の多くは原木に由来する。それらの多くは他の地域で産出されたものである。このような場合、生産物を市町村単位で一律に出荷制限せず、由来に基づいたきめ細かい単位で対応すべきである。
  3. 除染に取り組み、効果を上げている生産者については、検査を前提に出荷できるようにすべきである。除染に積極的に取り組んだ生産者の生産物は確実に数値が下がっている。検査の結果、数値の低減を実現している生産者からの出荷は認めるべきである。これは生産者の努力を後押しするものにもなる。

3. 検出が続いている作物については、政府が調査・研究・支援を行なうべきである。

放射性物質が検出されている品目については、国や行政による調査研究、除染対策支援等を行うべきである。
また国と自治体によって出荷自粛要請品目に齟齬が発生しているものがある。それぞれの検査結果など情報を共有し、連携する体制を整えるべきである。

以上


※「共同テーブル」5団体......(株)カタログハウス、パルシステム生活協同組合連合会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、生活協同組合連合会 グリーンコープ連合、(株)大地を守る会



大地を守る会の震災復興支援

生産者に会いに行こう 商品を知ろう! 料理を楽しもう! 知って学ぼう! みんなで話そう!

海外とつながろう! 安心な食べもの 食べて守る生物多様性! 農業のこと 環境のこと 大地を守る会のこと 「NEWS大地を守る」PDF版 大地を守るメディア取材 大地を守る Deli