2013年8月12日アーカイブ

2013年8月12日

つながる福島・伊東ツアー(その2)

今回の"つながる福島ツアー"で大切にしたのが食事です。
今回は、大地守る会の食材を調味料から揃えて、こどもたちに食べてもらいました。

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食べる前は必ず感謝の気持ちを込めて、ひととき静かに目を閉じます。
それから「いただきます」をします。

みんな食べているときが一日のうちで一番静かでした。

そして、朝と夜の食事の支度をしてくださったのが、大地を守る会の消費者会員スタッフ。
みなさんボランティアでサポートに入ってくださいました。

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そのなかのひとり井上穹子さんに、夕食のあとにお話をしていただきました。
この日の夕食の献立は「牛丼」。
岩手県久慈市の山村で昔から人と一緒に暮らしてきた牛「日本短角種」。
それが今夜の食卓に上り、みんなのいのちの元となってくれました。

穹子さんが自ら「くるみ」という名前を付けて育てた子牛の話にみんな聞き入っていました。


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3日目 8月5日(月)

この日の朝はパン食。 ミルクティーがとても好評で、おかわりする人がたくさんいました。

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富戸から伊東へ移動。
DEVANDAの看板が目印の島源商店さん。
ここがこの日のイベント会場です。


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先ずは干物教室。
地元伊東市のこどもたちと一緒に干物作り体験に挑戦です。


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教えて下さったのは、島源商店の内田さん他スタッフのみなさん。


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「初めはちょっと気持ち悪いと思った」というこどもたち。
でもだんだん夢中になって、次から次へとどんどんアジを開いていきました。
すごいね。

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こちらはもう職人さん?と思えるくらいに手際が良い中学生たち。


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はい、アジのひらき一丁上がり。

なんとこの日はみんなで700枚以上のアジの開きを作りました。
あっぱれ!

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干物教室の後の昼食は、
島源さんがこの日のためにずっと準備をしてきてくれてたソーメン流し。


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流しソーメンをみんな大喜びですくって食べました。


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昼食後は、島源さんのお店のすぐ目の前の海岸で海水浴。
今日も楽しい砂遊び。

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さあ、もうひと泳ぎしてこようっと! バシャバシャバシャ・・・・・



NEWS 大地を守る2013年8月号 放射能に負けない力を。

昨年開催した放射能連続講座は、好評の声とともに多くの継続のご要望をいただき、今年は第Ⅱクールを開催しています。
これまで多彩な講師の方々により、さまざまな角度から貴重な知見が語られました。
大地を守る会の放射能対策特命担当・戎谷徹也によるこれまでの講座の総括とともに、第4回までのエッセンスをお伝えいたします。
正しい理解・適切な対策・健全な食生活のためにお役立てください。
(NEWS 大地を守る編集部)

「大地を守る会の放射能連続講座」から学んだこと

 本連続講座は、昨年6月に第1回を開催して以来、今年7月までに計11回実施しました。大地を守る会会員を対象にしたものですが、一般の方も受け入れています。
 講座を開催した目的は第一に、原発事故から1年が経過した時点での、食品や環境の汚染状況を正確に把握すること。

第二に、その上で日々の暮らしのなかで被ばくを避けるためにできることを整理し、適切な判断力を身に付けること。被ばくのメカニズムやリスクについての知識を獲得するとともに、不明な点の多い将来の健康への影響については、事故から26年を経たチェルノブイリから学びたいと考えました。第三に、身を守るための知識にとどまらず、広範囲に汚染された国土の回復と、安心して暮らせる社会を築くための道筋を探り、できるだけ多くの方々と"希望"を共有したいと願いました。
それは生産と消費のパイプを再生させる道筋にも重なるものでした。

 当初予定した6回で終わらず、第Ⅱクールの開催へと続きましたが、この講座を通じて私たちは実に多くのことを学びました。目的に沿ったポイントを列記すれば―

①放射線や放射性物質について、また身体への影響のメカニズムや基本的な対策のポイント等についての知識を得られたこと。

②食品の汚染は、当初予想したよりはるかに早く低レベルの状態に減少してきていること。一貫して検出されない食品群もあり、汚染メカニズムや放射性セシウムの吸収に関する作物特性なども見えてきたこと。一方で注意すべきもの、継続的なモニタリングが必要なものが抽出(見える化)されてきたこと。

③農産物の測定実績から、改めて土の力を教えられたこと。これは日本の土壌特性だけでなく、農業者が営々と積み重ねてきた土づくりの成果でもあること。

④除染の必要性や進め方についての考え方が得られたこと。

⑤バランスの取れた食生活で免疫力を整えることが、放射線防護の観点からも重要であり、野菜の力と日本型食生活(特に発酵食品)の価値を再認識できたこと。

 ①では、被ばくリスクについての対立する科学的見解を示されながら、私たちは今も、それぞれにどう判断するかというトレーニングを続けているといえます。また③からは、福島の有機農業者たちが知見と技術を駆使して挑んできた対策が、食の安全確保への道筋に希望をもたらしつつあることが示唆されてきています。
講座では、講師の方々によるたくさんの珠玉の言葉が残されました。

 この講座は、放射能汚染から逃れられない時代に生きる上での、道しるべを見つける作業だったともいえます。大地を守る会のHPにてアーカイブを公開していますので、ぜひご確認ください。

(大地を守る会 放射能対策特命担当 戎谷徹也)



エビちゃん日記(ブログ)もご覧ください!






放射能汚染の現状と課題

2月24日
大田区産業プラザPiO
参加者 約50名


内部被ばくの現状、現場からの声

「福島産だから危ない」はもうやめましょう

 国や自治体などから出されたさまざまな放射能汚染データを分析している上田さん。大地を守る会が自主検査した情報もすべて提供しています。そこで得られた知見を紹介しながら、私たちが内部被ばくを防ぐため、どう考え、行動すべきなのかをお話しいただきました。

 講演では参加者の皆さんと一緒にちょっとしたテストを行いました。
子どもに夕食を作るとして、50種類の食材のなかから10品を選び、その放射線数値の合計が何ベクレルになるかというものです。各食材の数値は、これまでに検出された最も高い数値で計算します。結果は、5~10ベクレルの方がほとんどでした。「食材選びなどを少し工夫すれば、食事からの内部被ばくはかなり抑えられる、ということを知ってください」と上田さんは締めくくりました。

 これまでの計測で、"出やすい食材"などもわかってきました。今後は、やみくもに計測するのではなく、「選択と集中が必要だ」と上田さん。さらに、「汚染が長く続きそうなものについては、食品そのものだけでなく、土壌など周辺環境についても調べるべきです。国が責任をもってすすめてほしいですね」と続けます。また、消費者の皆さんに気をつけてほしいこととして、「きちんとデータを見た上で判断してください。福島産だから危ないというのはもうやめましょう」と強く訴えられました。

 上田さんの講演に続いて、大地を守る会の福島の生産者が登壇。稲田稲作研究会の伊藤俊彦さんからは「私たちの放射能対策を、もし世界で原発事故が起きたとき役立てたい。それが支えてもらった者の責任だと思う」。あいづ耕人会たべらんしょの浅見彰宏さんからは「未来の子どもたちに良い環境を引き継ぐためにも耕すことを続けたい」、との思いが語られました。

             
講師:上田昌文さん
NPO法人市民科学研究室代表。
1992年より市民による研究・学習グループを発足させ、科学技術関連の社会問題への取り組みを開始。東京大学「科学技術インタープリター養成プログラム」特任教員等を歴任。著書は『わが子からはじまる原子力と原発きほんのき』(クレヨンハウス)など多数。



めて内部被ばく問題を考える~未来のために正しい知識を~

4月18日
千代田区立日比谷図書文化館
参加者 148名


内部被ばくを防ぐ除染の大切さ

民間や学術機関の先端技術を活用した除染を

 新たな視点で内部被ばくの解明に取り組むゲノム科学の専門家であり、現在も福島の除染活動に積極的にかかわる児玉さんをお招きした第2回。

事故後の放射性物質の流れ、人体への影響、そして除染と管理の問題について話していただきました。

 除染とは、「環境中の放射性物質を隔離して保管し、減衰を待つこと」と定義された児玉さん。家、幼稚園、道路、ダム、森林などの除染や、保管の方法について話され、除染することで内部被ばくの可能性を減らせると主張します。

また、「政府だけでなく、民間や大学などがもつ先端の環境技術を使うべきだ」と持論を展開されました。

 そして、会場からの「今も福島原発からは大量の放射性物質が出ている。除染は無駄ではないか?」という質問に対する答えに、児玉さんの考える除染の大切さが集約されていました。 「今もある程度の放射線量のなかで生活している人が約100万人いらっしゃいます。しかし、この方たちが、新しい場所に移転するのは困難です。その地域で暮らしている人たちにとって、まずは自分の子どもの幼稚園をきれいにしたい、自分の家に入るときに靴の裏に付いている土のセシウムを減らしたい。

これは無駄なことではなく、生きていくための基本的な生存権であり、健康権です。私たち国民は、地元住民が望む除染に対して、積極的に協力していく義務を負っています。汚染された地域をそのままにしていいという議論は、私は間違いだと思います。チェルノブイリでも家族や地域の崩壊が問題となりました。避難は外科手術みたいなもの、除染は内科手術のようなもの。どういう処置が必要なのか、住民が決めるべき問題です。住民が判断して、要請があったら応えてあげるのが、私たちや国の責任だと思います」。


            
講師:児玉龍彦さん
医学博士。
東京大学医学部助手、マサチューセッツ工科大学研究員等を経て、現在、東京大学先端科学技術研究センター教授(システム生物医学分野)、東京大学アイソトープ総合センター長兼任。著書は『フクシマ からはじめる日本の未来』(共著、アスペクト)など多数。



 未来のために、つながりを取り戻そう

5月18日
YMCAアジア青少年センター
参加者49名


チェルノブイリの教え

「忘れない」ことが支援になります
 第3回の講師は、1990年からチェルノブイリで人々の健康回復や土壌除染対策を支援してきた河田昌東さんです。福島では事故直後から調査に入り、各地の生産者を支援しています。

 「チェルノブイリと福島の原発事故は、爆発時までの運転履歴と爆発時の温度が異なりますが、汚染環境下で生きざるを得ない世界の扉を開けたという点では同じです」と河田さんは話します。

 チェルノブイリの教訓として、内部被ばくがもっとも健康に影響を与えることがわかっています。講座では、チェルノブイリの事故から1年後と22年後の被ばく量を比較した調査結果*が紹介されました。

1年後に13・5%だった「食物による内部被ばく」の割合は、22年後には80~95%に増加しています。時間の経過とともに雨によって放射性物質が土に浸透して汚染がすすむと、植物の根から放射性物質が吸収され「汚染の循環」が始まってしまいます。とはいえ、むやみに食物による内部被ばくを恐れるのではなく「正しい事実を知り、正しく怖がろう」と、河田さんは呼びかけます。「汚染環境下で生きるためには、粉じんを吸わない、汚染したものを飲まない・食べないなど、日常生活のなかで被ばくを減らす努力が必要です。正しい情報を得ながら自分の身を守ってください」。

 福島での原発事故が過去のことになりつつある今、「忘れないことが何より大切です」と、河田さん。原発事故や被災者の存在を忘れないことが支援となり、今後の原発事故の抑止につながります。
*調査:ウクライナ国立ジトーミル農業生態学大学のN.ディードフ教授

         
 
講師:河田昌東さん
分子生物学者。NPO法人チェルノブイリ救援・中部理事。在職中は名古屋大学理学部などで教鞭をとる。四日市公害、チェルノブイリや福島の原発事故被災地の支援など、多くの社会運動にかかわる。著書に『チェルノブイリと福島』(緑風出版)など。



食べて克つ!毎日の食生活で免疫力を整える

6月9日
千代田区立日比谷図書文化館
参加者 137名


野菜の力

ファイトケミカルで内部被ばくを防ぐ
 第4回は、麻布医院院長でありファイトケミカル研究家として活躍する高橋弘さんを講師に招き、ファイトケミカルの知識や、内部被ばくから身を守る食習慣について学びました。まず、ファイトケミカルとはどのようなものなのでしょうか。

 「植物が、害虫や紫外線の害、酸化などから身を守るための成分です。人間はつくり出すことができない成分ですが、野菜や果物を摂取することで、活性酸素を除去する抗酸化作用、抗がん作用、免疫力を高める作用といった効果を得ることができます。また、ファイトケミカルの積極的な摂取は、内部被ばくによる発がんリスクの抑制にもつながります」と高橋さんは話します。

 そもそもがんは遺伝子の異常で起こる病気。被ばくによって放射線が遺伝子を構成するDNAに傷をつけると、発がんのリスクが高まります。高橋さんは、「放射線がDNAに与える影響の7割は活性酸素による間接作用といわれます。したがって活性酸素を除去すれば、放射線の影響を7割は防ぐことができます」と力強く話しました。

 健康的な生活の維持だけでなく、発がんリスクの抑制が期待できるファイトケミカル。高橋先生が手軽に摂取する方法を教えてくださいました。「ファイトケミカルは加熱してもほとんど壊れず、また、加熱すると大部分が煮汁に溶け出します。野菜スープであれば、有効成分を無駄なく摂取できますよ。我が家でも毎日飲んでいます」。ファイトケミカルの力を活用した「食の知恵」で、内部被ばくから身を守りましょう。

             

講師:高橋 弘さん
麻布医院院長、ファイトケミカル研究家。前ハーバード大学医学部内科准教授、医療法人社団ヴェリタス・メディカル・パート
ナーズ理事長などを歴任。著書に『ガンにならない3つの食習慣 ファイトケミカルで健康になる』(ソフトバンククリエイティ
ブ)など。


すべての講座が動画で見られます!

終了した第5 回講座までの動画(Ustream)を配信しています。

参加できなかった方は、ぜひご覧ください。

※リンクから、第Ⅰクール(6回分)の動画も見られます。



第Ⅰクール(2012 年)    :   テーマ    :   主な出演者

第1 回 6 月2 日 : 今後の影響をどう予測し、どう心構えをするか : 上田昌文、山本謙治

第2 回 7 月7  : 正しい食事こそ最大の防護  : 石久二雄、鈴木菜央

第3 回 7 月21日 : 測定を市民のために ~陰膳法から学ぶ~  : 早野龍五、津田大介

第4 回 8 月18 日 : 海の汚染を考える : 勝川俊雄、佐々木俊尚

第5 回 9 月15 日 : いのちを生きる ~放射能とたたかい続けた医師からのメッセージ : 肥田舜太郎、吉度日央里

第6 回 10 月6 日 : 低線量内部被曝を考える : 西尾正道、戎谷徹也




大地を守る会の震災復興支援

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