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2014年12月30日

ムハマド・ユヌスさんと北京で対談! 中国出張報告

大地を守る会は、中国のNGO「北京富平学校」と提携して、中国で安全な食べ物を宅配する会社「富平創源」を2012年に設立、2013年より業務が開始されました。主に天津の自社農場で生産された野菜を中心に、4kgの野菜セットを北京の消費者に宅配しています。

これは中国の食の不安を解消し、中国の生産者と消費者の信頼を回復するための運動であり事業であり、日本に中国の食品を輸出するためのものではありません。大地を守る会は、「富平創源」の求めに応じて、40年近くの経験を伝えるため、年に数回農産と物流の専門家を現地に派遣しアドバイスを行っています。

2014年12月中旬、社長の藤田と物流担当の猪狩とともに北京を訪問しました。


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まずは、「富平創源」主催の「生態信頼農業生産者互助交流会」に参加。
これまで中国各地で食の安全にこだわってきた生産者やNGOのメンバーを集めて、経験を共有し、これからどのように連携していけるかを話し合う場です。

「富平創源」では、有機農業という言葉ではなく、「生態信頼農業」という言葉をキーワードにしています。大地を守る会の生産基準をもとにつくられた生産基準に沿ってまず野菜を作り、運び、食べてもらい、作る人と食べる人の「信頼」を回復させようというものです。これから扱う品目を増やすためにも、同じ志を持った者たちとの連携が必要です。

もともとの農民ではなく、都市部から農村部へ新規就農した若者たちが多い集会でした。日本では知られていない中国の新しい動きではないでしょうか。日本とは異なる農業事情でも思いは同じです。


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「富平創源」の董事会の様子です。董事会とは日本でいうと取締役会のようなものですが、出資者へこの一年の業績報告と来年度の事業計画報告をします。

すでに中国でも有機農産物や有機食品は一般的ですが、それが本物かどうかという点で信頼がされていません。そこに「信頼」を付加していこうという新しい事業なので、試行錯誤の1年でした。
予定していた利益は出ませんでしたが、新しい事業計画の下、頑張っていこうと全員で意思を確認しました。


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北京大学で行われたムハマド・ユヌスさんとの対談会に当社社長藤田和芳(右から二人目)が招かれました。ユヌスさんは、バングラディシュの農村で少額融資を始め、貧困問題の新しい解決策を提案した方です。壇上では藤田も大地を守る会の経験をアピール。グラミン銀行に触発された「互恵のためのアジア民衆基金」も紹介しました。


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ユヌスさんと藤田。あわただしい中での意見交換でした。ユヌスさんはノーベル平和賞を受賞され、今や有名人ですが気軽に学生の質問にも答えていました。



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ところ変わって、「富平創源」の野菜の加工場です。物流のコンサルタント開始です。野菜を一つずつ検品して丁寧にラッピングしていました。日本ではしないような包装もありますが、中国では高級食材としては一般的です。担当の猪狩が衛生状態の向上、作業効率向上などをアドバイス。


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次は、新しい配送センターを訪問。これが配送車です。北京では規制が厳しく、大型車両が市内中心部に入れません。そこでこのような小型の車両で宅配を行います。訪問時すでに気温は零下なので商品が凍らないように注意する必要がありますが、暑い夏よりは楽なようです。今年の夏はなんとか保冷対策ができましたが、さらに高レベルの配送を目指してアドバイスを行いました。



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「富平創源」のスタッフに物流の基礎を伝えています。


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説明中の猪狩。「富平創源」のスタッフにもわかりやすい説明です。日本と中国ではビジネス環境や人の意識が異なるので、スタッフが理解できてもなかなか教えた通りにはいかないのが難しいところ。しかし確実に進化はしているので2015年はよりよい宅配サービスが提供できるでしょう。

以上、中国事業の一部をご紹介致しました。

(中国プロジェクト 豊島)




2014年9月 9日

DAFDAF基金パキスタン支援 発電機編


夏休みをとって8月下旬にパキスタンに行ってきました。
7月29日付でDAFDAF基金から645,361円(626,000パキスタンルピー)をパキスタンのスラムの学校アルカイール・アカデミー(NPO法人JFSA経由)に送りました。これはパキスタンのスラムの学校に発電機と扇風機を送るためのものです。今回はその発電機がどのようになっているか確認をしてきました。

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大地を守る会はNPO法人JFSAを通して古着を回収させていただいていますが、その古着はカラチ市で販売されてこのアルカイール・アカデミーの運営資金に充てられています。この学校は、アルカイール・アカデミーのカチラクンディ校舎。カラチ市の北、ごみ捨て場のまん中にあります。後ろに見える煙はゴミを燃やしているところです。灰の中から金属類を拾って業者に販売するのがこの住民の仕事。医療ごみや産業廃棄物から家畜の死骸までありとあらゆるゴミが運ばれているため、煙は有毒物を含んでいます。薄いサンダルだと釘を踏みぬきそうでヒヤヒヤします。住民はこの学校の周辺に廃材で作った家に住んでいます。このゴミ捨て場には牛やヤギも放牧されていて、ゴミを食べています。住むにはあまりにも過酷な場所のため初めて見る人は絶句するかもしれません。

30分もいると煙で目がチカチカしてきます。痩せた犬もたくさん徘徊していてかなりの危険地帯。ここの住人に「教育」という考え方はありませんでしたが、校長のムザヒルさんの信念により建てられました。全ての人は教育を受け、自分で考え自分の意見を述べるべきである。世の中を変えるには一人ひとりが変わらなければならない、というもの。確かにその通りだと思いますが、実行するところがすごい人です。

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この学校には現在280人ほどの生徒、12名の先生、巡回のドクターがいます。酷暑期は過ぎていましたが、40度近くはあり、熱中症で倒れる子どもたちもいるので扇風機が設置されるのは画期的です。もともと電気がないところなので初めて扇風機をみる子どももいます。


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先生のノートにはハエがたくさんたかっていました。子どもたちの目や口にもびっしりとたかっていますが、追い払うのも面倒な暑さです。


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会員の皆さんからお預かりしたDAFDAF基金で購入した発電機です。校舎の横に置いて試運転をしていました。小さいと思われるかもしれませんが、これで15の教室の電灯と扇風機に電気を送ることができます。この発電機代と数カ月分の燃料代が今回の寄付で賄われます。太陽光発電も検討しましたが、コストと設置時間を考えてこの発電機に決定しました。

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まずは保健室に通電。頭上の扇風機が回っています。各クラスにこのような天井から吊るす扇風機を設置します。巡回のドクターが不在なのでカチラクンディ校の代表の先生にモデルになってもらいました。

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こちらはクラス内で通電確認。風が吹くことで体感温度が下がるほか、ハエを追い払えるということも大きな効果です。以前より増して集中して授業を受けることができるとのことです。


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こちらは7月にNPO法人JFSAが送り出した古着のコンテナが到着したところです。約一か月の航海を経てカラチに到着しました。古着は業者の倉庫に運ばれ、㎏あたりいくらで買い取られます。

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この古着のかたまりは、50㎏の古着を種類別に圧縮して包装したものです。いつもは100㎏の荷物を担ぐという荷役労働者にとっては軽いとのことですが、400個以上も少人数で運ぶのは重労働。今回は3-4人の方が運んでくれました。コンテナの奥で手伝っているのはJFSAの航太郎さんです。JFSAは自ら身体を動かすマッチョなNGO。私も少し手伝いましたがすぐにバテました。


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倉庫にはこんな風に積み込まれていきます。古着は隣国アフガニスタンやイランなどへも売られていくそうです。価格交渉はこれから。古着の回収について説明し、高く買ってくれるよう私からもお願いしました。


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場所は変わって内陸部のダドゥという町の郊外。2010年の大洪水のとき大地を守る会も支援をした村です。緊急的な支援は終わっていますが、農民への支援は続いていて、今後どうするか農民たちと意見を交換しました。ここはかなり暑くて40度を軽く超えていました。

暑くて熱いパキスタンでした。新しい情報が入りましたらまたお知らせします。

国際局
豊島 洋







2014年5月15日

DAFDAF基金ミャンマー支援


DAFDAF基金で支援をしているミャンマーの農場に行ってきました!

2014年2月から3月にかけて会員の皆さんから募金していただいた支援金1,080,000円(336,960タイバーツへ両替)を4月24日農場長のドナルドさんに直接届けました!

この支援金は、予定通りセミナーハウスの建設の建設費用に充てられます。

ミャンマーは現在自由化が進んでおり、人を集めてワークショップをすることが可能になりました。それまではわずか数人でも集まると解散を命じられていましたが、今では反政府的な活動でない限り、集会を開くことができます。これまで大きなテントをレンタルして使用してきましたが、そのための経費が大きな負担となっていました。そこで恒久的な建物を建てることにし、会員の皆さんから支援金を募らせていただきました。

主に、有機農業の技術、地球温暖化や遺伝子組み換え作物の知識の共有、健康管理のための衛生学、食育、農民で作る互助組合などの講習会を行う予定です。




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農場全景 現在は利益率の高い畜産に力を入れているため、野菜の栽培はこれからです。


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農場長のドナルドさんです。後ろは農場内の建設予定地。すでに建設が始まっていました。
建設完了は11月の予定。仲間を集めての手作りとなります。


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現在は200羽の鶏を鶏舎内で飼っています。鶏は在来種なので色はまちまち。有精卵なので手製の孵卵器でヒヨコに孵してもいます。ヒヨコの販売、卵の販売、肉どりの販売が農場の大きな収入源。


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豚も大きな収入源です。現在17匹の豚を飼っています。子豚を農家に貸して子豚を産んだら返してもらうという豚バンクも行っています。豚バンクは畜産振興の活動なので収入はありません。


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農場内には大きな池もあり、魚も飼っています。鯉、ナマズ、雷魚、ティラピアなど。餌は豚の糞を利用しているので餌代はかかりません。


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農場内の電源は全てこの太陽電池で賄っています。といっても卵の孵卵器、物置や居住区の電気のみです。電気のないエコ暮らしがしたい人はココに来るべし。
日本で有機農業、循環型農業を学んだことがあるドナルドさんはミャンマーでは貴重な存在です。


現地から続報が入りましたら、お知らせします。


以下 ミャンマー番外編です。

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ドナルドさんはラフ族ですが、もともとは中国雲南省から移り住んだ少数民族です。ラフ族にはクリスチャンがたくさんおり、シャン州の山奥にはこのような立派な教会が建っています。19世紀にアメリカの宣教師が中国に布教したことが始まりとか。キリスト教繋がりで、欧米との交流もあります。


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こちらは大英帝国の植民地だったころに建てられたレンガ造りの建物。1918年ごろルーベル大佐の居住用として建てられたという説明がありました。ここは、ロイモイという場所ですがこのようなレンガ造りの建物が多く山中に散在しています。多くは兵舎だったようですが、現在はいくつかが復元され、ミャンマー軍によって使われています。一時期日本軍に接収されたという話も聞きました。

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同じ植民地時代のインドの1ルピー銀貨。現在でも主に山に住む少数民族によって使用されています。ミャンマーの通貨よりも100年前の銀貨が信用されています。アヘンの取引にも使われるという物騒な話も聞きました。4月のレートは銀貨1枚で9000チャット。(約900円)チェイントンの市場で購入。


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チェイントン市の市場。野菜、果物、コメ、肉、魚、雑貨、衣類など生活物資が豊富に売られています。


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食卓に並んだこの一皿はセミの揚げ物。羽根は取られています。サクサクした食感が食欲をそそります(そそりませんか?)。 ビールによく合いそうですが、現地の人はご飯に混ぜて食べていました。


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最後は、ミャンマーにも同行してくれたタイ在住のダイエーさん(左)を紹介します。同じラフ族で大地を守る会とは長いおつきあい。かつてタイツアーではお世話になりました。農場経営の傍らチェンマイで写真のコーヒーショップを営業中です。タイ北部では国をあげてコーヒーの栽培を奨励しています。ダイエーさんも少数民族のためにコーヒー栽培に取り組んでいます。

国際局
豊島 洋








2014年2月 5日

【「バナナと日本人」 その後】 セミナーのお知らせ

1982年人類学者である鶴見良行さんが、著書「バナナと日本人」でバナナという食べ物から東南アジアと日本人の関係性を明らかにしてから30年以上経ちました。その後の状況はどうなっているのでしょうか。

バランゴンバナナという在来種のバナナを民衆交易してきた(株)オルター・トレード・ジャパンが、セミナーを開催します。

フェアトレード、海外とのお付き合いの仕方に興味のある方、是非ご参加ください。

申し込みは、直接下記の【お申し込み先】からどうぞ!

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以下ATJさんからの情報です。

====================================
セミナー「『バナナと日本人』その後」-私たちはいかにバナナと向き合うのか?

私たち日本人が日常的に消費している多くの食料が海外で生産されています。
産地と私たちの食卓がどうつながっているか、バナナを通じて追求した鶴見良
行著『バナナと日本人』が世に出てから30余年となります。バナナ農園で働く労
働者の人権や健康、産地の環境を傷付けながら、多国籍企業によって日本市場で
安く流通しているフィリピン産バナナの実態を調査した労作です。

一方、日本の消費者がフィリピンの小規模農民の自立を応援し、安全・安心なバ
ナナを手にできる仕組みとしてバランゴンバナナの民衆交易が始まって25年。

今、状況はどうなっているのでしょうか。(株)オルター・トレード・ジャパン
(ATJ)とNPO法人APLA(あぷら)は3年間の予定でフィリピンバナナの調査を始
めます。
http://altertrade.jp/alternatives/balangon_research

2月に実施するミンダナオ島での予備調査結果をもとに、現在のバナナの生産か
ら流通・消費までの全体像はどう描けるのか、また、家族農業の視点からバラン
ゴンバナナの民衆交易の意義を考えるセミナーを開催します。

バナナを通じて私たちにできることは何か、皆で考えたいと思います。是非ご参
加ください。

【プログラム】
・フィリピン・プランテーションバナナと日本におけるバナナの流通・消費
・ミンダナオ島で小規模農民支援、プランテーション問題に取り組むNGO、ドン
ボスコ持続開発財団の活動について
・家族農業の視点からバランゴンバナナの民衆交易を考える、他

【発表者】
○市橋秀夫氏(埼玉大学教養学部教員)
専門はイギリス近現代社会史研究。イギリスのフェアトレード文献の翻訳や、そ
の歴史的変遷の調査などを行なう。2009年以降、バランゴンバナナ生産者の調査
に断続的に関わっている。

○関根佳恵氏(立教大学経済学部教員)
専門は農業経済学。バナナ・ビジネス大手の多国籍企業ドール社の事業について
調査・研究を行う。2013年に国連世界食料安全保障委員会の専門家ハイレベル・
パネルに参加し、報告書『食料保障のための小規模農業への投資』を分担執筆。

【日時】2014年3月16日(日)14:00-17:00(13:30開場)

【会場】立教大学池袋キャンパス8号館8201教室
東京都豊島区西池袋3-34-1

池袋キャンパスへのアクセス
JR各線・東武東上線・西武池袋線・東京メトロ丸ノ内線/有楽町線/副都心線「池袋駅」下車。西口より徒歩約7分。
http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/direction/

構内案内図
http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/_asset/pdf/img-campusmap_ike.pdf

【参加費】600円(資料代)

【主催】
(株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ) http://altertrade.jp/
 NPO法人APLA(あぷら) http://www.apla.jp/

【お申し込み先】
参加ご希望の方は、申し込みフォーム(http://altertrade.jp/bananato)から
お申込みください。

できるだけ事前にお申し込みください(当日参加も可能です)。

【お問い合わせ先】
(株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ)企画本部政策室 担当:小林
TEL:03-5273-8176 E-Mail:pr@altertrade.co.jp




2013年10月17日

大地を守る映画祭/顔の見えるエネルギープランコンペ報告会を開催!

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9月28日に、日比谷図書文化館にて「大地を守る映画祭」と称して、自然エネルギーに関連した映画の上映と「大地を守る会 顔の見えるエネルギープランコンペ」の報告会を行いました。

第一部では、『パワー・トゥー・ザ・ピープル』『シェーナウの想い』など、自然エネルギーがテーマの映画を2つ上映し、32名にご参加いただきました。

第二部で上映した『カンタ!ティモール』も、背景には、日本も含めて石油・天然ガスなどのエネルギー問題の絡む映画です。こちらも41名が参加し、第一部と合わせ述べ73名の方にご参加いただきました。


●プログラム
・『パワー・トゥ・ザ・ピープル』(49分)
・『シェーナウの想い』(60分)
・『カンタ!ティモール』(110分)
・「大地を守る会 顔の見えるエネルギープランコンペ」報告会



第一部:『パワー・トゥー・ザ・ピープル』『シェーナウの想い』

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『パワー・トゥ・ザ・ピープル』

オランダで再生可能エネルギー普及に取り組む活動家や、10年かけてデンマーク・サムソ島の100%クリーンエネルギー化を実現したソーレン・ハーマンセンの取り組みなどを紹介する、私たちに勇気や力を与えてくれる、明るいビジョンに満ちあふれた映画でした。

各国でローカルの力を生かしてエネルギーを自分たちの手に取り戻そうとしている様子には勇気づけられます。この映画を観て、農業には大量のエネルギーを必要とするからこそ、自然エネルギーを使った農業を行うことができれば、大規模なエネルギーの転換ができる!と改めて感じました。

●映画紹介サイト









『シェーナウの想い』

ドイツ南西部・黒い森のなかにある小さなまち、シェーナウ市。チェルノブイリ原発事故をきっかけに「自然エネルギー社会を子どもたちに」という想いから、ドイツ史上初の「市民の市民による市民のための」電力供給会社を誕生させるまでの軌跡を綴るドキュメンタリーです。

この映画の主人公たちは、父の目線、母の目線、その地域で暮らす人の目線で、地道ながら力強く、省エネの普及啓発、電力会社への交渉、公開討論会などを重ね、ついに送電線を買い取り、自分たちの電力会社を作るに至ります。今では13万世帯の顧客がいて、今も増え続けています。ひとりひとりの行動が社会を変えるということを明快に示してくれるシェーナウの彼ら。とても大きな勇気をもらいました。

●映画紹介サイト



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第二部:『カンタ!ティモール』

舞台は南海に浮かぶ神々の島、ティモール。
ひとつの歌から始まった運命の旅が、音楽あふれるドキュメンタリー映画となり
ました。当時23歳だった日本人女性監督は人びととの暮らしのなかで現地語を
学び、彼らの歌に隠された本当の意味にふれていきます。

24年間に及ぶインドネシア侵略の中、東ティモールの人々が失わなかったものは。
「神々の住む島」で果たされた彼らの「独立」は国家としての「独立」以上の
意味があると感じます。
日本と東ティモールの関係を考える時、それは私たちの暮らしそのものへの
問いかけとなり、私たちを照らすように感じました。

●映画紹介サイト









■「大地を守る会 顔の見えるエネルギープランコンペ」報告会

大地を守る会が、生産者2500名に呼びかけて、
自然エネルギーの導入促進のために行っているビジネスプランコンペです。

当日は、支援先となっている「スタジオikb/藤野電力」「大和川酒造店」「祝島市場」の
取り組み経過について、スライドでご紹介しました。

●「大地を守る会 顔の見えるエネルギープランコンペ」紹介サイト

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■参加した皆さんからも、たくさんの好評のお声をいただきました。

・「小さな単位での変化がこれからの社会に必要と感じた」
・「日本でもやらなければと思います」
・「希望を持てた。自分ができることを始めていきたい」

他にも映画やコンペ報告会に対して、温かいコメントをたくさん頂きました。
微力ではありますが、自然エネルギーの推進など、これからも取り組んでいきたいと思います。

(大地を守る会 顔の見えるエネルギープランコンペ事務局 栗本)


2013年9月 3日

NEWS 大地を守る2013年9月号 有機農業から世界を変える!

中国で始まった若者たちの挑戦

有機農業から世界を変える!

天津市に開校した農民学院に集まった学生8名。大学で農業を学んだ者、別の分野で働いていた者とそれぞれ異なるが、有機農業で自立したい、安全な食べものを作り社会に貢献したいという気持ちに変わりはありません。紋切り型の報道からは見えてこない新しい世代が育ちつつあります。

現在、中国では都市と農村部の経済格差が進行するとともに、ほとんどの消費者が「食の安全、安心」について不安を感じているといいます。株式会社大地を守る会は、中国農村部の貧困問題に取り組むNGO「北京富フー平ピン学校」と提携して、北京で安全な食べものの宅配事業を立ち上げました。中国に、安全で信頼できる農業を広げることは、食の問題や農業、環境の問題を解決する一助になり得るだろうと、協力を決定しました。
(広報国際課 豊島洋)

中国が変われば世界が変わる

 中国は世界の人口の5分の1を抱える大国。この国の農業政策、環境政策が世界に与える影響は大きなものです。食べものの問題は生存の問題であり、奪い合えば対立がおきます。食料を自給できる国は、安易に他国から輸入しようとしないで自給する道を選択してほしい。日本では残念ながらそのことができていません。

 私たちの活動は、日本でも自給しようとすれば自給できるというモデルを作り、それを社会に示すことでした。食料を自給するためには、持続可能な生産方法、農民の地位の向上、消費者からの支持獲得などクリアしなければならない問題がたくさんあります。その活動を続けてきた私たちの35年以上の経験を中国に伝えることは意味のあることであろう、というのが今回の提携の理由です。中国が変われば世界が変わると考えたからです。

      2:                 1:

1:大地を守る会の藤田和芳社長の著書「ダイコン一本からの革命」中国語版が出版され、北京で記念講演が
   行われました。一般の消費者はもちろん有機農業関係者も多く集まり、意見交換が活発に行われました。
2:中国では食の問題は大きな関心事。現地の新聞に取り上げられるなど、大地を守る会の活動は注目されて
   います。

2:    1: 

1上: ハウス外観。日本のハウスと比べると巨大。内部の耕作面積は約10アール(1,000平方メートル)
       あります。無加温でも暖かいエコロジカルな施設です。30 棟借りているので、すべて稼働すれば相当量の
      作物が採れますが、土づくりがまず最初。
1下:ハウス入口(内側)は、塹壕(ざんごう)のようです。ハウスの片側はレンガや土を積み上げて壁となり、
      鉄のパイプを反対側に渡してビニールを張るかまぼこ型。立っているのは大地を守る会生産者のもとで研修を
      積んだ陳さん。技術指導を行っています。
2: 宅配物を受け取る場合、注文品が間違っていないか、傷みはないかをその場で、消費者と配送スタッフが
     お互いに確認します。留め置きは基本的にしません。


             
    最初の一歩は土を耕すことから

 2012年12月、北京市の南東に位置する、天津市に広がる広大な農地の一角。日本のものと比べるとはるかに大型のハウスのなかで、若者たちがスコップの先に体重を乗せて固い土を掘り返し始めました。地元の人々の力も借りて急ピッチで開墾が進められます。外は、土も凍る零下の世界。新しく建設されたこのハウスで、これから大地を守る会の基準に沿った野菜を作り、宅配事業を始めるために力を合わせて作業が始まりました。

異文化の壁を乗り越える

 準備は3年前からスタートしました。富平スタッフは、大地を守る会での研修を行い、有機農業運動の背景にある哲学的な考え方、さらに安心安全な野菜の作り方から、届け方までを学びました。言葉も習慣も異なるため、日本人の間では一瞬で伝わることもなかなか伝わらず激論となることもしばしば。大地を守る会の生産基準の翻訳や中国の事情に合わせた変更とその合理的な理由の確認、有機栽培が可能な農地の確保と土壌検査、現地の農業指導者の確保、流通経路の確保、そして合弁会社の設立などなど、何もかも初めてのことです。会社名は「北京富平創源農業科技発展有限責任公司(通称、富平創源)」となりました。

 日本と中国で最も大きく異なることは、農業形態の違い。日本では個人の農家が自分の農地を所有し独自の農法で栽培しますが、中国では農地は集団の所有で、指導者の指示により多数の人々が耕作する方法が一般的。中国では個人経営の農家は少数派です。まずは自分たちで安全な食べものを作ろう、と天津市のハウスで土づくりが始まったのです。

      

左:朝6時の点呼ののち各作業場に向けて出発。日本にはないタイプの車です。
     荷台に人と作業道具を乗せてポンポンと走ります。
中央:中華料理で炒めものによくつかわれるパプリカやピーマンが人気。青い服は作業服です。


 農民を育てるための学校を作ろう

 もともとこの事業は、安全な食べものを届けるだけではなく、農民の自立や環境改善という目的もあります。そこで自立した農民になるための学校「農民学院」を設立。有機栽培の技術を習得できるだけではなく、有機農業、環境保護の哲学をも学べる学校です。現在学院に集まった若者は8名。中国の農業を変えたい、安全な食べものを届けたいと集まった若者たちです。

 彼らの指導にあたるのは現地で有機農業に取り組んできたベテラン技術者1名、さらに大地を守る会の生産者のもとで3年間研修を受けた経験を持つ若者も加わりました。そして大地を守る会からは、35年以上有機農業業界に身をおく長谷川満、ベテラン農産・物流スタッフの市川泰仙や猪狩篤が年に数回現地で指導にあたっています。
 農地が広大なため、地元の農家約20名に農作業を手伝っていただいています。もちろん彼らにも農民学院の一員として有機農業を理解していただき、自立支援も行います。


7月下旬時点では、秋作の野菜の苗が育てられていました。
トマト、ナス、ピーマン、きゅうり、キャベツ、瓜、苦瓜、豆類、大根、白菜、ほうれん草などの野菜が栽培されます。















右上:日本ではあまり見かけない、尖った
        辛いピーマン。


 
左上:農業学院のファンファンファン君。
       「朝早くから夜遅くまで農作業が
      続くけれどとても充実しています。
      将来は農民として生きていきたい」。



下:ハウス内で作物を前に打ち合わせ。
    北京のスタッフと農場スタッフが野菜の
    育ち具合と出荷の調整をします。








信用とはお互いを知ること

 いったい何を信用したらよいのか。中国で食べものを選ぶとき、誰もが迷うといいます。北京や上海などでは、すでに多くの有機農産物の宅配業者が自らをアピールしています。信頼の根拠は「有機認証」。しかし有機認証のラベルまでもが売買されるので信頼できないという声も聞きます。大地を守る会では独自の生産基準を定めています。有機基準とは異なりますが、消費者への安全性を確保しながら生産者がより高い安全性を目指すための基準です。そして絶対にウソはつかないという関係性を築くことも大切にしています。

大地を守る会の生産者には有機認証を受けている方も、あえて受けていない方もいますが、大地を守る会の基準はクリアしています。担当社員による二者認証と、それを第三者によって担保する第三者認証。富平創源は大地を守る会の方法をモデルにしていきます。作る人と食べる人の信頼関係を築くのは、お互いを知ることから。大地を守る会の社員も、北京に駐在し支援を行っています。各種交流イベントや料理教室など、続々企画中です。
 配送は5月から開始されましたが、野菜の調整が難しいため、現在は4㎏の野菜セットのみ、500軒程度の家庭へテスト配送中です。野菜の栽培と配送の状況が安定次第、一般の方々にも販売する予定です。

 
左:収穫された野菜は、何度も検品されていねいに包装されたのち、宅配箱に箱詰めされます。
右:農場ツアーを企画し、消費者に栽培方法を確認してもらっています。
     写真は訪中時の大地を守る会スタッフ長谷川が質問に答えている様子。


 
左:北京にある事務所。若い女性が多いのが特徴です。北京のあちこちで出会うNGOも女性が優勢。
      社会を変える力は女性が担っているようです。
右: 北京市内数カ所で行われる青空市、有機農産物市に定期的に参加。
      野菜を販売しています。安全な食べものを求める人は多い。
円: 北京は車両の規制が厳しく大型車は路地に入ることができません。
      宅配はこのような三輪車で行われています。





富平創源(フーピンソウゲン)からのメッセージ

大地を守る会の35年以上の活動に触発されました。
現在中国が直面している食の安全の問題は、有機認証だけでは解決できません。お互いの信頼を取り戻すことがなにより大切。新しい農業のあり方のモデルになりたいと思っています。この事業が本当の日中の懸け橋になることを確信しています。

富平創源社長 沈東曙(シェンドンシュ)さん





NEWS 大地を守る2013年9月号 GLOBAL REPORTS


写真左:学前の学力テストを受ける男の子。学力によりクラスが決まります。何度も先生に質問しながら回答していました。
     学びたいという強い気持ちが伝わってきます。
写真右:集められた古着は品目ごとに分けられた後、50キロのベールに圧縮されてパキスタンに送られます。
     写真はベールをパキスタン向けのコンテナに積み込みをしているところ。JFSAの活動に賛同したボランティアの皆さんです。


古着で学校支援!

 大地を守る会では、衣類のリサイクルを通してパキスタンの子どもたちを支援するNPO法人JFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)の活動に賛同し、会員の皆さんに古着の回収を呼びかけています。JFSAは1998年から、パキスタンのカラチ市のスラムにある学校アルカイール・アカデミーを支援するために古着を回収しています。選別した古着をパキスタンに送り、現地で販売し、その売上を学校運営の資金に充てています。


義務教育のない国

 パキスタンには義務教育制度がありません。もちろん学校はありますが、通う義務はありません。パキスタンは階級社会のため、それぞれの階級によって通う学校が決まります。富裕層の子どもは高額で質の高い私立学校へ、下層の子どもたちは家族を助けるため、仕事に就く子どもがほとんどです。親もそれが当然のことと考えています。安い公立学校もありますが、先生が副業に専念して不在などの理由で、学ぶには不向きな場合が多いのです。がんばれば豊かな暮らしが手に入るということはまずありません。長い歴史のなかでそれが自然なことと考えられてきたからです。


それでも教育は大切

 アルカイール・アカデミーは、1987年にムザヒル校長先生が10人の生徒から始めた私立学校です。学費は無料、学科は宗教に偏らず広い知識と考える力が付くように組まれています。スラムの子どもたちにも教育を受ける機会を与え、自分で考える人が育てば社会も変わる、という考えを基本にムザヒル先生はスラムの人々に呼びかけてきました。アカデミーの子どもたちは現在3,000名を超えるまで大きくなりました。かつての生徒だった子どもが親となり、その子どもたちが通い始めています。地域の意識は確実に変わってきました。一方で、毎年何百人もの子どもたちが入学できないのも事実です。その理由は学校運営予算が不足しているからです。予算の半分以上は国内の寄付に頼っていますが、不安定なものです。皆さんの古着から得られる売上は大きな力となっています。古着の回収にぜひご協力ください。
 


2013年7月 1日

NEWS 大地を守る2013年7月号 GLOBAL REPORTS

収穫間近のミニトマト。北京の消費者の方を招いて試食したところ、スーパーのものより甘いと好評でした。
大地を守る会の農産担当・長谷川満取締役の指導にも熱が入ります。





キュウリ、ズッキーニ、トマト、絹さや、レタス、ホウレン草などが入った野菜セット。
週1回、北京市内にお届けしています。







大地を守る会が全面協力している中国での宅配事業がプレスタートしました。

宅配の概要と現地の様子をお伝えします。(広報国際課 高橋哲)



5月7日、北京市内で試験配送開始

北京富平(フーピン)学校はマイクロクレジット(少額融資)や家政婦養成学校などを通じて、中国の農村貧困問題

に取り組んでいるNGOです。富平学校と当社が出資する合弁会社・富平創源が立ち上がって早や半年。ようやく

天津市郊外にある自社農場で野菜の収穫が始まり、5月7日より北京市内で試験的に配送をスタートしました。

野菜は、大地を守る会の生産基準を参考に、中国の有機・減農薬基準がクリアできるように、できるだけ農薬を

使わずに栽培(大地を守る会と同様、原則的に葉物類は農薬不使用)。4kg相当の野菜セットを毎週火、木、

土曜日のいずれか1回、ご家庭までお届けします。


正式スタートまで最後の詰め

7月の正式スタートに向けて、大地を守る会の社員も現地に入り、中国人スタッフと現在最後の詰めをすすめてい

ます。畑の状態、野菜の品質、物流のインフラなど大地を守る会と比べるとまだまだ改善の余地が多くあります

が、作る人、食べる人が信頼で結ばれるよう、安全でおいしい野菜を育てお客さまにお届けする第一歩を今まさに

踏み出そうとしています。




2013年6月 3日

NEWS 大地を守る2013年6月号 GLOBAL REPORTS

エコシュリンプの新加工場が完成!

インドネシアで紡ぐ

フェアトレードの新たな物語

インドネシアのスラバヤ郊外シドアルジョで、エコシュリンプの新加工場(PT. Alter Trade Indonesia社(ATINA社))が完成しました。自然が育てる養殖エビに取り組んで20年。その歴史を振り返りながら現状を報告します。
(広報・国際課 豊島洋)








エビによく使われる黒変防止剤や保水剤などを使用せず、一度凍結したら解凍、再凍結はしません。鮮度が命。殻むき一つをとっても熟練した技術が必要です。








スラバヤ郊外シドアルジョの養殖池。
産地はほかに近郊のグレシック、スラウェシ島にもあり、合計3カ所です。
シドアルジョではプラヤンと呼ばれる竹かご(写真のもの)で収獲されます。





エコシュリンプってなに?

 かつての高級食材であったエビは、1961 年の輸入自由化以降、輸入量が急増し大衆食材の一つになりました。その多くは東南アジアから輸入され、乱獲による漁場の荒廃、養殖場の乱立による自然環境の破壊につながってきました。1992 年、(株)オルター・トレード・ジャパン(以下、ATJ)は、自然にまかせ、環境に負荷を与えない粗放型養殖をする生産者と出会い、生協などとともに取り扱いを始めたエビをエコシュリンプと呼んでいます。



エコシュリンプはブラックタイガーという種類。
自然の力で大きく育ちます。
池のほとりで食べた獲れたてのエビは美味でした。
皆さんにお届けするエビは冷凍した状態ですが、
おいしさは変わりません。
できるだけ鮮度を損なわずお届けいたします。






貴重な粗放型養殖

 養殖と聞くと、人工飼料や抗生物質などを多用するものを想像しますが、粗放型養殖はまったく異なります。300 年以上前からジャワ島に伝わる魚(ミルクフィッシュ)の養殖法とエビの習性に合わせた飼い方を組み合わせることにより、薬剤や人工的な飼料を一切与えることなく、自然のままで養殖できる方法です。

広々とした養殖池は海水と淡水が混じる汽水に満ち、魚やエビ、カニなどが共生しています。放流された稚エビは、水草が発酵して発生したプランクトンや虫を食べて大きくなります。エビの収獲は海水の干満を利用した仕掛けや網などを使い、収獲後できるだけ素早く氷で締められ、収獲日時、場所、収獲者を記載したカードとともに封印され加工場まで運ばれます。


新加工場が完成

 3月24日に開所式を迎えたエコシュリンプの加工場は、以前にも増してより安全で衛生的な加工場となっていました。ハセップ(HACCP)の管理手法を採用し、日本の食品加工場同様の衛生基準を満たしています。

さらに排水にも気を使い、BMW(バクテリア・ミネラル・ウォーター)技術を取り入れています。BMW技術とは、自然の自浄作用をモデルにバランスよく微生物を活性化し、生き物にとって「よい水」「よい土」を作り出す技術です。工場で働く人びとの労働意欲も高く、チームワークも良い職場となっています。自分たちの仕事が全体のどの部分を担っているのかを認識すること、安定した収入と良いコミュニケーションにより、働きやすい職場であることが感じられました。エビを育てる人、運ぶ人、加工する人、それぞれ責任感を持ってエビを扱うこのシステムが、何ごとものんびりしたインドネシアで実現できたことは20 年間にわたる試行錯誤の賜物と思われました。信頼なくして成り立たない安全性は日本と変わりません。


村井吉敬先生のご遺志をついで

 ATJの母体であるAPLA(あぷら、旧日本ネグロス・キャンペーン委員会)の共同代表、村井吉敬先生が3月23日に永眠されました。村井先生は、エコシュリンプの取り扱いのきっかけをつくってくれた方です。『エビと日本人』その他の著作で、日本と東南アジアの関係を明らかにし、新しい関係づくりを提案された村井先生のご遺志を継ぎ、開所式では全員が黙とうを捧げ、ご冥福を祈りました。よりおいしくより安全なエビを届けること、さらに現地の人々の生活に寄与し、自然環境を守る生産と流通のあり方を考えること。現地で各担当者と話をして、これからもこの模索は続いていくことを実感しました。





エビは手でも収獲されます。
腰をかがめて底を探ると、エビが驚いて水面高く跳ねますが、
熟練者は後ろに逃げるエビを上手に捕まえます。
薬剤漬けの養殖池では見られない風景です。



2013年4月 1日

NEWS 大地を守る2013年4月号 GLOBAL REPORTS

平和の象徴オリーブの苗木をパレスチナに送ろう!
 
スマイルオリーブ基金 経過報告

オリーブの苗木はこの丘陵地に植えられます。乾燥した岩だらけの荒地に数千年の間オリーブの木が育てられてきましたが、イスラエルの入植地である町が次々と周囲に建設され、状況は厳しくなっています。

大地を守る会で取り扱っている「オリーブオイル(パレスチナ自治区産)」は、

イスラエルによる占領化が進むパレスチナ自治区で生産されています。

オリーブオイルを購入していただくたびに支援につながる「スマイルオリーブ基金」の経過報告です。

(広報国際課 豊島洋)



農民、市長、ボランティアが参加して植樹を行いました。
日本からの支援による植林ということでパレスチナの
新聞でも報道されました。


パレスチナにオリーブの苗木を送ろう            

 昨年10月からスタートした「スマイルオリーブ基金」。

オリーブオイルの販売額から会員の皆さま、販売元の(株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ)、

(株)大地を守る会の三者がそれぞれ8 円ずつ負担して合計24円を基金に充て、オリーブの苗木を

購入するものです。

昨年10月から今年1月にかけて集まった基金は207,372 円となりました(一口500 円の支援金も

含む)。すでに現地の農業団体に渡され、オリーブの苗木の購入・配布が始まっています。



困難な地域に支援先を決定

 今回の支援対象地域は、パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区)北部のナブルス行政区域に位置する、

人口約9,000 人の町アクラバ村です。この村はオリーブの産地でもありますが、もともと西岸地区第二の

小麦産地として知られていました。1967 年の第三次中東戦争以後、面積の80%がイスラエルにより占領

されてしまい、次々とイスラエルの入植地と軍事基地が作られました。現在そのほとんどの場所でイスラ

エルが行政権・軍事権を持ち、ヨルダン川西岸地区の中でも最も多くのイスラエルの支配地域に囲まれた

地域の一つになっています。

 この地域ではパレスチナ人はイスラエルの許可なしに建物等を建てることができず、違反と見なされれば

イスラエル軍により破壊されてしまいます。主要な幹線道路もイスラエルにより管理されています。

アクラバ村の人々に残されたのはたったの20%。限られた土地の中で、外部との往来や水資源の利用が

制限された厳しい環境下での生活を余儀なくされています。

入植者によるオリーブ畑の破壊なども行われ、パレスチナ人の土地を暴力で奪いとろうとしています。


購入したオリーブの苗が次々に車に運び込まれます。
オリーブは木であるため苗木も大きいことがわかります。


2000本の苗木が送られました

 現地の農業団体であるUAWC(パレスチナ農業開発センター)は、ATJを経由して送られた大地を守る会からの

基金を元手にオリーブの苗木2000本を購入。1月下旬に、約60 人の地元農民やボランティアとともに植樹を行い

ました。植えても植えても抜かれてしまう状況の中でそれでもオリーブを植え続けていくことは、パレスチナ人の

土地を守り、当たり前の暮らしを取り戻していくことへの願いであり、平和への願いでもあります。オリーブオイル

を購入することで、この支援にご協力ください。


植樹に参加した農民からの声

Shaher Deriyehさん(アクラバ農民)

入植者によって自分たちの土地や生活が脅かされ、

丹念に育てたオリーブの木が引き抜かれている現状

に暮らすすべての農民を代表して、日本の皆さんに

心から御礼申し上げます。今後も我々の支援をどうか

続けてください。

我々オリーブ農家は、広大なオリーブ畑において土地

を耕し肥料を与えることで、大切にオリーブを育ててい

ます。

今年のオリーブの作柄は非常に良く、オイルの品質に

ついてもぜひ期待していてください。最後にもう一度、

アクラバをこのように支援してくださる皆さま、本当に

ありがとうございます。

『ツチオーネ116号』イチオシ商品「オリーブオイル(パレスチナ自治区産)(注文番号1590)」をぜひよろしくお願いいたします。一本のオリーブオイルからできる海外支援にぜひご参加を。






2013年3月31日

ヘナの使い方講座を開催しました

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3月13日(水)ヘナの使い方講座を開催しました。


ヘナのメーカーであるナイアードから講師の方を迎え、ヘナとはどのようなものか学びました。
こちらはナイアードの並木さんからヘナについて、お話いただいたようす。

ヘナはインドやイスラム圏の国々で古くから、髪染めやボディペイント、マニキュアなど、
女性の肌や髪を美しくしてきたハーブです。

ナイアードのヘナは、ハーブと染色の知識が豊富なインド人の現地スタッフと一緒に、
上質な葉を選んで買いつけることから始まります。
葉の粉砕などの加工にも立ち会うことで、丁寧な品質管理を行い、
植物の粉末のみでできた良質なヘナをお届けしているのです。

講座では、大地を守る会の取締役である野田をモデルに
実際に染めの実演を行いました。

使用したヘナは「ヘナ+木藍」。黒茶系に染まる色です。



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染めのようす。
ナイアードの小椋さんからつむじからしっかりともみ込むように、ヘナを入れていただきました。

たっぷりとヘナを使い、しっかりと保温することが
きれいに染めるコツです。



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染め上がりの野田のようす。
会場から「似合ってます~」のお声もいただきました。
本人の感想は「気持ちよかった~!」とのこと。
髪の色もかわり、さっぱりした表情です。


「ヘナ+木藍」は、染めて、洗いながした直後、色目に緑がかることがありますが、
1~3日で黒茶系に変化していきます。

では、染め前、染め後、1週間後の表情と髪の色の変化を見ていきましょう。


こちらが、ヘナで染める前の野田。
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髪を染めるのは、人生で初でした。



こちらが、ヘナ+木藍で染めた直後の様子です。

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髪に色が入り、シャープな感じになりました。
全体的に緑がかってみえます。



こちらが1週間を経過した野田です。

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色味がしっかりと黒茶に落ち着いてきました。
さらに若々しく見えます。


髪だけクローズアップでみると...。

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ちらが染め上がりすぐに、近づいて撮影した髪の色合い。
緑がかってみえます。




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一週間後に撮影した髪の色合いです。
黒茶の色に落ち着いてきました。とてもいいですね。

「自然でとてもいい」と家族からも好評だったと、本人も喜んでいました。

また、染めの回数を重ねるごとで、さらに深い色になるとのことなので、
野田はこれからヘナを使ってケアしていきたいとやる気満々です!!

新年度です。
ぜひ、皆さんもヘナでリフレッシュしてみてください。








2013年2月 4日

NEWS 大地を守る2013年2月号 GLOBAL REPORTS

アジア諸国の地域の自立と連帯をサポートする

互恵のためのアジア民衆基金・総会報告

世界各地のフェアトレードやNGOの仲間を支えるために設立された「互恵のためのアジア民衆基金」。

昨年10月28日、福岡で開催された総会で報告された各プロジェクトの進行状況をお伝えします。

(広報国際課 豊島洋)


総会の様子。各団体からプロジェクトの進行状況を聞きました。新たな事業を生み出すのはなかなか
大変なこと。プロジェクト運営の方法を話し合い、フェアトレードから一歩すすんだ地域の活性化の道を探ります。









団体それぞれのプロジェクト結果を聞くことで、地域の特性を超えた普遍的な事業のヒントを学ぶことができます。
参加者はそれぞれの発表に真剣に耳を傾けました。









フィリピン

ネグロス島 
サトウキビ労働者支援プロジェクト(終了)

融資額 3,875,969 円 融資先 ATFI

サトウキビ生産者はサトウキビを精糖工場に納品する際、報酬を手形で受け取ります。しかし業者に

高い手数料を支払って現金化するのが一般的。このプロジェクトでは労働者に有利な換金サービスを

実施してきました。収益の12万ペソ(約21万円)は団体運営費として活用されました。融資資金は

2012年に完済。





サトウキビの収穫作業は重労働。
割引率のよい換金サービスは働く者に有利な支援でした。
(撮影 山本宗補)









パレスチナ

オリーブ搾油施設・農産物加工施設建設プロジェクト

融資額 10,950,000 円 融資先 UAWCとPARC

UAWCは新たな搾油施設建設の土地を2000㎡購入するも、しばらく建築許可が下りず、ようやく

2012年9月に許可が下りました。2013 年4月頃から建設開始予定。PARCのなつめやし加工場は

ジェリコに建設完了。融資資金は発電機購入にも使用されました。





家族総出で収穫するオリーブの実は、パレスチナ人の大切な収入源です。
搾油施設の建設はオリーブオイルをより良いものとし、収入の増加と仕事の創出につながっています。









東ティモール

地鶏養鶏&淡水魚養殖プロジェクト

融資額 2,900,000 円 融資先 KSI

国民のたんぱく質をまかなうためのプロジェクトとして地鶏と魚を飼育。養鶏では伝染病が広がり

苦闘が続いていますが、日本からプロの養鶏農家を派遣して対応を検討中。ともに販売額が少ない

ため、融資返済のためのコーヒー豆の小売り事業を開始予定。返済期限は2015年まで延長。





地鶏プロジェクトのメンバー。
伝染病に悩まされています。猛禽類など野生動物からも鶏を守るため農場に住み込みをしています。
病気対策と新たなプロジェクトに期待。









インドネシア

エコシュリンプ加工工場の従業員組織による共同購入プロジェクト

融資額 1,750,000 円 融資先 ATINA

エビ加工工場では、生活必需品を中心に共同購入を開始、月間事業高は約240,000 円に達してい

ます。また子どもの養育費や家族ビジネスの初期投資金小規模貸付プロジェクトとして順調に貸し出

されています。2012年1月より返済中。





エコシュリンプ工場内の様子。大切に育てられたエビはていねいに加工されて日本に届けられます。
このプロジェクトは従業員の生活向上につながり、より強い責任感とチームワークにつながります。









互恵のためのアジア民衆基金とは?

 互恵のためのアジア民衆基金とは、主にアジア各地のフェアトレード商品の産地を支援するための

融資基金で、(株)大地を守る会や生協などにより2009年10月に設立されました。バングラディッシュ

のグラミン銀行が始めた農村振興のための少額融資の考え方を基礎にして、それぞれの産地が抱

える問題を解決するために各産地が提案してきたプロジェクトに融資を行うというもの。(株)大地を守

る会の拠出する基金はバランゴンバナナ1kgの売り上げから10円、エコシュリンプ100g当たりの売り

上げから5円となっています。これまで(株)大地を守る会が拠出した金額は5,178,310円(2009年4

月~ 2012年11月)。

 2012月7月末時点での基金全体の金額は83,689,752円(各団体からの基金57,689,752円と有志

からの借入金26,000,000円)。総会には(株)大地を守る会を含めて34 団体が参加しました。これま

でのプロジェクトの進行状況(一部)は右記の通りです。軌道にのらないプロジェクトもありますが基金

は末長く応援することが総会で確認されました。



各プロジェクトの詳細は情報が入り次第お知らせいたします。

またその他のプロジェクトについては互恵のためのアジア民衆基金のサイトがありますので、

そちらをご覧ください。

http://www.apfund.asia/   (英語ページを含みます)


2012年10月 1日

NEWS 大地を守る2012年10月号 平和の象徴オリーブの苗木をパレスチナに送ろう。 スマイルオリーブ基金が始まります

大地を守る会で取り扱う「オリーブオイル(パレスチナ自治区産)」は、イスラエルによる占領化が進むパレスチナ自治区で生産されています。
このたび、私たちはパレスチナの農民を応援し、彼らの命ともいえるオリーブの木を守るためにオリーブの苗木を送るプログラムをスタートさせます。
その支援の仕組みについてご紹介します。
乾燥したパレスチナの丘に広がるオリーブ畑。イスラエル軍は計画的に重機を使いこの畑を破壊しますが、
もちろん事前にパレスチナ側は知らされることはありません。

壊され続けるオリーブの畑
 パレスチナと言えば、時折ニュースで聞く紛争地を想像される方も多いでしょう。
遠い国のニュースなので、なかなか実感がわかないかもしれません。私たちが宅配で取り扱っているオリーブオイルの一つは、そのパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区)というところで作られています。大地を守る会のポリシーは顔の見える関係。
日本の農家のようにすぐに会いに行くことはできませんが、年に一度は顔を合わせるように努めています。 
元々「パレスチナ」は、地中海東岸部の一帯を指す土地の名称でした。しかし、この地にユダヤ人国家を作ろうとするシオニズム運動によって多くのユダヤ人が流入した結果、ユダヤ人の土地(現イスラエル)とパレスチナ人の土地(現パレスチナ自治区)へと分割され、1948 年にイスラエルの建国が宣言されました。その土地に暮らしていたパレスチナ人は追い出されて難民となり、パレスチナ自治区や隣国へ移り住むことを余儀なくされたのです。
 建国以降もイスラエルは、国際的に認められたパレスチナ自治区との境界線(グリーンライン)を越え、違法にユダヤ人入植地を拡大しています。さらに、その入植者を守ることを名目に、パレスチナ自治区内に入り込む形で分離壁の建設まで進められています。
このように、イスラエルは自分たちの領地拡大を既成事実化するためにパレスチナ自治区に侵略し、そこに暮らす普通の人々のオリーブ畑を破壊して土地を奪い、資源を制限するなど、彼らの生活を大きく脅かしているのです。















オリーブオイルはパレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区で生産されています。
生産者団体UAWCの協力の下、オリーブの植樹も同地域で予定しています。


オリーブオイルの販売額の一部で苗木を購入
 数千年前からオリーブを栽培していたと言われるパレスチナ人にとって、オリーブとは生活の糧であると同時に、先祖代々受け継がれてきた文化であり、誇りです。
また、彼らがオリーブを植え続けることは、イスラエルから自分たちの土地を守ることにもつながります。そこで私たちは、より具体的な連帯の形として、パレスチナにオリーブの苗木を送る基金をつくることにしました。
1本のオリーブオイルの販売額から大地を守る会が8円、販売元の株式会社オルター・トレード・ジャパン(ATJ)も8円、消費者会員の皆さんにも8円を負担していただくことにして、合計24円を基金として貯めさせていただきます。
名付けて「スマイルオリーブ基金~パレスチナに平和の苗木を送ろう~」。
現在、オリーブオイル1本1,780円の販売価格が1,788円となり実質値上げとなりますがご理解いただき、ご支援をいただければ幸いです。
 この基金は商品カタログ『ツチオーネ』142 号にて、2012 年10月8日(月)ご注文分から開始となります。
オリーブの苗木は1 本あたり約280円。12本のオリーブオイルが売れれば1 本の苗木を送ることができます。142 号では、注文番号1565にてご注文いただけます。
詳しくは『ツチオーネ』142 号5ページ、23ページをご覧ください。植えたオリーブの苗木は、3 ~ 4年で実を付けます。
今後の生育状況を、ぜひ楽しみにしていてください。状況については、随時お知らせいたします。
※苗木の価格はレートや現地の市況により変動します。

直接支援ご希望の方は以下の方法で!
 上記のプログラムと合わせて注文週142(10月8日~12日注文週)から145(10月29日~ 11月2日注文週)で、一口500 円から支援金を募ります。
直接支援をご希望の方はこちらからご支援ください。商品名「スマイルオリーブ基金(注文書番号1847)」で承ります。最初の植樹は年内から開始予定です。





2012年7月 2日

NEWS 大地を守る2012年7月号 GLOBAL REPORTS

GLOBAL REPORTS

大地を守る会では、フェアトレードや「互恵のためのアジア民衆基金」、「DAFDAF基金」などを通じ、

国内だけではなく、アジアを中心に海外の持続可能な社会づくりを応援しています。

今回は東ティモールとフィリピンでの支援事業についてご報告します。  (国際局 豊島 洋)

報告1  建国10周年を迎える東ティモール支援

自立したコーヒー産業と新しい暮らしを目指して


一杯のコーヒーからの国際貢献

 大地を守る会のコーヒー産地の一つ東ティモール。

16世紀からのポルトガル、日本、インドネシアの支配を経て2002年にようやく独立しました。

大地を守る会は2004年から株式会社オルター・トレード・ジャパンを通してコーヒーを取り扱いながら、

インフラや国内産業が育たない村落への日用品の調達を行うなど、コーヒーだけに依存しない暮らし

の仕組み作りを応援しています。


生産者が感じる10年。理想と現実

「外国統治時代に奪われたコーヒー農園内の土地の権利を取り戻すことが夢でしたが、残念ながら

果たせていません。政府は外国企業を送り込んでプランテーションを再運営させています」。エルメラ

県に住むコーヒー農民 ジュリオ・マデイラさんは言います。以前と比べてコーヒーの販売先は増えま

したが、フェアトレードとしての流通経路は少ないままです。「農民の子どもたが教育を受けるために

も、日本の皆さんにコーヒーを買い支えてほしいです」。

 独立後もまだまだ経済的に海外からの援助に頼らざるを得ない状況ですが、国を挙げて生活を向

上しようと頑張っています。東ティモールコーヒーを飲みながら世界に思いをはせてみませんか?

左 :今年は5月から収穫が始まり8月頃まで続きそうです。
   村人総出で収穫を行います。まだ飲んだことがない方は、ぜひお試しください。
中央:「コーヒー産地なのに多くのコーヒーが輸入されています。生活改善のためにも子どもたちには教育を受けさせたい」と
   マデイラさん。
右 :独立後に生まれた子どもたちの未来のために、コーヒー産業が新たな産業の懸け橋になることを願ってやみません。


告2 フィリピン・ネグロス島地震支援      

お互いを思いやる気持ちは不変

なかなか聞こえてこない被災状況                                         
 2月6日のお昼前、フィリピンのネグロス州東部の

沖合を震源とするマグニチュード6.9の地震は、バ

ゴン・バナナの産地であるネグロス島に大きな被害

をもたらしました。幸いなことに津波はありませんで

したが、建物の倒壊、道路の亀裂、土砂崩れなどが

各地で起こりました。30名以上の方が土砂に埋も

れ、多くの方が家を失いました。バナナの生産者も

被災されています。バランゴン・バナナを取り扱うオ

ルター・トレード社(以下ATC)は、翌日に被災地の

視察と支援を実施。大地を守る会も協力しました。

大地を守る会は、メールマガジンを通して支援金を

募り13,000円の支援金をお預かりし、DAFDAF基

金として合計10万円を支援しました。


3月24日子どもたちを励ますためにゲームを行いました(プラナス村)。


3月11日東日本大震災とネグロス島の被災者の
冥福を祈るため追悼キャンドルナイトが開催されました(ホマイホマイ村)。


ATCが行った支援内容

[2月13日] 地震と地滑りによる被害が多くでた、ネグロス東州ギフルガン市プラナス村の1,000 家

族に対して、それぞれコメ2キロ、イワシ缶詰3缶、マスコバド糖250g、ATC社員が集めた古着を配布。

[3月3日] 地滑りによる住居地被災で多くの住民が避難生活を余儀なくされているホマイホマイ村

の450家族に対してそれぞれコメ3キロ、干魚500g、マスコバド糖1キロを配布。ATCボランティア13名

の協力で仮の小学校教室を建設。

以後も同地において、継続的な支援が行われています。詳しい情報が入り次第お知らせします。



2012年3月19日

イベント・アルガンオイル紀行を開催しました!

今週配布の『ツチオ―ネ』114号28ページ 雑貨特集のなかの
「保湿ケア」でご紹介しているアルガンクリーム(保湿クリーム)を
テーマに3月16日(金)、ナイアードの皆さんをお迎えして、
イベントを開催しました。
会場は大地を守る会・六本木事務所です。


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講座のようす。講師は、ナイアードの並木千鶴さん。
講座の前半はたくさんの画像でアルガンオイルについてのご説明をいただきました。



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モロッコのアルガンの森のようす。
アルガンの実の収穫とアルガンオイル作りは女性が就労の機会を得ることが難しいイスラム社会で、
女性たちに自立のための収入源になっています。
オレイン酸、リノール酸、ビタミンEがたっぷりのアルガンオイル。肌との相性はばつぐんで、
ビタミンEが老化の原因と考えられる過酸化脂質の生成を防ぐと言われています。



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こちらがアルガンオイルを使用したクリーム。ミニサイズの後に見えるのがアルガンの実です。
軽い感触で使い心地のよいアルガンオイルですが、オイルだけだととても早く肌に吸収されるので、
ミツロウをブレンドし、使用感を持続しています。

容器もこだわりがあります。タイ・チェンマイの工房で手作りされた焼き物。
表面に小さなクラックが入り、アンティーク風。
中身がなくなっても、小物入れなど、用途が広がります。


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アルガンクリームはそれだけでとても使い心地が良いクリームですが、
講座では、楽しい使い方を2つ教えていただきました。
一つは練り香としての使い方。容器にエッセンシャルオイルを1滴に、
アルガンクリーム5mlを入れて、しっかり混ぜ合わせます。



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やわらかく良い香りが漂い、耳の後などに塗ると、良い気分転換になります。



もう一つの使い方の提案は、即席のエマルジョン(乳液)。
うすくすくい取ったアルガンオイルを手のひらにのせ、
化粧水を数滴落し、なじませ、それを顔や手にのばします。
会場からは「最高~」のお声も飛び出しました。


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ちなみに講座で使用したのがこちらの化粧水。
へちま水でハーブを蒸留して作ったへちまの雫化粧水です。
ほんのり香りが漂い、手のひらで、アルガンクリームになじみました。
香りはカモミール、ローズマリー、ラベンダーの3種類。
その日の気分で香りを変えてみるのもいいですね。
もちろん、今週『ツチオ―ネ』の雑貨特集でご紹介している白樺の樹液とハーブのみでつくった
白樺の雫化粧水もおススメです。

ぜひ、皆さんもアルガンクリームをお試しください。



2011年8月12日

大地を守る会 パキスタン洪水支援報告

お久しぶりです。とよまるです。

昨年2010年の7月下旬から8月中旬にかけてパキスタンのインダス川が氾濫し、国土の20%が被害

を受けたというニュースを憶えていますか。

 

大地を守る会ではNPO法人JFSAを通して、会員の皆さんに古着をお送りいただくことにより、カラチ

市のスラムの学校運営に協力しています。昨年11月からそのスラムの学校、アルカイール・アカデミ

ーの生徒たちの発案により被災地支援が始まり、大地を守る会は、会員の皆さんからご支援を募り

支援に協力をすることにしました。集まりました支援金は、2,391,000円! 直ちに現地に送られまし

たが、今回はその現地報告です。

 

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いきなりですが、ここはパキスタンのカラチ市から北へ約500キロの村、シター郡ダドゥ村です。踏み

固められていますが畑です。洪水が引いてから、塩が表土に出てきて作物が植えられません。

私は7月2日にここに到着しました。気温40℃以上の暑さでしたが、外で農作業をしている人もちらほ

らいました。酷暑期は58℃になったと聞き、頭がくらくらします。アルカイール・アカデミーの子どもた

ちは、畑の復旧作業を手伝ったそうです。今回は、まだ暑い時期なので子どもたちの支援は一休み。

9月過ぎから再開するそうです。

 

 

 

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 同じ村の別の畑では、オクラが育てられていました。畑の復旧は急務です。オクラはカレーによく使

われる食材ですね。

 

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洪水で壊れた家屋です。もともと地震が少ない地域のせいか鉄筋を使わずにレンガを積んだだけな

ので、水の力で簡単に崩れてしまうようです。レンガも乾燥しただけの安いものが多くつかわれてい

るようでした。レンガは焼くと硬くなります。陶器と同じですね。値段も高くなりますが、再建するとき

は焼いたレンガも使用しています。

 

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住むところが無くなった村の人々は、国連をはじめ様々なNGOからの援助物資を頼りに生活してい

ます。後ろに見えるようなテントで暮らす人が多いのですが、暑さを考えると過酷です。

パキスタンの農民は、大地主の農地を借りて耕していることが多いのですが、酷いところでは地主が

援助物資を横取りしてしまうこともあるようです。この村の地主さんは村人を大切にするとのことなの

で、支援を行うことにしました。もちろん日本人の我々にはわかりませんので、アルカイール・アカデミ

ーのムザヒル校長先生やスタッフが現地のあらゆるネットワークを駆使して決定しました。

(JFSA西村氏撮影)

 

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他団体からの支援金を合わせて970万円のうち、500万円を使って家を建てることになりました。現時

点では、最も困っている農家15軒分を建設中です。どの農家の家を建てるかは、外部の者だけでは

決められないので、地主と村人と何度も話し合いをします。

 

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これは小麦のもみ殻や茎を裁断したもので、家畜の餌になります。村人とアルカイール・アカデミーの

事業部が新ビジネスとして販売する予定で、支援策の一つの柱です。

 

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これは、今年の1月にアルカイール・アカデミーの生徒たちが支援に来た時のひとコマです。農地を復

旧させるのと同時に、サトウキビの収獲も手伝いました。援農作業も支援の一つとなっています。

都会の子どもたちと村の子どもたちとの交流の場にもなり、お互い刺激を受けたそうです。

(JFSA西村氏撮影)

 

 

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これが新たに建設中の堤防です。日本語で堤防というとコンクリートの巨大なものが頭に浮かびます

が、ここでは土を3メートルから5メートルくらいに積み上げて固めたものです。村の周りにぐるりとつく

ります。簡単なつくりですが、洪水時には頼りになります。

  

 

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この写真も1月にアカデミーの子どもたちが支援にきたときのものです。村の生活もスラムの生活も

厳しいと思いますが、笑顔が良いです。 生活が厳しいところほど人と人の強い繋がりを感じます。

(JFSA西村氏撮影)

 

 

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被災地支援とは別のお話です。アルカイール・アカデミーには、女性自立のための縫製学校もありま

す。アカデミー内では選抜された女性チームが日本から来た縫製のプロフェッショナルFさんからエプ

ロンづくりを学んでいます。チームの皆さんは日本で通用する縫製技術を身につけようと必死に話を

聞いていました。近い将来、大地を守る会でも販売できるようなものが出来ればと思います。

 

上記の通り、皆様からお預かりした洪水支援金は、きちんと有効に使われていることを確認致しまし

た。新たな動きがあり次第、またご報告致します。

 

とよまる こと CSR推進室 豊島でした。

 

 



2011年2月14日

古着の積み出しをお手伝いしました!

とよまること豊島洋です。

「NEWS大地を守る」1月号で告知をさせていただいた、NPO法人JFSA(日本ファイバーリサイクル

連帯議会)の古着積み出し作業に行ってきました。大地を守る会の皆さんに年3回古着の回収を

呼びけていますが、その古着が分類されてパキスタンへ送られます。

 

パキスタンに到着るすると直ちに現地の業者に売られ、その売り上げがスラムの学校アルカイー

ル・アカデミーの運営資金となります。

 

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古着ロールの山です。品目ごとに分類された後、50キロのロールに圧縮されてこのように倉庫に

保管されています。場所は千葉県千葉市のJFSAの倉庫。この山がコンテナに積み込まれます。

ロールの前にいるのは私、とよまるです。ロールの大きさがわかりますよね。

 

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JFSAのスタッフ入江君(左端)から作業の流れについて説明を受けます。真ん中のハシゴ状のもの

にロールをのせて滑らせます。集まったボランティアの数は約40名。

 

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午前8時半過ぎ作業開始です。ロールの山からどんどんロールを下ろして流していきます。けっこう

重い。直撃すると怪我をすることもあるので気を付けて作業します。

 

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コンテナに積み込まれる直前で、品目を確認し番号をふったラベルを張ります。

 

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力自慢の若者たちが積み込みを行います。この日は雨が降っていたので大きなテントを張っていま

す。

 

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ロールはこんな感じで詰め込まれます。隙間があるともったいないので靴などの入った小さめな袋を

天井近くに押し込んでいます。研修参加の大地を守る会職員は「モザイクみたい」と言ってましたが、

まさに力で押し込むパズルです。JFSAのスタッフもこのような写真を数枚撮ります。

カラチ港の税関に提出し、古着だけが積み込まれたことを示すためです。

 

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午後3時すぎには古着ロールがあらかた積み込まれました。今回は約22トン、ロールでいうと450

個以上のロールが積み込まれたことになります。

 

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コンテナ積み込みのクライマックスは、最後のロールを押し込むとき。今回はピタリとハマりました。

お見事です。このコンテナは東京港を出港後、東南アジアを経てパキスタンのカラチ港に向かいま

す。約一カ月の船旅です。

 

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JFSAの古着ショップ。作業をした千葉市の事務所と倉庫の一画にあります。国内で売れるものは国

内で売り、JFSAの活動資金となっています。柏店は柏市内で引っ越しをしたとのこと。その報告は

次回に。

 

大地を守る会 国際局 豊島 洋



2011年2月 2日

ネパールからスパイスの生産者がやってきました!

お久しぶりです。とよまること豊島洋です。

 

1月28日(金)にスパイスの生産者をお招きして勉強会を開催しました。

講師は22歳のイケメン青年アンキートさんです。彼はネパールのスパイス生産者団体SHSを代表して

日本にやってきました。SHSはSpicy Home Spicesの略称。大地を守る会は、フェアトレード団体で

あるネパリバザーロを通して彼らのスパイスとそのスパイスを使った加工品を販売しています。

 

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午前10時からの講座には22名の会員の方々が集まってくれました。中央がアンキートさん。

向かって左側がネパリバザーロ副代表の丑久保さん、右側が同じくネパリバザーロの内藤さんで

す。

 

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アンキート・ラジバンダリさんです。SHSは、小規模な事業体でスパイスの加工を行っています。

ネパールの各産地から生の状態で集められたスパイスを加工しパウダー状にしていますが、

全て有機的な環境で行われています。

 

SHSは、アンキートさんのお母さんであるシタラさんが2000年に二人の仲間と始めたビジネス。

紆余曲折を経て現在は、8名のスタッフを抱えるまでになりました。

 

SHSの設立目的は以下の3つ。

●高品質のスパイスを生産し、食の品質を向上させ、有機スパイスの市場を広めること。

●教育を受けることができないため、収入が低い女性たちに就業の機会を与えること。

●地方に住む農民たちに海外の市場へ販売する機会を与えること。

 

今後は販売量を伸ばして、より多くの地方に住む農民たちの生活向上に寄与したいとのことです。

 

同日夕刻、海浜幕張事務所で職員向けに同様の講座を開催しました。

 

大地を守る会 国際局担当 豊島 洋



2010年9月14日

古着のゆくえを追いかけて パキスタン編 その2 

とよまること豊島です。

 

2005年10月8日午前8時50分ごろ、パキスタンの首都イスラマバードの北北東約90Kmを震源とする

マグニチュード8近くの地震が発生しました。

震源地から100Km以内でも激しい揺れが襲ったとみられ、最終的な今回の地震による死者は8万人

を超えたといわれています。

大地を守る会は、会員の皆さんに呼びかけて支援を要請、その結果700万円近くが集まりました。

その後、天候や治安の問題から大地を守る会としては直接現地確認ができていませんでしたが、今

回関係者の皆さんの協力を得て実現しました。

 

 

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山あいのケートサラーシ村よりバラコート市を望む。一帯が地震被災地。5年前の朝、職場や学校で

被害にあった人たちが多数いました。

 

 

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山肌は、崩れたままのところも多く、埋もれてしまった人々がそのままになったところも多いそうです。

学校では、多くの子どもたちがコンクリートの校舎に押しつぶされてしまいました。

いまだに遺骨が発見されることがあります。

 

 

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バラコート市内の建物。復興は進んでいましたが、このように放棄された建物もあります。

建物の中は被災時のまま。

 

 

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3つめのアルカイール・アカデミー、バラコート校。ケートサラーシ村にあります。

地震直後に始めた青空学校は、斜面に建てられた小さな校舎になっていました。

これも皆さんの支援金によるものです。

 

 

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カラチから同行してくれたムザヒル校長先生が、特別授業として教壇に立ちました。

ここでは、2歳から5歳までの子どもたちのためにモンテッソーリ教育を基本に教えています。

6歳以上の子どもたちは、近隣の公立の学校に通いますが、学校の先生が「不登校」するという問題

があります。

 

 

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今学校で学んでいる子どもたちは、地震の後に生まれた新しい世代。

ムザヒル校長先生は、今後も学校は続けていきたいと考えています。支援金はまだ残っているとの

ことですが、長期的な戦略が必要な時期でもあります。

 

 

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こどもたちが持っている板はノートの代わり。その日の授業で大切なところを書き写していました。

家に戻ってからノートに清書するそうです。

 

 

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カラチ市へ戻ります。ここは古着業者があつまるハジケンプといわれる地域。

世界中から古着が集まる町です。

 

 

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NPO法人JFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)のスタッフであり、古着のお店Kapre(千葉

県柏市)の店長でもある田辺航太郎さん。古着を売ると同時に買い付けも行っています。

世界中から集まる古着の中から、日本で売れるものを買い付けます。Kapreで販売し自らの活動資

金としています。

 

 

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とよまるもお手伝いさせていただきました。

左がアルカイール・アカデミーの事業部のアマダリ君、左が田辺さん、中央がとよまる。

革ジャケットの山によじ登って一品ずつ選んでいます。室内温度は軽く40度を超えるので、

塩を舐め水を飲みながらの作業です。

 

 

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さらに場所は変わって千葉県柏市柏駅前の古着店Kapreです。

 

   

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Kapre店内。試験的な輸入販売を経て、2007年に開店。おしゃれなお店です。

価格は安めの設定なので一度はのぞいてみる価値ありです。

 

 

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店内には、JFSAの活動を紹介するコーナーもありました。普通の古着屋さんとは異なるところ。

 

 

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田辺さんが持つのは今回カラチ市で発見した一品。大戦中のフライトジャケットです。

70年も前のジャケットがどのような経緯を経てカラチにたどりついたのか。

まさに古着は世界を回るなあと実感します。

皆さんの出した古着も世界のどこかで誰かが大切にしていることでしょう。

 

大地を守る会 国際局 豊島 洋



2010年9月10日

古着のゆくえを追いかけて パキスタン編

とよまること豊島です。

6月に千葉県千葉市のNPO法人JFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)を出発した

古着コンテナは、7月初旬パキスタンのカラチ港に到着しました。

今回は現地からの報告です。

(7月中旬、パキスタンで大雨が降る前に現地を訪問しました。)

 

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まずは、カラチ市の北にあるアルカイール・アカデミー本校。

現在2,000人の生徒が学んでいますが、御覧の通り校舎を改築中です。

鉄筋が十分に入っていなかったので、地震がきたら危ないということで鉄筋を入れて建て直していました。

古着を販売した売り上げは、学校の運営資金になっています。

 

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どこでも子どもたちは、元気いっぱい!ホッとする瞬間です。

本校は人数が多いので午前と午後で2シフト制です。

学費は無料。昼食が必要な子どもたちには無料で出しています。

 

学校に行きたいけど、「教育など必要ない」と親に反対される子どもたち。

幼い兄弟姉妹のめんどうを見ながら、仕事をしなければならない子どもたち。

学びたいけど学べない、そんな世界を変えたい。

ムザヒル校長先生が数人の子どもと始めた学校は大きく成長しました。

 

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こちらは、カラチ市の中心からさらにはずれにあるゴミ捨て場カチラクンディ。

両側の建物はアルカイール・アカデミーの校舎です。

ここにカラチ市のゴミが次々と運び込まれ、火が放たれます。

そこに住む人々は金属屑などを集めて、それを売り生計を立てています。

ダイオキシンレベルは相当なものだと思います。歩くだけで目とのどがつらくなります。

目に障害を持つ人々が多いのも空気が汚染されているため。

 

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運び込まれるゴミ。

生ゴミ、注射針や期限切れの血液などの医療ゴミ、粗大ゴミ、産業ゴミなど、なんでもミックス

されています。

人々には自分たちの領域があるので、運転手にお金を払って自分たちところにゴミを捨てて

もらうそうです。宝の山です。

牛やヤギなどの家畜も放たれているのが驚き。

 

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ここが、その宝を買い取るところ。ゴミ捨て場の脇にあります。住民の貴重な収入源です。

 

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学校では授業中でした。

本校に較べて衛生状態が悪いにも関わらず、きちんとした格好です。

そしてなにより授業を受ける態度が真剣です。これも驚き。ここに学級崩壊はありません。

2年前に訪問したときは、誰もがハエだらけでしたが、今回は風向きのせいで少なめ。

ハエが耳に何匹も入り込んで炎症を起こす子どもも多いそうです。

過酷な生活でも学びたいという気持ちが伝わってきました。

 

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JFSAのスタッフ西村さん。義理人情の鉄人であり私の師匠です。

1年の半分はカラチに住み、アルカイール・アカデミーの活動に協力しています。

JFSAの活動は、現地との深いつながりが基本となっています。

パキスタンは人と人とのつながりがとても深く、またつながりを非常に大切にする国です。

 

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7月12日、いよいよコンテナが届きました。

ここはカラチ市内、古着業者が集まるハジケンプという町。

コンテナそのものは千葉を出発した時と変わりません。

 

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業者の方々とアルカイール・ビジネス事業部のスタッフが荷降ろしをします。

コンテナは税関で開けられていたので、盗まれていないかチェックします。

 

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JFSAのスタッフが丁寧にまとめた50キロの古着のロールは検査のために開けられていました。

今回は幸運にも盗まれたものはなかったようでホッとしました。

税関検査の時に盗まれていることも多いのだそうです。

 

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ここからは番外編。

カラチでは庶民の足として日本の古い車がタクシーとして活躍しています。

カローラが多いようですが、みな黒と黄の配色です。

 

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ロバはいたるところで活躍しています。

大きな荷物を運ぶ時は涙を流しているように見えて胸が痛みます。

かわいいけどペットとは違うのだと実感。

 

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カラチ市ではムザヒル校長先生の家に泊まりました。

食事はカレーとナン、チャパティのパターンが多いのですが、このときはパスタ。どれも美味です。

近所の人なども集まり賑やかな食事です。

皆イスラム教徒なのでアルコールは一切ありません。

気温は40℃を超えることもあるのでたくさん食べて体力をつけます。

私が去ったあとすぐにラマダン(断食)が始まりましたが、体験してみたかった。

右端が私、とよまるです。

 

今回はカラチの報告でした。

2005年の北部地震被災地も訪問しましたので、その報告は追って。

 

大地を守る会 国際局 豊島 洋



2010年6月28日

タイから研修生がやってきました

とよまること、豊島です。

 

5月17日からタイの研修生ダイエー・セイリさんがやってきました。

6月25日までの40日間、大地を守る会の生産者などをまわって日本の農業を体験しました。

ダイエーさんはタイの少数民族のために、北タイチェンライ近郊に研修農場を運営しています。

大地を守る会とは20年近くのおつきあいがある方。ラフ族のリーダーです。

日本の農業は何度も体験していますが、今回はあらためて基礎から勉強です。

 

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まずは茨城県の小野寺孝一さんのネギ畑で草取りを体験。

左側の方が小野寺さん、右側が研修生のダイエー・セイリさん。

小野寺さんはメロン職人としても有名な生産者です。

 

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ネギの脇から顔をだしている草を抜いていきます。放っておくとネギが溶けてしまうそうです。

このネギは秋口の出荷予定です。

 

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タイではこのような除草はしないようです。

腰が痛くなるというよりは5月末の寒さに震えていました。

 

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この日は大地を守る会の職員による援農の日だったので、畑には職員もちらほら。

みんな地面を見ながら雑草と格闘しています。となりのハウスでは、メロンの作業が進行中。

 

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大地を守る会の職員に対するレクチャーも行いました。

大地を守る会では、会員さん向けの他、職員に対する勉強会も行っています。

今回はラフ族とタイの暮らしについて話を聞きました。

タイの農業も日本の農業につながっています。

 

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法政大学の講義にも特別講師として参加。ここではアジアの少数民族と農業について話をしました。

 

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講義も慣れた様子でしょうか?

もともと流ちょうに日本語を話しますが、ここ数日で日本語もさらに上達しています。

 

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北海道で畜産の勉強もしました。将来の夢は北タイで牧場をつくること。

 

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6月23日、大地を守る会 アジア農民元気大学の講義として研修の成果を発表。

20名を超す関係者が集まりました。となりの方は、顧問の小松光一先生です。

(アジア農民元気大学は、海外からの研修生を受け入れるための架空の大学です。)

 

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理事長の藤田和芳より卒業証書を受け取りました。

藤田はNGO大地を守る会の会長ですが、アジア農民元気大学の理事長でもあります。

 

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6月25日無事帰国の途へ。今回の研修が山岳民族の農業普及に役立つことを祈りつつお別れです。

いずれ機会をみて彼の農場もレポートしたいと思います。

 

大地を守る会 国際局 豊島 洋



2010年6月14日

古着の行方を追いかけて(2) コンテナ積み込み編

とよまること、豊島です。

6月2日(水)、千葉県千葉市にあるJFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)から、古着の

コンテナ積み出しがありました。

大地を守る会の皆さんに呼びかけた古着回収ですが、集められた古着は分類されてからコンテナに

積み込まれてパキスタンに送られます。

 

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山と積み上げられた古着のロール。品目ごとに分類され、1ロール50キロになります。

 

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古着の積み込みはボランティアの方々によって行われます。

8:30AMより作業開始。作業内容が黒板に掲示されます。 怪我の無いよう頑張ろう!

お昼はパキスタンカレーが出ます。

 

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今回はパキスタンから支援先のアルカイールアカデミー校長、ムザヒルさんたちも参加。

JFSAスタッフの入江君とともに作業に汗を流しました。

 

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ローラーの上を古着のロールが流れていきます。内容を確認してシールを張り付けてから積み込みます。

 

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ここからは男の世界。力自慢の若者たちが、力を合わせて積み込んでいきます。

 

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キッチリと無駄なく詰め込むために、最後のロールは気合いを入れて押し込みます。

 

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やっと終わりました。のべ40名のボランティアの皆さん、お疲れさまでした。

 

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最後にコンテナの蓋が閉じられて、このキーで封印されます。

カラチ港でこれが壊れていたら誰かが空けたことを意味します。

検査で開けられることもあるそうですが、中身が抜かれていることが多いそうです。

はたしてこのコンテナは無事に届くでしょうか。

 

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輸出用の書類も整えられて、東京港へ出発!

アジア各地の港に立ち寄りながらカラチ港に届くのは7月中旬です。

次回は現地の様子をお伝えします。

 

大地を守る会 国際局 豊島 洋



2010年6月 4日

古着の行方を追いかけて(1) JFSA編

とよまること豊島 洋です。

今日は会員の皆さんが古着を送っていただいているNPO法人JFSAを訪ねました。

JFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)は、大地を守る会の他、生協などに呼びかけて

古着を回収しています。

送られた古着は販売され、その売上金はカラチ市(パキスタン)のスラムにある学校「アルカイール・

アカデミー」を支援するために使われています。

今回は千葉市にあるJFSAの本部ともいうべき場所を訪問しました。

 

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これが、JFSAの外観(事務所、倉庫、店舗)。

千葉県千葉市中央区都町にあります。前には公園があってとてものんびりした雰囲気。

 

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店舗の入り口です。

回収された古着は、国内向けとパキスタン向けに分けられてから、日本向けはこの店舗や、柏市に

あるもう一つの店舗「KAPRE(かぷれ)」、さらに休日の明治公園や新宿中央公園等のフリマで販売

されています。

 

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これが店舗内の様子。

季節に応じて品ぞろえを調整しています。夏向きの掘り出し物は今がチャンス!

 

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皆さんからの古着はこんな感じで届きます。きちんと包装されていてありがたいです。JFSAの

スタッフからも感謝の言葉をいただきました。送る方の温かい気持ちとモラルが感じられます。

1年に2回回収を行いますが、1回で約26トンが集まります。

うち大地を守る会の会員さんからは5トンほど。

 

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届いた古着の封を解いて、品目ごとに仕分けます。

フルタイムスタッフ3名のほか、アルバイトの方3名が仕分け作業を行っています。

仕分け中も古着が届くので、大忙しです。

 

パキスタンはイスラム教徒の国なので、女性の肌が露出するタンクトップなどは売れません。日本で

売ることになります。日本での売り上げは、JFSAの運営費とスタッフの給料に。

 

パキスタンに送り出した古着は、現地の業者に販売します。その売り上げがアルカイール・アカデミーの

運営費の一部となります。

パキスタンでの売れ線は、カバン類、ハンカチ、女性の下着(ブラジャーなど)とのこと。

 

アルカイール・アカデミーは、カラチ市のスラム地域にある学校で学費無料です。

なお、パキスタンには、義務教育制度がありません(!)。学校はそれぞれの経済的状況に合わせて

存在していますが、無料の学校は神学校が多く宗教的にかたよることが多いとか。

アルカイールアカデミーではそのようなことはなく総合的な教育をしています。

(詳しくは7月に現地報告しますね。)

 

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パキスタン向けに分けられた古着は、品目ごとに50キロのかたまりにされ、次の船積みを待ちます。

次回のコンテナ積み込み予定は6月2日。

コンテナへの積み込み作業はボランティアの力で行います。

 

そして古着はいよいよ海外へ!詳しい状況は後日お知らせします。

 

大地を守る会 国際局 豊島洋



2010年5月20日

バングラディッシュ訪問しました!

とよまること豊島 洋が、2010年3月にバングラディッシュのNGOタナパラ・スワローズを訪問しました! 

このNGOは、フェアトレードカンパニーを通して、大地を守る会に衣類を提供してくれている団体です。

 

やっぱり、実際に見ると聞くのでは大きな違い!知らないことがたくさんありました。

以下その簡単なご報告です。

 

 

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首都ダッカの町はこんな感じ。人力車と車が混ざって走るカオスな世界です。

 

 

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ここはキリスト教系のNGO「メノナイト中央委員会(MCC)」の事務所。代表のギャスディンさんに

話を聞きました。

MCCはパキスタンからの独立戦争の時に土地を追われた難民たちに食料支援を行ったNGO。

現在は様々な社会奉仕活動を続けていて、女性に就職の機会を与える仕事などをしています。

 

大地を守る会はJR東京駅のエキュート東京に「大地を守るDeli」というお店を出店しましたが、

そこで販売予定のショッピングバッグの製作を依頼しているのがこのNGO。

秋口には出来上がってくるでしょう。

 

左側の女性は、フェアトレードカンパニー(株)代表のサフィア・ミニーさん。

ロンドンからかけつけてくれました。

 

 

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ダッカからバスで約4時間。ガンジス河の支流が近いタナパラ村に到着。NGOタナパナ・スワローズ

の入口です。

右の入口を入ると子どもたちが花束を抱えて待っていてくれました。

 

 

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タナパラ・スワローズ代表のライハン・アリさん。

とても人当たりの柔らかい方ですが、悲しい過去が、、、、。

この村では、西パキスタン(現パキスタン)との戦争中、村の男性のほとんどが殺されてしまったとのこと。

幸いライハンさんは子どもとみなされ助かりました。村の大切な産業でもあるはた織は男の仕事でしたが、

残された女性たちがはた織を始めたそうです。

その支援を行ったのが、スウェーデンのNGOスワローズであり、このタナパラ・スワローズの創設団体でした。

 

  

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では、衣類の製造行程を簡単に。

買ってきた綿糸(インド製が多い)を染めます。これはその洗いの行程。

 

 

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染色した糸は、織機にセットできるようにボビンに巻きます。カラカラと軽快な音がしていました。

 

 

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そしていよいよはた織りです。足と手を両方使いながらどんどん織り進みます。

もともと男の仕事だったというだけに力が必要です。敢えて電動式にはしていません。

 

 

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私が持っているシャツの柄が、今ここに!!!こんな風に作られていたのかと改めて感動します。

 

 

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フェアトレードカンパニーのデザインをもとにした型紙の数々。

 

 

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型紙にそってカットされた布地が縫製チームにより立体的な衣類に仕上げられていきます。

敢えて昔ながらの足踏み式にこだわっているそうです。

 

 

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返品された衣類を縫製チームで検討していました。

なぜ返品になるのか。日本人の求める品質と彼らが十分と考える品質の違いを話し合います。

返品を手にとって見るそれぞれの顔は職人のものです。

 

 

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タナパナ・スワローズのもう一つの活動である学校教育。

約600名の子どもたちが学んでいました。学費は無料です。

こちらの行動にストレートに反応してくれるのが嬉しい!しらけていません。

 

 

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タナパナ・スワローズで働く人たちのための託児所もありました。

ここはNGOグローバルヴィレッジも出資しています。

※グローバルヴィレッジは、フェアトレードカンパニー(株)と対をなすNGO部門です。

 

 

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有機農業講座も開かれていたのには驚きました。1,600人の農民に有機農業指導を行っているそうです。

農薬による健康被害が多いのがその理由。また、自然なものではありますが、ヒ素による水の汚染も

大きな問題となっているので、その浄化活動も行っています。

さらにドメスティックバイオレンス撲滅のための講座も開かれています。

 

 

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外に出てみました。田んぼの真ん中の立札。この田んぼはタナパナ・スワローズの主導で、

有機栽培をしていることがわかります。

 

 

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田んぼ全景。草むしりをしている方のお顔は撮れませんでした。暑くて大変です。

 

以下バングラディッシュ番外編です。

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バングラディッシュと言えばグラミン銀行。

銀行と言ってもりっぱな高層ビルで、事務室がたくさんあるような感じ。

総裁であるムハマド・ユヌスさんがノーベル賞をとった時の記念に活動内容が紹介されていました。

貧しい人たちの自立のために始まった少額金融(マイクロクレジット)はあまりにも有名です。

 

 

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タナパラ村では、牛車が当たり前に使われています。ゆっくりのしのし歩いています。

日差しが強いので遅いくらいがよいようです。

 

 

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これは木の棒に牛の糞をくっつけたもの。ギザギザに見えるのは手の指の跡。

乾かして煮たきの燃料にします。エコロジーな燃料です。勝手に「エコ棒」と呼びました。

 

 

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夕日を背に農作業を終えて家路につく農夫。

西パキスタン(現パキスタン)と戦争中、後ろの麦畑で村の男たちが200人以上殺されたのだと

後で教えてくれました。

さらに奥にはガンジス川の支流があり、その向こう岸はインドです。

 

 

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最後に乗ったバスは日本語が書かれたHINO製のバスでした。

日本を出ておそらく40年以上、酷使され続けてもなお現役です。モノを大切にすればここまで

使い込めるんですね。

 

今回の出張でタナパナ・スワローズの素顔が確認できました。

衣類を作るだけでなく、多角的に地域を支援しているNGOだったのは驚きです。穏やかだけど熱い

ハートをもった人々でした。

そして、現地の持つ伝統と技術を、おしゃれなデザインと結びつけて世に問うたフェアトレードカンパニー

は新しいフェアトレードの形なんですね。

 

大地を守る会 国際局 豊島 洋



2010年3月11日

「地域が支える食と農 神戸大会」 2010.2.20-21

10年3月11日(木)晴れ(by ドクターMaekawa)


大地を守る会では、2005年より、「農を変えたい全国運動」に参加し、その運動の成果として、

2008年に、「全国有機推進協議会」が発足しました。この会に、野田克己さん(大地を守る会

専務理事)が理事として参画し、有機農業の広がりをめざしています。また、大地を守る会が

事務局団体を担う、「全国学校給食を考える会」(→学校給食ニュースHP)の会長である、

五十嵐興子さんが、「食農プロジェクト」のメンバーとして参加し、有機農業をどのように、

学校給食の中で教育として位置づけるか、模索・検討しています。



この「全国有機農業推進協議会」などの理事メンバーが中心となって、この2月に、タイトルの

集会を神戸にて開催しました。この集会の目的のもう一つは、世界の有機農業団体、有機農業

に理解を示しそれを食べている消費者団体を一同に集め、世界へ向けて、今後の有機農業、

そして流通のあり方を発信しようというものでもあります。



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          神戸大会プログラム



このプログラムからもわかるように、アメリカ、イタリア、フランス、イギリス、インド、オーストラリア、

韓国といった世界各国から、約50名ほどの方が来日されました。まさに「有機農業の国際会議」

にふさわしい陣容となっています(→海外スピーカー紹介)。



会場は、15年前の震災で、大きな被害を受けたポートアイランドにある、神戸学院大学。

傷跡は今はほとんど見られません。



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     会場の神戸学院大学



初日の朝から、大きな講堂が満員になるほどの盛況ぶり。およそ、700名近くの参加者が

いたでしょうか。


 


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     多くの参加者で熱気にあふれる会場



午前中から午後のはじめにかけては、各国の有機農業の状況、生産者と消費者の活発な

提携活動が紹介されました。




午後は、7つにわかれての分科会。その一つの「食農教育」を、大地を守る会で担当しました。

パネラーとしては、

五十嵐興子さん:30年間、東京都の学校給食の現場で務められ栄養士。埼玉や群馬、長崎、
       岩手などの生産者と連携し、産直農産物を学校給食に導入し、食育活動を展開。
       現在、全国学校給食を考える会会長

安井孝さん:愛媛県今治市の企画振興部室長。今治で、積極的に有機農産物、地元農産物を
       用いた学校給食の推進活動を展開されている。

中川智子さん:兵庫県宝塚市長。1985年から、地元宝塚市で、学校給食運動に取り組み、その後、
      1996年から2期、衆議院議員を務められ、2009年より現職。

コーディネーター澤登早苗さん:恵泉女子大学准教授。自分の教え子の大学生たちと、有機農業
      に取り組むとともに、その周辺地域の多摩ニュータウンなどにおいて、「親子有機野菜
      教室」などを開催し、食育活動を実践されている。父親の澤登芳さんは、大地を守る会
      へ、有機のキウイを出荷されている生産者でもある。


これらのメンバーで、どうやったら、有機農産物を使った食育活動ができるか、そして、学校給食に

有機農産物をより一層いれていくためには、どのような工夫が必要かについて、議論されました。




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    左から、安井さん、五十嵐さん、中川さん、澤登さん



質疑応答では、自らを「オーガニックマン」と称される参議院議員のツルネン・マルテイ議員

から、「アメリカの学校では、学生自ら有機農産物を耕し、それを給食として食べているところ

があるが、日本でそのようなところはありますか」という質問がありました。日本にも、数箇所、

そういった活動をしている学校があるようですが、まだまだ統計資料になるにはほど遠い状況

であるという解説がパネラーよりありました。そして、ツルネンさんからは、政治家として、日本

の有機農業の発展に全力を尽くすという力強い発言もありました。また、中川市長からは、今後、

宝塚市を、今治に負けないような有機の里にしていけるよう頑張るとの決意表明もありました。


注)実は、僕の机の隣で一緒に仕事をしている「ナカティ」こと中川啓は、彼女の息子さんです。




二日目は、「産消提携」をキーワードに、さまざまな国のさまざまな取り組みが紹介されました。

実は、日本でいう産消提携の概念は、アメリカでは、CSA(Community Supported Agriculture)、

フランスでは、AMAP(Association pour le Maintien d'une Agriculture Paysanne)という言葉

で、実質的に同じ運動が実施されています。これらの世界の「産消提携」のパネルディスカッション

に、野田克己さん(大地を守る会専務理事)がパネラーとして登壇しました。




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    パネルディスカッションで発言する野田克己さん



野田克己さんの発言を要約

大地を守る会では、株式会社という特殊な形式で、生産者と消費者を結ぶ活動を展開して

きました。株式会社というと営利のみを目的としているような印象を受けますが、大地を守る会

では、学校給食運動、脱原発運動、有機農業促進運動を多くの団体と連携して、展開してきま

した。また、年間100回以上に及ぶ消費者、生産者の交流イベントを実施し、「顔の見える関係」

の構築に向けて活動しています。




有機農業という観点でデータを出すと、大地を守る会の出荷する農産物の11.9%が、JAS認証

を受けたものです。しかし大地を守る会では、JAS認証有機農産物だけにこだわっているわけ

ではなく、それに向けて努力する生産者との関係も大切にしています。今後も、生産者と消費者

のより一層の結びつきをめざしていきます。このブログの中で紹介されている、イベントレポート

はまさしくその活動の現場からの情報発信なのです。



大地を守る会 運動局 前川隆文






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