食べて守る生物多様性 の最近のブログ記事

2013年9月 8日

「夏休み!自由研究講座。むかしの野菜と今の野菜」イベントレポート

 8月31日の「831の日(野菜の日)」に合わせて、むかしの野菜(在来品種)と今の野菜(一般品種)の
違いを親子で学べるイベントを8月25日に勝どき駅近くの「グロースリンクかちどき」で開催しました。

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 「日本むかし野菜」について親子で学びました!

 8月31日は「8(や)3(さ)1(い)」の語呂合わせから、野菜の日とされています。
今回のイベントでは、大地を守る会でも「日本むかし野菜」シリーズの販売でお馴染の在来品種の
野菜について説明をし、実際に25種類の在来品種の野菜を並べ、お子さんに触れてもらいました。
お子さんには、白紙の日本地図に在来品種の絵や説明を書いてもらい理解を深めてもらい、
最後には一般の野菜と在来品種の野菜の食べ比べも実施しました。

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参加したお子さんからは、
 「前から知りたかった昔の野菜のことが知られて、楽しかった」
 「野菜が好きだから参加した」という声もあれば、
 「夏休みの自由研究が終わるから参加した」という素直な声も。

また、お父さんお母さんからは、
 「在来野菜だけで数種類を食べ比べしたキュウリやナスが、実際に見たり食べたりでき違いがよくわかった」
 と好評でした。



2012年5月 1日

お知らせ:生物多様性の日 記念イベント 5月19日(土)


大地を守る会は、生態の保全、食品の安全性、種子の一極支配などの観点から、"遺伝子組み換え作物"に反対しています。

反対運動の中心となって活動しているのが、「NEWS大地を守る」などでもおなじみの、天笠啓祐さんが代表をつとめる、「遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン」です。「遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン」が事務局をつとめる「食農市民ネット」が主催となって、5月19日にイベントを開催いたします。多くの方々の参加をお待ちしております。


■イベント名
生物多様性の日 記念イベント
『フード・インク』』の監督が語るアメリカの食と農の現状
~今日のごはん選びが必ず変わります~

■解説
急速に失われつつある生物の多様性について考えるために、国連が定めた「生物多様性の日」。その5月22日には毎年、生物多様性に関するイベントが世界各地で開かれます。食農市民ネットでは、生物多様性を食べものと農業の視点から考えようと、『フード・インク』の監督で、食と農の問題に精力的に取り組んでいるロバート・ケナーさんをお迎えして生物多様性の日の記念イベントを開催します。『フード・インク』はアメリカの食品産業の闇に迫った衝撃的なドキュメンタリー。この中で監督は、私たちがどのような食べものをどのように食べるか、1日3回の食事のときに考えることで、大量生産・大量消費のフードシステムはかえることができるという、力強いメッセージも発信しています。監督からアメリカにおける食と農の現状や、いまアメリカで盛り上がっている遺伝子組み換え表示を求める動きについてお話しいただきます。

 フードインク公式サイト URL

■日時
2012年5月19日(土)13:30~18:00(開場13:00)

■会場
東京ウィメンズプラザ ホール
(東京都渋谷区神宮前5-53-67)

■連絡先
食農市民ネット事務局 → URL
TEL:03-5155-4756
e-mail:office@fa-net-japan.org

■プログラム
13:00 開場
13:30 開会のあいさつ
13:40 映画『フード・インク』
15:20 休憩
15:30 講演 ロバート・ケナー監督
      「アメリカの食と農の現状について」
16:30 トークショー 日本における生物多様性と
      遺伝子組み換え生物の状況
17:00 休憩
17:10 質疑応答・意見交換
17:50 閉会のあいさつ
18:00 閉会



2011年8月17日

2011 米生産者会議報告 in 北海道

うっしーこと牛島真也です。

今日は久しぶりに、理事、改め、CSR運営委員による生産者会議報告をお送りします。

 

登場するのは、大地を守る会のイベントでの「生きもの調査」でもおなじみの、

"陶博士"こと、陶武利運営委員です。

稲作体験イベントなどで陶委員に会ったことのある方も多いかと思います。

果たしてどんな報告が届いたのか?!乞うご期待。

 

↓↓↓↓↓

CSR運営委員の陶です。

個人的な感想を交えてレポートしたいと思います。


今回「お米の生産者会議」が行われたのは、「涼しく短い夏」というイメージの北海道でした。

イネは元々熱帯を起源とする作物ですので、本来北海道は、稲作に適した環境ではないわけです。

ところが、調べてみると、今や生産量は全国1位。

一体、どうやって負の要因を克服し、今の生産量を築いたのでしょうか?

そんな興味を持って参加してきました。

 

講演内容は、「おいしくなった道産米の秘密」~北海道稲作と品種改良のあゆみ~。

なんと、生産量だけでなく、味も変わってきているようです。

後ほど食味会も行われるとのことで楽しみです。


講演して頂いたのは、菊池治己先生。元上川農業試験場長。

まずは、北海道の開墾の歴史から。

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森林を開墾して水田にしたそうですが、ユンボもない時代に相当大変なことだったと思います。

田んぼに残る木の切り株が当時の苦労を伺い知れます。


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稲作は、明治10年頃からどんどんと北進していったそうです。

明治33年を見ると、ちょうど今の札幌辺りまできています。

ちなみにこの年は、エゾオオカミが絶滅してしまった年でもあります。


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北海道は、やはり内地と違って寒い。

 

4年に一度は冷害に見舞われるという状況があって、以前としてそのリスクはあるそうです。

そんな厳しい環境条件の中、育種をどうやって進めていったのか?

 

育種のプロジェクトが始まったのは1980年。なんと、今から30年以上前にさかのぼります。

稲は普通に作ると1年に1作しかできませんが、もし1年に2作、3作とできれば、

育種のスピードを早めることができます。

それを実現する為に最初は鹿児島県や沖縄県にお願いして作ってもらったこともあったそうです。

 

その後、道南農試に大型の水田温室を用意し、2期作の体制を整えました。

30年で60年分の仕事ができるというわけですから、すごいことです。


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冷害に強い個体を選抜する為には、人工気象室も用意。

「冷害に強く、生産量も多い」という性質だけではお米は売れません。味も重要な点です。

 

そこで「北海道のお米はまずい」といわれる理由を分析したところ、

アミロース含有量が低くなりにくい為、粘りが無くなりおいしくない、ということが判明。

(アミロースが0になるとモチ米になる)

夏場に高温になりにくい北海道では、どうしてもアミロース含有量が低下しないという

気候的要因が良食味をはばかっていることがはっきりしたのです。


そこで、低温下でもアミロースが低くなる系統を作るという育種目標が掲げられました。

その為に、様々な品種を導入。

「おぼろづき」に至っては、なんと新規の低アミロース遺伝子を見つけ出すこととなりました。


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カリフォルニア米で有名な「国宝ローズ」の血も入れたんですね。

正直、これには執念と気合いを感じました。


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また、純系を短期間に作る為にも重要な葯培養の技術も導入。

 

教科書ではよく習う技術の1つですが、葯培養で実用品種を作った例というのは

あまり知らなかったので、非常に興味深く話しを伺っていました。

このような工夫と努力が実って、北海道の寒い気候でも育ち、

しかも高アミロースにならないという品種が誕生したわけです。

 

食べ比べをしてみましたが、「おぼろづき」「ゆめぴりか」には正直びっくりしました。

炊き加減もあったのかと思いますが、食べ比べの値を集計しても

コシヒカリより上の評価がついていました。

これだけの時間と努力をしてきたのですから、「素直に評価したい!」と思いました。




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話の終わりに、産業用大麻の話がありました。


麻は、どうしてもマイナスの側面ばかり取りざたされますが、

THC(向精神薬)を殆ど含まない産業用大麻というのがあります。

大麻は本来伝統的に日本で栽培されていた作物で、植物体は繊維やプラスチックとして、

また「実」は大変栄養価に富んだ食料として我々に大きな恵みを与えてくれる植物です。

最近では、その秀でた成長力と吸肥力から、放射性物質を吸収してくれる可能性についても

示唆されています。

この植物の持つポテンシャルを日本でももっと活用できる日がくればいいですね。

 


最後に気になった生き物を一つだけ。

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北斗会の水田に生えていた糸状藻の一種、アミミドロ。


過去の観察経験を踏まえてお話すると、水田では、温度が低い時期にサヤミドロが出現し、

その後アオミドロやアミミドロなどが出てきます。

サヤミドロは非常に細い細胞でできていて、イネには殆ど影響を与えません。

初期にこれがあることで抑草効果もあることが報告されています。

 

アオミドロは、場合によってですが風などで一カ所に集まってしまうことがあり、

その結果イネを倒してしまう害も報告されています。

アミミドロは、全体がネット状に繋がっていて風の害を受けにくく、

場合によっては抑草効果もあります。


田んぼに生えている藻は、全部アオミドロだと思っている人が多いですが、

同じように見える生き物でも、時期や環境によって種類が違っているという状況があります。

地味な側面ですが、そんな生き物の営みもあることを知って頂けると嬉しいです。

 

以上、北海道生産者会議の報告でした。

 

CSR運営委員・陶武利

 



2011年2月10日

2/26(土)、TPPに反対するお百姓さんの座談会を開催。

うっしーこと牛島真也です。

 

今日はTPPに反対するお百姓さんの座談会開催の紹介をします。

ここのところ、メディアの報道もやや落ち着いてきたものの、新聞、テレビ、雑誌など、

毎日どこかで見かける「TPP」問題。

 

報道を見ていると、「賛成派の経済界」、「反対派の生産者」というような印象を持ちますが、

実際には「どのような影響があるのかわかりにくい」という人も多いかと思います。

まずは、「最も影響を受ける」と言われている農家の方のお話を聞いてみませんか?

くわしくは、以下。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あたり前に生きたい、ムラでも、マチでも
 TPPでは生きられない! 座談会
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 TPP(環太平洋連携協定)というのをご存知ですか。まだ正体のよくわからないこの妖怪がわたしたちに襲いかかろうとしています。

 もともとは2006年に発効したニュージーランド、チリなど4カ国の小さなFTA(自由貿易協定)だったものが、新たにアメリカ、オーストラリアなど数カ国が参加を表明したため「バスに乗り遅れるな」とばかり菅首相が飛びつき、財界や大手マスコミが政府の尻を叩き、その賛否を巡っていまや大論争となっています。

 それぞれの家庭にそれぞれの事情や都合があるように国や地域にとってもそれは同じです。相手の立場に配慮して協議をすすめるのが貿易交渉ですが、TPPは例外なき自由化を強引に進めようとするものです。菅首相はこれに参加することを、明治維新、敗戦に次ぐ「第三の開国」と述べました。

 これが実行されたら、コメをはじめとして畑作物、乳製品から沖縄のサトウキビまでほとんどが輸入物に置き換わり、食料自給率は14%まで低下すると農水省は試算しています。これは地域の崩壊を意味し、人が暮らし続けることができるバランスのとれた社会としての「日本」の終わりを意味します。

 マスコミの一部は「牛丼が200円になる」とはしゃいでいますが、労働力も自由化され、際限のない賃金水準まで下がりつづけ、安い牛丼すら食えなくなることを覚悟しておくべきでしょう。ワーキングプア、非正規社員はふえつづけ、農村からの離村者なども含め、都市に失業者があふれることにもなりかねません。

 いったい誰のための自由化でしょうか。私たち農民はもとより、多くの人たちにとって、なんのメリットもありません。どうか、みなさん。この愚挙、この暴挙を阻止するために、私たちと共に立ち上がってください。

 2月26日に全国の百姓が東京に集まり声を挙げます。多くのみなさんの参加を呼びかけます。
  

  【とき】2月26日(土)午後1時~5時
       ※ 終了後は経団連へのキャンドルデモ(5時30分に錦華公園集合、キャンドルは各自持参)

  【ところ】明治大学リバティータワー2階1021教室
        JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水駅」下車徒歩3分
        東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」 下車徒歩5分
        都営地下鉄三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線「神保町駅」 下車徒歩5分

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【プログラム】

■基調講演 
 
◎中野剛志さん(京都大学大学院工学研究科(都市社会工学専攻)助教)
〈プロフィール〉  
 1971年生まれ、東京大学教養学部(国際関係論)卒業。通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年よりエディンバラ大学留学、2005年博士号取得。経済産業省産業構造課課長補佐等を経て現職。TPP問題については反対の立場を鮮明にあらわし、新聞、ネット上などで反対論を展開している。著書に『自由貿易の罠』(青土社,2009)、『考えるヒントで考える』(幻戯書房,2010)、編著に『成長なき時代の「国家」を構想する―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン―』(ナカニシヤ出版,2011)などがある。

◎自由化と闘う韓国農民からの報告(全国農民会総連盟・郭吉子政策局長)
 
■TPPやグローバリゼーションの影響を受ける多くの人たちからの3分間スピーチ
     
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【主  催】 TPPに反対する人々の運動実行委員会

【共同代表】 山下惣一(佐賀・百姓) 、菅野芳秀(山形・百姓)、 天明伸浩(新潟・百姓)

【問い合わせ先】
  平和フォーラム事務局内 市村
  Tel:03-5289-8222 Fax:03-5289-8223 Email:ichimura@gensuikin.org

★全国のみなさんからのメッセージを募集しています。ムラでもマチでも当たり前に生きたい、という当たり前の思いをぜひお寄せください。集会で参加者へ配布し、共有したいと思います。
  宛先:E-mailあるいはファックスで上記問い合わせ先へ。200字以内でお願いします。

★集会へ賛同していただける団体・個人を募集中です。上記の問い合わせ先まで連絡をお願いします。
 (賛同金は不要ですが、カンパは大歓迎!です。 下記口座へよろしくお願いします。)

  <振り込み口座>  カンパをお願いします
  ゆうちょ銀行
  口座記号番号 00170-4-457096番 「TPP反対連絡会」

☆最新情報は下記サイトをご覧ください
http://www.geocities.jp/yaoyahyakusho/muramachi/home.html

 



2010年12月25日

玉ちゃんひさびさに文化放送に登場!

うっしーこと牛島真也です。

 

先日の虎ちゃんのブログで、12/5の「たまなびファーム」訪問レポートがありました。

12/5たまなびファーム訪問レポート

 

12/17(金)の文化放送「しろバラ」の放送では、その時の報告がありました。

なんと、この日のゲストは、玉ちゃんこと玉川美沙さん!

 

これはご挨拶に伺わねば!ということで、虎ちゃんとうっしーの虎牛コンビで文化放送に行ってきました。

 

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      放送前、台本と自分の手帳を見ながら、なにやら真剣な表情の虎ちゃん

       (今日の出演予定はないはずなんですが...。)

 

番組では玉川さんご自身の近況報告があったほか、
菅野アナ、アシスタントの有馬香さんから「たまなびファーム」の近況と訪問報告があり
ました。


番組スタッフが種まきをして、リスナー代表が草取りをした大豆は無事に?!実をつけて、

無事に収穫を迎えました。

(角掛さんはじめ、ヤマキスタッフの皆様、日々目を配っていただきありがとうございました!!)

あとは、集大成の味噌づくりを迎えるのみです!


訪問の様子は番組公式ブログでも紹介されています。


しろバラ番組ブログ

 

また、番組終盤に、リスナーの方から以下のようなおたよりが紹介されました。

「玉川さんの番組で大地を守る会の冊子をいただきました。
その中に、昔、お見合いした相手を見つけました。
その方は農業をされていて、何度か文通をする間柄でした。
残念ながらご縁がなく、結婚にはいたりませんでしたが、
お元気でいることを思いがけなく知ることができ、とてもうれしかったです。」

人っていろんなところで繋がっているんだなということを実感しました。


すかさず、玉ちゃんから、
「それって、虎ちゃんのことじゃないの~?! うっしーとか!」
という突っ込みが入っていましたが、どっちも違います()

 

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          菅野アナ、うっしー、たまちゃん、虎ちゃん、有馬香さん

 

★集大成の味噌づくりですが、新年2011年の3月5日(土)にリスナーを集めて開催予定です。

こちらについては、あらためて虎ちゃんから報告させていただきます。

 

大地を守る会事務局・牛島真也



2010年9月 9日

鹿、いのしし対策 長野県の取り組みを見てきました!

とらちゃんこと虎谷健です。

 

今年の夏は暑い!そして、9月に入りましたが、まだ暑い日が続きそうですね。

虎谷は、今年の夏休みは猛暑の東京から逃げるように、長野県の高原に行ってきました。

長野県では有害鳥獣駆除をした鹿やいのししの食材活用が盛んでしたのでちょっとご報告を!

 

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まずは諏訪大社にお参りしてきました。ここでしか手に入らないお札が目的です。

 

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狩りをするものは、猟師や武士、時代の将軍までが唱えた「諏訪の勘文」という、

慈悲と殺生の両立を説くお札「鹿食免」をいただいてきました。

このお札は、殺生は罪悪として狩猟を忌み嫌う時代にも、生きるために狩猟をし鹿肉を食べる事を

許しました。

諏訪地域の人々は諏訪大社から鹿食免を授かり狩猟を続けることで、長く厳しい冬を乗り越えたのですね。

明治時代まで発行されていましたが、食の近代化が進み狩猟が生活の糧とならなくなって

きたために発行が途絶えたとのこと。

しかし、食にまつわる問題が顕著になってきている現代、今の豊かな時代に感謝し

安全な食生活を送れることを祈念して、諏訪大社は今日、再び鹿食免の頒布を始めた

とのことでした。

 

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鹿食免のお札を頂きました。さあ、がしがし鹿を食べよう!(笑)

 

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今回の目的の一つ霧ケ峰高原の奥にある八島湿原。

八島湿原は日本南限の高層湿原で天然記念物にも指定されている貴重な湿原です。

 

「これほど見事な高層湿原は世界でもベルギーに一か所あるだけ。」と、世界の湿原研究者から

高い評価を受けている湿原です。

12,000年前に火山活動でできた溶岩のくぼみが池になり、土砂が流入して水生植物が繁茂し、

冬に枯れた植物が冷涼な気候のために腐らずそのまま堆積し、その上にさらに水生植物が

育って枯れて・・・を、気が遠くなるほど繰り返して今の形になったものだそうです。

 

ぐるっと回っても1時間半ぐらいで歩けるので小さな子どもさんを連れても安心です。

それにしても広くて開放感いっぱいです!

 

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そんな開放感いっぱいの湿原の縁に無粋な柵が張り巡らされております。

これはなんでしょう?

 

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なんと、鹿の侵入を防ぐ鹿防護柵が湿原一面に張り巡らされているのでした。

ここ長野県でも、増殖している鹿による植生被害を防止するために、柵の設置や猟銃による駆除

などが行われていました。

八島湿原のほとりにある山小屋のご主人は鳥類の観察・調査も続けているナチュラリスト。

話が鹿の食害の話に及び、「鹿食免」の話になると「実は私もお札持っているんですよ。」とにっこり。

自然に関心のある方は、鹿の食害問題は避けられない状況に来ている事を実感しているようです。

積極的に鹿を食べて頭数調整に関わろう、という機運が伺えます。

 

長野県では駆除のみならず捕獲した鹿の利用にも力を入れています。

今回の旅行でははからずも鹿料理食べ歩きの旅となってしまいました! 

 

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観光地で「ジビエ祭り」と称して鹿肉を味わってもらう企画が展開されていました。

 

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ドライブインの入口にもありました!鹿食免。

以下、今回出会った鹿料理をご紹介です!

 

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車山高原のドライブインにあったメニューのご紹介。

鹿肉の天ぷらです。

 

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カレー丼です。カレーにすると鹿肉のクセが消えて食べやすくなるようです。

せっかくの鹿肉の風味が消えてしまって残念ですが、鹿肉入門には良い料理かもしれません。

 

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カレーつけうどんです。

 

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こちらは諏訪のレストランで見つけた鹿料理です。

「てっぽう揚げ」と書いてありましたが龍田揚げですね。

ドレッシングをかけてサラダと一緒にいただきました。美味しかったです。

 

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鹿肉のステーキです。赤ワインのソースが相性ピッタリ。

モミジが載っているのは鹿肉を「もみじ肉」と呼んだ呼び名にかけてみたのでしょうか。

 

次の写真はちょっとワイルドなのでご注意を!

 

 

 

 

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こちらは原村にあるレストラン。

屋根から下がっているのは鹿、いのししのハムです。ヨーロッパの市場でよく見る風景ですね。

・・・よく見るとひずめが付いたままの足が丸ごと干してあります!

オーナーさんはなかなかワイルドな方のようでございます。

 

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ハムを注文すると丸ごと席まで持ってきてくれて目の前で削いでくれました。

「何がいい?」とヒゲ面の大男のオーナーさんが聞いてくれたので、

「シカとイノシシをちょっと多めに。豚は少しで。」とちょっとツウぶって注文してみました。

目の前で見る毛とひづめ付きのハムは迫力あります!

 

「鹿やいのししの肉に関心があるんですよ~。」などと話しかけると、ハムを切りながら「原村も

温暖化の影響かハムも作りづらくなってねぇ~。」とのこと。

 

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ワイルドなハムですが、お皿も盛られるとこんなにお上品でございます。

鹿肉のハムは豚に比べて肉の味が強いので薄切りにして丁度よいくらいです。

チーズとあいそうなのでピザにのせても美味しいかもしれません。

高原の涼しい風に吹かれながら赤ワインと一緒に楽しみました。

ちょっとけだるい昼下がりのひとときでございました。

 

大地を守る会 交流局 虎谷健



2010年7月31日

鹿の増殖で山の自然はどうなっているのでしょう~丹沢山系の様子~

とらちゃんこと虎谷健です。

 

昨年から始まった「たべまも」キャンペーン。

キャンペーンで取り上げた食材は米、在来種野菜、そして鹿肉です。これらの食材を食べ支える事で周囲の環境を守り、「生物多様性」を守りましょう! というキャンペーンです。

 大自然の一員である鹿を食べることによって山の環境と生物多様性を守ろう、というわけですがでも、どうして鹿を食べて頭数を減らす事が自然環境を守る事につながるのでしょうか?

日本各地で甚大な被害が出ているといわれている鹿の大増殖。

もともと繁殖力が強い動物のうえ、

・ニホンオオカミの絶滅、ハンターの高齢化、減少で天敵が減った。

・地球温暖化により降雪が減少して冬に死ぬ鹿が減った。

・植林のため森林伐採を行ない、鹿の餌場、草地が増えた。

・ゴルフ場造成などで生息域を追われた鹿が分散した。

・限界集落、耕作放棄地の増加で里に近寄りやすくなり作物の味を覚えた鹿が居付くようになった。

...など様々な理由により大増殖が始まったと言われています。

 

鹿が増えすぎて次のような課題が浮かび上がっているようです。

・牧草地や畑、植樹への食害。

・山の下草を食べ尽くしてしまうことによる植生の貧弱化と山の保水力の低下と土砂流出、水源地へ   の影響。

・高山への生息域拡大による希少な高山植物への食害、天然記念物のライチョウの営巣地の破壊、同じく天然記念物のニホンカモシカの生息域への侵入によるカモシカの生息域の減少。

などが指摘されています。

 

では、実際山の状況はどうなっているのでしょうか?

関東平野に住む私たちにとってハイキングなどで身近な山、丹沢に登って実際の鹿被害の様子を

見てきました。

 

歩いたルートはヤビツ峠から入って塔の岳を経て丹沢山に登る一般的なルートです。

ヤビツ峠から入って1時間ほど登ると二の塔と呼ばれる休憩所が現れます。ここでは丹沢自然保護協会

主催する植生回復のための広葉樹の植樹が毎年行われています。

昨年私もこの植樹に参加してきました。昨年植えた木がどうなっているのか植えた場所を目指して

登り始めました。

 

 

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少し山に入ると食害にあった笹が目立ち始めます。

7月下旬の今、もっと青々と葉をつけてないといけないはずですが葉を食べられてしまっています。

 

 

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ちなみにこちらは比較的食害の少ないように思われる笹です。

同じ季節なのに下草も含めて葉のボリュームが違います。

 

 

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下草が生えている場所ではホタルブクロの花が咲いていました。

 

 

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こちらの笹はほとんど葉が残っていません。これでは笹は枯れてしまいます。

対照的に繁茂しているのはマツカゼソウ。独特の臭気がある植物のため鹿が食べないようです。

鹿の食害(食圧)が進むと、鹿が食べない種類の植物ばかりが増えることになり、植生が貧相に

なってしまうんですね。

 

 

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広葉樹が主に茂る林の地表ですが、笹をはじめ下草が育っていません。まるで間伐が行き届いていない針葉樹を植樹した林のようです。

このような土壌では保水力が低下するので大雨が降った時など土壌流出の原因になります。

また、クマザサなどの笹藪には、雨の時など鹿が雨宿りに集まってくるそうです。

笹藪自体消滅してしまう事は鹿にとっても良いことではないはずです。

 

 

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ちなみに植樹された針葉樹の林の下草もこのような状態です。

太陽の光が差し込まず、下草が生えにくくなります。保水性が落ちるため大雨が降ると一気に

土砂が流れるおそれがあります。

 

 

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広葉樹を植林した場所に到着。鹿に食べられないようにプラスチックのネットでガードされています。

ここでもマツカゼソウだけが繁茂していました。 

 

 

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斜面に立ち並ぶ鹿食害防止のネットの様子です。下草が食べられ土がむき出しになっている場所もあります。

 

 

 

ネットに守られて花が咲いていました。

本来ならこのような花があちらこちらで見られるはずなのですが...。

 

 

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針葉樹の植林地全体を囲む植生保護柵も山のあちらこちらにありました。

これらは鹿の食害を防ぐだけでなく、他の動物たちの往来も妨げてしまいます。目の細かなネットを

張っているのはノウサギの侵入も防ぐためです。

 

鹿の侵入だけを防ぐ植生保護柵は目の大きなネットのみ張られていますが、それでもツキノワグマなど大型動物の往来は妨げられてしまいます。

 ちなみに、ツキノワグマは丹沢山系にわずか20頭ほどしかいないと言われています。

しかも、富士山系・奥多摩山系とは道路で分断されてしまっているため、クマ同士の往来がしにくい状態です。近親交配による生殖力の弱体化が心配されています。

 そこで、富士山系・奥多摩山系とコリドー(緑の回廊)で結んでクマの往来を活発にする事が検討されています。

でもそれ以前に、山の中の自由な往来が柵で妨げられてしまっているようです。

 

 

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ネットも倒木や大雪で壊されてしまいます。壊された後には鹿が侵入した足跡がついていました。

 

 

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こちらはだいぶ大きく育った木です。「これだけ育ったらひと安心!」とはいきません。

樹皮を食べられてしまうとせっかく育った木も枯れてしまいます。

 

 

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午後になって霧が出てきてしまいました。ぼんやりと鹿柵が立ち並んでいる様子が分かります。

登山道からは見えにくいのですが、このような柵が延々と続いていて万里の長城の様です。

う~ん、健全な森の状態とは言えません・・・。

 

 

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ちなみにこちらは鹿ではなく、登山者の踏み跡の植生回復中の様子です。

ネットを張って土壌流出を防ぎ下草を生やしています。

皆さんも山を歩く時は登山道を踏み外さずに歩きましょう!

 

今回の山歩きでは鹿には出会いませんでしたが鹿の痕跡を至るところで見ることができました。

ちなみに今、丹沢では登山者がヤマビルに吸血される事が多くなっていますが、ヤマビルも鹿に付いて生息域を広げているとのことです。(虎谷も2回ほどかまれてしまいました!)

 

鹿の大増殖の問題は地球温暖化や限界集落、林業、リゾート開発など今の日本が抱えている課題の表われようです。

鹿を食べて数を減らすことで全ての課題が解決できるとは考えられませんが、鹿の食害を少しでも減らすために今私たちにできる事は、鹿肉を食材としておいしく食べることだと思います。

食材という「価値」をつけてあげることによって、害獣として駆除され処分されている鹿たちが

「地域の大切な資源」として見直されることが期待できます。

資源が活用されることで雇用が生まれ、お金が循環することによってその地域が元気になり、

自然環境と人間が共存できるようになるといいのですが。

 

 

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丹沢産の鹿のグリルです。(調理:レストラン THE WAKO)

エゾシカに比べて脂肪が少なくあっさりした味でした。塩と胡椒のみで頂きましたが美味しかった!

「たべまも」キャンペーンに関わり鹿肉に親しむ機会も増えたため今ではすっかり鹿肉の味が我が家の味に定着してきました。鹿の猟解禁は秋。待ち遠しい秋の味覚になりました。 

まだ鹿を召し上がったことのない皆さんもこの秋はぜひ鹿肉デビューをしてみてください。

もちろん、大地を守る会でも鹿肉とその加工品を紹介していきますので注文してください!

 

大地を守る会 交流局 虎谷健



2010年7月29日

「千葉畑の会・スイカ食味会」に行ってきました!

とらちゃんこと虎谷健です。

皆さんは7月の3連休、どのように過ごされましたか?

大地を守る会では海の日の恒例イベント「千葉畑の会・スイカ食味会」を今年も行いました!

 

今年は春先に寒さが続いた為、スイカの苗の生育が心配されました。

スイカ食味会で食べさせてもらうスイカは、この交流会のためだけに作られている品種もあるため、

生育が心配。

でもさすがプロです!どのスイカもぴたりと交流会に合わせて熟期を迎えていました!

 

 

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会場の千葉畑の会の内田さんは代々続く農家さん。交流会会場となる納屋も広くて立派です!

柱も梁も太い!

 

 

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こちらは出荷を待つスイカたち。「食べてみて~!」と訴えているようです。

家族の人数が減ってか小玉スイカが人気のようですが、やはり夏に一度は大玉スイカをガツン!と

食べたいものです。

この夏、我が家では親戚が集まってバーベキューを楽しみますが、大玉スイカもぬかりなく手配しました!

大ぶりに切ったスイカにかぶりついて種をピュッ!ピュッ!と飛ばしてお行儀ワルで楽しみます。

夏のイベントには欠かせません!

 

 

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いよいよ食味会の開始です!

6種類のスイカ(祭りばやし・縞王・新三山・タヒチ・ゴールデン旭都・マダーボール)を食べ比べました。

昔からのロングセラーの品種から、今ではもうあまり見なくなってしまったもの、それぞれの特徴や

どこが難点だったか、などを経験を交えて教えてくれます。

プロのスイカ農家さんから聞くスイカの種類の変遷は興味深いです。

テレビの取材も入りました!

 

 

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みんなでスイカを頬張りながら記念撮影。美味しそうですね!

 

 

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スイカをたっぷり堪能した後は畑の見学です。

説明は内田和洋さん。「スイカの交配はミツバチで行うんですよ~。」と。

8月に入ると秋に出荷する人参を蒔くそうです。「人参は水が好きなんです。水やりが大変なん

ですよぅ~」とのこと。暑い中ごくろうさまです。

 

 

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子どもたちはさっそく虫取り?いえいえ、畑見学の時に草取りのお手伝いをしました。

この作物は落花生。脇に生えている草、スベリヒユとちょっと似ているので要注意、です。

 

ちなみにこのスベリヒユ、茹でてマヨネーズで食べると美味しいとのこと。

生でかじってみるとクセもなくほんのり粘りがあって「夏野菜」という感じでした。

さっそく我が家に帰って試食。お酢好きの我が家では酢醤油が評判良かったです。

「雑草」から「夏野菜」に昇格です。さらに「タダで生えてくる。」という特徴が評価されて「夏野菜の定番」

まで2階級特進も間近か、か!?(笑)

 

 

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暑い中、黙々と草取り体験に取り組んでいただきました。

みんなで一斉に草取りをしてすぐにきれいになりました。

 

 

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畑見学&草取りお手伝いを終えて会場に戻ると、とうもろこしとジャガイモを頂きました。

すべて内田農園ものです。美味しかったです。

子どもたちは大根を洗う水槽で水遊びです。楽しそう!

 

 

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内田さんの畑に隣接する雑木林は生き物の宝庫。

稲作体験田企画の自然ガイドでもおなじみの生き物はかせ・陶武利さんに、今年も自然観察ガイドを

お願いしました。

さて、どんな生き物が見つかるかな?

 

 

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ノコギリクワガタをゲット!

全部で15匹のカブトムシ、クワガタ、玉虫を捕まえました!

 

「こんなに獲って大丈夫?」という声もありましたが、陶さんによると「雑木林がしっかりしているから

このくらい獲ってもびくともしませんよ。」とのことです、ご安心を。

確かに、毎年イベントの際にこの林からは数十匹の虫たちをわけてもらっていますが、虫が減って

いる様子はありません。

 

 

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今回の自然観察会のサプライズは日本の国蝶でもあるオオムラサキを見つけた事です!

長年、自然観察を行っている陶さんも「力が強い蝶です!興奮しました!」とのこと。嬉しそうですね!

前回は千葉県では珍しい、ヒラタクワガタも見つけました。この雑木林の豊かさが伺えます。

オオムラサキはこのあと逃がしてあげました。

 

 

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自然観察も終えて会場に戻って今回捕まえたクワガタとカブトムシを欲しい子どもたちに分けました。

人数分はいないのでじゃんけんで持ち帰れる人を決めました!

真剣勝負のじゃんけんです!負けて泣いちゃう子もいませんでした。みんな、立派だな!

 

 

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集合した時に行った目方当てクイズの当選者には目方を当てたスイカをプレゼント!

15.1kgの堂々とした大玉スイカです。

 

 

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交流会を終えてセミの声に送られて帰る夕暮れの内田農園。

左奥のこんもりした屋敷林(?)が内田さんのお宅です。トトロが居そうな大きな木ですね。

こんな農村らしい風景がずっと保たれる事を祈りたいです。

皆さんも国産農作物を買い支えて、農家さんを応援してくださいね!

 

大地を守る会 交流局 虎谷健



2010年2月10日

農産担当者のお米の話企画を行いました

とらちゃんこと虎谷健です。


皆さんお米,たくさん食べていますか?

大地を守る会では昨年10月から生物多様性を食べて守るキャンペーン、「たべまも」を開始し、

お米食べて水田を守ろう!という呼びかけを開始し、さらに「コメニスト宣言」までも作ってしまう

ほどの熱の入れ様です。

その勢いに負けないように昨年秋の新米の季節から「新米ごはんの食べ比べ」企画を、

大地を守る会の米の精米を一手に引き受けてくれているマゴメさんの協力を得て2回行いました。

そして今回、大地を守る会職員でお米担当者の海老原に産地担当者から見た

大地を守る会のお米や生産者について語ってもらいました。


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今回試食したお米は4種類。

米担当者の海老原が「皆さんに紹介したい。」というお米を集めました。

う~ん、見た目はほとんど一緒ですね。米の試食会で一番気配りするのが初めの米を研ぐ時です。

順番が入れ替わってしまったらもう、見分けがほとんどつきません!



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このような状態になったら黄色いメモ紙だけが頼りでございます。



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ドライフラワーならぬドライイナホ。

今回の進行職員は海老原と私だけ。「男2人で殺風景にならないように。」と海老原職員のせめてもの気配りで

産地にお願いして精米せず保管してもらっていました。

でも、花瓶などなかったので傘立てに差しました。やっぱり殺風景?



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講座が始まりました。海老原職員、気合入っております。

会場はNGO大地を守る会六本木本部。狭い事務所ですが結構、様々なイベントに

使われています。六本木ヒルズや東京ミッドタウンにも歩いて行けますので講座などに

参加された後にぶらぶら歩きにいかがでしょうか。

ただし私たち事務局員に「ヒルズの美味しいレストラン教えて」と言っても

行った者が居りませんのでご案内できません...。 <(_ _)> 



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お話を聞いた後はさっそくお米の食べ比べです。

まずは産地、品種を伏せての食べ比べ。続いて生産者名と品種を紹介しながらの

試食と続きました。



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海老原職員は産地に行くとまめに記録をとっています。今回はその記録が大活躍!

今回の試食会企画のために出品生産者から映像メッセージを撮ってくれていました。



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お米の試食会が終わったらもうお昼。お昼ご飯もお米をたっぷり召し上がっていただきましょう!

大地を守る会の食材でご飯にあうものを選んでお味噌汁と一緒に楽しみました。

ちなみに私の独断で選んだお米にあう食材は・塩たらこ・くるみ小女子・

漁師さんのさんま甘露煮・べったら漬・マイルドキムチ・骨まで食べられるカタクチイワシです。



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今回は生産者の方も2名、参加してくれました。

左から2人目の方は京都府宮津から来てくれた飯尾醸造の秋山俊朗さん。

いただいた名刺には「蔵人」の肩書 が。かっこいいですね。

「富士酢、いつも使っています。」と参加者の方から声を掛けられていました。富士酢、人気ですね。

飯尾醸造ではお酢を作るためのお米を近郊の棚田で社員自ら栽培しはじめました。

毎年春には消費者の皆さんを集めて田植え体験を行っているそうです。

「大地を守る会の会員の皆さんにもぜひ来ていただきたい。・・・ですが距離がありすぎですね。」とは秋山さん。

田植えには参加できませんが今年の秋からは大地を守る会でも飯尾醸造で栽培した棚田米を

扱う予定になっていますので食べて楽しんでくださいね。

秋山さんとお話しされている方はツチオーネ110号から「かんたん・おいしい家ごはん」の

コーナーでレシピを披露してくださっている大原千絵美さんです。



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長野県の佐久から駆けつけてくれた生産者の松永哲男さん。

                 

今回の食べ比べで松永さんの所属する JA佐久浅間臼田有機米部会のお米が

美味しいと一番人気でした。

米を作る水田の機能を知ると稲作の素晴らしさに改めて感心してしまいます。

米はもちろん主食でありますが製粉しなくても粒のまま食べておいしいことがまず嬉しいことですね。

梅雨~台風時期には貯水機能を発揮して「緑のダム」にもなりますし、たくさんの

小さな生き物たちの子育ての場にもなるだけでなくて田植えイベントなどを通じて

子ども達の遊び場、食教育の場にもなります。

子どもだけでなくて大人にとっても田んぼでのイベントは楽しみを与えてくれますし、

水田がひろがる風景は見ているだけでも清々しい気持ちになります。 

忘れてはいけません、日本酒の原料も米でございます。毎晩、晩酌で癒していただいております。



いやぁ、お米と水田は素晴らしい。



トキの野生復帰のためにえさ場になる田んぼを守るために結成された

「佐渡トキの田んぼを守る会」を訪ねる「新潟県・佐渡ヶ島ツアー(6月26・27日)」、

「田んぼの生き物調査」を地道に続けている庄内地方の米農家を訪ねる

「山形県・庄内ツアー(7月3日・4日)」など今年は米の産地を訪ねるツアーを

2企画予定していますのでぜひ足を運んでくださいね。


大地を守る会 虎谷健




2009年11月26日

生物多様性-その重要性と名古屋会議 COP10/MOP5

09年10月27日晴れ(by ドクターMaekawa)

この日衆議院議員会館で、「食と農から生物の多様性を考える院内学習会」が開催されました。

きっかけは、来年10月に名古屋で開催される、COP10、MOP5の国際会議が開かれる予定と

なっているからです。まずは、COP10、MOP5の説明を。最初(①)はちょっとガマンして・・・

興味のない人は、2.からでも。


1.

COP/MOP:Conference of the Parties、Meeting of the Parties の略。ともに、なんらかの

国際条約締約国間での会議のこと。気候変動枠組条約などでも使用される一般略称。


COP10:来年名古屋で開催される第10回生物多様性条約締約国会議(→ウィキペディアURL)。

絶滅危惧種が急速に拡大しているのを背景に、世界の生物多様性の保全を目的に、「生物の

多様性に関する条約」が1993年に発効。その締約国会議(COP)が1994年から開催されている。


MOP5:来年名古屋で開催される第5回カルタヘナ議定書締約国会議

「生物の多様性に関する条約」の中では、生物多様性に悪影響を及ぼす可能性のある遺伝子組み

換え生物の移送、取り扱い、利用の手続きについて検討することになっており、2003年、スペイン

のカルタヘナで、「バイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書」が発効。以後は、「遺伝子

組み換え生物(GM)バイオセーフティー議定書」と略。


「生物多様性条約」と「GMバイオセーフティー議定書」はセットで議論されるので、COP/MOP

会議と呼ばれています。COPが上位概念で、MOPがその下部にある形式になります。


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     ECO JAPANホームページからおかりした略図



2.

ここからは、院内学習会のライブ中継&解説になるので、読みやすくなります。


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まずは、田島一成環境省副大臣の挨拶から。右隣は、大地を守る会の初代会長、藤本敏夫氏が

作った、鴨川自然王国の代表理事で、今回衆院選で初当選した石田三示氏。 左が市民バイオ

テクノロジー情報室代表、遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン代表の天笠啓祐氏。


そして本番の海外ゲストの講演がはじまりました。今回のゲストがすごい人。クリスティーヌ・

フォン・ヴァイツベッカーさん。代々科学者の家系に育ち、太陽系の楕円運動を発見したあの有名な

ケプラーも祖先。1984-1994のドイツ連邦大統領のリヒャルト・フォン・ヴァイツベッカーさんは親戚。

分子生物学者でもあり生物学に強く、市民運動家でもある。日本にはこういう科学者、なかなか

いないのが残念です。



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左から二人目が、クリスティーヌ・フォン・ヴァイツベッカーさん



まずは彼女の講演からはじまりました。この人の講演が素晴らしいの一言!論理的、科学的な

言論が進みます。印象に残った点をいくつかピックアップしていきます。


「生物多様性とは変わり行く世界のなかで未来への生命保険である」。くっー、カッコイイー!

ぐっとくる言葉ですね~ まずは生物多様性が生態系の働き中で十分に機能することによって、

健全な水、森、海が保たれ、それによって農地の健康が保証されます。そこから育つ作物や

取れる魚、育つ家畜が健全な人間のカラダを形づくるのです。具体的に卑近な例で説明すれば、

森に降った雨が地中のさまざまな微生物や植物でろ過され、川になって畑に使われ、そこに

健康な農作物ができます。そしてその水が海に流れ込み、健康な魚となっていくのです。海でも

砂浜などに住むカニやゴカイといった生物が水をさらにろ過しキレイにします。しかしその水が

農薬や化学物質で汚染されると微生物や植物の活力が弱まり、海が埋め立てられればろ過役

の小さな生物が死に、多くの環境が悪化の一途をたどっていくのです。


そして忘れてはならない点として、自然、生物多様性が人間の福利に及ぼす効果。自然で癒さ

れるってことは、生き物としての人間の本質です。現代社会はそれを忘れがち。日本のえらい

科学者なんて、「農作物は工場で遺伝子組み換えで作ればいい」、などと発言する人もいる

というのに。クリスティーヌさんこそ、人間の幸せを追求する本物の科学者!


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  クリスティーヌさんのスライド資料から



そして、現在の危機的な状況を科学的に数字で紹介。化石的な証拠などから、これまでの地球

では、絶滅する種はおおよそ1000年に1種くらいでした。それが現代は1年に1種、すなわち1000

倍にもなっているというのです。さらに悪いことに、このまま地球環境を破壊すれば、その絶滅

スピードは今の10倍になるという予想があるのです。クリスティーヌさんは、「今がターニング

ポイントです。名古屋会議は本当に重要な会議になります」と力説されていました。



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        クリスティーヌさんのスライド資料から



そして遺伝子組み換えの問題へ話題がうつります。今、メインに遺伝子組み換え生物

(ほとんどが作物)を輸出している国は、アメリカ、カナダ、アルゼンチンの三カ国。そしてそれらの

開発をしている企業は六社しかありません。そして重要な品種は、「除草剤耐性」と「殺虫性」。

それらの三カ国と六社、二品目が、生物多様性に重大な危機を与える可能性があります。

広大な土地に単一の除草剤を撒き散らし、むやみと虫を大量に殺し、環境を破壊し、生物多様性

を奪っている可能性が指摘されています。


そして大変理不尽なことに、これら三カ国は生物多様性条約とGMバイオセーフティー議定書

を締約していないのです。つまり、その他のほとんどの国が、GM作物の輸入国。特に日本は

大量のGM作物を輸入しています。輸出側三カ国は、「GM作物は絶対安全だ」と主張して

います。そして締約国はこれら三カ国が入っていません。ならば、COP/MOPの会議において、

万が一、GM作物によって生物多様性や人の健康、福利、文化に影響を及ぼした場合の

保障責任は輸出側にとらせることを制度を作ることはしごく合理的なことです。しかしそれが

うまくいっていません。それはなぜか?COP/MOPの会議出席国の中に、アメリカの代弁者

がいて、強硬に反対しているからです。その国が残念なことに日本なのです。日本は

COP/MOPに対して第1位(全体の22%)の財政支援をしており、その権威を利用するかたち

で、ほかの国の意見を封じ込める役目をずっとしてきたのです。



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       クリスティーヌさんのスライド資料から



一つの救いがここにあります。私はこれまで何度も院内学習会を見てきましたが、実際に議員

が自ら出てくることはほとんどありませんでした。多くても数人です。ところが27日の集会には

なんと、20名を越す議員が参加していたのです。ほとんどが政権与党の民主党や社民党です。

政権交代による劇的な変化を見た思いがしました。これらの出席議員がぜひとも積極的に

名古屋のCOP10/MOP5に建設的な意見を出して、日本のこれまでの態度を変えて欲しいと

切望します。少しだけ来年の会議への希望を持った日となりました。



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 大河原まさこ参議院議員とクリスティーヌさん         川田龍平参議院議員



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COP10ロゴマーク


大地を守る会ではこれまでにも、食べものの輸送距離を減らすことによるCO2削減を目的に、

「フードマイレージ・キャンペーン」を展開してきました。クリスティーヌさんの講演の中でも、生物

多様性を破壊する大きな原因の二つが、CO2による気候変動と化学物質だと説明されてました。


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                   フードマイレージ・キャンペーン



そして新たに、生物多様性保全に向けたキャンペーン、「たべまも」をはじめました。とくたろうさん

などの古来からの在来品種を守る商品は販売していたのですが、加えて、田んぼの生物多様性

に注目し、「コメニスト米」の販売をはじめています。大地を守る会の生産者には、冬季湛水に

よって冬鳥を田んぼによぶ活動をしている宮城の千葉孝志さんなど、多彩な人たちがいます。

また、千葉の山武では、20年間にわたって、会員の方々と一緒に無農薬でお米をつくっている

稲作体験田」があり、そこには絶滅危惧種の生物も帰ってきていることが確認されています。

「たべまも」では、そういった情報を今後はどんどん出していくことを計画しています。

ご期待ください。


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            たべまもロゴマーク                                     コメニスト米



20年間、無農薬で続けた千葉の稲作体験田で見つけた生き物たちです。


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  コオイムイ(準絶滅危惧種)              オオカワトンボ(愛知県絶滅危惧1類)     



環境保全に熱心に取り組んでいる秋田県大潟村、花咲農園代表の戸澤さん(戸澤藤彦ブログ

から、最新情報が入っています。大潟村にはかつてから絶滅危惧種のオオセッカが確認されて

いたのですが、最近、チューヒという絶滅危惧種が群れで見つかったそうです。



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  チュウヒ(拝借写真)(絶滅危惧II類)       オオセッカ(拝借写真)(絶滅危惧IB類


大地を守る会の生産者の日々の環境を意識した営みのすごさを知ります。



大地を守る会 運動局 前川隆文




大地を守る会の震災復興支援

生産者に会いに行こう 商品を知ろう! 料理を楽しもう! 知って学ぼう! みんなで話そう!

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