社会貢献活動(CSR)

花束を買って社会貢献!フラワーブランドが手掛ける「ウェルフェアトレード」とは?

こんにちは、ライターの渥美です。「大人可愛い!」という言葉がぴったりな、フラワーショップ「ビスターレ・ビスターレ」の花束。大地宅配でも人気のこのブランド、実は障がいを持った方々が作ったお花なんです。ショップを運営するのは、障がいを持つ方々の就労継続支援を行う障害福祉サービス事業所、一般社団法人アプローズ。今回はその代表理事である光枝茉莉子さんと、フラワーアレンジの指導員である妹尾ゆかりさんにお話を伺います。

前職では都の職員として福祉に携わっていた光枝さん。実は月平均で3,000円に満たない場合も多いという事業所での工賃を、少しでもアップさせるための取り組みとは?

光枝茉莉子さん

 

就労支援のイメージを変える、「南青山でフラワーアレンジメント」

障がい福祉サービス事業所で、花を作る、それも場所が南青山というのは、すごく珍しいのでは?

光枝さん:障がい福祉サービス事業所は、黙々と内職作業を続けるといったような暗いイメージがあります。ですから特に若い女性が「通いたい」と思えるような明るいイメージを作りたくて。当初は「花で就労支援」というと、行政の方に冷ややかな目で見られたものですが(笑)、実際に事業所としては珍しく20~30代の女性の利用者=障がい者スタッフ(以下スタッフ)が多いんです。スタッフ同士で美味しいものや恋愛について普通に会話したり、おしゃれに気遣ってきれいになってゆくことは、些細なことですがすごく大事なことですよね。

フラワーアレンジメントをしている利用者の手元

 

-スタッフにはある程度のプログラムのようなものが用意されているのですか?

光枝さん:私たちの事業所の目的は、働きたいという意欲のあるスタッフに、作業所で働きながら企業への就職に向けた職業訓練をしていただくことです。ですからスタッフに対し個別の支援計画を作り、具体的な目標を定めながら、半年なら半年、1年なら1年と定めた期間が過ぎたら民間での就職活動ができるような流れを作っています。

花の技術指導をしている様子

 

-この仕事で感じた喜び、ご苦労などを教えてください。

光枝さん:嬉しかったのは、10年以上自宅に引きこもっていたある40代の女性が、こちらで10か月程度働いた後、一般の企業に就職したことです。当初は週に1~2日通うのがやっと、とにかく自信がないという方だったのですが、初めてお給料をお渡しした時は、「自分が働いてお金をもらえるなんて、夢にも思わなかった」とボロボロっと涙を流されて。お客様からの「ありがとう」という言葉や、社会保険料を自分で払えるようになったことで自信を得て、もっと働きたいという意欲が芽生えてからはすごく早かったですね。最終的には一般企業に就職が決まり、すごく晴れやかな表情で卒業していかれました。

でも当然ながら、すべてがそういう方ばかりではありません。ここで働きたいという方の中には、美しい花に癒され、安心できる場所を求めていらっしゃる方もいて。それは大切なことですが、それだけでは足りません。私たちは、スタッフに「働く意識」を持っていただくために、結構厳しいことを言わせていただくこともあります。そうしたズレを埋めるのは、とても難しいなと感じます。

アプローズの玄関の草花

南青山の工房の玄関に並んでいた草花

 

「人助け」でなく「素敵だから」買いたくなる様な商品を

 -「ビスターレ・ビスターレ」のお花は、どんなイメージで作っていますか?

光枝さん:デレク・ジャーマンという映画監督の写真集『ガーデン』の世界観が好きで、そのイメージで作っています。万人受けする可愛らしさとは異なる、全体的に抑えられたトーンの大人っぽい雰囲気なのですが、感度の高いお客様に響くお花を作りたくて。どこのお花か分からないという商品でなく、独自の魅力を持ったブランドとして広めてゆくことが目標です。

アプローズのお花

-福祉の職員と同時に、花の指導員としての専門職がいることも特徴ですね。

光枝さん:多くの障がい者施設では福祉の職員が様々な指導員も兼ねています。でもそこで作られたものをちゃんとした「商品」として売るなら、プロの指導員は絶対に必要です。現在、常勤の指導員は、ニコライ・バーグマンやゴトウ・フロリスト、明治記念館などで一流の技術を身に着けた人ばかりで、そのプライドも持ち込んで商品のレベルを保ってくれています。

立ち上げから3年たって面白いなと思うのは、ケアについては福祉の専門家が、花の品質や売り上げについては花の指導員さんが、それぞれに一生懸命考えてくれるんですね。私自身はそのどちらも一歩引いた立場から客観的に見ている。だからどちらにも偏らない、いいバランスが保てるのかなと思います。

 

-フラワーアレンジ指導員の妹尾さんに伺います。現場ではどんなご苦労があるのでしょうか?

妹尾さん:障がいに関するある程度の知識は入れていますが、それがすべての人に当てはまるわけではありません。健常者からは想像しにくいこともありますが、障がいも個性だと考えて一人一人と接し、その特徴を把握して指導することが私たちの役目。例えば、手順5つまですぐ覚えられる人もいるし、1つずつ順々に覚えていく人もいます。指導が上手くハマれば、障がいを持っている方でも確実に技術を伸ばせると、私も日々実感しています。「花を作ることで、自分はこの先、生きていけるんだ」といった思いで、自信をつけていってもらえたら嬉しいですね。

 

「ウェルフェアトレード」という言葉に対して

光枝茉莉子さん

-最近よく聞く「ウェルフェアトレード(福祉+フェアトレード)」という言葉について、どんなふうに考えていますか?

光枝さん:最初に聞いた時には素敵な言葉だなと思っていたのですが、最近では「ウェルフェア」を打ち出さない社会貢献のあり方を発信してゆきたい、人助けなんて思わずに商品を購入していただけることを目指しています。商品のクオリティやブランド力はそのためのもの。来年オープンを目指している路面店では、そうした言葉を一切使う予定はありません。「福祉で頑張っているから」ではなく「商品が素敵だな」と思って買ってもらうこと、それが結果的に双方の幸せにつながっていく。そういう気軽な社会貢献の形が理想的なのかなと思っています。

(取材・文)渥美志保

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