社会貢献活動(CSR)

「おだやか」な「革命」!? 新たな始まりを告げる地域たち

家に帰って電気をつけるとき、スマホの充電をするとき、その電気がどこでつくられたものか、意識することがありますか? 暮らしの中で何気なく使っている電気、水、ガス―。いったいどこから来ているものなのか、わたしたちは意識することは少ないかもしれません。

今回ご紹介するのは、地域の人々が担う市民電力をドキュメンタリーで追った、新作映画のイベントです。当日の様子を少しでもお伝えできるようレポートをお送りします。(文:オイシックスドット大地 日野智子)

おだやかな革命メインビジュアル

 

満員御礼「おだやかな革命」上映会とトークイベント

10月1日、映画『おだやかな革命』の上映に加え、渡辺智史監督と出演者のトークイベントが行われました。トークゲストは、映画にも取り上げられ、大地を守る会とも長いお付き合いのある大和川酒造店の代表であり、会津電力の社長でもある佐藤弥右衛門さんです。この会を渡辺監督と共に主催したのは、再生可能エネルギーや循環、持続可能な暮らし方などに関心のある当社の有志社員(私、日野を含む)です。

映画『おだやかな革命』は、日本各地のパイオニア精神あふれる市民電力を追ったドキュメンタリー映画です。2015年から撮影が開始され、今年の8月に完成したばかり。つくったのは、山形県鶴岡市に住み、ドキュメンタリー映画監督である渡辺智史監督。監督と私たちは、今年3月、当時作成中であった本作のダイジェスト版試写会とトークイベントを実施しました。そのときのご縁もあり、今回ついに映画完成を迎え、またご一緒する運びとなりました。

うれしいことに満員御礼!映画上映後は、会場を移し、大地を守る会の生産者の方々の食材と大和川酒造さんのお酒を囲んでの懇親会を行いました。食だけではなく、エネルギーの循環のあり方やこれからの地域での暮らし方など、終始活気あり、話の尽きない場となりました。

おだやかな革命_懇親会

 

新しい市民社会の形が生まれつつある

上映前、渡辺監督は、映画「おだやかな革命」というタイトルにこめた想いを語りました。

「まさに今、全国各地さまざまな地域で、ご当地電力、市民電力が盛り上がりを見せ、自分たちの地域をなんとかしようと立ち上がっている人々がいます。新しい市民社会の形が生まれつつあります。人々のそんな新しい動きを、一人でも多くの人に届けたい、その様子を映画という手段で、映像を観た人々が、自分たちの地域やこれからのあり方に関して語り合う場をつくり広げていきたい、という想いでこの映画をつくりました―。」

おだやかな革命_渡辺監督

映画の中では、森を生かした村づくりを目指し、薪ボイラー等を活用して無駄のない地域循環を試みる人々がいる岡山県西粟倉村。集落のみんなで出資して小水力発電を取り入れ、ライフラインを自給できるような生活を送っている人たちがいる岐阜県石徹白町。使用済み核燃料の問題が依然として残る中、未来にツケを先送りにしないためにも再生可能なエネルギーをつくっていこうと太陽光発電を進めている会津電力のある福島県喜多方市などが登場しました。

これらの地域の人々が、自分たちの手で自分たちの暮らしをつくっていこうと懸命に取り組んでいる姿が印象的でした。

おだやかな革命_小水力

「エネルギー自治」の象徴としての小水力発電所(映画「おだやかな革命」ワンシーン)

 

これからの時代をどう生きていったらいいのか…

監督がこの映画を撮り始めたきっかけは、前作、「よみがえりのレシピ」(伝統野菜のことを取り上げたドキュメンタリー)の制作時、地域で市民電力の活動をしている人々に出会ったことで、食とエネルギーは密接であると考えるようになったことにあるそうです。その背景には、3.11東日本大震災のこともあるのでしょう。社会不安がある中、これからの時代をどう生きていったらいいのか、映画を撮りながら自分自身が探るような思いで進んでいったと監督は言います。

そんな中、限界集落といわれるような場所に若い人がつぎつぎ移住していき、価値観の転換が湧き水のように生まれてきている。そんな風景に出会い、不安が残りつつも、日本各地で、輝かしく希望が持てるような動きがでていると感じたそうです。

外に頼るのではなく、自分たちでやっていこうという動き―。監督は、そういった動きを、『おだやかな革命』と捉え、日本全国に発信していくために、この映画制作に取り組んだそうです。

おだやかな革命_渡辺監督歓談

 

佐藤彌右衛門さん「流されないで、変えないと。」

映画上映後、会津電力の佐藤弥右衛門さんが涙ぐむ一場面も。「いい映画だなぁほんとに…」そうつぶやかれていた弥右衛門さん。そこには、東日本大震災への想いもあったと思います。事故から六年半たった今も、「自分の価値観で生きる。流されないで、変えないと。」そうおっしゃられていたことが印象的でした。

「(自分の地域に)ないから、よそに取りに行ってしまう。自立すべき。」でも、「だからこそ、やり始めればできる。」とも力強くおっしゃっていて、会場に向けても、「そのやり始めが、この映画」と一言おっしゃる姿は、胸に刺さるものがありました。

現場の最前線で奮闘し、その想いを体現している方の力強い言葉は、会場の人々にも心に響いたのでしょう、ハンカチを手にする方もいらっしゃいました。

おだやかな革命_佐藤彌右衛門さん

 

参加者の声から

ここで参加者の声をご紹介します。「自然エネルギーと地域活性化に自前でとりくむさわやかな感動。若い人がチャレンジして未来が明るくなった」「勇気づけられる、とても感動的な作品」「自分たちでエネルギーを作れると知ってうれしい。自分も作ってみたいと思った」「人が本来持っている、分かち合い助け合いの気持ちへの回帰が、具体的に日本各地で実現していることに感動を覚えた。」などの声があがっており、参加した方はそれぞれ、映画のメッセージを強く受け取られたようでした。

おだやかな革命_集合写真

 

おだやかだけれども力強い動きが、同時多発的に

渡辺監督が魂込めて撮影しきった「おだやかな革命」に描かれたように、自分たちが暮らしている地域で、自分たちの等身大のあり方で未来をつくっていくのだという、おだやかだけれども力強い動きが、全国各地で同時多発的に起こっている。そして、それを映画という形で発信していく、監督の熱量の高い想いを感じました。

会場が一体感に包まれ、「完成ではなくここが始まりなんだ」と、何か新しいことが始まりそうな、前向きで楽しい動きが生まれそうな予感もし、これからもつながっていきたい、そんな想いを抱いた一日でした。

映画を観ることは、ひとつのはじまりにすぎません。世代問わず、ぜひとも多くの人にこの映画を観ていただき、このおだやかな革命が全国に広がってほしいと思います。

「暮らしをつくっていく」すべてを自分ひとりで実現しようとすると難しいかもしれないけれど、近くの仲間や遠くの仲間とともに実現していくことは、そう難しくもないのかもしれません。当たり前になっているあり方や視点を変えると、意外と楽しい世界が待っているかも。この機会に、ぜひみなさんもそんな一歩を踏み出してみませんか?

(文:オイシックスドット大地 日野智子)

お知らせ

*映画「おだやかな革命」は来年2月からポレポレ東中野で上映開始の予定とのことです。

*大地を守る会が取り組んできた、エネルギーに関する取り組みは、こちらの記事もご覧ください。

*フルーツバスケットのエビちゃん日記「あんしんはしんどい」の、こちらの記事もご覧ください。

大地を守る社会貢献活動(CSR)をすすめる会

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